2021年06月25日

大人に何かを伝えるとき


福岡マラソン中止で不機嫌です、イノウエです。


先日は昔からお世話になっていたとある作家の方からお電話いただき、大変うれしく思いました。
素晴らしい仕事をされているその方から、相談すれば答えがえられるかもしれないヤツ、そこまでいかなくてもグチを聞いてくれそうな相手、と認識されるようになった自分を褒めてやりたいと思った次第です。

それは原料に関する話だったんですが、お互いの経験値のからヒントになりそうな情報を交換しあうようなことになりました。
いつかまたその方の器を見ることや買うことになったら、この器はあの電話の後かな、前かなと思うことでしょう。


さて、今日は半分リクエスト記事。

こうした情報交換でもそうですが、大人に何かを伝えるとき、特に技術やコツを伝えるときは、明確な数値を示すことが大切だとわたしも考えています。

指導する対象が子供から28歳ぐらいまでならば「とにかく数をこなせば気がつくはずだ」という実践重視の遠回り指導でもいいのですが、なかなかそれもこのご時世となっては時代遅れといわれるでしょうし、指導する側にも受ける側にも余裕はなさげな21世紀なのですな。

とはいえやっぱり大人相手のアドバイスとは「ガッときたらバーンって感じ」とかではなく「あと一割ぐらい強く前に」「あと5センチ下まで」などと具体的である必要があります。

わからないことを観たり聞いたりしている質問者は、ふんわりとした情報でも、それを得たことに喜んでしまい、そのアドバイスが実はまったく具体的でないことをスルーしたまま聞き流してしまうことがよくあります。

そしていざ自分でやってみようとすると「え?入れるの何パーセントだっけ?」と固まってしまうことになってしまうのです。


(フォートベントンはモンタナ州だったのは秘密)


ベントナイトの秘密は実体験としていろいろと知っていますが、まぁ小出しにしていきましょう!

いまはニガリを使用することが多いですね。
ベントナイトと違ってスーパーマーケットで入手できますからね。
(ボーリング工事屋さんに行けばタダでもらえそうだが)


当然こちらも入れすぎに注意です。
というかベントナイトより相当シビアに計量しましょう(笑)。

沈殿防止の考え方としては上水が分離しないほどの状態はヤリ過ぎということです。
しっかりと分離して沈殿するが、調整する際には底までしっかりと撹拌できる状態というのがポイントですね。

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(シェイクすれば手を汚さずに撹拌完了)



しかし、オリンピックは開催で11月のマラソンは中止かよ!
市民プールもようやく開園になりましたが、値上げや市民限定などの制限がついたところばかり。



また太りそうです。


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2021年06月20日

とあるお問い合わせのための資料





先日あったお問い合わせのための資料として過去動画を紹介しておきますね。

とりあえず圧力計は一番敏感な部品の一つです。

実はこの50キロパスカルの圧力計はネットで誰でも購入できます(ぶっちゃけたよ)

ただし作業を行うには「液化石油ガス設備士」の免許が必要ですが(専門家に確認済)、一般の方であればネットでガス圧計を購入したとしても、ガスボンベでお世話になっているガス屋さんに取り替えてもらえばオッケーです。

こんな微圧計は普通どんなに大きなところでも在庫していないと思います。


ご参考までに。

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2021年06月14日

トランスフォーマーって観たっけ?


こんにちは、イノウエです。


この数ヶ月の間に複数あった質問や発注。
それがパワートランスについてです。


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ふくおか陶芸窯仕様のKCシリーズは3種類の100Vの電気炉があります。

ようするにサイズが3つということですが、その熱源となるのは3つとも同じ100Vの家庭用電源。
鍋はおおきくなっても、コンロのサイズは変わっていませんよ、ということですね。

ここに関しては過去動画があるので御覧ください。

(男性も観てネ)

この動画ではトランスの説明をあえて間違った言い方でしています。

不安定な家庭の電気を一度トランスに”溜め込んで”みたいなニュアンスで話しました

これは間違った表現です。実際は変換しているのですが、誰にでも理解していただくためにあえてこのような言い方をしました。

トランスの仕組みは実はシンプルで、コイルの巻数の比で電圧を変化させるわけです。
これについてはこちらのPDFファイルがわかりやすかったのでリンクしておきます。

(別ウィンドウで開きます)


以前、日本の供給電圧は世界一低いという話を書いていますが、それがさらに不安定になってしまうと1200℃以上の温度をプログラムの時間通りに得ることが難しくなります。

