2023年10月27日

オレだってダメなところからスタートした【窯の設置工事】

通話録音って有効ですねぇイノウエです。

自分の中には勝手なルールがあってここで晒したスカポンタンな事例の答えは、必ずここに書いておくようにしております。ハハハ、なんでこんなルールにしたんだろ。

まぁそれが参考になるのは一人だけかもしれないが、こうした情報でまた取引先との情報交換の話題になったり、お客様になる方々の知識が増えて良い窯選びにつながったり、うまくすれば自分の信用が上がったりするもんです。


ハイ、では窯の設置工事の順番とそのキモをみなさんで再確認といこうじゃないか。
おっと、こんな動画があったぜ。


(今観るとブチギレているのが自分でも分かる笑)

上の動画では”窯の専門家”によるエントツ工事についてお話しておりますが、今回はまた別件です(別業者です笑)

エントツを立てる前段階の工事について解説しておきます。ようするに窯本体の搬入ですね。



  • 目的を持って下見しろ
  • 段差や床の状態で必要な道具や作業内容を検討
  • 窯の扉の向きや屋根の状態からおおまかな設置場所を決めておく
  • メーカーによっては窯本体の脚に車輪を取り付けられるので用意
  • コロやジャッキ、テコを使っていい感じにアレしてバッチリと設置
  • 中国製のレーザーはいいけどパレットトラックとか論外だって笑
  • エントツの抜ける穴に対して窯本体を微調整
  • 位置が決定したらライナーとかアレしていい感じで水平を出す
  • 水平器とか下げ振りとかも大事だが扉の走りとかが重要
  • 台車付きならここでレールを取り付ける
  • レールの水平や左右のネジレをなんか覗くヤツで調整
  • とはいえ台車を実際に動かして走らないかが重要
  • 西鉄電車じゃないんだからガッタンゴットンさせるなよ
  • 9キロレールの仕事は好きじゃない
  • ここまで問題なく決まったらエントツ工事
  • エントツ工事は散々書いてしゃべってきたので検索せい
  • 灯油窯ならバーナーの位置調整と燃料ライン
  • 電源確保で温度計と熱電対の取り回し
  • スピーカーケーブルは補償導線ではない笑
  • 配管・配線が終われば動作確認と操作説明
  • 焼成指導って操作説明とは別次元のことだからさ笑



めちゃんこ大雑把に書いてもこれぐらいはあるなぁ。

それなりの道具とそれなり以上の経験がないといけないけれど、ちゃんと努力すれば誰にでも出来ると思う。だけどアマチュアの方や、仕事始めたばかりの人は、いきなりは無理だと思うというか事故るよ。死亡事故あるからね。


危ないのでネットで中古の窯を購入して自分で設置とかはホントにやめてほしい。

窯の吊り方がおかしいのを動画で見たり、窯のアイボルトがボッキリいっていたり、短すぎるワイヤーを用いてフレームを歪めたり、設置できた気がしても扉が勝手に動いたり、ストッパーをしないと台車が一人で走っていったり。

小型移動式クレーンどころか玉掛作業者も持っていなけりゃそうなるわ。

自分できるぜって?
安く済んだから良かった?

でもさ。
この仕事で一番重要なのは焼成で窯じゃないのかな?

何十年もそんな窯で仕事していくのかい?
扉開けるたびにつっかえ棒して窯出し?


またネガティブなことを〜と怒られそうだな。

まぁアマチュアの方が自分のお金で自分が好きなようにやるのは全然アリです。
それは「アマチュア」だからね。

自分のバイクのブレーキだったら整備士の免許がなくてもイジっていいんですよ。
自分の家の電気工事なら無資格工事でもぶっちゃけいいたい。

壊れても転んでも、感電しても、それって自己責任やんかぁ?






え?


お金を取るプロ?


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(トムブラウンさんお借りします)

それはダメ〜。

posted by inoueseiji at 07:39 | イノウエセイジの頭の中

2023年10月26日

資格は学歴を凌駕する話

アホなイノウエの友人は皆アホなのかというとそんなことはありません笑。

優れた才能や脂質もとい資質を持つ友人も多数いたりします。
その中でも大学の同期のA君は資格によって身を立てている張本人。

そもそも我々芸術学部卒になんの資格があるのかというと、役にも立たない芸術学士様というありがたい学歴、あとは彫刻で強制的に取得させられた溶接関連の技能講習修了証程度。頑張った人には行き先の無い美術教諭の教員免許や、どこにも空きがない学芸員になる資格ぐらい。

大学時代イノウエといっつも酒を呑んでくだらない議論をして、感化されて二輪免許まで取得したA君は、甲信越地方での学芸員の採用が叶わず、地元兵庫県で試験を受けて社会福祉事業団に採用された。まったく畑違いの仕事であるが、そこは地元の兵庫県。任地はどこになるのかなぁ神戸かなぁと楽しみにしていた彼であったが、兵庫県には淡路島というものがあるのを忘れていたのである。県民とはいえ行ったこともない淡路島が最初の赴任地、ガッツリと島暮らしをさせられたのであります。まだ橋が掛かる前の時代で、当時ツーリングがてら遊びに行ったイノウエもフェリーで渡った記憶があります。


