2021年11月26日

ドキがムネムネ




先日100Vの電気炉から始まった福岡県のお客様のところへ10kwの電気炉を納めてきました。
段差がかなりあるのですが、動画であるように足場を作って搬入します。

(念の為に記載しておきますが、この電気炉のサイズだからこの足場です。1トンを超えるガス窯であればブロックは使用しません。)


工房の名前の由来をお聞きしましたが、いろいろな楽しい「オノマトペ」がこの場で生まれるようにとのことでした。

いいネーミングだと思います!




★オノマトペファクトリー

これから宗像市にて本格始動です! みなさん応援よろしくお願いいたしますね。


posted by inoueseiji at 06:58 | TrackBack(0) | イノウエセイジの頭の中

2021年11月19日

気持ちは痛いほどわかるけれども


先日質問のメールをいただいた件で、いろいろと考えておりました。

場所や個人・団体などは伏せますが、みなさんのご考察の一つになればと思います。

ガス窯において、焼成初期段階において一酸化炭素警報器が発報したという事例です。


【設置状況と設備】

  • 公共の施設である
  • メーカーの型番から推察すると0.3㎥前後のガス窯
  • 施設としては数基目で設置後10年程度
  • 窯小屋は施設本館とは独立したブロック組の広さ20uほどの建物
  • 最近一酸化炭素警報器を設置
  • 焼成時には換気扇を使用し扉なども開放
  • 高齢者を中心とした複数のグループのべ数十人がグループごとに窯焚きを行う
  • 知識のある焼成の指導者はいない



【警報発報】

  • 還元焼成に移行する前段階の低い温度で警報器が作動
  • 施設の管理側やガス供給会社なども駆けつける事態になった
  • ガス供給会社の担当が焼成中のガス窯付近で一酸化炭素を確認した
  • 施設側は今後還元焼成は一切禁止と判断
  • 電気炉へ交換する計画がある

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還元焼成が出来ないのは残念だということで、ネットの発信から存在を知っていたわたしに質問者の方がメールを送ってこられました。施設側の判断はなにを根拠としているのか、メンテナンスは可能かというのが主なメールの内容です。

また複数いる使用者の中には、警報器の電源を落として使用すればバレない、そもそもこの警報器がおかしいのでは、という発言もあったそうです。また質問者の方もこれは本当に異常な事態なのか、セカンドオピニオンがほしいということでした。

メールの返信ですが、わたし個人としては遠すぎてメンテナンスすることは不可能とお伝えし、何度かのメールのやり取りの後、意見をまとめたメモを送付しました。

もしかしたら使用者として質問者の方にも、ガス供給会社の人間はどこまでわかっているのかという気持ちもあったのかもしれませんが、陶芸愛好家の100倍ガスとその事故事例に詳しいのは間違いないのです。

わたしはメールのやり取りの中で、どこか警報器を発報させてしまった事態を軽視しているその集団のノリが非常に恐ろしいと思いました。と同時に、その気持も痛いほどわかるとも思いました。その集団に自分がいれば同じ言動をとっているかもしれません。

とはいえ、まず通常の還元焼成で警報が鳴ることはありません。
鳴らすぐらいモーレツ強還元の作家さんもいるそうですが、それはあくまでも例外中の例外です。

まず警報器が鳴るということは有りえないということを強くお伝えしておきたいと思います。他の警報器でも集団なら無視しますか?

