2020年08月28日

釉掛けへの質問

釉掛けのことを聞かれたのでまとめてみました。









過去動画の古いもので音声が悪いですが。











オマケ。

刷毛塗りは自宅で作陶されている方に特にオススメします。
最初はムラができるかと思いますが、慣れれば便利ですよ。










タグ:陶芸
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窯焚きでの炉内の温度差



川瀬さんの動画で窯が登場してビックリしております。

お邪魔した際に快く見せてくださいましたが、大切な作品の焼成にかかわる部分ですからあえて「窯見せてもらいました〜。」とかは言わずにいた大人のイノウエです。

この川瀬さんの動画の内容は非常に興味深い。
わたしもこの動画に刺激を受けましたので、今までどこにも書かなかったことを今回は書いておきたいと思います。

以前なにかの動画で「最初の4時間、最後の2時間」ということをお伝えしたことがあるかと思います。この言葉は亡くなった初代大沢社長から、わたしが独立後に直に教わったことです。

まずはこのことをもう一度書いておきましょう。

大沢社長は当然ガス窯の焚き方について言われていますが、灯油窯などにも通じることであると思いますので参考にしてみてください。

まず最初の4時間というのは、点火してから最初の4時間ぐらいで炉内の状態を安定させることが重要だ、ということですね。
あぶりというのは実は非常に重要な部分で、倒焔式(倒炎式)の窯は、点火から扉を閉めてバーナーの炎の流れを煙道までしっかりとつくる必要があります。扉を開けたままはいけませんよというお話は過去動画でしていますのでここでは割愛します。

最初の4時間でもし温度ムラを作ってしまうと、なかなかそれが解消しないままで焼成が続いていくということです。厳密に4時間ということではなく、焼成初期段階をおろそかにするなよ、ということでしょう。

窯焚きの経験が少ない頃は最高温度ばかりに気が取られてしまうものですが、そこへ至るには初期段階の状態がとても大切です。ロクロでいえば土練りと土殺しが重要なのと同じことですね。

ここまでのこともいくつか発信しています。




ここからが初めて書くことです。

わたしは焼成指導などで、初めて焚く窯をその持ち主のお客様よりも確実に操作することを求められるわけですが、以前熱電対が2本刺さった大きめのガス窯の焼成指導を行ったことがあります。

熱電対が複数あれば嫌でも上下の温度差を数値で表示されるわけですから、なるべく差が小さくなるように、揃うように奮闘しなければなりません。ガス窯のような倒焔式の窯の場合、当然天井の方が温度が高く表示されるものですが、下との温度差が大きければお客様の目もありますので改善しなければなりません。

煙道への引きが強ければ上下の温度差は大きくなります。これは窯詰めの密度などで焼成ごとに変動します。自分の窯であれば何度かの焼成を経てそのクセをつかんでいくわけですが、一発で結果を求められる焼成指導の場合は裏ワザも使用します。

500〜600℃まで上手く上下の温度差が解消しなければ、わたしは敢えてエントツの引きを押さえ、炉圧もかなりプラスになるように(還元かける勢いで)、炉内を引っ掻き回すイメージでダンパーとドラフトを操作します。必要ならばバーナーのガス圧も操作します。こうすることでショック療法的に炉内の炎の流れが変わり、上下の熱電対からの数値に動きがあります。
注:必ず行うことではなく、あくまで裏ワザ的なことです。


こうすることで上下の温度差が改善することがありますが、そもそも完全に同じ温度にはなりません。それを求めることもナンセンスだと考えています。温度差が50〜100℃以下であれば良しとします。とにかく最初の4時間から6時間ぐらい、温度でいえばやはり600〜900℃の間に上下の温度差を落ち着かせなければ、川瀬さんの発信のように最後まで何をやっても上下の温度差が解消しないまま焼成終了になることが多いようです。

もちろん窯詰めの状態や、そもそもその窯の設計が問題ないのか、エントツに適正な長さがあるか、ということも影響しますが、点火からの数時間はエントツのあるガス窯や灯油窯で一番重要な段階と言えるでしょう。

薪窯であればこの段階は1〜数日になるかと思いますし、薪を投入した直後から次の薪を投入する直前の間で、炉内の雰囲気や炉圧は目まぐるしく変動していますし、そもそも炉内の温度差はありますから、薪窯の作家さんなどは意外と意識はしていないかもしれません。それでも薪窯のあぶり自体は、経験者でなければできない大切な工程であるのは周知のことだと思います。

現場仕事は段取り七分ともよく言いますが、窯焚きにおいて焼成初期段階の意識をどう持つかは非常に重要です。それでも、熱電対が複数あると悩みが増えるだけですよ、といつもわたしは言っています。特に小さめの窯ではシビアですからオススメしませんが、あえてそこを計測して様々なことを試すのは自分自身の成長に大きく役に立つことだとも言えるでしょう。

大きな窯の方がいいものが出来る、という嫌なオッサン作家の言葉の根拠はここにあり、大鍋でカレー作れば腕はそこそこでも美味しいくなる、ということでしょうか(また暴言)

