2024年11月30日

自分に出来ることをするのみ【窯の爆発事故に思う】

昨日は糸島方面をはじめ、電話で関東の方へのガス窯の操作説明など、窯のことで多くの方と会ったりお話をした忙しい日でした。
また夕方には資格取得をサポートしてくれている設備関係の知人が、液化石油ガス設備士試験の実技試験で使用する気密試験用の圧力計をわざわざウチまで持ってきてくれたりもしました。

そんな中で、自分のYouTube動画へのコメントから高浜の窯の爆発事故を知りました。
事故の詳細はまだ報道でもわかりませんが、お亡くなりになった方のご冥福をお祈りするばかりです。

事故は起こります。
ゼロにするのはとても大変なことです。

わたしは過去に事故現場や火災現場を知っているので、窯についての適当でいい加減な発信や、無資格や未経験の業者の雑な設置工事には憤りを覚えます。

われわれが運用している陶芸窯は電気でもガスでも危険なものです。

そしてなによりもその仕事と人生を支える大切な設備です。
そこで焼成された製品を使用する人の人生を支えているとも言えるかもしれません。

だから昔の人は窯に名前をつけたりしたんだと思います。
今後も窯と焼成については、なるべく良い情報を出していきたいと思っています。

いずれにせよ、わたしは自分に出来ることをするのみです。
今日は一日練習をして、明日の実技試験に臨みます。

IMG20241129220520.jpg
(漏れてなかったみたいです)
posted by inoueseiji at 07:00 | イノウエセイジの頭の中

2024年11月28日

訓練方法を考えることができるか【液化石油ガス設備士試験】

こたつのヒーター交換工事をしましたよイノウエです。

さて。


液化石油ガス設備士の学科に無事に合格しました。
正直7割ぐらいまた落ちたと思っていたので大変嬉しい。

また、というのは14年前だったか一度受けたことがあるのです。
その際に第二種電気工事士やいろいろと取りましたが、液石だけ落ちたんです。
なにしろ国家試験ですし、大沢ガス炉商会で作業の経験があるとはいえ陶芸窯の仕事で、街のガス屋さんと比べればはまったく知識も経験も足りませんでした。試験の勉強もいまほどネットに頼ることもできなかったですしね。

知人のガス関係の方からは、試験は年々難しくなっていると聞いていましたし、そもそも法律や規則は年々増えていくものですから、試験問題も変遷していきます。わたし自身も14年前は「バルクって何なん?」という状態でしたが多少は人生経験とともに設備などへの知識や経験も増えてきました。

以前ここにも書きましたが、これまで仕事でのガス窯の工事を通じてやっぱり自分に液化石油ガス設備士の免許があったほうがいいと思うことがありました。そして陶芸窯に関わるこの数年の無資格によるいろいろな事案に相談されたり、自分も当事者の一人として関わったりする中で、もう一度受験しようと思ったということでござんす。

しかし。

オジサンは記憶力が低下しています笑。
昨日のお昼はなんやったかいな?というお年頃です。

試験勉強は、学科の配管理論はいいとしても、法令の方はかなり苦労しました。
一回では覚えられませんので、毎日毎日酒も呑まずに勉強してきました。

いよいよ学科試験当日。

なんと、苦手な法令はスラスラ答えられたのに、配管理論の方で苦しみました。知っている問題だけど出し方が違うとか、ネットで出ないといっていた分野から出てるとか笑。

そして数十年ぶりにマークシートあるあるを体験しましたよ。

⋯こんなに3が続くか?

