2020年10月31日

鉛とバリウムはイイ奴らだった…


事に出張からもどりました。

さてさて梶田絵具店さんの動画。
あいかわらずシブいところを…。


ことの発端はわたしの土鍋の動画の説明欄に書いた調合例に炭酸バリウムがあったことからでした。

お客様の一人から、今は炭酸バリウムが手に入らないのでは、というご指摘がありましたので、すぐに梶田絵具店に確認してみたところ、全く問題なく取り扱いをしているとのこと。



かに炭酸バリウムは毒劇物指定でハンコがないと購入できません。

陶芸ではほかに硫酸銅も同じ扱いになっております。
また塩酸を渋抜きに使用する織部作家さんもいるでしょう。

おそらくこの三つが陶芸に登場する毒劇物になると思います。

これを取り扱い、販売するには毒劇物取扱責任者の免許が必要です。
これを所持せずに販売するのは違法です。

そういう所がコッソリ販売を取りやめたから、手に入らないと誤解される方も多かったのかもしれません。

だったら免許取ればいいんじゃない?という話になりそうですが、これは陶芸材料用の免許ではありません(笑)。

全産業の毒劇物にかかわる免許ですから、上記三つ以外の部分の勉強が99%を占めるのです。

そしてある程度の理科と化学の基礎を押さえておかなければならないわけですから、相当な努力をしっかりある程度の期間しなければなりません。

ノウエも焼酎三段を筆頭に様々な資格を所持していますが、免許や資格は、ある意味公平な制度だと思っています。

たとえば電気工事に必要になる基本の資格、第二種電気工事士免許は学歴も年齢も関係ありません。現に息子は中二で取得しました。

毒劇物の免許も同じです。
学歴も年齢も関係ありません。

キチンと勉強すれば誰でも取得できます。
受験料も高くありません。

格制度にはデメリットもあるでしょうが、メリットの方が圧倒的に多いとわたしは思います。

誤解されている方もいるかもしれませんが、普通乗用車の免許も司法試験も、べつに自動車学校や大学に行かなくても取得できます。

ただし免許の恐ろしいところもあると思います。

普通自動車免許であれば取得初日からフェラーリでもブガッティ・ヴェイロンでも乗れます。大型自動二輪免許であればドカティでもハヤブサでも乗ってアクセル全開も可能です。
まぁ即廃車で病院行きになりそうですが(笑)。

建築系の資格でイノウエも所持している「玉掛作業者」というクレーン作業でワイヤーを掛けるための資格には重量の制限がありません。

これも資格取得初日から、ガス窯だろうと、イージス艦の砲弾だろうと、原子炉本体だろうとワイヤーを掛けて、クレーンオペレーターに合図を送ることができるのです。


無資格でどうにかしようとする人はこの辺りの感覚がありません。

大袈裟だと勝手に工程を端折ったり、そもそもその業界の常識を知らないから、とんでもない動きや作業をしてしまうのです。まぁ陶芸でもそういうことはありそうですね(笑)。

ちなみに陶芸家になるのも学歴や年齢は関係ありませんよね。
それでもちょいと危ないヤツを使いたいなら、ハンコは押してくださいね、ということです。
そしてハンコを押さなければならないようなものを販売する人には、資格の取得と法令の遵守をお願いします、というシステムなんです。

そしてあえて言いたいのですが、こうした毒劇物に鉛は指定されていないということです。
そのさきは使用される方が考えていただきたいと思います。


違いなく、これまで炭酸バリウムと鉛は、三国志でいえば関羽と張飛ぐらい陶芸に貢献してきました。

鉛が討ち死にしてしまった今、炭バリにまで逝かれては、劉備玄徳も哀しいぜってなもんです。


危ないものはいろいろあるでしょう。
一番の危険は無知ではないかと思います。

そして正しい知識は正しい所から得るようにすればいいのです。

オリジナルな使い方を発信するのもいいですが、その前にメーカーのホームページを見るべきってことかな。



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2020年10月21日

なぜ撥水剤?