そして助成金や税金によって運営されている場所において、管理側の決定に背くこともありえません。

もちろん、こうした今回の事故未遂のような事案は、全ての学習館や生涯学習センターなど、公設や半官半民の施設で行われている作陶活動に内包されている大きな問題だと考えられます。


わたしも地元の生涯学習センターに講師として、十数年の長きにわたって関わってきました。その中で陶芸窯、野焼き、危険な溶剤などを受講生とともに取り扱ってきましたし、さまざまなトラブルにも遭遇したからです。

きっとその公共施設の運営体制も、自治体の正規職員は全職員の半数以下もしくは数名で、あとは委託された管理会社の社員、どちらかといえば不安定な雇用形態の方が働かれている例が多いと想像します。のんきに見えますが実際は大変な職場ではないでしょうか。

さて、前述のようにわたしの講座でもいろいろとトラブルは過去に起きましたが、利用者側にそういうトラブルの元になってしまう考え方があると思います。それはこの施設だけではなく、公共施設でのサークル活動や生涯学習講座全般が抱えている問題の根幹になっている考え方かもしれません。的外れかもしれませんが、たくさんの高齢者の受講生と関わってきたわたし自身の経験をもとに書いておきます。

利用者によくみられる傾向として、公共の施設を安価や無料で使わせてもらっているという感覚の欠如、陶芸以外にもさまざまな講座やイベントなど煩雑な業務がその施設や事務局の人間にあることへの無理解、そして一番は自分にはその施設を利用する権利はあるが守るべき義務はないという甘えです。

わたしの講座でもツクや棚板の状態は放っておくとあっという間に悪化します。自分でお金を払っていない設備や道具を、人は本当に適当に取り扱います。過去には講座内容とはまったく無関係の自分の作品を焼成していた人もいました。ある程度なら眼をつぶることもありますし、テストピースなら大歓迎ですが、基礎をおろそかにして家で作ってきたロクロの大物を焼成する義理はないのです。


もちろんこの公共施設の管理側にも責任があります。

一酸化炭素用の警報器を設置したのは良かったですが、おそらくはそのガス窯の設置業者もしくはメーカー、施設の管理側も、ガス窯使用時のマニュアルやチェックシートは作成していなかったと思われます。

とりあえずは安全マニュアルで十分でしょう。点火や消火の手順、ダンパーとドラフト、換気扇の確認、そうした手順を毎回守らせることは非常に重要なことです。

わたしも小さな会社や職人の世界にいたことが多かったですから、いちいち書類とか面倒くさ〜い、と結構最近まで思っていましたが、その記録が事故を防ぎ、人を守ることになります。
そうした安全対策も考えていきたいと思います。

とはいえ、管理側の方々は仕事をはじめた時にはすでに陶芸の教室なりサークルなりが存在して、その管理方法もわからないまま日々の仕事に追われてきたのに、事故が起これば管理責任を問われかねない。かなり際どい事態が発生して電気炉へ移行しようとすれば利用者からは「還元焼成が出来なくなる!これまでずっとやってきたのに」と反対意見が出る。それではあんまりでしょう。


利用者の気持ちはすごくわかります。
みんなでワイワイ還元焼成したいですよね!



しかしです。何の指導もなしで不特定多数の、それも高齢者中心の複数のサークルがガス窯を運用するのは無理があるのかもしれません。プロだって30年デタラメな焼成をしてきた人がいたりするのですから。

せめて講習会をひらく、安全管理を行う、今後はそれが必須だと思われます。

わたしが確認しているだけですが、この数年の一酸化炭素中毒の事故は民間の陶芸教室と公共施設ばかりで起きているようです。


わたしはガス窯メーカーで鍛えられましたから、ガス窯が電気炉になると聞くとその寂しさみたいな気持ちは理解できます。しかし電気炉にしか出来ないこともあり、燃料で窯の優劣が決まるわけでもありません。

逆に還元焼成できないという条件でどれだけの作品を作れるのかを競いあっていこうじゃありませんか。


それに。






















 誰かが亡くなってからでは遅いと思いませんか。


posted by inoueseiji at 16:09 | TrackBack(0) | イノウエセイジの頭の中

2021年11月18日

日の名残り

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自分が窯造りを仕事として選んだ理由はある一人の在野の研究家に会ったからですが、大きなもう一つの理由は単純にガス窯の設置費用を貯金するぐらいなら造れるようになる方が早かろう、と考えたからでした。まぁ馬鹿ですからね。