一番簡単な電気炉の制御は最高温度とキープ時間しか設定できませんが、4時間400℃は固定で触れないようになっています。もちろんいろいろなメーカーの様々な制御がありますが、ここでも4時間という数値が出てくるのは偶然ではないでしょう。

ちなみにこれは個人的な意見と経験からの発言ですが、点火から800〜900℃ぐらいまでの間にいろいろと操作して温度や雰囲気が変動しても、焼き上がりに妙な影響を及ぼすことはほとんどないと思います。例えば還元状態になったとしても短時間であれば釉調や素地はそう簡単に変化しません(窯焚きは時間です)。ですから、いろいろなことを試してみて窯焚きマスターへの道を模索してみてください。

さて、最後の2時間ですが、これはいつ火を落とすかを判断する段階ということです。これはこれで悩み多き段階ですが、これについてはまたいつか書きたいと思います。









posted by inoueseiji at 06:07 | Comment(0) | TrackBack(0) | イノウエセイジの頭の中

2020年08月27日

窯よりもロクロでしょ?


学生のうちに勉強しておけと言われても、ついつい他のことに現を抜かして大人になってしまい、あらためて英語の勉強したり、ゼーゲル式の計算方法を独学したりするのが人間というものです(うちも英語?の字幕つけるか)

先日多くの方がロクロに憧れてやきものをはじめたということを紹介しました。

ロクロに対する憧れ、実際に触ったときの楽しさ、人を夢中にさせる道具と作業工程であるのは世界共通みたいです。

海外の陶芸本では有名なコチラ。
著者のトニー・バークス先生もオッサンと同じようなことを書いていらっしゃいます。

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(技法書のレベルは海外のほうが高い気がします)

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(陶芸愛好家は世界共通ですな)


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(一番肝心なんですなぁ)


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(250年前も25年前も同じだよね。やきものだからさ)


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(後悔するから進歩することもありますな)



ロクロが入り口なのは間違いありません。
15年も講師業をしていますから実感として理解しています。

焼成と窯について、わたしが目の前で伝えても聞かない人は聞きません。
こっちの話は聞かないでオデコに「早くロクロさせろ」と表示されている人もいました。

じゃあロクロにはしっかりとこだわってくれるのかというと、全くそうでもない。
ロクロの前段階の準備、土練りや土殺しをないがしろにしたまま、とにかくロクロを回したい。
ようするにクルクル回すことが楽しいわけでしょう。


そして基本と地味練はイヤ。
上手くなりたいとか思わないのかな?


観光地の体験工房みたいなところならそれもいいでしょう。
もしかしたら、そういう方々に迎合する陶芸教室もあるのかもしれない。

ただ生涯学習という理念を持つ施設で講座をもっているワタシにはそれは出来ません。

わたしは受講生にはロクロをはじめ、作陶技術全般に上達していただきたい。
そのために指導をするわけですが、前述のようにそれがイヤなオジサマも過去にはかなりいて揉めたこともありました。おかげさまで「ロクロ・マスターベーション」という嫌な言葉が生まれたりしたのです。

逆にいえば自分勝手にロクロができる教室(もう教室じゃないか)なんかを運営すると儲かるかもしれませんね。

  • 好きなようにロクロやってくださいね!
  • 指定されたように焼成もしておきます!
  • ショバ代と焼成代はかなり高めです!
  • いやぁ〜世界で一つの作品ですよぉ〜!



設備があれば出来そうです。
教えないからコチラも楽。
たいして講師のレベル(講師じゃないか)も必要ないからバイトでいい。
(アルバイトで回せるということはフランチャイズの可能性があるわけだ)




いいね。
窯と電動ロクロ見積しますよ!



イノウエも昔ですが口臭や身体のケアと身だしなみをしっかりとして、陶芸教室をプロのサービス業としてやるなら、すぐにポルシェに乗れるようになるよと花の都大東京の方から言われたことがあります。もちろん絶対嫌だと断りました(酒席の冗談だったけど)。ポルシェの代わりに軽トラサンバー(同じRRだぜ)手に入れたからこの人生で満足です。



でもそれ、ビジネスとしては正解なのかもしれません。



例:

♡白薔薇ポタリ―スタジオ会員様募集です♡

太陽と情熱のロクロ・コース
指導:スウェイジ・イノウエ先生 

前から指導 5000円/30分〜
後ろからゴーストコース 8000円/10分〜

ティータイムあり。

※アフターディナーについては先生とご相談ください。

(偏見でしかない)




今ならやるかもしれん(笑)








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2020年08月26日

陶芸に必要な電気の知識




各YouTuberの発信のおかげと、コロナ禍の影響で、小型電気炉は例年より売れているようです。
うちも問合せと発注は少し増えてきています。ありがとうございます。

またそうしたお客様の気持ちを後押ししてくださっている各YouTuberの方にもこの場を借りてお礼申し上げたいと思います。製作方法の公開や情報の発信がたくさんの方の人生を素晴らしい”やきもの”の世界へと導いているようです。