日あたりから過去記事の撥水剤がアクセスランキング急上昇。
なんで?

因みにこのブログの最初期の投稿の一つで12年前のものです。

コロナ禍でお家陶芸が盛んになってきたからでしょうか?

わたしは今年初めて水性のCP-C(CP-A2)を使用する機会を得ました。
これは子供がたくさんかかわる施設への納入の際に安全を第一に考慮して選択したからです。

結果としては大変良好です。
なにしろ臭いがほぼ無い。

水性能は青いCP-Eには劣るようですが、小皿の裏に塗る程度ではその性能差を感じることはありませんでした。
まぁペンキの油性と水性という感じではないでしょうか。

安全性や家庭、子供との使用を前提とすれば、水性をオススメします。

撥水剤はどれも新昭和コートさんの製品です。
特に釉薬添加型のものなどはホームページでダウンロードできる動画を確認して使用してください。

★新昭和コートさんの撥水剤一覧 http://www.shin-showa-coat.com/showa/hassui.htm


れまでいろいろな相談やアドバイスを行ってきましたが、陶芸であれ、建設現場であれ、失敗する方はまず説明書読んでないです。

なんでも出来る・わかってるは…ねぇ。200Vの電気炉に12Vのリレーをつけようとする方や、圧着端子というものを知らずにワッシャーで押さえてる人とか(そして違法工事)

たとえば洗濯機だって施工手順書などが業者用に添付されているのに、ちゃんと見ないで配送先でグダグダやって挙句ネジを一個紛失したりする、量販店の請け仕事で食いつなぐ元電器屋がいたりするんです。

ーカーがこうしてください、というのが85〜90点の正解です。
普通の人が適当にやってもその点数は出ません。ゴリゴリのプロだけが100点を狙えます。

それを勝手な受け売りや、陶芸教室に伝わる口伝、窯を販売しているオジサンユーチューバーなんかに騙されないようにしましょう。

しい製品を、正しい使用方法で使ってよい作品を作ってください。
原理原則は蝋抜きや墨はじきから始まる単純なものですが、それを製品化し、適当に工房にほったらかしておいても何年も安定した品質を保つように作られています。

キッチリとした道具や素材を使って、バシッとプロの仕事がしてあれば値段が付く仕事ができるものです(擬音が多いほどヤンキー感が高くなるばい)


でも適当だと100円ショップの器に負けそうになります。
上代100円で利益を出す現場は、実は個人作家の何十倍も製品管理や素材・原料に気を使っているものだからです。





(髪の毛黒いなぁ)


★撥水剤の購入はコチラで!

梶田絵具店   http://kajita-enogu.com/

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2020年10月18日

器のサイズ


うやく涼しくなってサイクリングシーズン。
朝からひとっ走りする前にブログを書いておきます。

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(帰ってきました)

自分の器が小さいと知る時、その器に固執するのか、叩き割って大きな器にするのか。
五十路になったワタシとしては、このプライド問題は徐々に大きくなってきました。

例えば、自分の仕事のやり方を人が見て、善意で「そこはこうするともっと簡単ですよ」とか、「これを使うのが常識ですよ、知らないの?」なんて言われた時、アナタはどうするでしょうか?(人様に振るんじゃない)

誰だって自信を持って行ってきた仕事や作業をそういう風に突っ込まれればカチンとくるでしょう。

そもそも多少の自信があるから人目につくところで行っていたわけです。

チンと来るのは自然なことです。
問題はその後でしょうか。

「そうなんですか。教えてくれますか?」「それはどういう風に使うんですか?」こんなことをサラリと言える人は、本当に大人だと思います。

40代から50歳になった日に思いましたが、自分の中身は中二から中三になった程度しか変化していないということですね(笑)。

ちゃんとした社会で活躍していれば、次長とか専務とか、大佐とか艦長なんかになっている年齢ですが、一人自営業の哀しさで、バイク屋の店長なみに社会常識が希薄なイノウエでございます。