わたしはいくつかの遠回りをして瀬戸の訓練校に入校したので、悠長に貯金をすることは考えられず、そもそも手仕事の修行中に貯金をするような賃金をもらうこともないことを知っていたのもあります。

他の仕事や変なトコロに遠回りをして良かったこととして、やきものには窯が必要だというシンプルな事実にすぐに気がついていましたし、それに気が付きながらもふんわり無視するということもありませんでした。

そんなわけで雑誌「陶磁郎」に載った芳村俊一さんの記事にも敏感に反応しました。関東方面から来た同期に伊豆なんてすぐだ、と距離感のわからない九州人のわたしに変わって一泊での伊豆行きの段取りをしてもらい、入校したその4月の終わりに同期数人と初めて芳村俊一さんにお会いすることになったのです。

わずか数時間のことでしたがその印象は強烈で「やきものをやるなら、まず窯をつくれ!」と直接言われたことは忘れられません。そしてわたしは在校中に結構あっさりと大沢ガス炉商会に就職することを決めました。また学校外でも薪窯の手伝いをする機会を得るように動き、また在学中には同期の有志十名ほどで穴窯を借りて自分たちの手で焚くこともできました。

これまでの動画やブログなどでもこの話はしていますが、わたしの発信なんて大した影響力もありません。もちろんそれでも動画で紹介されていた本を買いました、読みましたと言われることも何度かありましたが、最近若いお客さんから芳村俊一さんの名前を聞くことが何度か続き、それもまったく別ルートで知ったという方ばかりだったのには嬉しい驚きでした。そしてもう亡くなってしまったとはいえ、人生を変えて頂いたものの一人として、氏の発信がじんわりと広がっていることを嬉しく思います。

またそんなお客さんたちが羨ましくもあります。

二十代前半で芳村俊一さんの本を知り、100Vの電気炉を手に入れ、わたしや梶田絵具店さんのサポートを受けられるなんていいなぁ。別に二十代前半に限らず、三十代でも四十代でも何歳でもいいですが、そうした発信に支えられているという羨ましさを感じずにはいられないと言えば、どっかの穴の小さいヤツと言われるでしょうか(笑)。

あの資料館がもう見れないというのは大変残念ですが、バトンはずっと次へ次へと渡されているようですし、わたしもその中に参加していると自覚しています。

自分で掘った土を釉薬や胎土として小さな電気炉で焼成する。
窯も自分でというのは理想ですが、そんな本来のやきものの仕事をマンションの18階で行っているなんて考えると、いつかあの世で芳村さんにお会いすることが出来たら、ちょっとは報告するネタを作れたのかなぁと現時点でも思います。

まだまだ発信しなければならないことがありますが、焦らずにコツコツやるだけでしょう。実は工事や出張があり、合間に自宅での仕事や家事をさせていただいておりますので、動画はもう少し後かもしれません。

写真はウチにあるシブがき隊じゃなくて渋柿を窯場に干した様子です。ウチではこれを行うとああもうすぐ冬になるなぁと思ってしまいます。

皆様もご自愛くださいませ。







posted by inoueseiji at 10:28 | TrackBack(0) | イノウエセイジの頭の中

2021年11月11日

アナリティクスにションボリする


気が付けばYouTubeに300本以上の動画をアップしました。
いま現在6000人以上の方にチャンネル登録していただいております。

本当にありがとうございます。


YouTubeを発信している側には、YouTubeStudioという管理画面があり、自分のチャンネルの情報などを確認することができます。

登録者の数や視聴回数も重要ですが、チャンネル全体や個別の動画のアナリティクス(分析)を確認して、今後の発信の方向性や改善点を探ることができるのです。たとえばチャンネル登録者の男女比であるとか、年齢構成なども知ることができますし、動画のどの時点で視聴者が離れているのかを確認することもできます。