そこで仕事の基礎を固めたあと、彼は姫路方面に転勤して結婚もした。休み時間はGPz900ニンジャでツーリングしつつ、様々な資格試験に挑戦していくことになる。彼の職場の社会福祉事業団には大学でその専門教育を受けた人間がかなりいるわけだし、芸術学部卒で無資格の彼がその世界でのし上がるには、だれからも文句を言われないだけの日常業務を夜勤を含めてこなしながら、必要な知識を資格という形で補完していくしかない。要は実戦で胸のバッジを増やすしかないってことですね。

彼の根性は素晴らしく、専門教育を受けた人間でさえ取得が難しい国家資格を、後述のようにいくつもいくつも取得していったのです。夜勤の休憩時間や休日の図書館、そんなスキマ時間を利用しながらこれだけの国家資格を取り、まさに今も取り続けているんです。

日本で一番資格をもっている人の最終学歴は東大卒らしいけれど、きっといくらペーパーで資格を取ってもその世界での作業や実務経験が無いのは虚しい気がします。しかし友人A氏は日々の厳しい業務をこなしながら、上司として事務的な仕事もし、家庭においては良き夫であり、良き父親でもあり、現役のライダーでもあるんです。

残念ながらイノウエが彼に勝てるのは体重と顔の良さ程度しかなく、逆に彼の影響を受けて資格をいくつか取得したし、実はず〜っとコッソリ尊敬しているのであ〜る。

A氏本人に直接言うと、また高っかいガラスじゃないボトルのシーバスリーガルを送ってくるかもしれないから言わないようにしている。


Y氏は暇人かもしれないが、A氏はすごいのである。

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◆A君の資格一覧(一部)

介護福祉士
介護支援専門員
社会福祉士
精神保健福祉士
公認心理師
第二種衛生管理者
第一種衛生管理者
危険物取扱者乙種第4類
学芸員
福祉住環境コーディネーター2級
メンタルヘルスマネジメント2種
メンタルヘルスマネジメント3種
その他受講・研修・講習修了多数

★現在受験中および準備中 一覧

保育士
医療品登録販売者
臨床発達心理士
福祉住環境コーディネーター3級
子ども家庭ソーシャルワーカー
メンタルヘルスマネジメント1種





ひるがえって我々はどうだろうか。

これまで窯のしごとをしてきたけれど、小型移動式クレーンやフォークリフトのような、受ければヤンチャなお兄さんでも誰でも取れる資格を、取ろう、取らせよう、取りたい、という認識がわたしが若かった頃は薄かったように思います。

まだ建築業界は省庁や大手ゼネコンがシメているので資格は取得するしかないという意識が高いと思いますが、小さな業界ではトップの意識に頼るのみだったのかもしれません。ヘルメット被らないとこも多いしね。

これは昔話、昭和・平成の話だから令和の今は大丈夫です、なんて言いたいところだが、今でもそういう感覚を持つ人の存在をわたしは認識しています。まぁたしか一人だったかなぁ。

重量物を取り扱い、電気の配線工事を行う必要もあるのが、陶芸窯を取り扱うという仕事です。未経験の人間ができる仕事じゃないと思いまっせ。

搬入で事故を起こしたりすれば、お客様のハレの日を汚すことになる。敬語も知らない兄ちゃんと無責任な修理で電気炉を壊すだけならまだしも、ショートさせて火災を起こしたり、感電死亡事故をおこすことになるかもしれない。いい加減なエントツ工事で火災が数年後におきるかもしれない。実際に気が付かないうちに壁やひさしの中が炭化していて出火したという火災の事例もあります。

これまで事故が起こらなかったから、たぶん明日も起こらないと思うのは甘チャンです。イノウエは大学時代、麻雀で大勝ちした帰りに深夜の国道のバイパスでバイクで赤信号で止まっていたら、走り屋の車に双方が廃車になるぐらいのスピードでカマを掘られたことがある(ルチャリブレのようにバク宙して顔から着地したので無事でした)


このときにもし被害者のイノウエが無免許だったら?
実に妙なことになったのではないかと思いませんか。


経験が無い人間の搬入で建物や窯本体が傷つけられるのはいただけないことですが、免許と経験があるわたしだってやらかすことはあります。注意していてもそういうことが起こるんです。





窯の単価が高いからって無資格未経験ならやめとこうか。




posted by inoueseiji at 07:21 | イノウエセイジの頭の中

2023年10月22日

テスト初号機は若干ブカブカになったかも【温度計作ってみた】

敵地で手に入る部品で無線機を作る訓練は受けておりませんイノウエです。

とはいえ、自分が仕事で使用する器具の仕組みは理解し、必要であれば修理や補修を行えるようになる必要があります。窯はもちろんですが、温度計や熱電対についても同様でございます。これからどんどん実践してまた情報を公開していきたいと思います。