人はワタシのことを多少は気にかけてくれるから、アドバイスをくれるのでしょう。
その人にとってわたしが、どうでもいいヤツ、嫌いなヤツと思っていれば、何も言わず陰で未熟さを笑っているだけ、のはずです。

「聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥」と死んだバアチャンがよく言っていました。
これは人に聞くのは恥、という意味もありますが、実際はアドバイスされた時にかく恥、も含まれているのでしょう。一生にかかわることになるぜ、と。

自分がようやく身につけたと思った技術を、実はむかしから何十年も何十人もの人が行ってきた製陶所なんかがあって、それを知っている人からサラリとアドバイスされる。

正直ガビーンとなりますが、恥をかかせてくれてありがとう、と思えるようになりたいものです。
「いや、俺のやり方は違うんで」とアドバイスを拒否してしまうと超絶カッコ悪いことになるばかりか、アドバイスをいただくこともなくなり、器が大きくもなりません。

分の器を大きくするには、今のお気に入りの器を壊すしかないんですねぇ。
難しいなぁ。

これまでのお客様や受講生を見ていても、スパッと切り替えて急激に技術を上げられる方と、こちらのアドバイスは聞かずに同じドツボに嵌りつづける方もいたりして、たとえ技術と知識だけであっても自分を変えるのは難しいものだと思います。



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2020年10月14日

「一家に一台、陶芸窯」というキャチコピー

(今日めちゃくちゃ長いです。音声入力したので)

「一家に一台、陶芸窯」というキャッチフレーズを動画の最後なんかに言ってるんですが、これはですね芳村俊一さんが前に言ってたことなんですね。


四半世紀むかしの訓練校在籍時に、芳村俊一さんに会ったから私は窯作りをする決意をしたわけですが、その後いろんな芳村さんの書籍や雑誌に寄稿されてる芳村さんの文章をたくさん読んだんです。


言葉はすべて正確に覚えていませんが、その中に「理想は各家庭に小さな窯があってお母さんとかがその家族の器をその家で作って焼くような世の中になればいい」というようなニュアンスの記事があったと記憶しています。


それを読んだ当時の私はまだ20代後半ぐらいでしたので、その真意を理解できなかったと言うか、何を夢みたいなこと言ってるんだろうこの人って思ってましたね。


しかし自分がこういう仕事するようになって、本当に心の底から「一家に一台、陶芸窯」だなと思うようになりました。


芳村さんが言いたかったのは、まず「やきものは焼くとこからスタートしないと駄目だ」ということだったんですね。まず土がありきでその焼成がある、その前提で原料や粘土を選んで行かなければいけないし、決して粘土細工だけを追いかけてはいけないということです。


その言葉を芳村俊一さんが文字にした時、まだまだ夢物語だったと思います。40年、30年以上前であれば今紹介しているような100Vの電気炉はありませんでした。


でも今は本当に小さな窯の性能が高くなりました。芳村俊一さんが発信していた窯造りはどうしても薪や炭などで炎がある前提のものが多かったですから、場所を選びました。吉田明さんの七輪陶芸も難しい環境があるわけですから。


可能な方ならば火をおこして焼成してみてほしいですが、無理な方には100Vの電気炉がある。

私のお客さんの中にはマンションに住まわれてる方も非常に多いです。中には17階とか高層マンションの方もいらっしゃいますし、普通にアパートの一室でコツコツと研究や作品づくりを行っている方もいらっしゃいます。


だから今の設備からすればどんな家庭でも、それこそ「一家に一台」というのは可能なんです。


例えばわざわざその家の中でろくろを回して作らなくてもいい。焼成から逆算して、うちだったら今このサイズがあと3枚必要だな、と素焼きの素地だけ購入して、例えばお母さんと小さなお子さんで絵付けして焼成する。


