最近ネタが豊富です。
陶芸の世界で忌み嫌うものは、釉中や素地に混入してしまう鉄粉などの不純物。
ボロ降り、ボロ、産地によっていろいろな呼び名があるかと思います。
しかし窯や道具類は金属が多く使われています。建物も鉄骨スレートだったり、パートさんのご主人が鉄工所務めだったり、つねにやきものの仕事場は鉄粉の被害を被る恐れがあるわけです。
そのため訓練校などでは最初にそのあたりをみっちりと叩き込まれます。カンナを研ぐのは別の小部屋が設けてありますし、床に粘土を落とすとそれが何キロであろうと処分されます。製陶所などでも同様です。
わたしたちのような業者にしても、相手の仕事場や仕事のレベルをそういうところで判断し、判断されています。個人の方などは無頓着な方もいますが、真っ黒な土でゴリゴリの還元焼成でも、望まないところに黒点が出るのは、それこそ望まないでしょ(笑)。
道具がサビているなとか、両頭グラインダーがこんなところにあるのかとか、撥水剤の刷毛がカチンコチンじゃないか、とかね。そもそも窯場と窯をみれば、その作家なり教室のレベルは正確にわかります。
とくに白い器を作っているところは鉄分やゴミに対して非常に警戒しています。部外者の工房見学ができない所はそういう理由もあります。磁器の産地や作家さんなら特にそうでしょう。
陶芸教室などでも、そういう部分を伝えていけるといいですよね。
わたしは築炉メーカーにいて、そうした工房内での仕事の経験の方が個人の仕事場よりもたくさんあるわけですが、いきなり工房で電動工具を使ったりする鍛冶屋のオジサンには、年功序列関係なく大声を出して止めていました。
そうすれば、それを見た製陶所の社長さんは「コイツはわかっているな。この会社は大丈夫だな。」と思うわけです。
粘土を扱う場所で、カンナを研ぐとかはご法度です。別にあとで掃除するから大丈夫とかいう人に限ってボロが出ております(経験談)。カンナにヤスリ掛けがご法度なんですから、それ以上のことは厳禁だということが容易に想像できますよね。
これを読まれている方々は重々承知されているでしょうから、ぜひこれを機に周囲の無知な方々に伝えてあげてください。
とはいえ。
どんなに管理の厳しい工場でもペケは出ます。
器などにわずかに認められる黒い点。
それはもちろん機能的には問題ありません。十分に使えますが、そういう問題ではありませんよね。美しい作品に全力傾けて生産活動をしているプロフェッショナルがたくさんいることを知っておきましょう。
それは作家や製陶所だけではありません。
粘土屋さん、釉薬屋さん、絵具屋さん、道具屋さん、設備屋さん、築炉屋だってそうなんです。
このところ、先日の鍋土のことなど、外側からの質問や発信によって初めて気づかされることが多くあります。
「こんな基本的なことを言わなければならないのか」と思うと講師業や発信はつまらなくなってしまいます。
そうではなく「もっとわかりやすい方法を見つけて伝えていこう!」なんてかつての先生や先輩をコッソリ仮想敵にして、ポジティブな発信を続けていきたいものだと思います。