とかさ笑。


翌日に回答がネットで公開されて自己採点。
多くの資格がそうであるように液化石油ガス設備士も6割で合格です。

法令は15問中12問正解。8割です。

配管理論はというと。

20問のうち、絶対に正解しているのは10問。
絶対に間違ったのが5問。
ひっかけに途中で気がついたり、書き直したりして、解答の記憶が曖昧なものが5問。
12問で6割ですからこりゃダメだと思っておりました。

しかし先週通知が届いて合格が確定。
めちゃくちゃ嬉しかったオジサンです。

そして。

次は実技試験があります。

配管工事をする資格ですから、配管を作ります。

2024-11-27_15-46-14.jpg
こんなやつ。

IMG20241127133855.jpg
昔なつかしネジ切り機「しぶろくくん」。
寸法どおりのネジ切りになるように微調整をすることが重要です。


これを試験当日に、発表される寸法で、気密試験の実施を含めて1時間以内におこなわなければなりません。つまりこの配管は遅くても45分ぐらいで作成する必要があるということです。

試験会場は初めてのポリテクセンターでどんなところかもわかりません。半分外みたいなところかもしれません。

試験は割り当てられた限られたスペースで作業をおこなうようですから、訓練としては工房の片隅に狭い空間を設定し、寒い中で時間を区切って試験問題の配管作業をする練習を始めました。
訓練方法を考えることができれば濃密な練習ができます。寸法取りとネジ切りはこれまでの経験がありますし、数回練習すれば問題ないところまでカンを戻すことができました。

あとはひたすら組み付けの練習をするのみです。
どの順番で部材を組んでいくのか、組み間違いに気をつけて、無意識でできるようになるまで。
意識して寒くて狭い空間で特殊訓練をしておけば、本番で広くて暖か〜いと余裕を感じることができるかもしれません。

自分が現役の若いガス屋さんたちに勝てることがあるとしたら、長く教える仕事をしてきて、また自分も趣味の世界で誰かの生徒でもあるので訓練方法を考えること、思いつくことができることぐらいでしょうか。

そんなわけで日曜日の試験を前に、いまの段階で用意スタートから配管作業完成まで35分でできるようになりました。
実際は緊張の中、ゆっくりめの作業をすると思いますので、配管完成まで40分として、気密試験に10分弱、もし配管間違いがあって組み換えをするとしても10分のあまり時間があれば問題ないでしょう。

もちろん油断大敵で前日までしっかりと練習を続けていきます。
12月1日に実技試験、1月初旬に合否がわかります。



陶芸窯の世界をよくしていこう!
posted by inoueseiji at 08:18 | イノウエセイジの頭の中

2024年11月25日

白化粧は器ぐらいにしておいてほしい

すっぴんが美しいと思いますイノウエです。

さてさて。

中古炉でレンガ壁にアルミナコーティングみたいなものを塗っているものがあります。
また、自分で塗ってしまう陶芸家さんもいらっしゃいます。炉壁にそんなことしてもなんの意味もないから止めましょう、とこれまで発信してきましたが、ようやく意味がわかりました。

ようするに傷んだレンガをキレイに見えるようにして売りたいということですね。


IMG20241122163503.jpg

たしかに白塗りすればキレイには見えるでしょう。
むかしの穴でも補修跡も変色も見えなくすることができます。

外見も蒸気で傷んだケースや扉の鉄板も上から新たな鉄板を溶接してキレイに見せることもできます。それはそれで必要なことなのかもしれない。

けれども。


それを購入者に説明していないのはどうかなとわたし個人は思います。
また、炉壁になにかを塗ることは、やっぱりあまりいいことではないと思います。

まぁ個人の感想ですけど。

なにかが剥がれるときやヒーター固定用のピンを抜くときに余計な周りの部分もくっついて崩れることもありますし、いまの窯の状態をただしく把握できないというのも良いことではない。

あくまで一つのヒントですが、中古炉を購入しようとしている方は、こういう部分も意識されてはいかがでしょうか。見た目がキレイということは性能や寿命に全く関係がありません。

もちろんケースのシルバーペイントはサビ落としをして再塗装するべきですが、耐火断熱レンガの表面になにかを塗るというのはあまり良いことのようには思えないのです。

さらにそれが業販されて、窯のことがわからない業者が、窯のことがわからないお客様に売ってしまう、ということになる。
見た目をキレイにしたいのなら中身からキレイにしないと意味はないと思うんだけれどさ。

