2025年03月28日

LEDぐらいで火事になるなら電気炉はどうかしらん?

こうしてコツコツと記事を書くことを認めてくれていたと思いますので、今日もコツコツ書いていきます。

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今朝のニュースから。


ふくおか陶芸窯の筑前工房では補修の際に40本以上の直管蛍光灯をLED化してきました。

それまでついていた既存の蛍光灯の照明器具の配線などを改造してということになります。
自分でやったからLEDの費用だけですみました。それでも直管のLEDを40本も購入すればそれなりの費用がかかりました。

もし照明器具を全部電気屋さんに頼んで交換すると、なんて考えるとゾッとします。

電気工事士の資格をとっておいて本当に良かったと思いましたねぇ。

当然自分の家やアトリエもLED化しておりますが、それもこうした古い照明器具を改造して配線をつなぎ直しております。


で、やっぱりというか、その方法を適当に発信している人が世の中にたくさんいるんです。Youtubeには大爆笑できるような動画が結構ありました。面白かったです。

資格はいらないというような誤解も散見されますが、直結工事ですから資格は必要ですよ。LEDの箱にも書いてあります。そもそも電線をどうやってつなぐか、たくさんの方法の中からどれが一番オトクで安全か判断できないでしょう。資格をもっていても全員が出来る作業ではないですし。

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(安定器のおかげで不安定期)


ニュースでは10年間で8件の火災と言っていますが、これは公になっている数と思った方がいいでしょう。消防などを通じて機構が把握した数ということです。
われわれの世界でも◯◯県でこんな窯の事故がありましたよね、と取引先などに話しても相手が知らない、逆にこちらが聞いていないことはよくあります。表沙汰になっていない小さなヒヤリハットはたくさんあると思います。

たった8件みたいなことを思う人もいるかもしれませんが、そもそも1アンペアも流れないLEDで火災が起きるのならば、電気炉とかの無資格工事はどうなんですかってことですよ。

40型のLEDは18Wぐらいです。電源は100Vですから、流れる電流は0.18Aですね。

え?
わからへんって?

0.18A×100A=18Wですがな、社長。

え?

電気炉はどないやってですか?


100Vの電気炉はどこも1500Wですさかい、

15Aですわ。


危のうおまっせ!

※普通の蛍光灯の数値とまちがえたので訂正しました。LEDの40型は18Wぐらいが多いですね。
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posted by inoueseiji at 08:32 | イノウエセイジの頭の中

2025年03月27日

お好み焼きの方が難しいと思う【釉薬の調合なんてする?】

電気炉の配線に触ることが当然あるわけですが、新年度を迎えるまえに道具もリニューアルしましょう。
Amazonのポイントを全ツッコミで予算内でイケました。

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(握りやすい!14sqがメチャクチャ軽い〜)

釉薬の調合についてフェアなんかの雑談でいろいろとさせていただきましたが。
意外にも苦手意識がある方が多いようでもあります。

またオジサン陶芸家なんかが「最近の人は調合してないからディープな話が通じない」的な発言をすることもたま〜にあります。
それに同調するオジサンユーチューバーもいたりするから笑、困ったもんです。

料理に例えれば自分でマヨネーズを作ることはないけれど、マヨネーズの原料ぐらいは把握しておくといいのでは、ぐらいのことです。調合に走りすぎてしまうと作品はできませんし、作ることばかりに注力しすぎると釉薬と焼成で失敗する確率が上がったりしてしまいます。

ゼーゲル式とかモルとかを目にしたり聞いたりすることがあるから、釉薬の調合なんて難しそう、わからない、理系じゃないし、なんて発言があるのでしょう。原料の名前も聞いたことがないし、長石の種類で何が違うかなんてわからないこともあるかもしれません。

安心してください。そんなこと知らなくても誰にでもできますし、第一段階としては調合なんて大げさなことをする必要はありません。二、三種類の粉を混ぜるだけ。物足りなければ近所の水たまりが干上がってぬかるんでいる一番表面の細かい土を一割ぐらいブチ込んでやれば、オリジナル釉薬の完成です。

釉薬の調合はシンプルにしようと思えばいくらでもシンプルになります。
まずやってみることが大事だと思うんですよ。

お好み焼き粉をつくる方が難しいですし、クッキーやケーキを自分で作ったことがある女性なら楽勝です。
思い出してください。初めてケーキやクッキー作ったときは大変だったでしょう。でも今はどうですか。


釉薬の調合はとても簡単です。二つの粉なら比率を変えて混ぜるだけ。
では三つの原料ならこの動画を見ておけばいい。


(声が小さい!笑)


大きな声が出せない人はコチラもおすすめ。




座標や数字がキライな人にもオジサンの動画があります。



必要な道具などですが、0.1グラムまで測れるキッチンスケールが今はとても安いしホームセンターで売っています。
それと乳鉢・乳棒と糊分のCMC、あとは刷毛なんかをを梶田絵具店さんでゲットしておけばバッチリです。
そのときに「動画がとても勉強になりました〜」と一言伝えておけば、いいお客様リストのファイルに載せていただけます(たぶん)

