2022年09月30日

ライターを買おう


ちょっとサボっていたらもう9月も終わりです。
今月は納入が結構あったのですが、年内はこれで終了であとはコツコツと営業活動をするのみ。

時間はあるので質問やお問い合わせも大歓迎で対応しております。

これまで焼成指導(この言葉ちょっとエラそうだよね)や質問をいただいてきた方々で気になっていることがあります。
ガス窯のみのことになるかと思いますが、倒炎式の窯であれば本体側面にある色見穴、バーナーと同じ線上の本体壁にバーナーの数だけ開いている小さな穴です。

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ここで炉圧をみて窯を操作していくんですが、相談や指導などの対応をさせていただいた方々の多くは、この穴にライターの炎をかざす、という確認方法を「知らない」か「行っていない」という方ばかりでした。

先日対応した方はなんとなく知ってはいたけれど手をかざしていただけ。

吹いたら消えるようなライターの炎のゆらめき程度の炉圧の変化を果たして人は手のひらで感じ取れるものでしょうか。まず無理でしょう。

だからお電話があったわけですから。

もしかして窯の方になにか問題があるのかとエントツの長さを疑ったり、設計を疑ったりする気持ちも本当によくわかります。しかしガス窯の場合、薪窯と違って安定したバーナーの燃焼により炉圧は一定の状態をキープできるわけですから、エントツへの「引き」とバーナーの炎の「押し」のバランスをいつも絶妙にとっていかなければなりません。

一度理解して解脱できればこんな簡単な理屈もないんですが、それが腑に落ちるまで、独学ではそれなりに時間が必要かもしれません。その際にハードを疑いだしたらもう沼にハマっていくだけです。

そのメーカーが何十年も続いているのなら、その窯をつかっているプロがいるのなら、ハードに問題はありません。


それよりもライターを買ってエントツの引きをコントロールしてみてください。
目視で確認できることや数値化できることは積極的に利用していくことです。経験が長いとかは関係ありません。理屈を理解していかないと「自分の窯さえ焚けない人」になってしまいます。





posted by inoueseiji at 07:23 | イノウエセイジの頭の中

2022年09月21日

おかしいのは窯の方じゃないの?


世のため人のために発信していても、ネガティブモード過ぎるといろいろな人に怒られてしまいます。
とはいえ、事実は事実として発信しなければならないので、記録として残しておきましょう。

ずいぶん前にあったお電話での相談で、ちょうど自分が在籍していたころの大沢ガス炉商会の0.2㎥のガス窯について。

購入は中古で、人を介しているので前の持ち主も経路も不明。一度大沢ガス炉にも電話したようだけれど社長不在で対応されず。で、うちに電話やFAXがきたという流れ。内容は横バーナーがわけわかんないということでした。

大沢ガス炉商会のガス窯は横バーナーです。
これにはいろいろなメリットがありますが、ここではその説明は割愛します。

この相談者は中古購入から10回ほどの焼成で全然思ったように焚けなかったとのこと。
自分は他にも他社の0.4㎥のガス窯を所有していて志野をやっている、陶芸歴50年というアピールもこちらが聞く前からあり、おかしいのは大沢ガス炉の窯の方じゃないの?という疑いの心が丁寧な口調の向こうから見え隠れしているような感じでした。

これは通常有料相談案件ですが、大沢ガス炉商会の窯であること、ネームプレートからイノウエが製造した可能性が高いことを相手に伝え、大沢ガス炉商会に成り代わって無料対応にすることとしたい、とこちらから提案しました。有料相談というものがあるということ自体、その方には寝耳に水みたいでしたが。

もちろん大沢ガス炉商会さんにしたって中古の経路不明な窯のことを問い合わせたところで、はた迷惑な話だということは理解しておいてください。そもそもこの相談は本来その窯を売りつけた中古販売業者が対応すべきことです。


・窯のサイズが変わる

・窯のメーカーが変わる

・下バーナーが横バーナーに変わる


これで思い通りに焚けなくなる人は意外と多いですし、残念ながらそういう方はまだ基本を押さえていないとも言えます。

自分はアマチュアとはいえ50年やっているんだ、大きな窯も持っているんだ、志野で3日も焚いているんだ、電話での丁寧な言葉の端々から垣間見えるこの方のプライドも、よくわかります。

大沢ガス炉商会の名誉のために書いておきますが、アナタが知っているあの人もアノ人も大沢ガス炉商会のガス窯で作品を焼成しています。わたしの同期の方も同じサイズで志野をバリバリ焼成しています。