それでも100Vの電気炉の運用というのは200Vの電気炉よりも少しだけ使用に工夫が必要なことがあります。

家庭用電源を使用するわけですから、ほかの家電との電気の奪い合いが避けられません(笑)。

そこで電気について、この動画程度のご理解をしていただければ、温度が上がらないなどのトラブルがおきにくくなります。もし温度が上がらないということであれば購入したメーカーや業者にご確認ください。

そもそも各メーカーが販売している100Vの電気炉は家庭での使用を考慮して設計製造されています。後述するように使用する側も電気についての簡単な理解をして、工夫した運用をすることも時には必要です。

弊社で納入した全ての100Vの電気炉は問題なく1230〜1250℃の温度で日々運用されていて、お客様からのお礼のメールや、焼きあがった作品の写真をいただく時、しみじみと喜びを噛みしめているイノウエです。


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では電気の簡単なお話。
雑学程度ですので、どうかお気楽に読み飛ばしてください。

電気は発電所や変電所から数十万ボルトで送られてきます。

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(碍子の数で大まかな送電圧がわかる)

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(撮影はイノウエ@チャリ。鉄塔好きなんです)

さらに変電所を経て、街の電柱に張り巡らされた電線では6600Vになっています。

その6600Vが電柱から家庭に引き込まれる際に200Vになり、洗面所とか廊下にある分電盤に届いているわけですね。そこから各部屋のコンセントまで100Vの電圧で繋がっています。


このイメージをわかりやすくお伝えすると、


源泉のお湯を直径5メートルのパイプで街まで送り

各地域に66センチのパイプで供給します

家庭には2センチのパイプで引き込み

さらに1センチのパイプで各部屋の蛇口へ送る


ということです。




では…。





どこでお湯は冷めていくでしょうか?




もうご理解いただけましたね!


家から電柱までの距離、家の敷地面積も全て影響します。

1センチの部分が長くなってしまうからです。

これで延長コードがダメだという理由がわかってくるかと思います。

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(こうなります)





動画と合わせてもう一度ご確認いただけると嬉しいです。






ふくおか陶芸窯はコチラ!


posted by inoueseiji at 06:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | イノウエセイジの頭の中

2020年08月25日

白菊の花言葉は「真実」【菊練り動画の比較】


今日は福岡36℃越えでした!

先日の記事でいろいろな方の土殺しを比較して、その大切さが少しは伝わったようで好反応でした。

そもそも陶芸動画を複数比較できる日がくるとは想像だにしなかったこと、大変嬉しく思っております。

では今回は、「土殺し」のさらにその前段階の「土練り」はどうよ?ってことですわ。

菊練りって意外と発信している人は少ないのかな?


(このシリーズで初めて実技を披露したよね)



(すべてはここから始まるらしい)





(ようするにタニシ練りですよね)



(木山くんもタニシ練りを丁寧に解説)





(二人とも、これがタニシだぜ〜あなどるなよ!)








土練りの座学的な発信はほぼ皆無でした。
拙いわたくしと…。



(説明する難しさがありますね)


川瀬さん!


(菊練りは出来ているけどさらに深く!という方は是非この動画を)




わたしの発信の根本を成しているのは瀬戸の訓練校での授業や友人・先輩からのものですが、これからは様々な動画やネット発信によって高い技術を身につける人が出てくるのでしょうか?

楽しみでもあり、なんだか不安でもあり。

それぞれの人たちの発信を糧としてみなさん頑張ってみてくださいね。

posted by inoueseiji at 17:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | イノウエセイジの頭の中

2020年08月24日

疑わしきは殺せ【土殺し動画まとめ】


ハイ、というわけで、土殺しの動画をまとめてみました。


(3回の上げ下げでいいそうです)



(粘土の量と解説はアマチュアにも参考になる)



(土の量がプロ盛りです)



(下げる部分を大袈裟に解説)



(英語の字幕がしっかりと編集段階で入ってます)



(かたい粘土ということで特殊な例なのでしょうか)




よく「芯だし」と「土殺し」という言葉が混在しているように感じます。

言語を明確にするのは、ある程度意味があると思うのですが、芯だしは単に中心軸にあってブレていない状態のようなイメージでしょうか。わたし個人は素焼きの器の絵付けや、削りの際に使う単語のように思っています。

「土殺し」は粘土の粒子の配列が完全に人間の力で征服された状態かと思います。今から作るぜ!って感じのイメージでしょうか。わたしの過去動画でも少し触れていますが、ようするに

粘土とは何ぞや

可塑性とは何ぞや

という問いを発して初めて、作陶の技術やロクロの技術は上がっていくのではないでしょうか。

同じように川瀬さんも発信されていて、こちらの方がよりわかりやすいです。
流石に「焼き物実践ガイド」を2冊も持っているだけある川瀬さんです(イノウエは1冊だけだぁ)



(貧乏なのでトランプを犠牲にすることができませんでした)