特にK-3030Cモデルを希望される場合は必ずパワートランス(昇圧トランス)も併用していただくように資料と見積に記載しております。



実はこのトランスに関しては、これまでも複数の質問をいただいてきました。ご購入を検討中のお客様にはその都度ご説明させていただきましたが、一度書いておこうかなと思った次第です。

また最近増えた質問は「ネットでもっと安いトランスが販売されていますが、アレではいけませんか?」というものです。


これは確かに疑問に思ってしまうと思います。

ネットや大き目のホームセンターには様々なトランスが販売されていて、共栄電気炉製作所のオプションのものよりもみな安く、ネットでは外国製なのか、かなり安いものもあります。


しかしこの世の中、そんなに甘い話はありません。


販売されているトランスにも様々な種類、容量や定格があります。
その中から適正なものを選べるでしょうか。安い方から選んだりすれば事故につながる可能性もあると書いておきたいと思います。

定格という言葉も一般の方には馴染みが薄いかもしれませんね。例えば定格10分と書いてある電動工具があったとすれば、それは10分以上連続で使用しないでくださいね、ちゃんと注意書きしてますからね、ということなんです。

連続使用してモーターが焼けて壊れたらアナタのせいよ、とメーカーに言われても文句は言えません。

また、一部の定格が合致しているように見えても、トランスに必要な容量がなければ意味がありません。



問題:1.5kWの電気炉で12時間焼成する場合、トランスに必要な容量(kVA)は?



答え:1.5kVAじゃないのは確か




たとえば、高速道路の制限速度の規制が緩和されて時速120キロメートルで走行できるようになったとします(昇圧したのね)

そして福岡から名古屋までノンストップで走り続けたいとすれば、選ぶ車はもうウチの軽自動車ではないということです。そもそもスピードメーターが時速140キロメートル程度の表示の自動車であれば、巡航速度の設計上の設定は時速100キロメートル前後でしょう。

家庭用の100V電気炉では、1500Wで12時間以上稼働させることになります。
ホームセンターなどでトランスを販売している国内メーカーはおそらく100Vの溶接機や電動工具などでのバックアップを想定していて、どこも「100V電気炉の12時間以上の本焼成」を想定には入れていないと思われます(間違いなく)


「そんなの販売側の論理じゃねぇか」という方もいるでしょう。


ということで、わたしは電気工事士ですので、トランスの筐体をばらしてみました。

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容量とメーカーを確認してその入手先を調べてみると、このトランス自体は購入できるようでした。しかもこのオッサンが販売する金額の半分程度でいけそうです。

しかし、それはあくまで「トランス本体のみ」の話。

トランスを納めるための筐体を制作して、配線して、コンセントつけて、ケーブルに端子圧着して…となると購入したほうが安いと思いましたが、みなさんはどうでしょう。

ハント君。今回も対応していないトランスや、そもそも容量が合っていないもので事故を起こしても当局は一切関与しない、って感じでしょうか。

知識のある方が探せば、使える市販のトランスはあると思いますが、あくまでそうしたものの使用については自己責任となってしまいますのでご注意ください。


トランス自体はいろいろな世界で使われています。
オーディオマニアの方などは詳しい方も多いのではないかと思いますね。
電圧を上げるだけではなく下げたりすることにも使います。

原理を見つけたのはあのファラデーさんです。



100Vの電気炉のお客様で3030Cでなくても、設置場所の電圧に不安があるとか、温度の上がりがいつもウェイトかかり気味とかであれば昇圧トランスを導入するのはオオアリです。









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2021年06月13日

ゴルゴ13ルール


お久しぶりです、イノウエです。

さて、わたしは一人自営業。
これまでいろいろな目に遭ってきて、いつの間にか自分なりのルールがあります。

  • 作陶する人を応援する
  • 技術や知識はすべてオープンにする
  • 窯と焼成についての発信を優先する
  • 誤解や危険な内容の発信はその限りではない
  • 業界の迷惑になることはしない
  • 背後に立つものは条件反射で倒す
  • 常にお客様の利益になる方を選択する
  • 自分は無知であることを知り学び続ける


そして迷った時にはアメリカ大統領が「リンカーンならどうするだろう?」と一人執務室で考えるように、「ゴルゴ13ならどうするだろう?」と一人アトリエで考えるのです。

別に冗談じゃなくて、わたしは最強の一人自営業者がゴルゴ13だと思うからです。
相手を主義、主張、性別、年齢、経験、釉薬、宗教などで差別することはありません。

陶芸の世界ってたまにとんでもないお金持ちがいますが、わたしは動画発信やホームページを通じて販売する窯は統一価格です。フェラーリ3台お持ちのお客様でも見積り金額は変わりませんし、実際にそういう方へも無償でアドバイスをしたことがあります。またいくら言われても価格を下げることはありません。

そもそも値切ったりされるのも、自分がするのも好きではありませんし、嫌な目にも遭ったからです。朝市で野菜買ってるわけじゃないんだから。


ちょっと想像してみてください。

ゴルゴ13のギャラ値切れますか?

