これまで仕事でさまざまな場所で窯のエントツを立ててきました。
新規の設置であれば、本体を設置して屋根に穴を設けてエントツを立てますし、エントツだけやり直したりする仕事もありました。
穴を開けてエントツを出せば当然雨漏りがしないようにしなければなりません。これを雨仕舞いと呼んでいました。ブリキなどを加工して、その屋根に合わせてエントツの穴をふさぐ作業ですね。
大きな製陶所の仕事では窯も3㎥など大きくなり、エントツ自体も太く長くなりますから、自分たちで雨仕舞いを行わずに板金屋さんにお願いすることもよくありました。
大きな製陶所の仕事では窯も3㎥など大きくなり、エントツ自体も太く長くなりますから、自分たちで雨仕舞いを行わずに板金屋さんにお願いすることもよくありました。
特に心配なのは遠方に搬入設置工事に赴いての雨仕舞いです。雨漏りがしたと連絡がこないように、より慎重になったものです。
これまでのたくさんのエントツ仕事の中で、派手に雨漏りさせたのは2回しかありません。細かい事例はいくつかありましたが、98パーセント程度の成功率は保ってきたはずです。
では、その2件はというと、作品上の師匠であったKさんの仕事場のエントツ補修工事と、恥ずかしながら今の自分の窯小屋でした(笑)。
福岡県の実家に戻って15年になりますが、この窯小屋は単管パイプで自分で組み上げたものです。当時のわたしはまだ30代なかばで陶芸の事以外はあまりよく知らないのに、なんだかある程度なんでも知っていると思っているお年頃でした。
また資金も乏しく十分な資材で作ったわけでもありませんでした。この窯小屋はその後少しづつ棚を作ったり補強したりして成長してきたのです。
とはいえ、長年の窯屋修行で行ってきたエントツ工事を自分の窯小屋でやってみれば、何年経ってもポタポタと雨が滲み出るありさま。何度も補修したりさまざまなことをやりましたが、もう最後は諦めていました。
そして屋根自体の傷みもある程度進んだため、今回は大規模張替え工事を息子とすることにしました。
そして屋根自体の傷みもある程度進んだため、今回は大規模張替え工事を息子とすることにしました。
ガルバルーフという素材にアップグレードして、垂木やフレームも改修しました。屋根材を何にするかなどを調べていくうちに、なぜウチの雨漏りが起きたのかがわかりました。
そもそも屋根には適正な勾配が必要で、さらにいえば使われる屋根材によってもその角度は変わってきます。また、そもそもお金が全然ない時の素人工事であって、屋根のレベルがしっかりと出ておらず、緩やかにエントツにすべての水が集まるような状態になってもいました。まったくお恥ずかしい話です。
あれから15年、友人のプロとともに子ども部屋や、リビング、廊下などのフローリングの張替えなどで腕を磨き、電気工事士の免許を取ってからは電気配線工事やLANケーブル工事などを施して、実家の母屋もイノウエも、中身が大幅に改善されてきました。
50歳になった今の自分の眼で見て原因を追求し、屋根のレベルを補正して、小屋自体のフレームもこれまでより強固に補強し、使うべきところにしっかりと予算をかけることとしました。仕事の合間に息子と数日間かけて無事に終了です。
すでに九州南部は梅雨入り宣言が出ましたが、今年の梅雨は安心して窯小屋で作業が出来ることでしょう。
わたしはDIYが好きですが、それには自己責任というものが伴います。そしてDIYを行うにも、電気工事士免許まで取って行うのか、そこはグレーゾーンと考えて勝手に行うのか、その違いは恐ろしいほどにあると今回も思い知りました。