余計なお世話を一つしておけば、こういう取っ掛かりのときに100円ショップのものとかで代用しようと思わないこと。これ重要。もう一つすると、自作の釉薬はいきなり壺とかに釉掛けしないこと。テスト大事です。

将来量を作りたいと思うようになってくれば自然と知識や作業経験がついていると思いますので、そのときは自ずとまた別の動画や発信に気付いているでしょう。

何度も言いますが釉薬の調合なんてなにも難しいことはないです。簡単です。
難しくしようと思えばいくらでも難しくなりますが、簡単にしようと思えばいくらでも簡単にできるものだと、まずは思ってください。



そして一度もやっていないのが一番もったいないことなんです。
この世界はやったもん勝ちさ笑。


posted by inoueseiji at 07:44 | イノウエセイジの頭の中

2025年03月26日

電気炉のヒーター線を交換します

いよいよ今週の講座で今年度最後ですイノウエです。

陶磁器フェアでいろいろな方と楽しいおしゃべりをして、様々なことを勉強させていただいたり、逆にアドバイスをさせていただいたりもしました。
なかでも電気炉のヒーター線のこと、交換工事に関してや寿命についてなどのネタが多かったようです。

そしてやっぱりな〜と思うのはヒーター線の交換工事に資格が必要であることを認識している方は「作家さん側には」少ないということです。では「工事する業者側」はどうかというと、これも悪意ではなく単純に知らない部分もあって「無資格での違法工事」を「無自覚」でしているようです。

別にこれは九州に限った話ではありません。いくつかの築炉メーカーでも同様です。電気炉を製造しているところでも誰も第二種電気工事士を持っていないところや、ヒーター線の交換工事に赴く人間が無資格であることもあることはワタシ個人的に把握しています。小型移動式クレーンの資格も無いとかさ笑。

誤解のないようにあえて書いて起きますが、わたしはもうそれを糾弾したいわけではありません。
ちょっと前ならそんな業者は許せねぇとマカロニ・ウエスタンのクリント・イーストウッドぐらい怒り心頭でしたが、最近は単純に陶芸好きな人たちの「傲慢と善良」がそれをさせているんだな、やれやれ、と思っている程度です。

電線の接続には資格が必要です。ニクロム線の交換は無資格で作業できますが、電気炉のヒーター線はニクロム線じゃないからさ。それにヒーター線の接続部分には圧着端子なり変な顔みたいなアイツを使用しているわけでしょう。それは電線の接続の範疇に入り資格が必要な作業ですよ。

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(ヒサシブリダナ!)

この現状を改善する方法は大変シンプルです。

お客様になる側がそれらは有資格者でなければ出来ない作業であることを知るだけです。いろいろとお付き合いもあるでしょうから相手が持っていようがいなかろうが、その事実を確認しないにしても、ヒーター線の交換工事でのリスクヘッジをしっかりと考えておくことです。

修理にわざわざ来てくれた人に「資格者証見せろ」とは言いにくいですよね。だったら見積の段階でメールで資格者が工事するんですよね?と確認するとか、最初のテスト焼成は立ち会わせるとか、相手の責任を確認する方法はあると思います。アナタが感電死しないように考えておいてください。

時々「わたしは女性だからわからない」とか「電気のことなんて理解できない」などと言われる方もいらっしゃいますが、厳しい言い方をすれば、プロとして活動するのであればそんなことを言っても誰も助けてくれません。ちゃんと必要なことを確認して、相手にも見積明細や書類を残してもらうこと、作業後の保証やトラブル発生の場合などについても確認しておきましょう。それを嫌がる相手は十中八九無資格ですからそれでわかります。

そのために多少は役に立つかもしれない記事はこのブログに残しています。

プロの作家が行うべきは、工事代金の値下げ交渉ではなく(それなら相見積を匂わせておこう)、その工事内容の把握とそこで発生するトラブルの可能性を考えて相手の言質をとっておくことです。となると、業者も「この人資格云々も言いそうだな」となって甘く考えなくなるでしょう。また嫌な話ですが、作業中の写真や動画を残しておくことも重要です。工事する側がプロであれば喜んでオッケーしてくれるものです。二流三流の人間は動画や写真をめちゃくちゃ嫌がりますからね笑(一人知ってるわ)

これはわたし自身の経験談でもあります。
トラブルでもない限り、そんな記録をわざわざ外に出すことはありませんが、そうした工事の動画を撮ったことが何度もあります。わたしの場合は変なことするなよ、というギスギスした気持ちではなく、純粋に今後の参考や勉強のためです。筑前工房での井戸のジェット交換なんかもとてもおもしろかったですヨ。


★過去記事 プロと話すのはたのしい
http://inoueseiji.sblo.jp/article/190197271.html



外に出した例としても窯の搬入工事のものがありました。
これはお客様とわたしと関わった方々の素敵な思い出です。


クレーン作業やヒーター線の交換作業には資格は必要です。
陶芸家になるのに資格が必要ないとしても電気工事には必要です。


安全第一でいきましょう。

posted by inoueseiji at 09:02 | イノウエセイジの頭の中

2025年03月25日

プロがひとところで全てを購入することの弊害

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陶磁器フェアにいってきました。

知り合いの知り合いは知人の友人なんてことはいつもあって、あいかわらす悪いことはできないと思わされるのであります。
新たに知った作家さんや旧知の方、お客様が出展されていたり、などもあり楽しく一日を過ごしました。