そういうことが見えてしまうオジサンになってしまったなぁとつくづく思います。



そうそう。

液化石油ガス設備士の学科は合格しました。
今度の日曜日に実技を受けて来ます!
posted by inoueseiji at 05:59 | イノウエセイジの頭の中

2024年11月22日

陶芸家でもないのに陶芸に関わる方々へのヒント

今日は晩ごはん当番でしたイノウエです。

今週は教育系のところと医療系のところの窯の補修が重なり、それぞれで同じような話をしてきたなぁと思ったのでこのネタ。

意外にも陶芸家でも陶芸家になりたいわけでもない人で、陶芸体験や教室に関わる方々というのはいらっしゃいます。作業療法士さんであったり何某かの教育施設に関わる方、NPOのスタッフの方、専攻は油彩だったけど美術の先生になって陶芸クラブの顧問になった人、配属された生涯学習センターに陶芸教室があったりした人たちです。

電気炉が設置されている施設が圧倒的に多いと思いますので、今回は窯詰めと焼成についてよりも、よく起きる乾燥のトラブルとその対策についてお伝えできれば、もしくはそのヒントでも示せればと考えます。

何日も何週間も十分に乾燥させているのに素焼きの窯の中で爆ぜる、ようは爆発しちゃうという場合の原因と対策について確認してみましょう。

その前にまずは乾燥方法ですが、メインの業務の合間の陶芸関連の作業ですから、

  • 確実で
  • 破損がなく
  • 放置していてもいい

という条件を満たすものとします。

理論理屈は下の動画などを確認してください。なによりも重要なことはそのまま板の上で放置していてはイケないということです。
「え、そうだったの?これまで問題なくやれてきたけど〜」という方もいらっしゃるかもしれませんが、決してそれがベストの方法ではないということは知っておいてください。

特に不特定多数の人が出入りする空間においては放置はあまり良いことではありません。おすすめなのは透明のプラケースと新聞紙の組み合わせです。なぜ透明なのかというと、動画にあるような積極的な乾燥方法も取れるからです。また中が見えるというのも大きなメリットです。

estoah_d01011.jpg
(ホームセンターに売ってます)



(質問は動画を観てからお願いいたします)


(これを透明プラケースでするとよかですばい)

(ロクロの動画ですが5:17〜ぐらいからが参考になるかと)

爆ぜる(はぜる)というのは素地の中の水分が抜けきれずに水蒸気爆発するためです。

子どもの作ったものなどはお団子状になっていたりすることがありますが、厚みが1センチ以上になれば爆ぜると思ってください。

そのあたりのイメージが掴みにくい方にお伝えする例えとしては「それがお肉だとして、その厚みをフライパンで均一に焼けるか?」と考えてみるとわかりやすかったようです。分厚いお肉でもステーキ用にカットしていれば両面を焼くことができますが、カタマリ肉ではそうはいきませんよね。それと同じイメージで結構です。

厚みがあるばあいはカキベラですこし中をくり抜くとか、大人であれば本人にそのように伝えて作陶するなどの工夫が必要になります。

素焼きについては800℃で8時間程度の設定であれば、十分に安全なゆっくりした焼成プログラムです。それで中の作品が爆ぜるのであれば明らかに厚みと乾燥状態が原因です。窯や粘土が原因で爆ぜることはありません。

  • 厚すぎると乾燥が十分でも爆ぜる
  • 乾燥が不十分でも爆ぜる
  • 昇温が早すぎると爆ぜる
  • 4時間とか5時間で800℃は早すぎ



過去記事にも詳細がありますのでリンクを貼っておきます。

作品を乾燥させる(2008年9月23日)