一緒に窯に入れたり、窯出ししてみたり。


ほんのりと温かい窯出ししたばかりの器に自分の絵を見つける。

子供の情緒は大きく育まれるのではないかと思います。


絵付けも絵具を調合したり、調整したり筆を用意しなくてもいいのです。今は下絵用のクレパスのようなものがあります。それがスタートで十分です。


それを家族でワイワイ楽しく行ってですね、お母さんと一緒に釉薬を掛けて窯詰めする。もちろんお父さんもおじいちゃんもオバアチャンも可。


お茶碗とかカップとか子供の成長に合わせて作っていけます。

年中行事のためのもの、お食い初めの器はおじいちゃんが作る、夏休みなど時にはお父さんと一緒に粘土から作ってもいいでしょう。その器にはお母さんとおばあちゃんが料理を盛ってくれます。


いつか家を建てる時には壁などにそんな使わなくなった子供時代の器をタイルのように装飾に使う。縄文土器を例に出すまでもなく、陶磁器は永遠です。

そういう形でそれが子供の原体験として日本人に少なからずある。その子供たちがいつか家庭を持って同じように器を作っていく。そういう世の中になると本当にいいなと私も思います。


それが陶芸作家へのリスペクトになり、文化としての産地への誇りになり、陶芸講師や製陶所で働く人たちの社会的地位向上にもつながるでしょう。そうした方々の収入が上がれば就業する人も増えます。


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友人の吉田崇昭さんが指摘してくれましたが、今モノを作る人たちを目の当たりにするっていうことは非常に少なくなりました。街に畳屋さんや欄間職人さんなどが「仕事をしている姿」を見なくなりました。


瀬戸の友人であり先輩でもある小川友明さんの原体験は、自分の家から見えるロクロ師のおじいちゃんの仕事場の様子だったそうです。朝から晩までロクロに向かい、お昼もロクロの前でかきこむように食べる。その簡素なご飯がとても美味しそうだったと子供の頃の記憶として残っているそうです。いかにも瀬戸の人の原体験です。


仕事をしている人を見て、その仕事に就くというようなことはまだ続いているのでしょうか。

ドラマで見る職業人はスーツ姿か警察官かシェフと看護師と医師ぐらいですけれど(笑)。



また、わたしが高校生ぐらいの時代から、学校の授業でも音楽・書道・美術というものが選択科目になってしまいました。


我々の小中学生時代であればそれは全部一週間の時間割にあったものでした。


ところが土曜日が休みになってそのしわ寄せが、本来子供の教育に欠かせない授業を削らざるを得ない状況になって久しいわけです。これは非常に残念だと思います。


私の感覚であれば、数学・社会・理科こそ選択みたいな方がいいなとかね(笑)。


極論をいえば教科で区切ること自体が多少の弊害を孕んでいるわけですねよね。その緩衝材というか繋ぎのような役目を音楽・書道・美術が担ってきたのではないでしょうか。数学と社会と理科なしにこれら三教科もまた成り立たないのですから。


例えばやきもの、楽焼なんかを中学校で行ったとしましょう。


どうして釉薬は熱でこんな変化をするのかとか、粘土はどんな地層から出るのかとか、耐火物や断熱材の開発という技術の歴史について、現在陶磁器をはじめとする窯業は日本や世界においてどのような状況にあるのか、流通量はどうなのか、輸入された原料をどれぐらい使っているのか、そこに環境破壊はないのかなど、そういう総合的な話にもなると思います。


そこに外部から専門家を呼んでもいいですよね。リタイアした技能士さんとか職人さん、試験場や業界の方などの話を聞くことの意義は大きいでしょう。


そんな授業を受ける時にですね、一度自分たちで器を焼いていれば、あの炎の熱さとか、蒸気とかそういう皮膚感覚が記憶としてあるわけです。


生徒がその皮膚感覚を持ってその後の授業を受けるのと、単に教科書を開いて日本の窯業について勉強します、というだけの座学を受けるのと、どちらがいいのかというのは言うまでもないことです。


以前にもこのブログに書いたことがありますが、子供さんのイベントに関わると、今まさに作らんとする粘土を前にして、若いお母さんが「これ今日持って帰れますか?」と聞かれるようなことが、残念ながら少なからずありました。


今どきの若いお母さんは何も知らないんだと笑ってもいいのでしょうか?