フェアだけでなく、最近プロの作家さんと話していて思うことですが、作家がひとところですべてを購入する弊害がかなり大きいのではと思っています。まぁ実名を出すのもアレがアレですので、たとえばネットショップで購入することを例としましょう。

ネットショップで家庭用以外の中型電気炉なんかを購入すると、どうもまったく陶芸には関係のない配送業者が搬入してくれたりするみたいです。場合によっては、それはそれで問題ないんでしょうけれどもこちらの世界の常識がないので「どうしてここに設置したの?」とかはたまに目にします。そして電気工事もメーカーの資料丸投げだったり指示もまったくない状態で電気工事をしてもらうと、かえってトラブル原因にもなる漏電ブレーカーをつけられていたり、定格ギリギリで工事されていたりします。

理由は簡単で、配送業者も電気工事店も陶芸用電気炉の常識なんて知りませんからね。
このあたりの話はこれまでもグダグダ書いているので今日はここまで。


問題は釉薬や粘土、溶剤などです。

例えばネット以外でも地元の業者や築炉メーカーが販売していることもあるでしょう。共栄電気炉製作所さんの19号沿いのあそことか、シンリュウさんの事務所の横とかがそうですね。まぁ産地に根ざしたところだと、築炉メーカーのお店でも、そこで取り扱っているのがどこの粘土屋さんや釉薬屋さんのものかはわかっているでしょう。けれども、地方になるとそれがまったくわからなくなる。赤4号です、とか言われても産地や製土業者がわからなければ鉄分がある土だろうとしか想像できません。

釉薬や原料にいたってはトラブルがおきても相談するところがありません。築炉メーカーで購入した粘土の粒子がいつもよりも粗くなっているなんてクレームを言っても製造元がわからないからどうしようもない。

フェアでお話した作家さんは長石がどうもおかしいと思っていたら◯島釉薬はなくなっていて、仕方ないのでネットで同じ名前の長石を購入したら全然溶けが違う。さらにわからなくなって試験場に分析をたのんだらどちらの長石も名前は同じなのに、ソーダ分がまったく違うことが判明したそうです。笑い話にされていましたが、これは製造の現場ではとんでもないことです。成分表からすれば福◯釉薬が売っていた長石が袋に書かれた名前のものとは大違いなのは試験場が確認したから間違いないのですが、今更どうしようもないのであります。


わたしは取引先とお世話なった方々の回し者なので偏ったことを書くかもしれませんが。

でもね、粘土を作っている方から直接購入すればどこに文句を言えばいいのかはわかるじゃないですか。そして実際には文句じゃなくて相談やアドバイスをこちら側がもらえるわけですから、プロの方こそ直接つながっていてほしいと思う。絵具や釉薬原料なんかも梶田絵具店さんに頼めば、今ではトキちゃんがビシバシ助言をくれるので、わからないこや疑問点を解消していけるでしょう。

作家さんたちだって直接フェアなんかでお客様とお話するのは楽しいはずです。それと同じです。
粘土や釉薬原料なんてどこで購入しても同じ、ではありません。
まぁ器もそうだと思っているなら別にいいけどさ。

長石を例にすれば(わたしに大した知識はない)、この長石はどういう釉薬で使う人が多いとか、ここの鉱山はまだ結構掘れてるらしいとか、これ名前はこうだけど実は中身は輸入のコレコレとか、そういう根っこの張った情報をもっているのはそれを生業として産地でつづいてきたところです。有り難いことに、そうした業者さんが今はネット販売にも力を入れているんです。

作陶道具だってそうです。村上金物店のワタナベさんがインスタで歌いまくっているのを見れば、よっぽどネットが調子いいんだな笑、とわたしは思っているのであります。

釉薬もあそこであの人が作っているんだなとわかっているのは大切です。瀬戸でも多治見でも信楽でもたくさん釉薬屋さんはあります。そして絵具や釉薬、原料側の人の知識はとても深くて強い。訓練校や専攻科の先輩のあてにならないアドバイスを聞いて一窯パァにするぐらいならちゃんとプロとつながっておきましょう。

タイパとコスパという言葉と概念が膾炙人口して久しいけれど、コツコツとつくり上げた人間関係や仕事関係が一番のタイパ・コスパの具現化だとわたしは強く思う。迷惑かけるので最後の手段にしているが、わたしは原料や釉薬、絵具、粘土、原料、製造機材、電気工事について相談できるところを複数持っている。それは長い時間をかけてコツコツと積み上げてきたもので、タイパやコスパを考えている人には出来ない関係性だと思う。

惑わされてはいけないのです。

ミニマリストが広いところを借りることが出来ない人の負け惜しみかもしれない(オレが言ったんじゃない)のと同様に、タイパとコスパを追い求めると、貧すれば鈍するでアナタがさもしい人になってしまうのではないかと心配してしまいます。そんなことで人の心を豊かにする作品や器ができるのでしょうかと。

プロの作家さんは顔の見えないところではなく、この業界に立脚したプロの業者さんと関係を築くべきです。
たくさん買い物をすることではなく、相手を信用して任せることです。

プロは買い物した金額の多寡で相手を判断したりしません。
相手が自分を信用していることが確信できたときに全力を出すものです。



「器を売るプロ」も同じだと思っているんだけれどなぁ。



※ホームページの左側に各リンクがあります。
posted by inoueseiji at 08:38 | イノウエセイジの頭の中

2025年03月22日

卒業と合格発表の季節

80年代洋楽ポップスを聴いていたら中学時代の小っ恥ずかしいエピソードを思い出して泣きそうになったイノウエです。
はい、今日は陶磁器フェアに行こうかなと思っております。

先日受験しました危険物乙種4類の結果が届きまして無事に合格いたしました。
やったぜベイビー!