次は釉薬ですが、また今度にしましょう。

posted by inoueseiji at 07:42 | イノウエセイジの頭の中

2024年11月21日

筆と窯で考えるコストの話【窯の選び方】

福岡アーツ・アンド・クラフツで爆買いしましたイノウエです。
またいつかその紹介もしてみましょう。

IMG20241117140142.jpg


さてさて。

先日生徒さんとの会話の中で、窯のクオリティというかどこにどんなコストがかかるのかという話の中で、いろいろな例え話をしました。その際に手元にあった絵付用の筆を手にとって説明したら結構納得していただけた、なんてネタ。

やきものは手と窯さえあれば作り出せます。極端なことをいえば焚き火があればいい。
つまり特定の道具が必要なのではなく、知識があれば良いということです。

やきものを生み出さすためには別に電動ロクロもコンピューター制御の電気炉も必要ではありません。
そのような視点で設備や道具を見ていくことも重要です、ということです。

窯ではなにが重要でしょうか。つまりメーカーが製造する窯炉としての重要な要素は何か、ということですね。

まずは設計、つまりは炉内の寸法や容積にかかわるバランスです。
次はといえば断熱材となる耐火レンガなどの素材です。
そして次の次にその厚みや施工方法ということになるでしょうか。

窯のことばかりを説明してもわからないこともあると思います。先日説明させていただいたのは、絵付用の筆を手にして、この筆でもっとも大切なのは穂先であって、軸ではないという例え話でお伝えしました。実際に絵付用の筆、特に下絵の筆などは消耗品です。その消耗品の中で重要なのは穂先、毛の部分です。軸はある程度まっすぐであれば良いということです。厳選された軸に和紙のラベルを貼って「〇〇堂 謹製」なんて立派な軸は必要ありません。

かといって。
残念ながら100円ショップの筆ではどうにもなりません。
これでも大丈夫ですよ〜、なんて言う人はだいたい本来の絵付用の筆を使用したことがない人です。
ちなみに本物だからといって高くもありません。なにしろ消耗品ですからね。

クルマやバイクの中古でもそうです。
ボディのキズは後で補修や部品交換出来るわけですし、タイヤの減り具合なんてどうでもよろしい。
それよりもどのメーカーの車両でどのように乗られてきたのかやエンジンや足回りの状態が重要です。

そしてなんでも出来るクルマはありません。
荷物をたくさん載せたければ可愛さなどのデザインを犠牲にするしかない。デザインを優先すれば居住性を犠牲にしなければならないかもしれない。スピードを追求すれば燃費は無視するしかなくなるでしょう。


そういう見方が窯でもできるかどうか。


プロになることをドコカで意識している方に重要な考え方があります。
すでにルール無用の公道レースは始まっていて、何周も先を疾走している作家がそこらじゅうに履いて捨てるほどいるわけです。

果敢にもアナタはそこへ今更ながらの殴り込みをかけるわけですが。


そのマシーンでいいのかな?


とはいえ。

本物のレースと同様にスポンサーや資金力の関係でマシンを選べないことはよくあります。でもコンチネンタルサーカスは進んでいってしまいます。スタートしていないよりはスタートした方が100万倍マシということです。

なんでも出来るクルマがないように、なんでも出来る窯はありません。
強いていえばガス窯になるのかもしれませんが、設置する環境を選びます。

今あなたに必要なものはなんでしょうか。

明確な作品のビジョンがありそれを具現化する窯?
よくわからんけれど還元焼成ができる窯?
とりあえず焼成できる環境を構築したい?
特定の環境で使用できるサイズの窯?

窯を手に入れるとかならず自分の考えや技術は変化します。
それも考慮に入れておくことをオススメしておきます。



たぶん頭でっかちになっている方の妄想としては、

  • 100Vの電気炉で
  • 64パターンのプログラム制御ができて
  • 還元焼成もガンガンできて
  • ヒーターの寿命が半端なく長くて
  • 補修も自分で格安でできて
  • サンマ皿も入るサイズで
  • めっちゃ程度がいい中古が25万円ぐらい?