そしてイノウエがこのエラそうなポジションでいられるのも「大沢ガス炉で仕事していました」と伝えるだけで、他メーカーの社長、会長、工場長がピリッとするぐらいのレベルの窯造りを大沢ガス炉が常にしてきたからです。

この相談者が口には出さないまでも、そもそも窯の設計がわるいんじゃないかと、横バーナーのせいにしたくなるのもわかります。それでも20分ほどの質疑応答で問題点をあぶり出すことができました。

そしてわかりやすく詳細に、焼成時の操作や注意点をお伝えしました。これでわたしとしては解決ですが、当のご本人が納得したか、今後アドバイスどおりに焼成を行うかはわからないですし、確認しようもありません。自分の50年の陶芸歴を一度捨てなければ改善できないかもしれません。


難しいのは小さな窯です。
大きな窯のほうが簡単なんです。

そしていつもお伝えすることですが、焼成で大切なのは、還元かけるところとか緋色をだすために3日ひっぱるとかではありません。


最初の4時間です。


そこがコントロールできていないと焼成は失敗します。また炉圧の捉え方も重要です。
ガス窯の場合、窯の側面、バーナーの延長上にある色見穴で確認します。ライターの炎をかざしてわずかな圧力の変化を感じ取らなければなりません。手をかざしても絶対にわかりません。

むかしの人はどうだったのよ、という質問もあるかもしれませんが、ガス窯は戦後にでてきましたから、まったく別の文法が必要です。

これはまた「窯のはなし」の動画発信につなげていきたいと思います。





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posted by inoueseiji at 06:44 | イノウエセイジの頭の中

2022年09月16日

半分の半分

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(半年の成果を発表しているじぇ)

16年ぐらい続いた生涯学習センターの一年講座を、本年度は半年講座とし、毎週講座だったのを月二回に変更した。
当然講師収入は半減するわけだが、センターが持つ様々なデータから、あえてそれにチャレンじしたわけです。

一年毎週講座の敷居は相当高いらしく、常連で固まっているんじゃないか、受講生の人間関係も独特なのではないか、など不安要素が多いらしい。

今年の半導体関連部品の供給不足など想像もしていなかったのもあり、ふくおか陶芸窯の仕事的にも都合が良いと二つ返事で改変に応じたのであります。

蓋を開けてみれば今ままでありえなかった若い世代も多く受講し、なにより新規の人が一気に増えた。これは事務所ともども狙い通り。
また月二回というのも働きながらの方も受講しやすいということが改めてわかったし、受講する側の負担も軽いようです。

これまでの講座からすれば半分の半分になったけれど、逆にそれだけ講師の負担は増えました。
新規の人、なにもわからない人が一気に増えたことで、いかに自分が継続受講の方に甘えていたのかを痛感しました。

また一年講座から引き続き申し込まれた方々には、事前に説明をしっかりと行ったにもかかわらず、思ったような講座内容ではない不満の声もチラホラ聞こえましたし、途中退講もありました。

生涯学習センターは民間の商売敵になってはいけないわけですし、そもそもきっかけとしての講座が設定です。
長く受講してくださる事自体は、講師としては大変ありがたいことです。正直そっちのほうがこっちも楽です。

でもそうやって腐敗してきた数々の講座があったわけですが、わたしはそうはなりたくないんです。
新規の人、初めての人のきっかけ作り、という明確な目的が生涯学習センターの講座にはあります。
それに共感するから続けています。

とはいえ、半年講座にはやはり無理があったのは認めざるを得ません。指導内容という意味ではなく、そこまで受講生を確保できないということのようです。すでに早い段階で来年度は月二回の一年講座にと言われております。確かにそのほうが電動ロクロなどもできると思います。

9月で前期の講座は終了です。

今日から二日間は講座発表会。


また後期講座も絶賛受講生募集中です。
陶芸以外もよろしく!

大野城まどかぴあ https://www.madokapia.or.jp/





ちなみに何人受講しようがワタシのギャラは変わりません(笑)。







posted by inoueseiji at 10:24 | イノウエセイジの頭の中

2022年09月09日

知らないことが多すぎる




バルブとバーナー。

なんとなく操作していたり、作業内容は教わるけれど意味は教わっていなかったり。
ヨシダさんとの会話から出てきたこの発信のネタ。

これまでのお客様や友人知人とのことを思い出すと、意外と間違っているというか、誤解されていることがあるようで。
そしてエラそうに発信しているイノウエも、誤解していることもあったりして。

相変わらず伸びなさそうなネタのオンパレードですが、これがわたしの仕事だと思って楽しんでいます。
posted by inoueseiji at 06:52 | イノウエセイジの頭の中

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