(みなさんのためにトランプが二組も犠牲になってます)



posted by inoueseiji at 16:44 | Comment(3) | TrackBack(0) | イノウエセイジの頭の中

2020年08月23日

ロクロ動画を観る前に【注意喚起】

え〜今日の記事は長いです(笑)。


わたしの講座で受講生のみなさんに、どうして「陶芸」をしようと思ったのですか?と聞いたことがあります。すると9割以上の方がロクロに憧れて、という回答でした。

この答は意外でしたが、納得でもありました。たしかに「陶芸」という言葉を耳にして、多くの方がイメージするのはロクロ成形のシーンでしょう。

わたし自身も訓練校に入校した際には、生徒間で電動ロクロの腕を競い合ったものですし、トップグループにいることで得意にもなりました。全ては懐かしい思い出です。

今回は安全についてのお話をしたいのです。

25年近く前の春、わたしは愛知県の窯業高等技術専門校に入校していました。夏を過ぎ、ロクロの授業も進み、すっかり秋も深まった頃だっと思います。わたしの左手首にぷっくりとしたパチンコ玉のような膨らみが認められるようになりました。親指の付け根あたりで、触ると痛いのです。訓練校のK先生に相談すると、ガングリオンだろう、もう無理するなと言われました。相当凹みました。

毎日ロクロを回して、周囲と競い合い、お互いに高めあって、本当に毎日が充実していました。しかしこの手首のせいで、ロクロどころか、今後は手を使う仕事自体が無理なのではないかと危惧し、ガッカリしていました。

その年の暮、グループで穴窯を借りて焚くことになっており、その窯焚きに向けて薪の準備などで忙しくしていましたので、気持ちをそちらにシフトして、薪の準備や手びねりでの作陶などをしていました。

そんなある週末、外での薪の仕分けなどにも飽きて、数人で山の斜面に向かって竹の棒で棒高跳びのマネごとをして遊んでいたら、わたしは見事にバランスを崩し、身体と腕の間に竹の棒を挟み込んだまま、激しく地面に叩きつけられました。

「いってぇ〜!」と言って起き上がってみると、手首に激痛を感じました。見てみるとあのパチンコ玉のようなガングリオンが消えていました。ウソのような本当の話ですが、ガングリオンは、はみ出してきた元の場所へ竹の棒で押し込まれたみたいでした。

後日説明したら、K先生はウソだろ?って顔をしていましたが(実話です)、それから再発することもなく、毎日ロクロや課題に精を出して、わたしは無事に訓練校を修了しました。

陶芸の世界では、いくら才能やセンスがあり、恵まれた環境が整っていても、身体を壊して辞めていく人が毎年必ずいます。わたしも瀬戸時代に、そんな人を何人も見送ってきました。前述のように訓練校時代のわたしにもその可能性が大いにあったのです。

ですから作陶される方は、プロ・アマ、年齢に関係なく、腰や手首などには十分に注意して、身体のケアも怠らないようにしなければなりません。

わたしは数年前に、右、左、右と順番にテニス肘になったことがあります。おそらくはパソコン仕事と自転車のせいですが、いま思えばあれにも予兆があり、気をつけるべきだったと反省しています。


あなたが楽しみとして始めた「陶芸」で身体を壊してはなんの意味もありません。

しかし。

間違った認識での独学や、経験の浅い講師の指導で、身体にダメージを受けている人が複数いることを、最近になって知りました。わたしはいまは陶芸窯取扱業者ですが、陶磁器科職業訓練指導員免許を持つ陶芸講師でもありますので、そこら辺について厳しめに発信していこうと考えています。




まず、動画で言うと怒られそうなことから書いておきます。








YouTubeでロクロを晒している人の96.8パーセントは下手クソです。









ロクロ名人はYouTubeなんてしませんから(笑)。

まともな人や仕事が順調な人はYouTubeなんてしない、というのがわたしの持論です。だってわたしがそうですから。

もちろん、第三者が撮影してアップ、というのもあるでしょうが、それこそ稀な例でしょう。


当然わたしも下手クソです。


ただし、わたしは基本を伝えたいと考えてきました。
アナタに上手になってほしいと考えています。

やきものに興味をもっている方の、出来ない、知らない、を解消することで、窯の販売や修理に繋がると考えていて、実際にロクロが上手くなった人の窯を購入する確率は爆上がりだからです。


ここが唯一、他の方の発信の動機と大きく異なるところです。


自分の仕事紹介とか

人の発信に触発されてとか

作品などの販売促進用とか

教えたがりの勘違いボーイとか

不安をYouTubeにぶつけているとか


まぁいろいろな動機がロクロ動画にはあるかと思います。


繰り返しになりますが、わたしの発信の目的は、こうした方々と同じではありません。


このロクロ動画の発信の目的を大袈裟に言えば、やきもの作りを楽しむ人の安全と健康に繋がるからです。
陶芸は安全衛生の観点から見れば、実はけっこう危ない世界です。作業だけではなく、機材、材料、溶剤など書道の840倍ぐらい危険な世界です(ウソ)

窯一つ造ったことがない人の窯についての発信とか、第2種電気工事士免許さえない人の窯の修理とか、いろいろありますよね。

「ネットで調べれば自分でなんでも出来るぜ」と考えるのも自由だし、発信そのものも自由です。ネット環境が無ければわたしもとっくに埋もれていました。

発信する自由って最高!

