今年も福岡マラソンの季節になり、二度目のわたしはちょっと緊張モードになっています。
今回の記事は、先日お客さまにもさせていただいた、ちょっとしたアドバイスの話です。
陶芸をやっていくうちに、いつか大きな壺やお皿を作りたいという願望を持つことはとてもいいことだと思います。
作りたい作品のイメージや目的があることで、本来なら技術や知識は向上するからです。
しかし、よくよくお話を聞いてみると、陶芸教室には長く通っていたけれど、成形と絵付けをしただけで、乾燥や素焼き、釉掛けや窯詰めの経験が全くなかったという方も多く、中には陶芸教室で出来たものはすべて自分の能力によるものであり、一人になっても簡単にまた再現することができる、と勘違いされている方も時々いらっしゃいます。
実は陶芸教室で、生徒がいない間に講師がおこなっていたことこそ、本来身につけるべき、やきものの技術と知識です。
繰り返しますが目的があることはいいことです。
しかし、そこへ向けての段階的なアプローチや、試験的な作陶を嫌がる人がとても多いのは残念でなりません。
いくつか例を出してみましょう。
マラソンのトレーニングで、わたしはスロージョギングを今回取り入れました。隣の人とおしゃべりしながら走れるペースで距離を稼ぐのです。そうすることで、身体には様々な変化が起きて、翌日に筋肉痛になることもなく、ペースもじりじりと上昇するのです。あなたが仮にフルマラソンを4時間で完走したいという明確な目標があるとして、いきなりサブ4ペースで走る練習をするでしょうか?
次に大きな立体の作品、彫刻などを作ることを考えてみましょう。
まずスケッチをたくさんして、次にマケットという小さな模型をいくつも作ります。それによって、様々なバランスを確認して、徐々に大きな習作や作品としていくのです。
有名な彫刻、ロダンの「考える人」を例にすれば、あのポーズは不自然で右手も大き過ぎますが、わたしたちにはとても自然に見えています。
「考える人」は地獄の門という彫刻群の一部ですが、たくさんの習作が残っています。もし、まったく正確な人体のバランスで「考える人」を制作して地獄の門の上に置いたら、貧相に見えてしまし、ロダンが表現しようとしたダンテの世界観は台無しになってしまうのではないでしょうか?
またまた嫌なことを書いているなぁと思っています(笑)。
しかし、事実です。
マグカップの取っ手の話と同じです。
作品にトラブルが起きる場合、どうすればいいのか。
まずは、キレや割れがおきないような技術と知識を身につけるという道があります。
もう一つは、素焼きしたものを修正するパテや特殊な接着剤をさがして入手するという道です。
ただし、どちらの道も基準は窯と焼成に置いておかなければなりません。
posted by inoueseiji at 09:57
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