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(ビールでマラカス振っていこう)

また筑前工房でのロクロ道場も進んでおります。

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(ハマったねぇ)

とういわけで、カモフラージュなタイトルと記事はここまででございます。



ちょっとデリケートなネタかもしれませんが、最近高齢者の方の対応を難しく思わされることが続いております。

わたしでさえ「この間さぁ〜」と会話で出すネタの”この間”が8年前だったり、グーグルフォトで「あれから5年」とかで出てくる写真に「もうそんなに経ったか!」と思わされたり、まだ同じ服着てるとかあったり笑。思い違いをしていたり、それを修正できなかったり、永遠に単語や漢字の読み違いをしていたり。

ね、50代でもそうんなんだから。

それが70代以上のご高齢の方であれば個人差は大きいですが、思い違いが強くなっていたり、判断が意固地になられていたりすることがあります。そのため、こちらも丁寧に気をつけて対応と確認をしていかなければならないと思うことが最近いくつかありました。このあいだ福岡銀行の窓口で大声出しているご老人がいたけど正直わからんでもないのよ。だってこっちも50代なんだから。相手にわかるような説明を想像できない人も多くなったしね。

さてわたしの業務のことですが、連絡をいただいたので以前その方とやりとりしたメールアドレスに詳細を送ったんです。全然返信んがないので連絡したらメールが届いた届いていないでひと悶着あって、またイチから電話でのやりとりをしなおしたり。

補修の件で、いざ引き取りという段階で「なんか以前いただた写真と電気炉の後ろのカベと床が違うなぁ」と思って念の為に確認したら数年前に引越してご家族と同居になっていた。気が付かなかったら配送業者はイスカンダルの果てにいくところでした。まぁそんなのはまだいいほうで。

2基目をご検討とのことで、コロナやいろいろなことで値上がりしている現行価格の見積を説明して送付したら、これまた数年前に送っていた過去の見積金額を引き合いにされたり。そもそも見積書って有効期限があるんだけどなぁと思っても仕方ない。それよりも今年の4月からまたいろいろと値上がりしていくので不安しかありませんよ、こっちだって。

似たような話で年齢問わずですが「ネットはもっと安いものがある」と言われたらそれまでです。

じゃあその安いところはラインや電話・メールでなんの質問にも答えてくれて、休日も早朝も関係なく対応してくれるんでしょうか(あと買ってもないのに◯田絵具店とかに質問だけの電話とか失礼だからね笑。せめてメールにしないとさ)

わたしはどのお客様にも統一価格を意識してそれを実践しています。そしてその後の補修については利益をほとんど取らないようにしています。だって”ネットよりも高い”うちから購入してくださった大切なお客様なんですから。

ネットで購入して補修だけたのんでこられる方にももちろん快く対応しますが、その場合は適正料金をいただき、あらためて次回からお客様価格での対応にしています。

陶芸窯って価格競争するような製品とはわたし個人は思っていません。
そして価格はフィルターです。

値切る人と良い関係にはなりませんし、そのとき値切れたと思った人もその分は必ずどこかで払わされますよ。
だっていつかは修理か補修が発生すると思うんだけど。

むかしはガス窯を導入すれば配管工事はガス供給会社がもってくれたりしました。今も少数ながらそういうことはあるでしょう。
だってそのお客様はいまから他の家庭の何倍もガスを使ってくれるんですからね。携帯の機種代0円とおんなじ。

どんどん脱線しますけれど、なによりも怖いのは「そんなことプロに頼まなくてもこうすれば直せるよ!」という無責任な発信と実践を見せてくれる永遠にプロにならない方々のネタ。そんな無責任な発信で数年を棒に振る人のなんと多いことかと思います。情報の取得には汗かきましょう。仕事なり趣味とはいえ貴重な時間を費やすんですから。

ヒーター線を張り替えたら本焼温度で空焚きしてっていつも言ってるじゃん?

ガス窯はいきなり本焼きしないでアブリを徐々にやってくださいって言ってるだらぁ?

窯の選び方げな言いよるばってん、きさん全部の窯焚いたこるあるとや?

