今年度も生涯学習センターでの講座をまかされることになりました。
教えるということで、自分自身の考えが広範囲に深まっていくような気がしています。
今年も17,8名の受講生を迎えることになり、まずは講座の目的を説明するプリントを作成して配りました。
陶芸教室というものは、実に多種多様な形態があると思います。
楽しさを前面にだしているところや、粘土をさわる部分しか生徒が関われないところ、講師がサポートを全面的にするところなど、様々です。
いま現在の私の考えは、やはり自分自身でできるようにする、ということを教える講座です。教える側の理想論かもしれませんが、そういう人も意外と多いのではないかと思っています。
こういう仕事をしている以上、人とは違うやり方をしたい、と思ってしまうのかもしれません。はじめた2年前は、前任者とのやり方があまりにも違ったらしく、反発のようなこともありましたが、その時に土練りが全くできなかった人たちが、まがいなりにもできるようになり、ロクロもある程度回せるようになって、自作の釉薬で作品をつくり、違う先生についてみます、と言って「卒業」していきました。
このように書くと、なんだか私のほうが三行半を突きつけられたように見えますが、そういうことではなくて、私の講座は初級講座ということになっていますので、そもそも何年も連続受講せずに『卒業』していくべきなのです。
また、当初から、ここはカルチャーセンターではない、という決意をして事務局と頑張ってきました。その決意があって、辞めて違うところも経験されたら、と講師が言うということができる、ということです。
もちろん、こうした決意は生涯学習センターだからできるのであって、仮に自宅で講座をするとなると、誰も辞めないような講座を(講座とよばないでしょうね)するようになるのかもしれません。
ここになんだかモヤモヤした矛盾があって(そもそも作品を売るべきですから)、物事を教えるということは、ある程度の公共性が必要なのかもしれない、と3年目を迎えた今は思っています。やはりお金で動いていては教えたりはできないのでしょうか。
若いころは肉体労働のアルバイトをよくしていました。
工具の使い方をおぼえて、身体を鍛えてもらい、お金もくれるからです。
いまの学習センターの講座は、講師の私がもっとも若いのです。
陶芸教育を考え、実践し、経験を積ませてもらいながら、ときには受講生としてではなく、年長者としてアドバイスもいただき、センターから講師料も貰います。
誰の何のための講座なんだろう、とふと思う時もあります。
20年度 陶芸講座 「や き も の」
<講座の目的>
木曜講座「やきもの」では、受講生ひとりひとりが、将来自分自身で、作陶活動を続けていくことができるようになるための基礎講座です。
十数年前に比べると、現在は画材店やネット販売で、非常に簡単に材料や原料を手に入れることができるようになりました。また家庭用電源で使用できる小型電気炉も、完成度の高い多種多様なものが流通しています。それと同時に、私からみれば取り扱いが危険で、プロでもほとんど使用しないような溶剤も、十分な説明なしに売られています。
そうした現在の業界で、消費者となってしまうみなさんに、可能な限り適切な情報、知識、技術を伝えることを目標に、カリキュラムを組んで講座を進めていきます。
ぜひ、自分自身のために積極的に取り組んで、この一年を楽しんでください。
1 原料、材料を適切に管理する
2 陶土を用いて望む寸法の作品を制作する
2-1 陶土の調整と管理および再生
2-2 各種作陶技法および道具
2-3 電動ロクロによる作陶の基本
3 陶土の乾燥工程理解し、それを適切にコントロールする
3-1 乾燥のメカニズムとトラブル
4 素焼きの簡単な化学的理解と、電気炉での焼成
4-1 素焼きの窯の詰め方
4-2 素焼きに必要な温度と土の化学的変化
5 釉薬の簡単な化学的理解と、実際の施釉工程
5-1 釉薬とは
5-2 釉薬の管理と施釉する際の準備
5-3 簡単な灰釉の作り方
6 陶磁器焼成の簡単な化学的理解と、電気炉での焼成
6-1 窯詰めする前の準備
6-2 温度と熱量
7 自分の作品をつくる
7-1 アイディアを形にする
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