でも、その自由には「リスク」というものがセットですから覚悟の上でどうぞ。


例えば窯。

無茶苦茶やって、ケガするのも死ぬのも勝手ですが業界が迷惑します。
わたしは迷惑を被りたくありませんので対処させていただきますね(笑)。



免許も経験もあるワタシだって築炉屋の世界では最底辺のカーストにいるということを知っておいてください。

おそらくどんな世界でもネットにはその程度の情報しか上がっていません。論文などは検索して見ることが出来ますが、読んでもワタシは理解できません(笑)。実体験があるからやれている部分もあります。動画を観る暇さえないゴリゴリのプロがこの世の中にはたくさんいるということです。


今回のロクロ動画ですが、安全に留意して身体の状態を第一に考えてほしいと思っての発信です。関節とか傷めると、数年かかることが多いですし、下手をすれば残りの人生ずっと、その痛みとだましだまし付き合っていくことになるかもしれません。そんなのイヤでしょ?



世界で一番大事なのはアナタ自身のはずです。
そのアナタの身体をどうか大事にしてください。

YouTubeやネットに惑わされないでほしいし、無茶な指導内容も無視していいんです。
発信する側も「世界で一番自分がカワイイ」と思っているということを忘れずに。



絶対に身体的な無理をしないで、やきものを楽しんでくださいね。











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2020年08月21日

ラスター!


もう誰にも止められない梶田絵具店の動画ですが(笑)。

今回はなんとラスター!

いきなりレベル高いですね。
シンシア・ラスターさんとお酒吞んだことあるイノウエです)


(働いている時こんなに詳しく教えてもらってないゾ)


ようするに上絵付けの一種になるわけですが、電気炉のもっとも得意とする分野です。


動画の内容をおこがましくも補足してみます。

なによりも大事なのは、器具や筆、絵付けする器をキレイにすることです。

筆や刷毛の毛は動物の体毛です。とくに新品の刷毛や筆は毛をととのえるための灰などの残りが付着していますので、必ず筆おろしのときにしっかりと洗いましょう。

動画中のビール瓶の中身はラッカーシンナーだと思われます。
それをふき取るのは「キムタオル」という毛羽がつきにくい研究室などの定番商品を使用していますね。

ウェスやティッシュは素材によって毛羽がついてしまう場合があります。気をつけましょう。ささいなゴミやホコリのせいで均一な面にピンホールなどができてしまうと、作品は台無しですから、くどいようですが、しっかりと事前のお掃除は行いましょう。

当然のことながら筆は専用のものを決めて仕事することが大前提です。
ずばりラスター刷毛というものがありますし、同様にリス刷毛、花刷毛もあります。



★梶田絵具店


★筆と刷毛

(これを動画の概要欄に書かないと!)



電気炉をお持ちのみなさん、是非美しいラスターの世界を堪能してください!




【追記】


個人的にはこの動画は感動しました。

こうした陶磁器絵具の世界では、こちらから問い合わせて初めて、

「実はこういうものがある…」

とお店の奥から出されるブツがあります。

どこかの誰かさんじゃありませんが(笑)、

「あるならちゃんとカタログに書いてよ〜!」

と子供じみたことを言ったことが、イノウエにも何度もあります。




今回の発信で梶田さんは、ラスターについて、ガラスの上絵のことまで実に事細かに発信されていて、正直驚きました。


「梶田さん本気なんだ!」
     (本気と書いてマジと読む)


発信の順番も勝手なこちらの想像ですが…。

どこにもないネタから優先順位をつけてアップロードしているようです。

梶田さんは本当にデジタルアーカイブを作り上げるつもりなんだと思います。愛だけはトキちゃんに負けてないつもりのイノウエ、全力でそれを応援していきたいと思います。



さぁ!チャンネル登録どころか、今週中に5人以上に紹介しないとアナタの釉薬にピンホールが発生しますよ!(懐かしいな)




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2020年08月19日

暑いから急須でも作りましょ。


急須の作り方。
プロとアマ。
人生一つ目と百個目。

実に様々な発信が出てきました。
こうした比較ができるのは本当にいいことですね。


(上級編かどうかは置いておいて)


(仕事内容と動画のクオリティ!)


(4本で解説されているのはありがたいですね)


(大分の作家さんでフェアでカップを購入させていただきました!)


アマチュアの方もスゴイですよ。

(初めてというのは大人のウソ?)