というわけで。


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このボックスはもう在庫欠品なのでテスト用としてやってみましょう。
温度指示計もまずは寸法合わせに中古を使用します。完成すれば自家用で使用する予定です。

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この道具はニブラー。
築炉のエントツ仕事のときは電動を使っていましたが、自営業ではそこまで要らないのでハンドニブラー。

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ああ〜。

ケガキをもってシビアにするべきでした。
もっともこの指示計は寸法合わせのための中古部品で、別の新品だと隠れたりします。

とにかく今後とも精進しましょう。

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ふくおか陶芸窯製造の1号機は中古筐体ではあるが新品の指示計に取り替え、中の補償導線の配線なども新規にやり直し、スイッチもオーバーホールして完成。補償導線も作って、しっかりと梱包してから、とある先輩に発送です。




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(老眼でアナログは無理だったナリ〜)





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posted by inoueseiji at 07:06 | イノウエセイジの頭の中

2023年10月17日

いってこい式の灯油窯があります

新拠点でお世話になった方ですが、ご高齢で作陶活動をやめられることになりました。
ふくおか陶芸窯にご使用されていた灯油窯を委託されています。

オーナーさんは、作家さんではなく、あくまで趣味の作陶での公募展活動のために使用されていたので使用頻度は低く程度は良いです。かなりの受賞歴をお持ちの方で、縁起の良い窯なのでしょうね。

福岡県の福澤工業さんの0.2㎥で、一度はメーカーさんにも連絡したそうですが、現地確認など有料対応とのことでうまく話がすすまず、お隣さんのわたしにご相談いていただいたという経緯です。

建物の解体とともに搬出し、エントツ等の補修、動作確認、扉ウールの張替えなどをおこなってから、おそらくは来年の引き渡しとなります。価格はまだ確定しておりませんが、お値打ちになると思います。

ご興味がある方がいらっしゃいましたらぜひご連絡ください。
詳細をご案内いたします。



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posted by inoueseiji at 07:08 | イノウエセイジの頭の中

2023年10月13日

13日の金曜日っぽいネタ

いやぁ秋っぽくなってきましたね。
今日のネタは団塊の世代前後は読まないほうが良いと思いや〜ス。



オススメに出てきた動画を添付しております。興味深い内容でした。

陶芸の絵の具や道具、機材でもまったく同じことだと思いますし、それを自分自身でも体験しています。

あえて言わせていただきたいのですが、日本はやっぱりやきもの王国、陶芸王国だとわたしは思います。それだけの技術や蓄積があらゆる産地や窯場に残っていると思いますし、築炉や原料製造の世界にも優れた技術やノウハウがあると思います。

それなのに海外製の窯や絵具も流通していて、それを求める方もいるわけですが、それはお客様になる側に製造元への意識がないのか情報がないのか。わたしには理由はわかりません。ただ、せっかく日本で”陶芸を営む”のにもったいないなぁという個人の感想を持っちゃてマス。

芸術学部で彫刻専攻だったわたしの学生時代に残っている記憶、感覚は、彫刻では喰えないということよりも(そんなことはわかってた)、なぜ我々は彫刻をゴリゴリ造っているのか、という問いも答えもみんなで無視していたというあの妙な空気感の共有でしょうか。

未来の3Dゲームを見越して彫刻を専攻し、クリエイターとしてCAPCOMに行った同期には全員驚きましたし、喰うことを考えるなんてアートじゃないと言い放って教職取っている同期とモメたりした友人もいた。まぁみんなそれなりでした。

そしてやっぱり、日本は陶芸とマンガ!その派生のアニメ!これが世界最強だと思いました。OBにキャッツ・アイの方がいましたし。特殊メイクアーティストになった同期もいたが、そうした喰えるようになった人の在校中の評価は高くなかったんです。

まぁ大学で彫刻専攻だった方、絵画でもいいけど、学校で「こうやったら喰っていけるぜ!」と習った人は皆無でしょう?自分よりも優れた人間を育てることを目的とするのが教育だとわたしは勝手に思っているんですが、美術系の教育ではなかなかね〜。美術は先生がゴールだったりするしさ。

やきものは気合入れれば喰っていけるんです。

添付した動画のコメントにも散見されますが、今さら伝統文化とか〜なんて意見は今まさに”伝統に裏打ちされた豊かな生活”を送っているから言えるのであって、わたしは画一的な味も素っ気もない茶碗やアルミの器しか無いような食文化は御免被ります。

海外を有難がるような半端アーティストの80年代な感覚もキライでした。真剣な日本の青年の弟子入り志願は何人も袖にしたくせに、舞い上がった海外視察で言葉を交わした白人青年が、言葉通りに訪ねてきたら喜んで歓待するような大先生って結構むかしはいましたよね。そういうことではないんだって笑。なぜ教育者は日本の土地を耕さないの?