うん、無い!
続きを読む
posted by inoueseiji at 07:55 | イノウエセイジの頭の中

2024年11月15日

寝起きのとりとめのない窯選びの話

共栄電気炉製作所の牛田会長から「ブログの記事のアソコとアソコがちょっと間違ってますね」と優しく指摘される夢で目覚めましたイノウエです。

申し訳ございません。ブログ記事には間違いが多々あると思います。
みなさんも100パー信用しないようにお願いいたします。



さて。

昨日は熱電対のことなどを書いておりましたが、それは結局は選び方の話になっていくと思います。

お客様になるみなさんに窯の選び方を伝えるには、窯の基本の情報を教える必要があるでしょう。
窯の構造や素材だけではなく、熱電対のことも温度計のことも含めてです。ガス窯や灯油窯ではエントツのことをしっかりと伝えることも必要です。

例をあげれば、お付き合いがあるとはいえシンリュウさんの窯本体とエントツ部材が別見積なのはいまだに納得できません。エントツなしで焼成はできないのですから、わたし個人の感覚としてはクルマ本体とマフラーが別見積みたいな違和感があります。

また、先日補修のお仕事をいただいて、あらためて確認したシンポさんの電気炉のギリギリセーフな配線の状態や部品はもっとヤバいという気がします。それは内線規定としてはオッケーでしょうが、あくまで規定は最低ラインを決めているのであって充分というものではありません。

クルマの選び方みたいに、今自分が販売しているものや、これから購入を検討しているもの、すでに運用している窯がどのレベルのどの程度の窯なのかをわかっていないという状況はなかなか改善されていないように感じています。

しっかりと選ぶこと、すでに運用されているのなら適正なメンテンナンスを行うこと、使用方法を確認することが重要ではないでしょうか。

特に中古の購入には気をつけてほしいと思っています。新規の窯炉でトラブルことはほとんどありません。これまでわたしに相談されてきたものは95パーセントが中古導入の方々でした。


安くて使えるものが欲しいのが人情です。
それはよくわかります。

では安くていい器はあるのでしょうか。
使うたびに喜びを感じるような器があるでしょうか。

窯も同じです。
それをまず認識していただきたい。

中古が悪いということではありません。ウチのガス窯も中古です。
骨董の器みたいにとはいいませんが、良い中古の窯はたくさんあります。


プロ筋の知人などは厳しい意見も多いです。

”中古とか値段で判断する人に関与する必要はないって。
好きなように買って失敗すればいいんじゃないの?”

そうかもしれません。

でもそれでは日本のやきものは良くはなりません。
さらに言えば、そうした相談されるお客様はみなさん最初は業者などを信用して購入しています。
自分がよくわからない窯のことを、きっとこの業者さんならサポートしてくれるだろうという期待です。

ところが相変わらず地方に行けば行くほどその質は酷い。
窯の製造現場も知らないし、そもそも焚けない。

もちろん産地だからちゃんとしているわけでもないです。
築炉メーカーがみんなこんな考えをしているわけでもありません。
考えるのは社員ではなく経営側ですが、今月の支払いと人件費しか考えられない状態のところもあるかもしれない。

わたしは窯選びをクルマ選びに例えることがよくありますが、圧倒的に分母と分子の数が違いますので、実は比較にもなりません。
そしてこちらには車検も保険も免許もありません。

もっとも最近ではクルマを「メンテナンスする」なんていう意識がない人が多いそうです。

陶芸窯を販売する側は情報を発信する努力を続けていくしかありません。
そしてお客様になる側は情報を収集する努力をするしかないでしょう。

ただし根拠のない情報、顔の見えていない情報には気をつけてください。
もちろんこのブログみたいに100パー信用できないという前提で受け取りましょう。

なによりも焚ける人や窯を造れる人から購入しないとトラブります。

さて、あなたは最近いつ自分のクルマの空気圧チェックとオイル交換をしましたか?
エアクリーナーエレメントとかラジェーターキャップとかも交換するものですが大丈夫かな?
posted by inoueseiji at 07:41 | イノウエセイジの頭の中

2024年11月14日

熱電対の適正突き出し長さって知ってますか?

