メームスの自転車は3年盗難補償、イノウエです。
はい、ちょっとご無沙汰しておりましたが。その間のことはまたいつか。
今回は急遽ガス窯の扉周りの話をしておきたいと思います。
これは特定のどこかということではなく、これまでの質問や現場確認での蓄積によるネタ。それが昨日友人との会話で溢れちゃったと言う感じです。
そうなんです、意外と扉周りに難があるところが多いみたいです。
窯は耐火断熱レンガで組まれているわけですが、戸当り部分での密閉性を確保するためにセラミックウールを使用してパッキンにしています。この断熱材は柔らかい綿状のものですから、指でぐいっと押せば跡が残るような素材なんです。そしていくら熟練したレンガ師が築いたとしても、扉と本体のレンガの面がピッチリ合うなんてことはありません。そのために12ミリ程度のセラミックウールでパッキンとしているわけですね。
ということは。
正しい扉の閉め方があります。
厳密には正しいハンドルの締め付け方法があるってことです。
以前関西のある企業の相談で伺った工場のガス窯は、ハンドルに棒を突っ込んで「いのっちぎり」に締めていました。そしてわたしが過去動画で指摘したような本体側のレンガ壁の変形が全てのガス窯で見られました。
まぁ動画を見つけてもらって相談をいただき、その後は正しく運用されているようですからいいのですが、何十年もなにやってんだという話です。

(ただのボランティア活動だったな)
また、過去の話ですが、窯の焚き方自体が間違っていた上に、扉のパッキンの補修もせずに、アーチからガンガン炎が出ていたなんて窯の補修もしたことがあります。お亡くなりになったもとの持ち主の作家さんのバブリーな時代は、そんな燃費の悪い焼成でも立派にゴハンが食べられたのかもしれませんが、小さめの0.3㎥なのに一晩にガスボンベを5本使うなんて、令和の今では無理な話です。

(すっかり隙間が広くなって)
配管工事をしたガス屋さんの父親である先代の方が、夜中にボンベもって窯焚きに駆けつけた、なんて美談のように言われてましたが、わたしが適正な焼成方法を指導したことで「本焼きで一本も使わないんですね」とホントの消費量が分かると相当ガッカリしておりました。配管工事費サービスしてくれてたのね、ごめんね。
窯本体の前面の扉アーチから炎がガンガン出ているなんてビジュアル的にはカッコいいのかもしれないけれど、単に補修してないだけじゃんか、ということです。そして、この扉周囲が購入時のまま放置されているガス窯は意外と多いようなんです。
レンガの壁に謎の何かを塗ったりはしているのに、扉のパッキンが大昔のガチな「石綿」みたいなままだったり、ピンで留めているとか、ウールの一部が欠損しているとか、扉ハンドルで締め上げてペラペラの3ミリぐらいになっているとか。
窯本体側の扉の上が真っ黒に煤けているとか、窯場の天井が黒くなっているとか。
いやいや、ガス窯ですぜ。危な〜い!
■風が吹いたら桶屋が儲かる的な流れを考察してみよう!
- 扉の閉め方が間違ってる
- パッキンが傷んでくる
- 炉の密閉が悪くなる
- 還元ムラ、温度ムラができる
- 火力で炉圧を上げてどうにかする
- アーチから炎
- まだ足りない
- ガス圧さらに上げる
- そもそもダンパーとドラフト操作の原理を理解してない
- まぁだだよ
- ガス代がすごいことになる
- ようやく作品がとれるようになる
- やっぱコレぐらい勢いいるぜ
- ガス屋が儲かる笑
それから旋垂扉の開け方も知らない人が実は結構いるというのも先日友人の作家さんからお聞きしました。まずそこを教えないとと思うけど、知らないままの人もかなりいるようです。そういう窯の扉は、扉の開く側の端のレンガが欠けているので一発でわかります。
個人でも窯元さんでも、コスト意識は大切だと思います。
ガス代も値上がりしています。断熱材も上がりました。
こんな時代だからこそメンテナンスをしっかりしましょうよ。
パッキンの張り替えはそこまで費用はかかりません。そして適正な扉ハンドルの締め方も今一度確認してください。
炉圧を意識した窯焚きで良い作品を燃費良く焼成していただきたい。
わたしができるのはこんな発信ぐらいですが。