そんな質問をする人を責める資格が我々にはあるのでしょうか?




モノを作ることが大げさに言えば人類の歴史の最前線ようなものだと思うんですが(アナタのやきもの作りも!)、そういう認識の人はわたしたち世代や息子世代にどれぐらいいるのでしょうか。



ちょっと得意の脱線をしますけど、例えばスーツをビシッと着てノートパソコン持って立派なオフィスビルで働くとかっこいいなという風潮をいつのまにか作られてしまったように思います。前述のドラマの話ですね。

やきものを生業とする我々も無意識にそう思ってる部分があるのではないでしょうか。


そういえば以前お世話になった建築関係の社長さんから名言(迷言?)を頂いたことがあります。曰く、「スーツはモノを作らない人の作業着」。なるほどと思いました(笑)。


さらに脱線すると、その辺りから実際の工事現場の作業着なんかもおしゃれでカッコイイものがいっぱい出てくるようになったなと思います。たたき上げのその社長さんは自分たちの仕事着にプライドを持てと卑屈になりがちな若い方に言っていたのかもしれません。



さてさて、話を戻して。


じゃあ一家に一台の陶芸窯を普及させるためにはどうすればいいのか、ですが。


20年前の私だったらたぶん「まず土を練ってから…」とか眉間にしわを寄せて言っていたんだろうなと思います。でもそうではなくて、まず窯で焼くとこからです。


つまり焼成するところから逆に進んで行かないといけないのかもしれないと今考えています。先日の記事での「高みから俯瞰する」ということですね。


陶芸窯で焼成するには、窯詰めしなければいけない、その前に釉薬を掛けなければいけない、ならばその前に絵付けをしておかなければいけない、こんな逆行の形でもいいんじゃないかなと思います。


大事なのは観光地の絵付け体験のような安易なことではない、ということです。後で窯で焼いて送りますっていうことではなくて、とにかく一番大事な工程は焼成なんだ、と全国民に知ってもらうということと、その焼成を体験することだと思います(話が大きくなってきました)


これまでの発信でも何度もお話ししていますが、本来やきものを勉強する順番は逆です。

一番に焼成で、何もできない時から窯を焚いた方がいいんです。芳村俊一さんなんて空っぽでもいいから窯を焚けと言っていました。


そこから逆算して自分の知識と技術を追っかけていければ良いと思います。


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私はいまピアノを習っていますが、ピアノの先生の悩みとして、とりあえず安価なキーボードではじめて上手くなったらピアノを買おう、ということをよく親御さんたちから耳にするそうです。


それもやっぱり逆ですよね。


ピアノが上手くなるためには先にピアノが必要なんです。

それでも昔に比べれば質の良い電子ピアノが普及していますから、マンションでもどこでも始められるようになったはずです。



やきものの上達や指導方法についての考察、それは他の世界に置き換えれば分かるシンプルなことです。


教室に通ってなんとなく理論がわかって、たくさんその分野の本も読んで、教室で借りながら多少上達してから「自分のカメラ」を買うのでしょうか。


これも違うのが分かりますよね。ちょっと意地悪な例えですけれど。


どんなに安いものでもいいから、今ならスマホでもいいから、日々写真を撮らなければ写真は上手くはならないはずです。


そしてそれを人に見せることもSNSを通じて簡単にできるようになりました。あとは「あなたはカメラマンになったほうがいい」と言われるぐらいまで撮りまくってアップしまくればいいんです。