(ロクロを回さぬ口だけ男1号)


もちろんこれ以外にも急須で有名な各産地の窯元や作家さんの動画や発信があります。

わたしとしては、それもいいけれど個人レベルで様々な発信があって、それを観たり実践したりして意見しあえる世界をどこかで望んでいました。

「俺は知っとうばってん、
  お前は知らんちゃろう(笑)!」

それもアリ。
ばってんが俺の中では、それはつまらんとよ。
小さい男にはなりたくないじぇ。

人の方法を見て、みんなであ〜でもないこ〜でもないと言ったり、アイツは上手いとか、こんな道具あるのかとか、知らない世界や技法を知ることこそ、大きな意味と意義があると考えます。


それこそが業界を応援することに繋がる。




暑いですが、冬本番に向けていまからチャレンジしておきましょう!




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2020年08月16日

やるかやられるか


お盆も過ぎて各地とも残暑が厳しいですね。
そんな中あいかわらず良い発信は続いているようです。

先日はYouTubeの広告に村上金物店さんのバナーが表示されて驚きました。
着実にネット販売に移行していこうとされているんですね。

イノウエも今後とも微力ながら宣伝と応援を続けてまいります!

さて、われらが梶田さんとトキちゃんもお盆期間中も休まず、動画アップされていました。




今回は練りこみの話。

テストピースに一定の比率で顔料や原料を混錬して、施釉、無釉で焼成したものの紹介と解説です。

実際に自分でこれを行うとすれば大変な手間ですから、こうしたデータやテストピースの公開は本当に有難いことだと思います。

これがいいな、というものがあれば梶田絵具店さんのテストピースをもとに、さらに細かい数値で混錬具合を変化させていけばいいわけですね。

動画中の解説で時折梶田さんが話されていますが、そもそも顔料の元になっている物質や含まれている成分などがわかることで、また一段と理解が進むのではないかと思います。

もうここまできたら、見ているだけではだめですから100Vの電気炉など、自分の窯をお持ちの方は是非実践してみてください。

わたしは顔料の土への練り込みは経験がありません。そのため今回勉強になったこととしては、

  • 無釉と施釉での違いが意外と大きい
  • 焼結による発色の変化は目からウロコ
  • 意外にも還元いけるライラック(陶試紅のお仲間とは)
  • 黒茶っていたっけ?
  • トキちゃんの髪型ナイス
  • もらいもののクロムが孫の代まで残りそう


やるかやられるか(笑)、なんて記事のタイトルにしましたが、自分で手を動かす、「やる」ことでしか理解できないことがあります。梶田絵具店さんのホームページや動画のテストピースをスタートにして、自分なりのものを追求していくのも面白いものです。

そんな勉強の時期、テストするのが楽しいからテストする、なんてこともよくあります。テストピースをいっぱい作って幸せみたいな(笑)。

わたし個人は「行為の目的化」は嫌いではありませんが、やっぱり実践の先に形としての作品があるとよりいいのではないかと思います(磁器土のガンダム作るとかさ)


窯のことでいえば、還元焼成とか炭化焼成について、お問い合わせや質問がよくあります。ですが、何のためにそうした焼成方法を取るのか明確にされている方は少ないようにも感じています。自分の環境ではできない、漠然とやってみたい、還元の方がいいものできそう、というようなこともあるでしょう。



前述したとおり、わたしも「行為の目的化」はアリだと思っているほうですので、やったことがないことには、失敗を恐れずどんどんとチャレンジするべきだと思います。それでも、ないものねだりでの思考停止だけには気をつけてください。環境や機材、設備のせいにすればキリがありませんし、ストレスを増やしていくだけです。

実は技術や技法は、ある種の制約や条件があったほうが大きく進化します。小型の電気炉しかなくても、実に表情豊かな作品を作る方がアマチュアにもたくさんいらっしゃいます。

電動ロクロならば、これを作れ!と厳しい課題を出したほうが受講生の上達は目に見えてすすみます。好きにやればよい、なんでも自由だよ、というのは教える方は楽チンなんですが、実は無責任で相手の進歩も遅いことが多いようです。




(7:16からのお話がわたしも納得です)



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2020年08月08日

ネットの情報でどこまで出来るのか?


先日大変うれしいメールをいただきました。

その方とのお約束でお住まいの地域などは伏せておきますが、3年ほど前から陶芸を始めた40代の会社員の方からのメールでした。もちろん、その方はこれまで陶芸歴はありません。

まったくのゼロの状態から、この方はまず窯を造ろうと行動を起こされたそうです。そして穴窯を造られました。

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そもそも器用な方だったのでしょう。頂いた写真から見ても、初めての自作窯とは思えません。なによりも炉内の写真のレンガ積みは見事です。扉部分の工夫もよくされています。また同様に蹴ロクロも自作されています。

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窯焚きですが、薪を用意して焼成にチャレンジされますが、なかなか温度が上がらずに苦労されたそうです。プロでも同じ苦労をするわけですから、当然といえば当然ですが、その際にわたしの動画が役に立ったとのこと。

今年になって1,200℃を超えるようになり、灰かぶりも取れて、改めてメールを送ってくださったのです。

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本当に嬉しいメールで、わたしは画面の前でしばらく涙目で固まっていましたよ(笑)。本当にありがとうございました。9割イノウエのおかげだと書かれていましたが、9割ご自身の努力の結晶だと断言しておきます。