なんて誰が言っているのかしら。


最近はクルマのオイル交換の情報さえディーラーはぼったくりと思っている人がいるらしいけど、ディーラーやメーカーが推奨している数値は本当に本当の最低ラインだって知らないのかなぁ。

ああこうしてわたしも意固地なオジサンになっていくんですねぇ。

◆過去記事 ゴルゴ13ルール
posted by inoueseiji at 08:37 | イノウエセイジの頭の中

2025年03月14日

米の研ぎ汁問題にアツくなるには理由がある【与太話】

「アナタ、米の研ぎ汁問題はもういい加減にして働いて!」という声は放っておいて笑。

昨日紹介した粉引の大皿は美しいでしょう。
ここぞという時に食卓に上る器なんです。
器はそうやって育っていくものだと思うのです。


さて。

あまり具体例を出すと我が身がヤバいのでアレですが。

たとえば桃山時代に作られて現代まで銘品として残っているものは、それなりに使い込まれてきた器の良さを持っているものだと思います。みなさんが、いわゆる骨董という言葉を聞いてイメージするような雰囲気の器です。カッコいいですね。


しかし。
そんな器にも窯出し直後のウブなときがあったはず。

それはわかりますよね?

現在の作家モノは、必ずしもそのウブな状態で売られるわけでもない、ということは大人の事情を知る人なら…です。

まぁとある有名な作家さんで、焼成したおびただしい数の井戸茶碗を山に野ざらしに積んで数年放置から数十年放置して、個展をするとなると改めてそこから選び取る、ということをされていた方がいます。それは一つの作品づくりの方法論であるといえますが、自然と古色付けにもなっていると思います。

他にもいろいろあって、土中に数年埋めておくとか、トチ渋につけておくとか、紅茶とか、ベンガラや鬼板の水溶液で着色するとか、あまり詳細を書くとイケない技法がいろいろとあるのかもしれません(かもしれないブログ笑)


じゃあそれが米の研ぎ汁問題となんか関係があるのか?ということになるかと思いますが。


焼成の甘さのような部分が茶碗の味や雰囲気を生み出す一つの条件にもなるのかもしれませんが、それは茶陶では良くても食器では厳しいのではないかと思います。自作の器を改善しないで米の研ぎ汁のような水漏れ防止剤を使用する考え方は、前述したあまり表に出したくない裏ワザを茶陶と食器で混同していく可能性があります。

食器と茶陶の自己主張の強度はかなり違うようにも感じています。


わかりやすく言えば、自分の求める作品の雰囲気が絶対であれば、水が漏れようが関係ありません。モグサ土で志野を焼こうが井戸茶碗を万単位で山に放置しようが好きにすればいい。ファンはそれを数万から数十万円出してありがたく購入するでしょう。

しかし一般の家庭で使われる器を一般人のお財布で購入可能な価格で販売しているのであれば、テレビで見た陶芸家の考え方よりも製陶所の考え方に近いものを採用したほうが良いのではないかとわたし個人は思います。


まぁこれはちょっと脱線しすぎなのは自覚しますが。
与太話なんでゆるしてチョンマゲ。


もう一つ、米の研ぎ汁に潜む問題点があると思います。それは窯焚きなどでもよくある、誰もそれに突っ込めない、周りがそう言っているから自分も、という状況が広まってしまい、いつの間にかそれが事実のようになってしまう、ということへの危惧です。

還元焼成について、ダンパーとドラフトの操作について、ヒーター線について、築炉メーカーについて、エントツの素材について、バーナーの調整方法について、電気工事について、温度計測について、補償導線について。

誤解と誤謬、思い違いに曲解がこれまで山のようにあったし、今も多々あると思います。
実際にわたし自身も五十を過ぎてようやく真実を知って悔しい思いをしたことがいくつもあります。最初にちゃんと伝えてくれればやったのに!とかさ。


何年も間違った窯の操作をして苦労してきた人。


間違った発信で窯の購入に不安を覚えた人。

スピーカーケーブルで温度計測してきた人。

木炭を電気炉に突っ込んでヒーター線をダメにした人。

安直なアドバイスで一窯全部パァにした人。

窯そのものを壊してしまった人。



そんな人たちは。

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誰も悪くありません。



プロだと思った人たちのアドバイスを信じただけです。

米の研ぎ汁のように。




というわけで自分のブログの中ぐらいグダグダ熱く書いておく。

ご安全に!



posted by inoueseiji at 08:34 | イノウエセイジの頭の中

2025年03月13日

米の研ぎ汁問題から脱線する【電子レンジと洗剤】

購入したところが答えないから相談が来るけれど、それでお金を取るほどの商売人ではない自分がトホホなイノウエです。

はい、米の研ぎ汁問題は、派生作品?がまだまだしつこく続きます。

繰り返しになりますが、米の研ぎ汁を使用すると目止めになる、ということを作り手の一部が認識して、お客様向けに説明しているということは、自作の器や陶器一般に吸水性があること、場合によってはクレームになるほどのシミができることを把握しているということです。

だとすれば、本来はその米の研ぎ汁についてももう少し詳しく説明するべきなのではとオジサンは意地悪に考えてしまいます。

精米機で7分づきにしているけれど研ぎ汁が濃すぎますか?

研ぎ汁の理想的な濃度はいかほどでしょうか?

米の研ぎ汁はどこで購入できますか?