ピアノやカメラの例え話が、やきものや陶芸にも当てはまる、ということだと思います。

だから私はこれからも「一家に一台、陶芸窯」の世界を目指して発信を続けていきます。


記録によれば昔は小学校で野焼きをしたり楽焼をした時代があったみたいですね。

全ての学校でではないですが、そんな豊かな教育を行った時代もあったんですね。


芳村俊一さんは、その時代の小学校の図画工作の先生だった方です。その時の生徒さんの言葉から氏のやきもの研究が始まったとか。芳村さんの言葉でいまの私があります。




「一家に一台、陶芸窯」というキャチコピーには、こんな思い出と願いがあるんです。



posted by inoueseiji at 09:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | イノウエセイジの頭の中

2020年10月10日

避けては通れないこともある




(石灰透明釉とは言わないところが!)


明釉という罪な言葉にどれだけの初心者が惑わされてきたことでしょう。

例えば全てテリヤキ味がジャパニーズと思い込んでいる人も世界には億単位でいるのかもしれない。

ホントは違うんだよ、と思いながらも次へと続くモノのために変なニンジャとかの棟梁(陶料じゃない)みたいな役をキッチリこなすケン・ワタナベのバッドマン・ビギンズに涙した(かどうかは不明の)梶田絵具店の新しい動画がついに世界同時公開。

ロム赤釉の先にどこまでいくのかと思ったら、グッと基本に戻ってきてムーンレイカーの次のオクトパシーぐらいシブい007を見せてくれています(ついてこれない人は結構です)

わたしも毎回勉強させていただいています。

基本わたしもみなさんと同じ釉薬の初心者クラスにいるクラスメイトです。畏敬の念をもってグランドの梶田寮長の背中を美術準備室からコッソリ目で追っているだけなのです。

なにもみなさんと変わりません。
ちょっと留年が長いというぐらいのこと(笑)。

もしくはクラスのきもの係というぐらいの感じ(調合数はトキちゃんに負けた)

多分わたしだったら、これだけのテストピースをつくって焼いたらしばらくは満足感いっぱいの放心状態で、その後は10年ぐらいは自慢話ネタにすると思います(したした!)


透明というのは状態であって調合ではない。
そんなことを実感として知るには調合して焼くしかない。

を見てもだれもやっていないなぁというアナタの不安を梶田さんは応援しています。

たった一つでも調合すれば、人生は変わりますよ。


そして同じように調合を積み重ねてきたプロが人知れず頑張っています。




かた陶器まつりは明日まで開催。

JR博多駅前広場ですからすぐわかりますよ。






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2020年10月08日

フライパンは鉄に限るがサビと鉄粉はゴメンだ


最近ネタが豊富です。

陶芸の世界で忌み嫌うものは、釉中や素地に混入してしまう鉄粉などの不純物。
ボロ降り、ボロ、産地によっていろいろな呼び名があるかと思います。

しかし窯や道具類は金属が多く使われています。建物も鉄骨スレートだったり、パートさんのご主人が鉄工所務めだったり、つねにやきものの仕事場は鉄粉の被害を被る恐れがあるわけです。

そのため訓練校などでは最初にそのあたりをみっちりと叩き込まれます。カンナを研ぐのは別の小部屋が設けてありますし、床に粘土を落とすとそれが何キロであろうと処分されます。製陶所などでも同様です。

わたしたちのような業者にしても、相手の仕事場や仕事のレベルをそういうところで判断し、判断されています。個人の方などは無頓着な方もいますが、真っ黒な土でゴリゴリの還元焼成でも、望まないところに黒点が出るのは、それこそ望まないでしょ(笑)。

道具がサビているなとか、両頭グラインダーがこんなところにあるのかとか、撥水剤の刷毛がカチンコチンじゃないか、とかね。そもそも窯場と窯をみれば、その作家なり教室のレベルは正確にわかります。

とくに白い器を作っているところは鉄分やゴミに対して非常に警戒しています。部外者の工房見学ができない所はそういう理由もあります。磁器の産地や作家さんなら特にそうでしょう。
陶芸教室などでも、そういう部分を伝えていけるといいですよね。