長期旅行みたいな海外滞在を客員ナントカでしたとか、バブルな旅行を欧州視察とか言ってもいいけど、ア〜タその国にも我が国にもなにも残してないんじゃないかしらぁ〜って言われないようにしましょ(オレじゃないよというニュアンスね:大人になった)

年長者はバカにされても嫌われてもいいので、日本でやきものを志す人に役に立つことを、日本語でアーカイブとして残すのみですよ(日の丸は心に掲げるもんじぇ)

窯の焚き方なんてめちゃくちゃ簡単なのに、なんで言語化できるプロがこんなに少ないわけ?
そして言語化できる人はオープンにしないみたいですしね。もったいないと思う。

ガス窯・灯油窯・薪窯はAIじゃ無理だと思うよ。


半端な秘密とかみっともない。
どんどん出していきましょう。
出せば倍になって戻ってきます。保証します。


わたしは誰かが喰えるようになるために窯についての情報発信を続けていきます。


そんなわたしは、


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(なして薪ば運ばんとか〜!)


13日の金曜日生まれ。
(な〜んて水曜だった)



posted by inoueseiji at 07:53 | イノウエセイジの頭の中

2023年10月11日

1400℃で焼成中?

進化論のダーウィンのおじいさんはパイロメーターを発明したジョサイア・ウェッジウッドさんだって。
はい、イノウエです。今日は長いヨ〜。

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(まだチャンと測れんとね?)


温度計測について最後にまとめておきたいと思います。
一人でごちゃごちゃとマッチポンプなことをやっておりましたが、まぁこれを踏み台にしてみなさんに良い作品を作っていただければ幸いです。

まず、これまで何度も発信してきましたが温度計はとても頼りになるけれど完全に信用してはいけないということです。アイツらが指示している数値に関しては”他業種にいる幼馴染のアドバイス”ぐらいに考えておいてください。

「どげんかいな?」
「けっこう温度上がりよるバイ!」
「そうね、そりゃ良かったたい!」

というぐらいのことですけんね。


窯を焼成するためには温度計のみで行ってはいけません。
必ずゼーゲルコーンやオルトンコーン、自作の色見を複数入れておきましょう。
正しく設置されたゼーゲルコーンとオルトンコーンが一番信用できます。そして還元の状態や釉薬の流れは色見で判断します。

ここまでを共通の認識として以下お読みください。
(コーンは信用できないという人を信用してはいけません)




どのような計測機器にも誤差はあります。まずこの事実をしっかりと押さえてください。
誤差がないなんてあり得ないことなんです。1250℃の1%は何℃かな?

そしてどのような計測機器も徐々に劣化していきます。

どこがどう劣化するとかは計装の専門家が発信してクレイ!と思いますが、わたしの比較試験によれば、デジタル温度計でも20年前のものと新品では数値にわずかな誤差が生じています。また使用された環境や保管状況でも誤差の範囲は変わっていました。

それからもう使用する人も機会も少なくなっているアナログの温度計ですが、使用時には窯の熱の影響を受けない場所で指示面を上に水平に設置し、計測開始前に必ず針のゼロを補正するということを厳守しましょう。今更だけど。

まだ実験できていませんが、わたしの予想では、これらの正しい運用方法で今でもデジタル温度計に遜色なく使用できるのではないかと考えています。アナログ温度計は熱電対からの起電力のみで電源不要で計測できます。電源が要らないのはまだまだ大きな利点になりえるのではないでしょうか。

先日わたしの研究?のためにと吉田さんが持ってきてくれたアナログの温度計は、間違った縦置きが出来ないようにゼロ補正のツマミがかなり出っ張っていました。

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(これなら縦置きできないヨ)

時代的には1970年代の後半のモデル、以前紹介した2つよりも数年後の他社の製品です。おそらくいろいろな所で間違った縦置きを見た設計者がこのようなデザインにしたのでしょう。それよりも針のゼロ補正をマイナスドライバーを使用しなくても手で回せるようにしたという意味も大きいと思います。

吉田さんもゼロ補正なんて聞いたこともないとのことでした。ということは有田の窯大も瀬戸の訓練校も教えていないというか、まぁ我々の頃はすでにデジタル化されていましたからね(そこまでオッサンじゃないぞ)。

わたし個人的には薪窯だったら絶対にアナログ温度計がいいと思います。薪を入れたときにガチャガチャと数値が動くデジタル温度計は見ていて疲れるし笑。ホワイトベースの司令室よろしく数値読み上げる学生とかいた日にゃ鬱陶しいことこの上ありません。

「薪投入完了。ハッチ閉めよ!」
「ハッチ閉め〜!」

 警報発報(ホワイトベースのヤツを想像したまえ)

「艦長、炉内温度上昇中です!」

「何?」

「1192,1193,1194,1195…1200℃!さらに上昇中!」

「イノウエさん、これは!」

「うるせぇ!黙って薪運べ」
(実話ちょっと脚色)



ま、そんな時代もあったね。



デジタル温度計ですが、これに関しては特になにも問題ありません。補正も自動的におこなうようになっています。設置場所はやはり窯の熱の影響を受けない所に設置しましょう。

もし新規に導入してこれまでの計測と100℃もズレがあったとしたらメーカーに連絡しましょう。電源を入れた際に数秒間表示される設定数値などで確認できます。ユーザー側の間違いも指摘されるでしょう。