なんてさ笑。

まぁたしか1970年代の陶芸関連の書籍には確かに米の研ぎ汁について言及している書籍があったと記憶しています。


また土鍋を購入したら最初はお粥を炊いてから、なんておばあちゃんの知恵袋みたいなことを聞いたことがある人も多いでしょう。でもそれはペタライトが今のように多く使用される前の土鍋の時代でしょう。わたしの世代でも若かりし頃の土鍋土はザクザクの手が痛いような土で、焼成温度を変えてと言われていました。

山内陶料さんが一般売りを解禁されてから、今の土鍋は別にわざわざ1180℃で焼成をする必要はありません。他の製品といっしょにSK7のOFで問題なく焼成できます。逆に1180℃で焼成するとトラブルのもとです。1180℃の根拠は以前書いたので、今日は意地悪して書〜かない。

わたしがこんなことを何度もしつこく書くのは、このノリが窯選びや焼成方法にもあるからです。シンプルな理屈や仕組みを知ることなしにただ米の研ぎ汁を盲信するようなノリ。これを是正しないといつまで経っても何百本記事を書いてもなぁ〜んにも変わらないことになるからです。

その証拠にこのブログでは、毎日まいにち2009年のダンパーとドラフトの記事がアクセストップの状態が続いています。まぁ脱線です。



とにかく。

ベストの状態で焼き上がっても陶器には吸水性がある、といということを理解すれば、電子レンジをどうするかもわかるでしょう。また洗い方についても聞くまでもない。


まず電子レンジについては自作の器で何度でもテストすればいい。もしくは、電子レンジこそお客様にはやめといて、と言っていいのではないかと思います。電子レンジは水分子を振動させるわけですからね。条件によっては器に染み込んだ水で、なんてことがあり得るということですね。

ウチはまぁまぁ自作の器なら
電子レンジに突っ込んでます。使っているのは失敗作が多いので笑。ちなみにグラタンは織部の型打ちの角皿をトースターでガンガン加熱しています。トースターは意外とへっちゃらのはずです、ってイノウエが言っていたとか言わずに、自分の器は自分でテストしてね。


あとは洗い方です。

先日の記事にも書いたように、むかし同期みんながまだまだ未熟だった頃ですが、購入した知人の器からイヤな匂いがするようになったことがあります。昨日食べたカレーの臭いとかそんな匂いではなく、台所の排水溝のようなイヤな匂いです。飯碗でしたが、それが熱いご飯の匂いに混ざって立ち昇るのです。うんざりしてすぐに使わなくなりましたが、ある時ふと思い出して素焼きしちゃったという話でした。


共働き家庭だったりすれば洗い物を流しにつけっぱなしにしていたり、放置していることがあります。それは別に悪いことでもない。そういうことを想定しておく必要が製造業にはあるのでは?ということです。

また食洗機問題もあるようです。親しい方から聞きましたがオサレカフェの器が洗剤臭くてコーヒーが飲めなかったことがあったそうです。そのオサレキッチンを見ると食洗機でガンガン洗っていた。せっかくのオサレ器をセレクトしているのなら、なぜ手洗いしないのかと思ったそうですが、お店のスタッフが業務用食器と混同しているのだろうから仕方がないことだと思ったとのことでした。

食洗機ね。

オートクチュールを家の洗濯機にブチ込む感覚やろ、なんてわたしは言っておりません笑。
そしてそれだけ業務用食器というものが優れているということでもあります。


洗剤にしても流しに漬けっぱなしにしても、器の吸水性を考慮しておくべきでしょう。ワタシがいまこのポジションで無責任なことを言うのはズルいかもしれませんが、自分だったらやっぱり釉薬や土によっては食器用の水漏れ防止剤をしてから販売するかな。

米の研ぎ汁なんて書かないで、初めて使用する前には水につけて、使用後はなるべく早く手洗いで洗ってください、と書くべきでしょう。そして吸水性のこと、洗剤を使用する場合の注意書き、よく乾かすこと、匂いがついたら日光に当てることも有効であること、どうしようもなければ引き取って素焼きするなんてサービスもいいかもしれません。またジーンズのように使い込んでいく美しさが陶器にはあるということも発信しておくべきでしょう。


そしてなによりも作り手は自分の器を自分の生活で使ってテストすることが大事だと思います。耐熱の器を販売したいのなら、一冬しっかりと自宅で使い込んでからにするとか、そういうスタンスが大切です。

そんなに待てない!とかあるかもしれませんが、あの人の器いいよ〜という評判よりも、あの人の器すぐカビる!とか水炊きしてたら割れたの!なんて悪評のほうが780倍ぐらい早く広まってしまうので気をつけましょう。写真付きでトゥイッター笑なんかに上げられたらイヤじゃん?


とりあえず釉薬のことも含めて、梶田絵具店のサイトをチェック!

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(20年以上前にいただいた同期Oさんの粉引大皿。真白だった器がここまで育った。井上家の宴席にいつもあって我が家の祝い事のすべてを知っている大切な器。)
posted by inoueseiji at 08:07 | イノウエセイジの頭の中

2025年03月12日

米の研ぎ汁問題は続きます【釉薬の問題など】

もうすぐ池田屋で会合だぜ!と思っていたら、自分の脱藩のところまで振り出しに戻された気分のイノウエです。

さあ、元気だしていきましょう!