イノウエの場合、多くの方に焼成や窯へ興味を持って、自主陶芸に取り組んでほしいという明確な理由がありますので、基本言いたい放題ですが、それでも時々はこのアナリティクス(分析)を確認するようにはしています。

最近気が付いたのですが、マジメで重要な窯の話をしている動画で必ず登録者が減っているが、ごくまれに出すロクロ動画では大幅に登録者が増えていたという事実です。やれやれ。

視聴回数と登録者の増加を目論めば、週に一二度程度、コンスタントにロクロ動画を出すのが一番いいということですが、わたしは窯の情報発信がしたいのであって、登録者を増やしていきたいのとは少しズレたゴールを目指しているということになります。

それにしても窯の話は登録者が減少するという事実は結構凹みます。
やっぱりロクロは大好きだけど焼成には意識が向いていないという方が圧倒的に多いということでしょうか。

また年齢層もこの動画をはじめた当初はほとんど65歳以上でした。もう終わっているなと思ったものですが、今はこんな感じです。

視聴者の年齢

上段:視聴回数 
下段:総再生時間

女性
男性
26.3%
73.8%

13〜17 歳
0%
0%
18〜24 歳
0.2%
0.4%
0.2%
0.3%
25〜34 歳
1.2%
5.7%
1.1%
4.8%
35〜44 歳
3.0%
9.0%
3.1%
8.0%
45〜54 歳
4.8%
13.9%
4.9%
14.2%
55〜64 歳
6.7%
13.1%
7.0%
13.5%
65 歳以上
10.4%
31.6%
10.5%
32.5%


コピペしただけですから見にくいですが、これは多分ほとんどの陶芸動画の視聴者とそう大きくは変わらないと思います。
圧倒的に男性が多く、65歳以上の男性が一番多いようです。

また、注目すべきは「チャンネル登録」はGoogleアカウントを持っている人しかできません。そのアカウントの情報をもとに年齢や性別を分析しているのであって、そもそもチャンネルを視聴している人数のうち、カウントされているのは全体の三割ほどで、七割程度の人数はデータが取れないということです。

もちろん未登録者は、お前なんか嫌いだぁと登録していない人、あえてログアウトして視聴している人、たまたま観ちゃった通りすがりの人が大多数でしょうが、わたしが危惧するのはいつも観ているけれども「Googleアカウントって何?」という方が相当数含まれているのではないか、そしてそのほとんどは65歳以上ではないのか、ということです。

そうなると様々な方々が発信している各陶芸動画を支えている視聴者のほとんどは65歳以上ということも極論ですが言えそうです。

そこで何をどう考えて発信していくのか。

それを考えていかないと10年経ったら困ったことになりそうな気がしないでもない。

oneclay (1)-COLLAGE.jpg
posted by inoueseiji at 06:07 | TrackBack(0) | イノウエセイジの頭の中

2021年11月10日

「陶芸道具むらかみ」を訴える!


な〜んてことはしないイノウエです(笑)。

先日「陶芸道具むらかみ」のワタナベさんから丁寧なメールをいただき、わたしの動画を製品紹介に利用していただくことになりました。

タイトルに引っ張られてしまった方、すいません。サイトを見てほしいと訴えております。

★陶芸道具むらかみ


あの「世界のむらかみ」に関われるならば本望ですヨ(笑)。
そもそもわたしはネットに出したものを勝手に利用されてもいいと考えている部分もありますし、そのほうが業界のためにもいいと考えております。



タタラ成型機TSR




これがウチに来てから、タタラ成型への苦手意識は完全に消え去りました。
20万円以上するタタラマシーンはちょっと手が出ないアマチュア作陶家、仕事として作陶するプロの方にもお勧めできますし、お値段以上の仕事をしてくれます。

動画中でも説明しておりますが、ローラーの仕組みがよくできているので大きな力が必要ありませんし、それは結果として故障しにくいことに繋がるように感じます。

わたしが指導に関わっている生涯学習センターの工作室には、青くてデッカイあのタタラマシーンがあるのですが、面舵一杯やりすぎたのか、目盛りは狂っているし、厚みのあるものだと力がかなり必要です。そして機能の割には高額すぎて手がでません。

しかしこのシンポさんのタタラマシーンなら、お父さんの単焦点レンズとかお母さんの基礎化粧品セットよりは安いでしょうから、妙な中古機材をネットで探すぐらいなら小型タタラマシーンはコレ一択でしょう!