でもね、先日の記事でのウチの温度計でおきていた設定ミスは例外中の例外だと思います。わたしに温度計測についての発信をさせるため、やきものの神様の粋な計らいだったと認識しておりますし、普通はありえませんからご安心ください。

デジタル温度計の運用方法として半分外みたいな窯小屋の方は使用時以外は取り外して保管しておくことをオススメします。アナログの温度計とは違い、中は指示計や温調計の基盤がありますので、温度や湿度の変化はあまりよろしくないと思われます。



それから補償導線です。

ある意味一番意識されていない部分かもしれません。これは熱電対と温度計をつなぐ導線ですが、専用の線になります。見た目は普通の電線に見えるでしょう。しかしまったく違いますので、代用したり、改造したりしないようにしてください。先日の記事のようにわたしにも失敗経験があります。



また過去にはご自身で補償導線を延長しようとして、通常電線で代用した方の焼成指導を行ったことがあります。そのときにはゼーゲルコーンの8番を事前に渡して色見穴から見える場所に入れてもらっていました。焼成中に補償導線の改造は知らされていませんでしたが、温度の表示が明らかにおかしい。

温度計の数値は1300℃を超えていましたが、かつて経験した1300℃の窯からのエゲツナイ光を色見穴からは感じません。低いんです。1300℃になってもゼーゲルコーン8番もまっすぐに80°のまま。こうなってはゼーゲルコーンを頼りにするのみ。なにしろJISの規格品です。

結局ゼーゲルコーンの8番が倒れたのは1370℃という高温でした笑。後日窯出しの際に補償導線の改造にわたしが気がついて原因がわかったというオチでした。

補償導線も温度計や熱電対に接続する端子部分が劣化していれば新しいものに替えてください。電気屋のお友達がいれば端子部分を新品にしてもらってもいいでしょう。ビニル被覆やガラス被覆がありますが、中の線は同じです。取り回しに気をつければどちらでもいいと思います。ふくおか陶芸窯でも作ってマス。


補償導線の色.jpg
(補償導線の色で判断できるように決まっています)



そして重要な熱電対です。

陶芸窯に使用するのはR型です。これぐらいは覚えておきましょう。
そして世の中にはいろいろな種類の熱電対があります。熱電対が変われば補償導線も変わります。

素焼窯用にK型を使っていることもあります。RとKでは価格がまったく違います。耐火断熱レンガも熱電対も対応温度が高いほうが価格も高いという不思議は追求せずに、単純に安い熱電対は無いとおぼえておいてください。

R型熱電対のプラチナ・ロジウムの素線は0.3ミリとか0.5ミリです。それが保護管に入っています。ちなみにK型でも保護管は同じなので外観で判断はできません。使用する際には保護管の太さの5〜10倍の長さを炉内に出しておきます。出しすぎれば破損のおそれがありますし、1〜2センチだと正確な測定はできません。

あとはこのブログとかYouTubeを検索していただえければこれまでの発信が出てくると思います。温度計測なんてどうでもいいわという方は少ないと思いますので、よければ一度ご確認ください。


今日の記事のタイトルですが、1400℃とか1300℃超で焼成している方がいるらしいという話は実は複数の人から聞いたことがあります。もちろんフクダさんみたいなファインの人ではなく陶芸家で、です。

中にはホントにその温度にしている方もいるとは思います。しかしガス窯を製造していた経験、焼成してきた経験からすれば、それはそんなに簡単に出せる温度域ではありません。

ファインセラミックの世界であれば1700℃とかで焼成しています。わたしはガス窯でそういう窯の製造や補修をした経験もありますが、まぁ耐火断熱レンガが高い。しかも持たない。

1400℃で焼いているヤツがいるらしいと聞けば、わたしはもしかしたら測定の機材などが間違っているのかもしれないと想像してしまいます。その方の窯でゼーゲルコーンの13番とかが完倒しているのなら謝ります。ゴメンナサイ。

でも一度補償導線や温度計の設定などを確認することをオススメします。ゼーゲルコーンって何?という方なら機材側の問題でしょう笑。


さて。ごちゃごちゃと書き連ねてきましたが。

はたして今の陶芸家で熱電対と温度計無しで窯焚きできる方はどれぐらいいらっしゃるのでしょうか。

わたしは多分出来ないかな。やりたくもない笑。
そう考えると昔の人や、みんな大好き桃山陶ってスゴいよね。
そして昔からの自作の色見も重要ってことですわ。



知れば知るほど、これまで炉内の温度を計測しようと努力してきた方々に感謝いたします。
ゼーベック効果のゼーベックさんとか、勝手に写真を使いましたウェッジウッドさんにも。

いろいろなヒントや導きをくださった諸先輩方や友人にも。
(あとがきっぽい)







ジョサイア・ウェッジウッド

パイロメーター

熱電対

ゼーベック効果(読んでもわからん)

トーマス・ゼーベック



posted by inoueseiji at 09:20 | イノウエセイジの頭の中

2023年10月08日

窯元にも企業理念

設備屋さんと久しぶりに呑んだら昼まで寝込む宿酔いになったイノウエです。
(しばらく休肝日)