はい、では米の研ぎ汁問題のパート2です。

米の研ぎ汁で器の目止めをするということは、そもそもバッチリ出来上がっても吸水性のあるのが陶器だけど、何某かの要因で通常よりも吸水性が強い状態になっている、ということでしょう。

あ、一応今回からは「自分の器はちゃんとテストして問題ないのはわかっているけれど、クレーム対処のためにあえて製品のシオリに米の研ぎ汁と記載しているんですわ」という方のことではなく、マジで自分の器の水漏れやシミやカビの原因がわからなくて、ネットを検索しまくって「米の研ぎ汁がいいんだって!」となっている人を対象に書きますんでよろしくメカドック!

まずいきなりギャフンとなっちゃいそうなことを書いておきます。これはとても大切な考え方ですからあえて。

自分の器の雰囲気を大事にするあまりに食器としての機能を犠牲にする方や考え方があります。
茶陶とかね笑。時代付けとか笑。まぁそれはそれでよろしい。しかしその場合は米の研ぎ汁なんて言わないで食器用の水漏れ防止剤を使用して「つくり手側が責任をもって」やってください。お客に米の研ぎ汁なんて用意させるのは論外であるようにわたし個人は思いまっせ。気をつけないとどこかが”ペットボトル入の米の研ぎ汁”を販売しそうだもんね。


あなたが有名売れっ子作家ならば、茶筅通しで畳が濡れるぐらい水が漏れてもお茶の先生が怒ることはないかもしれません。逆に「早く器が育たないかなぁ」と嬉々として使ってくださるようなこともあるかもしれません。しかしほとんどの場合は水漏れしたとか貫入にコーヒーの色が入ってしまったとかクレームを言うような方へ説明をする羽目になる確率の方が高い。

衣服にたとえれば量産の器と手作りの器はユニクロのシャツと手縫いのセーターのような違いかもしれません。ユニクロのシャツならガシガシ洗濯するでしょうが、あの子の手縫いのセーターはやさしくソフランで手洗いするべきですよね。まさか洗濯機では洗わないでしょう。無意識でその常識が衣服にはある人が多い。なんででしょうね。

まぁそれと同じで、作家ものの器をどう取り扱うかは、器好きな人の共通認識になるまでは作家側が発信していくしかない(と思うよ)。その際に米の研ぎ汁ではあまりにも哀しい。ていうか、器好きな人の共通認識が米の研ぎ汁になりつつある危機感を感じています。一部のギャラリーの人がそういうこと言っているらしいし。


さて、学校の教科書でも習うように、磁器やb器とはちがって陶器には吸水性があります。それは粘土の種類や釉薬との兼ね合いで変動するわけですが、吸水性がある。つまり焼結したものでも目に見えない気孔が素地に存在しているということです。

当然ながら窯出し直後の器にはなんの水気もありません。そこに米の研ぎ汁なんかをブチ込んでしまうと永遠に雑菌のエサをみずから供給する器になってしまう。つまりカビが発生しやすい器になってしまうということです。

たとえば織部釉を使用した器は渋抜きをしますので、窯出し後に水道水に漬けてからクエン酸水などに浸します(なんでかは過去記事で)。塩酸を使用する人ならもう消毒しているのに近い状態でしょう。それでも長い期間使用していれば高台内にカビが発生することもあります。条件によっては数ヶ月でそうなることもあるでしょう。

まだ窯が熱いのに窯出しして、ピンピン音がする熱い器に焼酎を注いで呑むとかいう◯◯な窯元のニュースを昔みたことがありますが、そんなことをすればもうその匂いは取れなくなってしまいます。

友人や同期の初個展などで購入した器が速攻でカビたり、焼きが甘くて洗ったあとにイヤな匂いが取れなくなったりしたことがあります。幸いワタシはやきものの仕事をしているので、匂いに耐えきれなくなって知人の器を自分の窯で素焼きしたことがあります。そうすればカビも匂いも消えるし、若干何某かの反応も進むのか、そこから一切カビなくなったりすることもあります。しかし、いくらふくおか陶芸窯が「一家に一台、陶芸窯」の世界を目指していても、普通の家庭に窯はありません。だからあくまでこれはやきもの屋の裏ワザです。

はい、ということでここからが本題。
今日問題にするのは釉薬視点での米の研ぎ汁問題です。

まず釉薬の濃度を把握しましょう。濃度で器の吸水性や汚れやすさは変わることがよくあります。濃度というのは器に表面にくっついた釉薬の厚みを管理できるのかということです。


濃度の比較については16年前の過去記事があるので確認してください。


★さまざまな濃度で焼成実験


↓ これは5年前。

★数値で管理できるかな?
http://inoueseiji.sblo.jp/article/187506422.html


焼成温度を変更しないのであれば釉薬の濃度や調合を変更するべきかもしれません。もちろん、そうしろと言っているのではなく、ヒントとしてそういう考え方はどうかしら?ということです。