自分で窯から造る。



まだ26,7だったわたしが故吉村俊一氏のもとを訪れて「やきものをやるなら、まず窯を造れ!」という強烈な言葉を投げかけられました。だからわたしは築炉の修行をしましたし、常に窯を基準にやきものを見ることを意識してきました。

そして、その言葉を軸にした拙い発信が、少しづつですが広がっていく。瀬戸でいただいたたくさんのバトンが、さまざまな発信を通じて着実に次の方へ渡っています。

芳村俊一さんの「窯を造れ!」という言葉の真意は、ロクロよりもまず焼成を先に意識しなさい、「ものを焼く」というやきものの基本を忘れないようにしなさい、ということです。

自分の発信が誰かの人生をちょっぴり面白くしたなんて、素晴らしいことです。



また、京都精華大学の芸術学部の陶芸専攻の授業でも、わたしの動画が教材として使用されました。

そこの先生と生徒が窯を自分たちで設計し、製造して焼成したとの連絡をいただきました。

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5月頃わざわざ動画等の使用許可についても連絡を頂いていましたが、すっかり忘れていたところへ、報告のメールと写真をいただき、これもまた大変嬉しいお知らせでした。

わたしは発信の二次利用については好きにしてくださいというスタンスですし、そもそもネットに上げたものとはそういうものだと考えています。ガンガン利用してください。

Youtubeを教材とすることの可否はとりあえず置いておいて、ネットで情報は伝えられますし、技術もある程度伝えられます。それはこれまでのお客様が証明してくださっています。

みなさんも動画のおかげで作陶が上手になったり、なにがしかのヒントを得たことがいくつもありますよね?それってスゴイことだと思いませんか。


ただし、本やネットでは伝わらないものがあります。

それは感覚です。


体験や経験といってもいいかもしれません。

いくら薪窯の情報を集めても、自分が焚かない限り、焚口のあの熱さは伝わりません。釉薬のテストピースを見てわかったつもりになっても、自分で乳鉢で摺らないと理解できない部分があります。

そこに人が集う意味があるとも思います。ネットで全ての情報が手に入っても、学校や教室に集う意味はあるし、とても大きいとわたしは考えます。


本当に良い発信が増えてきました。


ですから、ネットで先に答えを求めてもいいと思います。
メールでもコメントでも聞きたいことをきけばいいし、答えて下さるプロはいます。

しかし聞いた人に実践がないのならばなにも身に付きません。
実践して自分を変えていける人だけがレベルを上げていける。

実践するということは「失敗する」ということです。それを恐れないでください。失敗すれば成功のための知識と感覚が身につくのですから。






ネットの情報でどこまで出来るのか?





その答えは簡単で、

あなた次第です。


































posted by inoueseiji at 06:19 | Comment(0) | TrackBack(0) | イノウエセイジの頭の中

2020年08月03日

灰と長石のその先に


年に一度?の海水浴で顔が真っ赤ですイノウエです。

papa01.jpg
(まだ髪の毛は大丈夫)

さてさて。

これまでおこがましくも、わたしは釉薬の調合についての動画を数本出しております。
その際に灰と長石を混ぜるだけで、釉薬はできますよ、なんてお話をしていました。
また長石と灰をどれにするかということに関しては、まぁ手に入るものからでいいですよ、とも言っていました。

とはいえ、非常に重要な原料です。長石というヤツは。

それに関する発信を梶田さんがしてくれたらなぁ〜と他力本願に思っておりましたら、先日アップされていました。





このように各長石のテストピースを並べて授業や講義を行っているところは、ほぼ皆無なのではないかと考えます。
いやウチの学校は違ったよ、という方がいるとすれば、その方は幸せ者です。

一昔前、二昔前の瀬戸であれば、こんなに丁寧な説明を受けることはありませんでした。

若い学生であれば、ガッツリ勉強してから道具屋さんや絵具屋さんに行っていたものです。
そうしたお店のお客さんは皆職人や作家の方で、仕事の道具や原料を買いに来ているわけだし、お店も当然商売です。そんな中、ただ見たいからとかで無知な学生がお店に行くのは、ただ仕事の邪魔しに行くようなものでした(笑)。

絵具や釉薬なんて下手をすれば相手の商品をダメにする可能性のあるものですから、みなさん仕事には厳しかったし、それは今でも変わりません。

イノウエが末席を汚す築炉屋(窯屋は製陶所のニュアンス)の世界もそうです。
エントツの太さや長さ一つ間違えただけで機能性は半減してしまうし、炉内の作品が全て売り物にならなくなる可能性だってあるわけです。セラミックの世界の窯炉であれば、1700℃にならねぇぞ!とかクレームが来たりすることもあるだろうし、何しろもっとも費用もかかる重要な設備であるわけですから。