ようやく朝晩はフリースを着るようになりましたイノウエです。

現実世界の窯の仕事が忙しくなると途端に発信が途絶えてます。
しかし、そうしたお仕事の中で売りっぱなしでやりっぱなしの窯に出会うと、やっぱり発信をしなくてはと思います。
先日もとあるお客様のところで非常に傷んだ熱電対を確認し、補修をこちらから申し出ました。

IMG20241028165042_m.jpg

なぜそんなに傷んでいたのかというと、炉内に出しすぎている上に、差し込み穴と細めの保護管との隙間がそのままだったためです。熱電対の差込口と保護管との隙間は、道具土などで塞いでおきましょう。

そのために排気や蒸気が熱電対の保護管と補償導線の端子部分を腐食させていたということですな。じゃあ、これは誰の責任なのかといえば、なんの説明も出来ない売りっぱなし業者の責任が9割、ただしい熱電対の挿し方を知らなかったお客様が1割ぐらいじゃないのか?というのがわたしの個人的な感覚です。

どこの学校でもいいけれど、熱電対の適正な炉内への突き出し長さを習ったり聞いたりしたことがある人はどれぐらいいるんでしょうか。わたしもそんなことを習ったり聞いたりした記憶はないですね。仕事で色々と見るうちに自然とこんなもんだろうという基準が自分に出来たようなものです。

sc_k2430.JPG

IMG20240907154208.jpg

電気炉であれば側壁に沿って出していることがほとんどでしょう。
ものが当たらないような場所ですね。

この突き出し長さはメーカー事に微妙に違いますが、個人的な経験則としては「スペースなどが許せば少し長めに出すほうが正確な測定にはつながるが、かといって短めが絶対にダメでもない」という感じです。これは多くの作家さんなどが同意見ではないでしょうか。

IMG20200731155909.jpg

問題は制御に直結された最初から組み込まれてた熱電対ではなく、ガス窯や薪窯、電気炉でも中型以上で自分で差し込むタイプのものでの突き出し長さです。さらには測定する場所、つまりは差し込む場所もあるかもしれません。

あまりにも長く出すと作品と干渉してしまうおそれがあります。また高温焼成の方であれば斜めに突き出した保護管がいつの間にかふんわりと熱で曲がって抜けなくなるなんてこともあり得ます。だらりと曲がった熱電対の保護管を製陶所や穴窯などで見たことがあります。

また差し込む場所ですが、これまで熱電対の保護管を折ったり割ったりしたことがある方は、そもそもの測定場所を見直した方がいいのではないかと思います。窯出しのたびに抜き差しをすることなどはリスク要因と考えたほうがいいように個人的には思います。

登窯の温度計測で、各燃焼室に熱電対を挿しているなんてことがあります。まぁ大学とか施設などの窯ぐらいしかないとは思いますが、たくさん測定すればいいというものでもありません。測定後の分析とかあとで資料をもらった覚えもないですし。

ガス窯の天井アーチと扉側の2本で温度計測をする方もいらっしゃいますが、それもストレスが増えるだけで大型炉のお客様意外には特にオススメはしていません。小型炉でそういうことをすると上下の温度差がどうしたこうしたと騒ぐことにもなりますが、温度差ができるのが窯炉であり、その温度差によって焼成室の温度は上がっていくのです。そのあたりの理屈に興味がある方は自分で本でも読んでください。

まぁいいや。

それで熱電対保護管の適正突き出し長さですが、直径のn倍とかいろいろとあるようですが、わたしの個人的な感覚では小指の長さも出ていれば十分だと思います。

もちろん保護管の中がどうなっているのか知っている方は自分で判断されれば良いわけですが、初めてそんなことを考えた、なんて方や、これから窯を購入しようと検討していて、その窯が自分で熱電対を差し込むタイプの窯、つまりガス窯や灯油窯なんだよね、という方には「小指の長さ出しておく」と感覚的に覚えていればいいと思います。そこまで大間違いではありません。


