2021年05月26日

一所懸命に大間違いするとプロが動いてくれる話


いつも大変お世話になっております、イノウエです(笑)。

先日の熱伝導率の話、実は熱伝導のほうだろうが!というツッコミと、その素晴らしい補足記事をつくばセラミックワークスさんに書いていただきました。

まずは下のリンクをご覧ください。
別ウィンドウで開きます。


ジャグリングも作陶もイノウエが足元にも及ばない福田さんのホームページ https://tcworks.blogspot.com/





そもそも人間としての基本OSがわたしとは全然違う、イノウエの三大抑止力の一人である福田さんのツッコミと、この記事には正直ありがたく、内心ホッとしております。

梶田絵具店さんのYoutubeもそうですが、わたしの話でまぁまぁ信用できるのは窯の話ぐらいということです。

それでもレベル低いなりに一所懸命に発信を続けていくことで、

「ちっ、しょうがなぇなぁ〜イノウエは〜!」

と忙しいプロも腰を上げてくれるということなのでしょう。
本当にありがとうございます。

シリカと珪酸の使い分けも結構適当なオジサンですから、優しい目で見守っていてください。

熱伝導と熱伝導率がぐちゃぐちゃな記事を書いたことを反省もしますが、両方について伝えたかったことも事実であり、下手なロクロ動画をいくつもYoutubeで野晒しにしているように、先日の記事のタイトルもそのままにしておきたいと思います!

カッコつけて「馬鹿が専門用語を使うとロクなことはない」という悪い見本としてご記憶ください。


また棚板の熱伝導率が粘土と大きく異なるという点においては、焼成時にそこまで気にすることはないかもしれないと山内陶料さんをはじめプロ数人の方の助言をいただきました。ありがとうございました。

それでも築炉や焼成技術の視点からみるとレンガが耐火断熱レンガになっていったように、あの土のまな板のような窯道具から、カーボランダムに置き換わっていったことで焼成時間の短縮や均一な熱分布などが可能になったのは間違いないと想像しています。

早く焼成しようとすればいくらでも可能なのが現代の窯炉でしょう。ゆっくり行うほうが難しいという部分もあるかもしれません。素焼きも韓国の人が驚く8時間800℃はじつはもっと長くてもいいのかもしれないし、形状によっては韓国バリにゴリゴリと攻め込んでもいいのかもしれませんね。

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(勝手に画像を転用するのはイケないルージュマジック)


さてさて話を戻して。


素焼き、もちろん本焼きでも、モノによっては棚板の上直接というのはあまりよろしくないことがある、そういうことを知る方が増えただけでも素晴らしいことだと感じております。

実際に大物の素焼きの窯詰めは、より土の団子などを底につけて浮かせたりしますし、同形の器を重ねるにしても密着が強い形状であれば、隙間ができるようにやはりより土や断熱ウールの切れっ端を挟んだりすることがあります。

わたしのブログ記事で書いたように、棚板の上に大物をベタ置きすると、作品と棚板の熱の差が大きくなりすぎるのか、単に温度の上がりが悪くなるだけなのかはわからないとしても、次の福田さんのアドバイスこそ最強でした。


 焼成の基本は「出来る限り品物全体一様に熱を伝えるほうがいい」のハズ!


とのお言葉ですので、みなさん額に入れて窯場に飾っておきましょう(笑)。


わたしのブログ記事は経験則からの発信でしたが、次回の福田さんの記事は窯詰めの具体例を示してくださるようですから、楽しみにしておきたいと思います。

またこれを機に、つくばセラミックワークスさんのページのメニューから興味のありそうな記事をいくつか読んでみてください。

内容も素晴らしいですが、福田さんの文章がそもそも面白いんですよ。

イノウエは、このネタについては動画を作成中でしたが、即ボツにします!

だって全然まとまらなくて撮りなおしてばっかりでしたから。
単純に窯詰め動画を考えていきたいと思います。

あぁ〜良かった!