さてさて。

まぁBM社とかJ事務所とかの報道を見ているといろいろと考えさせられます。
もちろんここに書いていることなんて素人感想なんで読み飛ばしていただいて結構ですが。

二社とも、なぜその企業はなぜ存在しているのかという起業理念がホントに薄いと思います。感じ取れないというか。
わかりやすく言えばお金儲けを最優先にし過ぎた、ということじゃないんですかね。
あるジャーナリストの方の発信でこの”起業理念”という単語が出てきて非常に納得しました。

エンターテイメントを通じてとか、乗用車を通じてとか、なんかいろいろとあるんでしょうけれど。

夢や理想で飯は食えません。お金を稼ぐことは大変重要なことです。
やきものの世界で独立した人はみんなそのことをイヤというほど知っているでしょう。
先立つものがないとどうしようもないですから。

窯焚きは全然うまくいかないのにガス代の請求がくる、自販機やコンビニで一番安いものを無意識に選ぶ、イベント参加時の外食するお店やメニュー、カタギの友人との会食とか、子供がディズニーに行きたいとか、学費とか車検代とか。

少なくともわたしはこんなことでヒリヒリしてきた経験があります。
だからその仕事や事業でお金を稼ぐのはとても大事なことです。

それでもその前に企業理念があるはずです。
なんで起業、独立するのか。

それは窯元さんにも作家さんにも必要なことだとわたしは考えています。

あ、でも決して楽しさとか、エコ、みたいなフワッとしたワードは理念じゃないと思います笑。煙を完全に消したいけれど薪窯にはこだわりたいとか妙なコダワリに人を巻き込む前に、良い作品・製品を作って世の中と誰かの人生を明るくしていただきたい(好きなように作陶していていいそうですよ、エコとか排気ガスとかはたくさんの専門家が考えてるから)

まぁそれぞれ勝手にやってクレイ!



ふくおか陶芸窯には明確に企業理念があります。
そしてイノウエは窯にウソをつかないと決めています。

お金儲けを最優先にするならば、ロクロ動画にからめて最後に必ず100ボルト電気炉の窯出しのシーンまで繋いで、今日の料理は〜とかやって、その器で呑んで食ってまで毎回10〜15分動画にすれば、もっともっと登録者も増えていくかもしれません。実際に昨年はそれを行うつもりで台所のガスコンロまで新しくしておりました。

結局はとあることをきっかけに2022年は「窯のはなし」シリーズを撮ることになり、ウチのキッチンで撮影することはありませんでした。多分もうやんない。

実際にはYoutubeだけでも作陶方法はもとより料理とからめての動画を、他の方々が様々なレベルでやってくれています。ふくおか陶芸窯は、結構それらの発信の恩恵を受けていると思っていて感謝しています。

その分わたしは自分にしか動機が生まれないことを大切にしていこうと思います。
いまは制御盤とにらめっこしたり、デジタル温度計を作ったり、をしています。ほかにも、ロクロの地味な基礎の部分の情報発信とか、なによりも窯に関しての操作方法や選び方、もっと具体的な焼成方法などをわたしは発信していけばいいと考えています。それは義務感ではなく自分なりの楽しさもあるからです。


わたしはうっす薄の意味のない歌詞の歌を唄う(ブログを書く)気はありません。
自分の利益のために無意味な車(窯)の修理をする気もありませんし壊す気もありません。

しかし、そういう考えで世界を5ミリ動かすのはとても大変なことです。

もしかしたら拝金主義で売名行為を行っていくほうがすぐに有名になって影響力を持てるのかもしれません。

陶芸の世界であれば、作家さんはどんどんそんなことをやっていけばいいと思います。
(メッキが剥がれる前に勉強すればいいんだしさ)



でもさ。


法人がやっちゃダメだって笑。

ぶっちゃけ。


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(こちらは配線素材が違うと思うけどなぁ)



posted by inoueseiji at 08:14 | イノウエセイジの頭の中

2023年10月05日

アンポンタンは私?

今日も振り切れた記事になるでしょう。

はい、温度計や補償導線などを毎日毎日イジイジしております。
そしてある程度は「腑に落ちた」といえる状態になったと思います。

そして昨日のこと、これまで使用してきたウチの窯のデジタル温度計の指示計の型番を確認しておこうと筐体をバラし、その型番からネットでカタログとマニュアルをダウンロードしました。

パナソニック、オムロン、新港テクノス、東邦電子、シマデン、いろいろなメーカーさんのサイトでこうしたものが簡単に手に入るんです。いい時代といえるでしょう。


そしてなんと驚愕の事実に気が付きます。

わたしのデジタル温度計、マルチメーターですので出荷前に熱電対の種類を設定しなければなりません。マルチメーターとは、いろいろな熱電対の種類に対応してます、ということです。


当然ながら陶芸窯で使用しますからR型を設定します。デジタル温度計の電源を入れたら数秒間そうした設定の内容が表示されるのですが、なんか(同じメーカーの)他の温度計と表示される数値が違う。マニュアルを片手に設定を確認しようとしたら、そうは簡単に出来ないようにロックされています。

