(ロバジョンがいそうである)
湿度が高い朝のモヤが幻想的、イノウエです。
湿度が高い朝のモヤが幻想的、イノウエです。
さてさて。
最近いただいた質問でいくつか重なった内容があり、ここで紹介したいです。
どちらもガス窯。
一つは温度のコントロールがうまくいかない、もう一つは炉内の雰囲気が揃わない、というもの。
ザックリとまとめれば、コントロールがイマイチということでしょう。
このブログの文章でたいしたことは伝えられないと思いますので、そこは動画などを観ていただくとして。
確認できたり、お電話でお話した方など、意外と多いのが、炉圧への意識がない、その確認をしていなかったというもの。
「炉圧」が正しい用語なのかはわたしは知りませんが、プロの間では通用するので、使っております。ようするに内圧のようなイメージでしょうか。薪窯で薪を投入すると最初に色見穴から炎が吹き出しますよね、あのイメージ。
ガス窯では本体横のバーナー口の上のカベに空いている穴で確認。
ガス窯のわずかな炉圧の変化は見ても手をかざしてもわかりませんので、ライターの炎をかざして確認します。それをやらずにプロになっている方がいましたが、わたし個人の感覚ではあり得ないし、スゴいなと思いました。家業を継いだ方などもそういう感覚の人がいるようですが、いづれの場合も、窯のサイズが変わったことで全くコントロールできなくなりご相談をいただいたというわけでした。
さて雰囲気のはなし。
(あ、一応断っておきますが、きちんとした製造メーカーの窯で煙突の長さなども適正であるという前提で説明します。バランスが悪い窯、設計がどうしようもない恋の歌になっている窯もあります)
一つの例えとして、ロウソクの炎のどこで焼成するのか、というものがあります。別にファラデーとかじゃなくて、外側の酸化炎なのか、芯に近い部分の還元炎なのか、ということですね。
今自分の窯の中でロウソクの炎がどのようになっているのかを想像する。わかりやすく穴窯で考えれば、焚口の部分がロウソクの芯、煙突が炎の先端側ということ。温度が低い場合は、ロウソクのの炎は小さく、温度が上がればロウソクの炎は大きくなるわけです。さらに進めば窯のサイズよりも炎のサイズの方が大きくなる。そうすると煙突から炎を拭き上げるようになるということですね。ま、あくまでイメージで捉えてください。
先述した薪を投入した時でも同じですね。投入直後は炎が大きくなり色見穴から炎が吹き出す。薪が徐々に燃え尽きると色見穴からの炎が小さくなり、やがて落ちてしまう。そこで次の薪を投入という流れ。薪の投入量は窯のサイズと現在の温度などで決めていきます。5分ごとに投入するのは大変だし、かといって30分持たせようとするのは無理。そのあたりで量を決めていきます。入れるタイミング、しっかりと燃やすのか、食い気味に入れていくのか。
ではガス窯です。
ガスバーナーは常に調整されたガス圧で安定した炎を吹き出しています。あとはその量の調整と、薪窯ではほとんど行わない煙突側の操作を積極的に行うことで、炉内のロウソクのの炎がどの程度伸びているのか、をイメージしつつ窯をコントロールしていきます。
そして倒炎式の窯ではロウソクの炎はひっくり返ってますので、しっかりと想像力を働かせて今複数のバーナーで起こした大きな炎の先端はどこにあるのかを、ダンパーやドラフトを微調整し、それによっておきる温度計の数値の変化を確認してイメージを固めて焼成をすすめていきます。
色見穴にライターの炎をかざしてみれば、今炉圧がどうなっているのかがわかります。ある程度の温度になればそれはロウソクの炎のどの部分が炉内にあるのか、ロウソクのの炎の先端はどこに到達しているのかをしっかりとイメージとして捉えます。
結局その答えは、焼き上がりの作品とその焼成の再現性でしか確認できませんが、焼成というものは原理と操作はそこまで難しいものではありません。誰にでもできます。
大切なのは思い込まないこと、確認すること、本や動画やブログはヒントであって、最初の答えは自分に窯でしか知ることはできません。そして、その答えが正しいかどうかは新しい窯や人の窯をいきなりコントロールできるかどうかでわかります。
質問は必ず次の方への発信に繋がりますので大歓迎ですが、情報不足ではまっとうな答えは出来ませんのであしからず。