わたしは築炉メーカーにいて、そうした工房内での仕事の経験の方が個人の仕事場よりもたくさんあるわけですが、いきなり工房で電動工具を使ったりする鍛冶屋のオジサンには、年功序列関係なく大声を出して止めていました。

そうすれば、それを見た製陶所の社長さんは「コイツはわかっているな。この会社は大丈夫だな。」と思うわけです。

粘土を扱う場所で、カンナを研ぐとかはご法度です。別にあとで掃除するから大丈夫とかいう人に限ってボロが出ております(経験談)。カンナにヤスリ掛けがご法度なんですから、それ以上のことは厳禁だということが容易に想像できますよね。

これを読まれている方々は重々承知されているでしょうから、ぜひこれを機に周囲の無知な方々に伝えてあげてください。


とはいえ。

どんなに管理の厳しい工場でもペケは出ます。
器などにわずかに認められる黒い点。

それはもちろん機能的には問題ありません。十分に使えますが、そういう問題ではありませんよね。美しい作品に全力傾けて生産活動をしているプロフェッショナルがたくさんいることを知っておきましょう。

それは作家や製陶所だけではありません。
粘土屋さん、釉薬屋さん、絵具屋さん、道具屋さん、設備屋さん、築炉屋だってそうなんです。


このところ、先日の鍋土のことなど、外側からの質問や発信によって初めて気づかされることが多くあります。

「こんな基本的なことを言わなければならないのか」と思うと講師業や発信はつまらなくなってしまいます。

そうではなく「もっとわかりやすい方法を見つけて伝えていこう!」なんてかつての先生や先輩をコッソリ仮想敵にして、ポジティブな発信を続けていきたいものだと思います。


posted by inoueseiji at 09:42 | Comment(0) | TrackBack(0) | イノウエセイジの頭の中

水炊きはすき焼きの夢を見るのか?


原料についての誤解、原料名の間違った読み方、ウソ、大げさ、紛らわしい。
ナントカ機構にチクりたくなることが時々あります。


さて鍋土、耐熱土。


自分で作った土鍋を家族みんなで囲む鍋の時間。
こんな楽しいことあります?

自分で作ったモノが完全に主役の器として食卓の中心に鎮座しているのです。

わたしも講座の受講生の方にこんな体験をしてほしいと常日頃から思っていました。
ところがいくら力説しても、目の前でそのキメの細かい耐熱土を見せても、だれも作らない。

「いや、鍋はけっこうです…。」

人によっては迷惑そうにそう言って離れていきます。


わたしの受講生の平均年齢は70歳ぐらい。
あるていどの期間やきものを楽しんできた方々が中心です。

その方たちの心にのこる、土鍋のしょっぱい思い出。

  • 土がザラザラ
  • 作りにくい
  • 焼成温度を変えないといけない
  • 釉薬が思ったような仕上がりにならない
  • 使っていると割れそうで不安
  • 調理中に真っ二つに割れた人もいるらしい



そんなことが頭の中をよぎるのでしょう。

でもそれは昔の常識です。
アナタがそれに縛られて土鍋を作っていないなんてもったいない。


耐熱の素地の開発はそれこそ耐火物とならんで重要な研究だったのではないかと想像します。
ペタライトを使用するようになって、土鍋は広く普及するようになったのでしょう。

とはいえ、ペタライトを使っているから耐熱になるというような単純なことでもありません。わたしは味噌煮込みうどんが大好きですが、某老舗の煮込み用の土鍋なんて全部針金で縛ってありましたからね(笑)。





常識の無い人にも困りますが、これまでの常識をアップデートしないのも困ります。
どんどん技術は進歩しているんですね。

当然昭和よりも平成、平成よりも令和の御代の耐熱土の方がより良いものであるはずです。
動画を参考にみなさんも是非作ってみてください。




◆耐熱土(赤)20sはコチラ https://www.nendoyasan.com/?pid=138066752 ◆耐熱土(白)20sはコチラ https://www.nendoyasan.com/?pid=138066751 ※それぞれ10s売りもあります。