これはお客様が適当に「なんだこのボタン?」みたいに触って設定が変わっては大変ですので、ボタン操作などをロックしているのです。

しかし、こちらにはネットで手に入れたマニュアルがありますので、このボタンとあのボタンを一緒に数秒押して〜とかわかっております。設定メニューのロックを解除して熱電対の種類を入力するキャラクター画面にします。

すると設定の数値は4番になっていないとイケないのに5番に。
ええ?と思ってマニュアルと画面を400回ぐらい確認しましたが、やっぱりRではなくSになっています。

あわてて在庫で持っている同じメーカーの他の温度計を確認しましたが、そちらはチャンと4番でR型熱電対の設定になっていましたので一安心。

わたしはこのデジタル温度計をいつから使用しているかというと、ちょうど10年前から。

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(オイサンの心も曇ってマス)


R型熱電対とS型熱電対はじつは同じプラチナ・ロジウムの熱電対。

だからいっか!

じゃなくて。
起電力が違うわけだから温度計の指示数値も変わるでしょうよ。


ハイ、ではお手元のJISの規準熱起電力表を見てみましょ。

横の100℃単位の縦列がその10℃単位の数値です。
1200の欄の50の枠が1250℃ってことですね。わかりますでしょうか。

R型熱電対の起電力表
IMG20231005065703.jpg
1250℃は13.926ミリボルト。

IMG20231005065708.jpg
(涙で滲んでらぁ)



S型熱電対のほうね。
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1250℃は12.554ミリボルト。

IMG20231005065717.jpg

ではR型熱電対の1250℃と同じ起電力はS型熱電対では何度かな?


どういうことかというと。

このデジタル温度計は「いまS型熱電対が繋がっている」と思っているわけですよ。
S型熱電対だと受け取る電圧が12.554ミリボルトになったら1250℃と表示してくれるというわけです。

しかし実際にはR型熱電対が繋がっていてR型で12.554ミリボルトに近いのは1150℃。逆にR型熱電対からくる13.926ミリボルトだと温度計はS型だと思っているから1300℃オーバーで表示させてしまうというわけ。


アレ?


そういえば最近ガス窯は全然焚いていませんけれど。
去年焼成したときには〜。

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あ〜あったなぁ。
そういうことが。


そしてこの話はもっとアンポンタンな結末を迎えるかもしれません。


そもそも独立してガス窯で作品づくりをしだしたころ、譲り受けた窯に付随していたアナログ温度計を使用していました。そのボロボロの補償導線を見た配電盤屋の友人が「制御盤の温度測定で使用する導線だ」といって新品の線をわざわざウチの窯場に合わせて作ってくれたのです。

そのころのイノウエは、補償導線なんて「アイツはただの耐熱被覆電線だ」と思っている頃ですから、ありがたくその好意に甘えました。



でもね。


おそらく友人が付けてくれたのは補償導線でもなんでもない、それこそただの耐熱被覆電線だったと思います(感謝しているよ)。彼の業務関係でR型対応の補償導線を使用することはあり得ないからです。

そして、その頃どころか先月まで、イノウエはアナログ温度計のゼロ補正なんて知りませんから、アナログ温度計はそこまで当てせずに色見とゼーゲルコーンでカロリーを判断して焼成していました。だから大きな問題はなかったんです。アナログ温度計は狂っていると思いこんでいたわけですし(自分が補正していないのに)

多少は小金を稼ぐようになったのか、10年前にデジタル温度計を購入しますが、友人が作ってくれた導線は変わらずそのままで運用。還元焼成だったりネラしの時間によって1200℃以下の表示でゼーゲルコーンの8番が倒れることもありますので、デジタルになっても温度計をそこまで当てにはしていません。

ところが、去年の窯焚きのときに補償導線と熱電対を別のものに変えてから焼成すると、温度計の表示は驚きの1300℃超え。

その際にも別に驚きもせず「補償導線が新品になったからかな?」なんて思ってコーンを目安に焚いていましたが、実はそれだけではなくデジタル温度計の出荷時の設定も間違っていたということです(でももう時効だよな)

……。

〜。




こんなふうにしてロケットの打ち上げとか失敗してるんだろうなぁ〜。



一人で抱え込めな〜い。
今年いろいろあり過ぎ〜。












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ぜ―ゲルしぇんしぇ〜!
どげんかせんとイカンと?




posted by inoueseiji at 08:16 | イノウエセイジの頭の中

2023年10月04日

一事が万事ってあるかなぁ

近しい人たちから、最近のブログも動画も内容がむずかしいというご意見をいただきました。

ホントすいません。
難しいわけではなくて、ただ随分と右端までイッてしまったようです(左端かも)

私としては、昔から言っていることもやっていることもあんまり変わっていないので、このスタンスをご理解いただければと思います。

さてさて、温度計とか熱電対とか温度計測ですが。
薪窯だろうとガス窯だろうと、電気炉だって灯油窯だって、みなさんにとって温度測定は重要なんですよね(温度計なしで焼成する特殊訓練を受けた人は?)