是非「陶芸道具むらかみ」にてご購入ください。
日本電産シンポさんの正規代理店ですから、ロクロなんかもありますよ!




TS200R_89_1734.jpg

しかしTSRといえばイノウエの青春時代のコレですね。
スズキTS200R。これでウイリー覚えましたねぇ…。


posted by inoueseiji at 05:47 | TrackBack(0) | イノウエセイジの頭の中

2021年11月02日

言葉って難しい

ちょっとした空き時間に大きめの書店をブラブラしてみれば、とある陶芸雑誌の表紙に

「耐熱レンガ」

という文字。

一瞬凍りついてしまいました。

BTSのファンが「チゲ鍋」という文字を見つけたような、アメリカ人が「I love Dog!」というポスターをペットショップで見たような、ベドウィンの首長に「サハラ砂漠」と言っちゃうような、何とも言えない強い違和感を感じました(ナベナベ・犬の肉が好き・砂漠砂漠)。

動画に変な英語字幕をつける方は放置しておけばいいとしても、専門誌が耐火断熱レンガを「耐熱レンガ」とあんなにでっかく表記してもいいのでしょうか。そもそも耐熱じゃないレンガってあるんですかね?

あれでまた読者が築炉メーカーとかに

「耐熱レンガありますか?」

とか変な電話をすることになって

「え?耐火レンガのことですか?

違う?じゃあ耐火断熱レンガの方?

それでもないの?

で何丁ご入用ですか?

え、たったそれだけ?


なんてことにならないかと心配です。



「より土」という言葉があります。

道具土のことですが、より土という呼び名で瀬戸周辺では通じます。
レンガクズとかシャモットで、なんて誤解して覚えておりましたが、先日電話で山内陶料さんに確認すると、ちゃんと鉱山でこのあたりは「より土」になるなと見極めて掘り出し、1300℃オーバーの焼成テスト後にさらに調整して製品化しているとのことでした。

ウソを聞いてしまったお客様、申し訳ございません。
意外と天然ものですね。目利きでより土を作る瀬戸のおじいちゃんのより土屋さんがありましたが今はどうなっているのでしょう。

昔の窯詰めは、まな板のような棚板に、粘土の棒のようなふといツクでしたので、その棚組の安定のために「より土」は文字通り手で撚って使っていました。それでいて耐火度があり、焼き締まらない、という特殊な性質が必要だったのです。

初めて船に乗り込むヤツに「もやい結びやってみろ!」とロープを投げるように(なんかの映画であったなぁ)、昔の窯詰め職人は「ちょっと撚ってみやぁ〜!」と新入りがザクザクで使いにくい「より土」をどの程度扱えるのか、紐状に撚る際の手付きで判断していたとか。

茶碗の目土にしたり、ゼーゲルコーンの土台にしたりするのですが、現在の製陶所や工房では使用頻度が低いものだろうと想像します。

また地域によっては「より土」が「道具土」とイコールになっていないところもあることを確認しております。そうなると動画や電話で「より土が〜」なんて伝えたつもりになっていても、「可塑性があり、耐火度があるが焼き締まらない粗い土」ではなく、単純に「紐状に撚ったウチの粘土のこと」となっていることもまま有り得るということだと推察します。

実際に瀬戸でいうより土ではないものでゼーゲルコーンやオルトンコーンの土台を作っている人は意外と多いのではないかと今回いろいろな事例を知り、想像しています。あなたはどうですか?