ところが世紀末とか21世紀になってきたあたりから。

「勉強しろっていうけど、どこにまともな情報があるんだよ!どこでその経験を積むんだよ!」という状況になってきたのではないかと思います(わたしの実感です)。訓練校を修了したからといって全員が窯業の望む職業につけるわけでもないし、瀬戸と多治見だけでも毎年排出される卒業生、修了生の100人前後の人たちの進路はどうなっていたのでしょう。

kouza_madokapia (1).JPG

瀬戸ってスゴイなと思ったことの一つに、マイナスイオンが流行れば、そこら辺の窯屋(製陶所)のオジサンたちがすぐにジルコンとかでマイナスイオンが出ているというテストピースを作っていましたし、いまはトルコブルーが流行りだ、となればすぐに商品化されていく。そういう技術力というか、街としての知識の総量というか、陶都としての懐の深さと広さを何度も目の当たりにしたことがあります。

そうい窯屋(製陶所のこと)のオジサンたちの知識や技術は、おびただしいまでの仕事量で培われたものだったのでしょう。ところがその仕事自体が激減しているのが今の現状です。

世の大先生も自分の心配で精いっぱいという中、わたしは今から勉強しようとか、修業しようという人へむけて、「コッチに進めばいいかもよ〜」とちっちゃなロウソクを灯してきたつもりでした。風が吹いて火が消えたら点け直して、ロウソクも継ぎ足して、細々とやってきたつもりです。

そしてとうとうその道にも梶田さんのおかげで電気が通ったと思います。
梶田さんならすぐにLANケーブルも敷設完了になることでしょう(笑)。



デジタルアーカイブを残していく。

そのデータを活用するのは誰でも自由。

もしかしたら信じられないような素敵なことが待っているかもしれません。








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2020年08月01日

熱電対の起電力を測ってみた!



もしも焼成中に温度計だけが(流れ弾とかで)壊れたとしたら、アナタはどうするでしょう。

どちらかというと熱電対の破損の事例の方が圧倒的に多いでしょうけれど。

まぁいずれにせよ、そんな不測の事態のために、焼成中は焼成グラフに記録し、ゼーゲルコーンやオルトンコーンを入れているわけです。

ではなぜ熱電対と温度計で窯の温度が計測できるのか?

熱電対の起電力についての知識があれば、仮に温度計が焼成中に壊れても、かなり正確に温度計測をつづけることができるのです。

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(熱電対なんだから!温度計じゃないから!)


またR型熱電対ではない熱電対しか手元にないとか(そんなことある?)、山の中に薪窯つくって、まだ電気がきてないのにデジタル式の温度計しかないとか(あるある)、楽焼をK熱電対で行いたいけれども対応する温度計がない(ありそう)、なんて時にも対応可能です。


それにはテスターとJISの熱電対の起電力表があればオッケー!

このブログにも起電力表の画像を張り付けておきます。

テスターはホームセンターで千円程度から販売されていますし、電気に興味を持った男子はきっと持っているはず。

車のバッテリーの電圧も測れるし、電池の残りがあるかないかとか、家電の電源コードの断線をみつけたりすることができるのです。


貴重な千円で千ベロも楽しいですが、自分の知的好奇心と探求心と家族からの尊敬の眼差しを同じ千円で得られるんですから、持っていないかたは是非購入してみましょう!

道具というのは持つことがすでに大いなる喜びであり、
何に使うかは買ってからゆっくり考えればよい。
― 村上金物店にて Seiji Inoue ― 






まぁでも、今回の使い方ではデジタル式の方が確実でしょう。小数点以下の数値も重要になる計測です。そうなると千円オーバーのモノが多いと思います。

IMG20200725075631.jpg
(ある意味電気工事士の名刺だな)


窯の温度を計測するさらに詳しい仕組についてはウィキペディアの熱電対の記事をどうぞ。

簡単にいえば、熱電対の先端が熱されることで、保護管の中の白金ロジウム合金と白金の二本の間に発生した電圧を計測して、温度計で温度表示に置き換えているだけです。アナログ温度計に電源が必要ないのはこの起電力を利用しているからですね。

IMG20200731155857.jpg
(これ全部でいくらだ?)


白金とはプラチナですから熱電対は高価です。また費用面からも素線を長くするのは難しいですから、その電圧を変わらず送れる専用の線を用いて温度計に接続します。熱電対と温度計の間をつなぐこの線を「補償導線」と言い、それぞれ専用の導線を用いる必要があります。その規格も決まっていて、なんでもいいわけではありません。

このことについては過去動画があります。




では起電力表の見方です。

R起電力換算表marking.png

横列が100℃刻みで縦列が10℃刻みですので、赤丸の部分が1250℃。
おおよそ14mVが計測できれば1250℃辺りということになります。

実際には誤差もあります。それはどんなに優れた計測器にもあるものです。不測の事態に備えて本焼き焼成時には色見などを入れておきましょう。

◆R型
R起電力換算表.png



◆K型
K起電力換算表.png




こんな知識が何の役に立つのか?

さぁ…。



posted by inoueseiji at 06:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | イノウエセイジの頭の中