だから温度計に対しては、正しく使用できるとか、誤差を把握しているとか、頼りにしているけど絶対ではないとか(友達かよ)。そういう感覚あるといいなと。

「オレ、1400℃で焼いてるんで!」

とかさ笑(狂ってるよ)

はっきり申し上げて、わたしの発信する情報なんて自分でイジってなんとなく掴んだようなこと、これが正解、正しいです、なんて自信を持っては言えませんが、それでも何も教わっていない、その機会もなかった、そんな方々へのヒントになれば御の字です。

ちょっとお聞きしますが、アナログ温度計のゼロを合わせるなんて知ってた先輩方はどれぐらいいらっしゃったんでしょうか。学校で習った方はいたのでしょうか。いまなら熱電対の仕組みを何も見ずに説明できる先生とか講師はどれぐらいいらっしゃるのかしら。

どちらもそこまでいないと思うなぁ。


先進国の大学で陶芸を学ぶ人間が一番少ないのは日本だそうですが、そりゃそうだよ。
基本的な機材とかについて教えてもないし発信もしてないんだから(通信教育とかはするじゃん?)

新聞記事だって「窯」なのに「釜」だったり、「陶芸を営む」ってなんだよ笑。それって日本語なの?ピアノを営むって言わないでしょ?


そんな我が国のここではない何処かで。一人で強がってる割には、窯焚き大失敗で泣いている作家さんがお布団の中で涙目で検索したときに「陶芸ブログ アンポンタンの頭の中」なんてヒットしたら最高じゃないでしょうか。

だからわたしはロクロ動画じゃなくていいんですヨ。
窯と機材についてコツコツやっていきます。実際いろいろな方のロクロ動画のお陰で小型炉は売れていますのでホントに感謝しております。

窯の良し悪しが判断できないから発信していく、そうすれば良い製品を作り続けているメーカーがもっともっと評価されるはずだ、というスタンスでもう20年位ネットに書き散らしていますが、なかなか世界を5ミリ動かすのって大変です。でも楽しんでやっていきますぜ。



ただ、窯が選べないということは、

IMG20231004070540.jpg

電気工事なら、今日の作業でどの工具が最も適しているかが分からず選択出来ないのと一緒。

まぁたしかにどれでも切断能力はあるばってんが、わたしは時々窯に関して、この写真のように見えている時があるとですよ(ちなみに青と一番下の赤を選ぶと即退場)




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(はよ呑みんしゃい!)(ホントにこれでよかと?)

そうそう、聖杯もちゃんと選んでね!

posted by inoueseiji at 08:03 | イノウエセイジの頭の中

2023年10月03日

改善策を考える【デジタル温度計表示トラブル】



ひっさしぶりに動画アップしたけれど、ネタがアレ過ぎて誰にも見られてません笑。

そういうことにはメゲないメンタルはあるので、さらにここで補足していきま〜す。

そうそう、この動画は「オレってこんなことも出来るぜぇ〜」とか、「これだからデジタルは〜」なんてことが言いたいわけではありません(販売するなら出来て当たり前だろうし)。この動画にもコメントを頂いているように「あるある」なことだと思いますので、そのための対処方法を示したかったということです(自己責任ですが)

さらに、改善方法をいろいろと考えたのですが、以下のような防水キャップがあることがわかりました。今後はこういう工夫もあってもいいでしょう。

実際の現場では汚れた手で切り替えをすることもままあると思いますし、どのような職場や窯元さんでもホコリはつきものですからね。

中古で引き揚げたり、修理で預かったものなどを見ると、温度計の補償導線の接続部分の端子とか、熱電対の端子のネジのところとか、絶対に粘土が付いてるもんね。




またケースの形状などをよくよく考慮していくことも重要だと思います。温度を表示させている部分はデジタル指示計や温調計です。当然ながら精密機器ですからホコリや虫の侵入がないような工夫が必要です(エアインテークいる?)

また、2点式を選択されるのであればコストは上がりますが、共栄電気炉製作所さんの表示部分が2つあるモデルなんかもオススメです。これならば常に2点の表示が出来ますから便利ですヨ。スイッチ部分が無いので故障もないでしょう。

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(写真借りま〜す)


いま実際に自分でデジタル温度計を作ってみてますが、部品代と手間チンを考えれば、販売されている価格は適正だと思います。高くもないし安くもないってところでしょうか。パワートランスもそうでしたが、あまりにも特殊な用途の機器ですから仕方ないですね。


ということで。
温度計の表示トラブルはとりあえずは直りました。お客様には引き続き使用していただき、今後の経緯をお互いに見守っていくつもりです。

防水キャップしか思いつかなかったけれど、どうすればもっと良くなるのかを考えるって、仕事でもとても大事なことだと思います。製陶所や窯元さん、とにかく誇り高い窯業にはもう一つのホコリもついてまわりますから、電気炉や各種測定器のホコリ対策は今後も課題ですね。

posted by inoueseiji at 07:30 | イノウエセイジの頭の中

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