2008年03月21日

水漏れ防止剤について

※価格が改定されたり、新たに知ったことがありますので、過去記事の価格を変更し、追記と動画のリンクを追加いたしました(2020年12月4日)


本焼焼成後の器から、水分がしみてくる(もれる、ではないのに注意)場合や、花器など、長時間水などを満たしておくものには、制作者が水漏れ防止剤を使用することがあります。その種類と用途、使用方法をいくつか説明します。

まず、防止剤を使用する器は完全に乾燥していることが重要です。
使用したものならば日に干してもいいでしょう。よく乾燥させてください。




*食器には使用できない防水剤(花器など)*

次の3種は、もともとは建材等用に開発されたもので、陶磁器に転用されているものです。

POLON-T 油性 1kg ¥1300〜

器に8分目ほど注いで、5分ほどおき、空けます。1日以上十分に乾かしてから使用します。
話は脱線しますが、このPOLON-T、テントやカッパなどの撥水剤としてアウトドアの世界では有名のようです。


KC-88 油性 1kg ¥1800〜

POLON-Tよりも防水力が強い。使用方法は同じですが、原液で使用した場合、乾燥に1週間ほどかかります。
ラッカーシンナーか、POLON-Tで薄めることができます。
1:1で薄めても、POLON-Tより強いです。乾燥が2日ほどになります。


KR-252、D-7 1kg set ¥4900〜

2液反応型の高濃度防水剤です。
内側に刷毛塗りするだけでも強い防水力があります。





*食器に使用可能な防水剤*

CP−M6 水性 1kg ¥2000〜

陶磁器用に開発された防水剤です。
原液の中に完全に器を5〜10分(テストして時間は決めること)浸す。
取り出したら余分な液はふき取る。乾燥時間は器の形状、厚み、気候などによって前後しますが、自然乾燥で48時間を目安にしてください。乾燥して残るのはケイ酸分だけです。
食器用ということで、防腐剤などは使用してありません。開封後はただちに使い切って下さい(菌に侵されやすいため)。未開封でも保存期間は、冷暗所5〜10℃で3ヶ月程度です。


番外 米のとぎ汁

昔からとぎ汁を器に入れて一晩置くとか、とぎ汁で煮るとかいいますが、私はやったことがありません。

・・・これは個人的な意見ですが、わざわざ雑菌のエサを仕込むような気がしてやりたくありません(笑)。それよりも、使う前に十分に水に浸して艶を出し、使ったらなるべく早くタワシで水洗いして、よく干す。そうして器を育てるほうが大事だと思っています。



水漏れ防止剤の効果、特に食器用のもの効果は永久的なものではありません。あくまで補助的なものとして考えてください。

上記の撥水剤は全て、穴やヒビのある器の漏れを防止するものではありません。
安易に薬品に頼らず、土と釉薬の相性、焼成方法や温度を煮詰めることが大事です。








4月23日 追記

撥水剤の使用方法で、最近知ったことです。


冬、屋外に設置した陶板や陶壁では、釉薬の貫入にしみこんだ水分が凍結、溶解を繰り返すことで、釉薬が剥落することがあるそうです。そのため、陶板などの制作では必ず撥水剤を塗布するそうです。もちろん水分が浸透しなければ、汚れもつきにくいですから、制作者の意図したイメージを保ち続けることにもなります。


どんな仕事にもプロなりに気をつけていることがたくさんあるんですね。





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にほんブログ村 美術ブログ 陶芸へ 2020年12月4日追記

水漏れ防止を行うのは陶器の製造ではよくあることです。
しかし土と釉薬の相性などをテストしていくことも大切ですね。



posted by inoueseiji at 09:48 | Comment(0) | TrackBack(0) | 道具や材料に関すること
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