イノウエは基本一発撮りなんです。
一発で話せないことは「腑に落ちていない」という判断と、「面倒くさい」という理由からです。


福田さん、今回も本当にありがとうございました。

第二部にも期待しております!






posted by inoueseiji at 08:14 | TrackBack(0) | イノウエセイジの頭の中

2021年05月24日

熱伝導率のはなし2


ものを焼成する、加熱するということでやきものもお肉も美味しくなるわけですが、その時に大切なのは熱伝導率のこと。

バーナーの炎やヒーター線の熱がどのようにアナタの作品やお肉の塊の中心部分に伝わっていくのか、ということを意識することです。

また窯や炉の中の熱の動きや伝わり方と想像することができれば、素焼きで爆ぜることもなくなり、本焼きでの意識もかわることでしょう。

たとえば素焼きは重ねて焼成できるからといって、ギュウギュウに窯詰めすると、中心部分にはうまく熱が伝わりません。

体験されたことのある方もいるかと思いますが、同じ形のタタラの丸皿などを重ねまくってベタ置きで素焼きすると皿の中心部分の色が灰色のままだったり、ガス窯などであれば接触面にススが残っていたりすることもあります。

また分厚い鉢のようなものをいくつも重ねたり、蓋物で蓋の中の色がすこし薄かったりしたことを確認されたことのある方もいるでしょう。

熱や炎がしっかりと各作品に伝わるように、窯詰めを考えなくてはいけません。たしかに素焼きは重ねて焼成できます。ですが、重なりが密でその奥まで熱が伝わらなければ均一に焼成できないことになります。

色が違うということは焼成によって到達した温度がその場所は他とは違う、ということになるのです。


炉内の温度の均一化のためにもカーボランダムの棚板は一役かっているわけです。熱伝導率が粘土よりも非常に高く、それが何枚も棚組されています。作品を置いているのも棚板の上、その作品の上にも次の棚板が載っているわけですから、ムラなく加熱されることになります。

逆に高台が分厚くなった作品を素焼きで急熱すると、底の棚板だけが熱くなり、分厚い底が爆ぜてしまいます。思い出していただきたいのですが、分厚い作品が爆ぜても、かならず底の部分だったはずです。それは窯の中で棚板が先に熱くなるので、作品の底が急激に加熱されることになるからなんです。

それを防ぐには、均一な厚みの作品づくりを意識するだけではなく、素焼きであっても棚板や各作品通しの間隙を考慮して窯詰めをすることだと思います。

またこれに関しては動画にしていきたいとも思っております。


posted by inoueseiji at 11:14 | TrackBack(0) | イノウエセイジの頭の中

2021年05月20日

熱伝導率のはなし


な〜んて偉そうなタイトルにしましたが、別に専門的な知識があるわけではありません(笑)。
いつものように、へぇ〜そうなんだ、程度にお読みくださればと思います。

素焼きの焼成で窯から「ボンッ!」という鈍い破裂音が聞こえたりした経験、窯出しの時に自分の作品だけ爆ぜていた経験が、陶芸を楽しまれてきた方なら一度や二度はあることでしょう。

もちろんわたしも何度もあります。
最高記録は1メートル近い大作でした(泣)。

そうした事故現場(笑)を丁寧に検証してみると、だいたい底も部分が爆ぜています。
もちろん、削りが下手で高台部分の厚みがかなりあることや、そもそもの乾燥が不十分なことなども大きな原因です。

爆ぜると空気のせいにする方も多いと思いますが、空気で爆発するほどのエネルギーは生まれません。

問題は水。
そして熱伝導率です。
(映画ならここからオープニングテーマ!)