あ、中指でも良いですが意味合いが変わるといけませんので小指にしておきましょう笑。

08f44ccfbd79b1406b54b4c0b3629083.jpg
気がついたらジョー・ストラマーよりもオッサンになってしまったよ。
関係ないけど好きな曲貼っておこう。


posted by inoueseiji at 08:29 | イノウエセイジの頭の中

2024年11月01日

事業継承するほど窯が好きなのか?

結局のところ、自分がしているその仕事を好きなのかどうかということろなんでしょう。
外の世界に自分を探しても見つからないように、自分が何をしたらいいのかなんて死ぬまでわからないんでしょうけれども、今目の前にある仕事を好きになるしかない。

仕事を好きになるということはお目々がハートマークになっているようなノボセた状態ではなく、気がついたら25年ぐらいやってるなぁというようなことですね。

わたしはなんとなくボヤ〜っと陶芸家になりたいなぁ〜みたいな甘い動機で訓練校に入りましたが、芳村俊一さんをきっかけに窯造りを仕事にしました。瀬戸の大沢ガス炉商会で働けたことは自分の人生の軸でありプライドにもなっています。

大沢ガス炉での印象的な出来事はいろいろとあるのですが、創業社長がお元気で、今の社長と工場で一緒に溶接とかをしていた頃、何気なく会話の中で言われたセリフがあります。なんの流れでそういう言葉が出たのか覚えていませんが「オレもなんだかんだで窯造るの好きやでなぁ」と何気なく現社長が言われたんです。

いま思えば彼もまだ40歳前ぐらいだったのではなかったでしょうか。家の仕事だからなんとなく自然と手伝い始めたのかなぁと失礼ながら思っていたので、それは意外な言葉でした。当時わたしもすっかり窯の仕事が好きになっていたので、今でも妙にその光景が記憶に焼き付いています。


窯の仕事が好き。


それはやきものが好きだということですし、それに関わる工場や人が好きということです。
そしてその人々を支える街や地域が好きということです。

わたしは若い作家さんが自分で建てた掘っ立て小屋から大豪邸まで様々な場所に窯を納めてきました。いろいろな人がいて多種多様な仕事のあり方があります。そういうやきものに関わる人たちを等しく応援したいと思っています。なかなか難しいですが。

わたしは窯の仕事を大切に思うからコツコツと努力は続けています。
製造に関わらなくなったことは寂しさもあります。
まぁ今年は珠洲焼の薪窯に関われたけれどもレンガ運んでモルタル練っただけだったし。



昨日のネタの陶材屋さん。

それぞれに事情はあるのでしょうが、仮に事業継承してまでこの仕事がしたかったのならお客様を不安にさせてはいけません。

お客様の窯はあなたの練習台ではない。
窯の仕事は陶芸家の人生にかかわることです。

逆にサラリーマン時代に仕事にしていた得意な部分があるんでしょうから、それを陶芸にからめたことを事業の軸にすればいいのではないかと勝手ながら思いますし、本人もそう思っているんだと推察します。もっとも釉薬屋さんや粘土屋さんがどれほど大変な仕事なのかは知らないのかもしれません。

とはいえ今さらクレーンの資格とか電気工事士の免許なんて取るのも実際は大変なことですし、おそらくその気もないとお見受けします。ロクロや窯焚きも覚えるには時間が足りなさそうですし、これもその気はないんでしょう。


そんなことよりも。





あなたは窯が好きですか?




s-IMG_3784.jpg
posted by inoueseiji at 07:40 | イノウエセイジの頭の中

あなたのクリックでオジサン泣いちゃいます→ にほんブログ村 美術ブログ 陶芸へ