言葉は非常に難しいです。
わたしは言葉の専門家でもありませんから、そのあたりの表記がフラフラしていると思いますし、やきものの世界は世代や地域によって言葉や常識、非常識が大きく異る世界でもあります。

とはいえ、答え合わせは世代が違っても可能だと思いますので、今後とも発信には気をつけていきたいと思います。

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posted by inoueseiji at 07:00 | TrackBack(0) | イノウエセイジの頭の中

2021年11月01日

焼成指導の七つ道具とその考察

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立ち会いでの焼成指導が今年はやたらと続きます。

もちろん100Vの電気炉のお客様も電話でのご説明や焼成時に連絡を待機しておりますが、ガス窯で初窯であれば現地での立ち会い焼成が必須だと考えています。

それはわたしが焼成と窯のいろはを教わった大沢ガス炉商会の創業社長がそうしていたからですし、会社に設置していた貸窯の指導でも熱心に学生や訓練校の生徒に窯の焚き方を教えていたからです。

大沢社長に習って焚き方を覚えても他所の窯買ったりする学生もたくさんいたわけですが、それはそれとして、まずはガス窯焼成の出来る出来ないを伝えないといけない。

それが築炉メーカーの存亡に関わることになるということも、大袈裟にいえばあるということなのかもしれない。わたしも現在まったく同じように考えていますし、今後もそうしていきます。


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現場に行ってみれば圧力計が狂っていたり、より土がなかったりすることがあって、今では焼成指導には七つ道具のようなものを持参して望んでおります。ちょっと紹介してみますね。

  • 焼成グラフ用紙(ふくおか陶芸窯製)
  • 筆記用具(エンピツ・三色ボールペン・ナイフ・メジャー)
  • ゼーゲルコーン・オルトンコーン(#8、#9、分度器)
  • より土(道具土)
  • 熱電対・補償導線・温度計セット
  • 赤外線温度センサー(非接触式)
  • バーナーヘッド
  • 50kpaガス圧計・パッキン
  • レンガ・レンガノコ
  • モンキーレンチ等工具
  • 軍手・皮手
  • ライター2ケ
  • テスター・起電力表(熱電対R・K用)

じぇんじぇん七つじゃありませんけど(笑)。
現場の状況によってはさらに持参するものは増えていきます。

より土は最近よく活躍しております。
地域によっては使用しないところ、存在が知られていない場合もあるようですので多めに持参しております。

温度計測関係はいろいろと持っていくようにしておりますが、シブいのはテスターと起電力表でしょう。いまのところ起電力表を使用しなければならないような最悪の事態には遭遇しておりませんが、テスターがあればアナログの温度計が壊れていないのを確認したり、熱電対が断線していないのを確認したり、逆に発見したりするのに使えます。

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ライターが2個なのはお客様にプレゼントするためだったりします。シュッと擦るタイプのライターだと窯焚きが終わる頃には親指の皮がヒリヒリすることもありますので、カチッと押すタイプの電子式がお勧めです。

レンガとレンガノコはドラフトの栓を改めて作ったり、壊れている色見穴の栓を作ったりできます。既存のドラフトレンガをカットすることもあります。

モンキーレンチなどは引っ張り棒が締め付けられたりしているのを緩めたりするのに使用しますが、他にも基本的な工具があればだいたいのことができますよね。

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赤外線の温度センサーは窯の表面温度やエントツの表面温度を計測して、お客様と確認することができます。なにより数字で温度が確認できれば安心感があります。

焼成指導は長い時間がかかり、他メーカーのユーザーさんであれば有料での仕事となります。受ける側も責任感をもって望んでおります。

お困りの方がありましたら相談だけでもご連絡ください。


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(コロナ太りと日焼けで丸い)
posted by inoueseiji at 13:37 | TrackBack(0) | イノウエセイジの頭の中