無理ですよね。

かといって。
実はゴルゴ13が金額のみで動いているわけではないのも有名な話。

わたしも依頼とあらば、老婆が家財道具を売りはらった雀の涙のギャラであっても、数千万円の経費と自分の命をかけて仕事を完遂するゴルゴの心意気はもっているつもりです第136話 海神が目覚める )

そんなわたしもルールを無視されると悲しい気持ちになりますし、時々は自分で自分のゴルゴ13ルールを破ってしまうときがあります。

まだまだ修行が足りません(まだ2巻のゴルゴレベル)

先日もやらかしてしまいました。
早朝、古いお客様から電気炉のとある部品が破損したという連絡がありました。焼成には問題の無い大型炉だけのフレームのパーツの一部分です。

状況を聞き、すぐに行きますとお答えしましたが、電話をいただいたのはあいにくの出張工事のための移動中。その日は対応不可能でした。

翌日の朝改めて電話した際に、ふと思いついて「…そういえばホームセンターでこういうものを購入して付けていただければ応急処置になるかもです。」と言ってしまったのです。

その方はわたしより少しお姉さんのお客様。とても器用な方というのもわかっていましたし、そもそもその窯は昨年大規模補修をしたばかりだったからというのもありました。

設置場所は県外ですから、また出張費をいただいて数千円の部品代のために赴くのは気が引けたのです。なぜならこれまで、

 お金はかけたくない
 できればタダがいい
 てか、タダで教えろ
 中古の窯はないんか

という一部の陶芸ファンとのいろいろな楽しい記憶がよぎったためでした(笑)

長いお付き合いの方ですので、こちらのスタンスもご理解していただいていると思ったのですが、さらに次の日に
「よその窯屋さんにきいてみようかなと思っている」と電話してこられたので、ちょっと待ってください、と改めて説明しなおしてお互いの認識を確認し、すぐに伺ったのでした。

そして現場に行ってみれば錆びたボルトを女性が回せるはずもなく、わたしでも無理でした。
結局は電動工具で破壊して付け直し、せっかく来たので不安がある部分をすべて交換して帰ってきました。他の部分もしっかりとチェックすることもできました。


そして帰る前にお客様に謝りました。

こんなことを考えて、お金のかからない方法を伝えようと思ってしまった、と。

お客様には許していただき、逆にだからお前は信用できると言っていただき、ホッと胸を撫で下ろしました。実際に多数の生徒さんを抱えているお客様ですので、お金はいくらかかってもいいから、不安を払拭してほしかったということです。

これは完全にわたしの悪いクセがでたなぁと思ってしまいました。
貧乏な自分を基準に世界を見てはイケナイということですし、お客様が不安に思っている部分を理解しきれなかった、そして窯の補修は安全につながるということを一瞬でも失念してしまったという失敗です。

器用貧乏キャラあるあるですかね。


お客様にしてみれば確実にこなしてくれるゴルゴ13に依頼の電話したのに、

「ホームセンターでさぁ〜
 安いショットガン買って〜
 自分で撃った方が早いって!

 俺まだジンバブエなんよ!」

と答えられたようなものだったのです(ホントかよ)

それができないから依頼している
のにってことです。

ゴルゴ13に電話してタダのわけはないのも承知の上ですから、お互いにプロとしてそこはキッチリと依頼を受けるべきでした。

自分の軽口に深く反省しました。
ただお客様を不安にしただけでした。
本当にすいませんでした。



アナタも一人自営業ならゴルゴ13と同じです。
自分のルールがあると思います。

そして自称の方も他称の方もプロはプロです。
相手もゴルゴ13と思って接していきたいと思います。


「ゴルゴさぁ〜、
 ついでによ〜、
 あの隣のヤツも撃ってよ。
 高い金払うんだからさぁ、
 いいだろ〜?ダメ〜?」

さて、それにゴ、いやデューク・東郷はなんて答えるかな?

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posted by inoueseiji at 08:44 | TrackBack(0) | イノウエセイジの頭の中