話がまだまだつづくので、また次回にしましょうかね。

A young woman enjoying pottery.jpg
(AIに陶芸を楽しんでいる若い女性、とお願いしたらこうなった)

posted by inoueseiji at 08:28 | イノウエセイジの頭の中

2025年03月10日

無洗米の人はどうすればいいのかしら?【米の研ぎ汁問題】



お水が冷たいと道具をつかって米を研いでいたことはヨメには内緒のイノウエです。

器を購入したらいまだに「米の研ぎ汁で」という注意書きがあると複数の方から伺いましたし、わたしもフェアなどで購入した器のしおりに書いてあったことがあります。

動画の冒頭でも発言しておりますが、わたし個人は雑菌のエサを仕込むようでイヤです。
反論する方は沸騰させるから問題ないというのかもしれませんが、それでもイヤ。

イヤなものは嫌なんです。
そもそも面倒くさい。

1200℃オーバーで焼成しているものが沸騰ぐらいでどうにもなるかいな、と思います。

もちろんワタシもコーヒー注いだら茶色い汗をかくようなカップを作ったことがあります。
敷物を濡らすような花器をつくったこともあります。
炒めた油が染み込んだ跡が消えないようなお皿を作ったこともあります。

でもね。

撥水剤に逃げてはイケないわけですね。
安直に。

特に食器はね。

器が悪いのに溶剤でどうにかしようという発想をする人は少ないと思います。
あくまでも撥水剤などは保険として使用するものだと思います。まぁ花器は別かもしれません。

これまでわたしが認識した「米の研ぎ汁で煮てください」とか、そういう注意書きをしおりに書いている方々はみなさんプロでした。プロとしての意識から、その製品のクレーム対策として書いているということは理解しております。

ただね。

昭和じゃないんだから、プロの方からそれを是正してお客様を安心させていかないとイケないのではないかな、とオジサンは思うのであります。


もう昭和じゃございません。
令和でござんすよ、旦那。

米の研ぎ汁なんてどの家庭でもある時代ではなくなったのです。
無洗米を使用している人もいるでしょう。
そもそもおコメを食べない外国の方も購入するでしょう。
炭水化物ダイエットしている人はどうすればいいのでしょうか。

大昔の土鍋なんかはかなり粗い土で焼成温度も低くしていたはずです。
ペタライトなんてジンバブエから輸入されていなかったでしょうから。
米の研ぎ汁やお粥を最初に炊け、なんてのは、そんな時代のおばあちゃんの知恵袋的なことです。

だから製品のテストをすることです。

そして釉薬と土の相性や調整をしっかりとしましょう。
もう一度言うけど、食器なら特に。


陶器なら必ず釉薬に貫入は入ります。
ただそこに汚れが入るか入らないかは土と釉薬との相性できまる部分もあります。
こんなときにゼーゲル式なんかも使えるかもしれません。

焼成も関係します。
焼成時の最高温度や窯出しの温度も影響すると思います。ゆっくりと昇温させることや熱いうちに蓋開けるなといつも申し上げております。



新しい器は水だけで洗って、水を吸い込ませてから使い始めとすると良いと思います。
そして町中華屋の厨房みたいにいつまでも洗い物を放置するんじゃなくて、食べ終わって一服したらすぐに洗って乾燥させましょう。手作りであろうとも、しっかりと作られた器ならそれでいいはずです。

そして作家なら自分が作った器を自分の生活の中でもしつこく使っていくことです。
そうしてようやく人からお金を取る器ができるのだとわたし個人は思います。

量産品をバカにしてはいけません。
ここまで書いた様々なことを全クリしている製品なのです。
100円ショップにあるものでさえです。

量産の器の世界の人は「米の研ぎ汁で」なんて言わないと思います。


それとも。


そう言わざるをえない時代なのかねぇ。





◆追記:過去記事をリンクしておきます。

水漏れ防止剤について
posted by inoueseiji at 09:43 | イノウエセイジの頭の中

2025年03月05日

おつ〜【危険物取扱者乙4】

いつの間にやら3月になってしまいましたイノウエです。

さて日曜日に危険物取扱者乙種4類の試験を受けてきました。

学科だけだから楽勝かなぁ?と甘く考えておりましたが、テキストはいいとしても問題集がとても難しかったです。

この試験も6割で合格なのですが、なかなか厳しいと感じていました。

IMG20241203131745.jpg
(オジサンは10日じゃ絶対ムリ笑)

液化石油ガス設備士の合格でちょっと力が抜けたのも正直ありましたし、確定申告でションボリしていたというのもあるでしょう。

試験会場で隣の席は高校生でしたが、オジサンが受験するときのアドバンテージは人生経験しかございません。
ああガソリンスタンドにそんなのあったなぁとか、それって梶田絵具店さんみたいなところ?とか、あの業者さんがそうだったんだなぁとかね。そう考えると若い方々には資格取得後も頑張っていただきたいと思います!

今年の問題でありがたかったのは、プロパンガスの燃焼についての化学反応式の問題が出たことです。これは以前動画にもしたネタだし、液化石油ガス設備士でも必要な知識でした。計算するまでもなく反応式を覚えていたので助かりました。




試験の結果は今月末です。

わたしの仕事に直接の必要性はないのですが、灯油窯のお客様もいらっしゃるし、なによりもこうした試験を受けることで勉強できたことは財産になります。落ちたとしてもです。

また定期的になにか取得していこうかなと思います。


え?
今回の危険物取扱者乙種4類を勉強して思ったことですか?




よくセルフ給油をオッケーにしたなぁ!



でしょうかね。


ご安全に!
posted by inoueseiji at 07:44 | イノウエセイジの頭の中

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