ねんどやさん.com【山内陶料】 https://www.nendoyasan.com/

山内陶料さんは他にも様々な製品をラインナップしていますよ。


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2020年10月03日

刷毛塗りのヒントになる動画


またまた人の動画を勝手にシェアさせていただきます(笑)。

自宅陶芸でオススメの釉薬の刷毛塗りですね。

焼いてみたら、釉薬が薄くなってしまったとか、上手く出来ない、という方に瀬戸の作家さんの動画でわかりやすいものがあったので紹介します。

瀬戸の加藤裕重さんの動画です。
(また福岡に来てくださいね)


特に3分51秒から https://youtu.be/kxlKMCkWBKk?t=231

容器に入っている釉薬はそこまで濃くありませんが、糊分(CMCなど)を入れることで、ドロッとして刷毛塗りがしやすくなります。

失敗される方の多くは、このドロッとした釉液にビビッて薄く塗ってしまったり、CMCを入れてからまた水を入れたりしていらっしゃるようです。


動画での刷毛塗りはかなり厚く塗っているように見えますが、最後の焼き上がりをみると灰釉の部分は織部よりも薄いでしょ?
(それが織部ってもんだぜ!:偏見)

これを一つのヒントとされると良いかと思います。

ツクリテチャンネル瀬戸の登録もオススメします。



織部は掛け分けがありますので、こうした施釉方法は多くの方が非常によくされています。




先日も勝手に紹介の寺田鉄平さんの動画。
こちらもちょこっと釉掛けが映りますが、参考になりますよ。


あとは焼いて確認ですね!




お暇でしたら不肖イノウエのヤツもどうぞ(笑)。








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2020年10月01日

一年間毎日発信できるのか?


川瀬さんのところに先日吉田崇昭さんとお邪魔してきました。

その際に9月いっぱいで毎日発信はとりあえず終え、10月からは週に2,3回程度の発信ペースになると伺っておりました。

今日から10月。
昨夜の動画であらためてお疲れ様でした、とお伝えしたいと思ったところです。




そもそも毎日なにかを一年間できる?
この酒飲みだって、年に二日ぐらいは強烈な二日酔いで呑めない日もあるというのに(笑)。

それこそが川瀬さんをプロたらしめているのでしょう。
古民家の改装と引っ越しも控えた中での発信、本当にお疲れ様でした。

またこれからの発信も楽しみにしております。フカウミさんも頑張ってください!






さてさて。

一年間は休まないとか、新規オープンの個人のお店などでもたまに見かけますが、まぁそういう覚悟のところが潰れたのを見たことがないですね。

毎日店を開けておく。
機会の損失を最小にするという当たり前のことです。

いくらロクロが上手くなっても販売先、アクセス方法、それが閉ざされている、そもそも自分で努力していない、なんてことではプロになれるわけもないのかもしれません。

また暴言気味の個人的な意見ですが、ネットとかスマホはちょっとねぇ〜とか仰っている方は、一人自営業には向いていないのかもしれません。

あのゴルゴ13だって、それこそ複数のアクセス方法があります。一般人でも会うことができるのです(依頼であれば)。マニアしか知らないことですが、ゴルゴ13にはアマチュア無線のチャンネルも持っていて、自由に出歩けない無線ファンもアクセスも可能です(そういう回がある)

そしてそれを世界各地や帆船にしつらえた隠れ家で、日々ちゃんとチェックしているゴルゴ13って、健気です。


一年間なにかを毎日やってみるチャレンジ。
アナタもやってみませんか?

最悪ツイッターに「暑い〜」の一言でもいいから毎日ツイートとか。
手でグッと握っただけの箸置きの日があってもいいから、最低一つは何か作るとか。
梶田さんみたいに毎日釉薬の調合するとか。


川瀬さんのところでの様子は今度また紹介しますね。

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(お盆で集まった従兄状態)

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