日々当たり前だと思って使用している棚板。
陶芸だとカーボランダムのものが多いです。黒くて固くて表面が白いアルミナコーティング。
アイツです。

大昔、イノウエもまだ生まれていない頃、ほとんどは土で作った俎板のような分厚い棚板を使用していました。
重たくて、寿命も短く、窯詰めも非常に大変だったそうです。
その再利用として、石の代わりに窯垣として使用され、今でも瀬戸や常滑、有田などの産地にそれが残っています。

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(公式サイトから拝借)

わたしははっきりとは知りませんが、いつのころからかカーボランダムの棚板に置き換わりました。

※いまググってみるとカーボランダムは会社の名前で19世紀末に発明・製品化されたようです。国内での初製造は1917年に鹿児島県においてとのことです。モース硬度ではダイヤモンドの二つ下、ご存知のようにカッチカチですもんね。いつ板状になって陶磁器の製造現場で一般的に使用されるようになったのかはわかりません。


一つはっきりと言えることは、カーボランダムの棚板によって、焼成や築炉技術はすすんできたはずです。

熱に強く、熱伝導率が非常に良い素材だからです。うろ覚えの知識ですが、確か土や粘土の二十数倍の熱伝導率だったと記憶しております。

ここから本題。


素焼き前の作品、しっかりと乾燥させたし、外に出して日に当てて一週間以上乾かしました。
それでも爆ぜるときは爆ぜます。

なぜでしょうか?

素焼きの温度の話のときにもしていますが、いくら乾燥させても粘土鉱物がもつ分子レベルで結合している水はなくなりません。

ですから点火してからの焙り初期段階は非常に重要です。
ここで急激に温度を上げると爆ぜてしまうことがあります。

もう一つ重要なのは粘土と棚板の熱伝導率のちがいです。

確か26倍程度の差があったように記憶しておりますが、ようするにアナタの大切な作品よりも20倍以上早くカーボランダムの棚板には熱が伝わっているのです。

素焼きが爆ぜる前の状態とは、熱い鉄板の上に「分厚くて冷たい豆腐」を置いている状態とも言えるでしょう。底が焦げてはこまるのどころか、豆腐の中の水の一部が沸騰すれば水蒸気爆発を起こしてしまいます。


ではどうすればいいのか、は次回の続きとしましょう。
posted by inoueseiji at 05:29 | TrackBack(0) | イノウエセイジの頭の中

2021年05月16日

お客様の声


ユーザーレビューを載せた方がよいと散々ホームページ制作をしてくれた方から言われていましたが、なかなか実現せずに日々の仕事に追われておりました。

しかし、いつまでもステイホームの期間が続く中、ネット陶芸展の2回目を開催するのを機に、お許しをいただいた方々の写真や感想などをようやく載せることができました。

ご協力いただきましたみなさま、この場を借りて深甚なる感謝の意を表したいと思います。
みなさん本当に素晴らしい作陶生活を送られていて、なんだか羨ましいほどです。

自分にもこんな気持の時があったようななかったような(笑)。

こうしたレビューは多くの方の気持ちを動かしてくれるのかもしれません。

また、掲載は勘弁してね、という方からもたくさんの温かいお言葉やメッセージをいただきました。

ありがとうございました。

どうか今後とも「ふくおか陶芸窯」をよろしくお願いいたします。

★お客様の声はトップページの窯の写真をクリックして御覧になれます。




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posted by inoueseiji at 10:46 | TrackBack(0) | イノウエセイジの頭の中

2021年05月07日

ネット陶芸展2!【参加者倍増】




たくさんの方の協力を得て、第2回ふくおか陶芸窯展を発表しました。

本当はリアルで行いたいですね、というお話をいただいておりましたが、このコロナ禍で2年越しで2回目の開催となりました。
まぁこれはこれで良かったのかもしれません。

遠くの方とも一緒に出来るというのはいいものです。

どこか遠くにいるお客様がいつも動画を観ているというつもりで発信しているイノウエです。

お客様各人も、どこかに同じ窯で作品づくりをしている人がいると知ることが励みになれば幸いです。

とても良い動画になったと自己評価しています。



ファーストもヨロシク!


posted by inoueseiji at 07:49 | TrackBack(0) | イノウエセイジの頭の中