電気炉を取り扱うようになって10年以上になります。
最初は自分の窯や知人の窯を触ってみて、というのがスタートでした。
しかし電気についてあまりにも無知な自分に、これはイカンと思って「第二種電気工事士」の免許を取得しました。
とはいえ、免許を取ったら即GPレーサーにならないのと同様で、本当の努力はここから始まります。
幸いわたしには電気工事士の友人が複数いて、アルバイトや酒席での会話を通じていろいろなことを体験し学習させていただきました。
それでも今年になって、実はアレにはこういう部材を使用していますよ、と電気の世界の専門家から教えていただくことがあり、まだまだ知らないことのなんと多いことかと背筋の伸びる思いでした。
うまく例えることができませんが、強いていうのなら100円ショップのカラビナとガチの登山用のカラビナ、素材も価格も大違いですよね。それを混同していたようなこと。
機能は同じですが、それでなにが怖いかっていうと見た目が一緒ってことなんです。
こうした機能が段違いで見た目が一緒というのは、実はいろいろな世界であると思います。たとえばパッと見の要素が同じとか、同じレベルのものに見えるとか(笑)。
「ねぇねぇイノウエさん、
ネタとして100ショップのカラビナで降下するんですよね?」
みたいな(そこまで酷くないが)ことがあって、本当に自分の無知を思い知りました。
われわれの世界に置き換えれば「陶器なんて、その辺の土を掘って、ちゃちゃっと焼けばできるんでしょ?」と言われたら、アナタはなんと答えるでしょうか(笑)。
わたし?
そうですねぇ。
「じゃあ、やってみろ!」
って言うかな(笑)。
たとえば電気炉というものの仕組みは非常にシンプルです。
ちなみにガス窯など他の窯の構造も同様にシンプルです。
とはいえ、自分にもまだまだ知らないことがあるし、経験していないことが山のようにある。
わたしも若かりし頃はなんでも自分でやってやるぜ!と思っていましたし、実際にそうなるように努力してきました。
しかし、単純に知っているか知らないかという部分でさえ押さえきれていないのに、一体なにを自分だけで出来るんでしょうか。
いろいろな経験を積み、多少は大人になって、いろいろなことが出来るようになったなと丁度思っていたところに、ぴしゃりと冷や水を浴びることになりました(笑)。
電気関係で相談できる人、共栄電気炉製作所の方々、そういう人たちに「聞くは一時の恥権」をもっと行使していこうと思います。
まぁ例えば日曜大工にしろ、窯の補修にしろ、1,2回なら耐えうるかもしれないというレベルの仕事は誰にでも可能かもしれない。冒険野郎マクガイバー的にそういうことはあるでしょう。
しかし危機を一回抜け出せばもう使わないアポロ13の着陸船じゃなくて、恒久的にプロが業務で使用するものをどうこうする、となると経験のない人の作業や、適当なアドバイスは相当な危険を孕んでいると思います。
もちろん自己責任がお好きな人はいろいろなことを自由にやってみる価値は大いにあると思います。やきものの仕事に置き換えればわかりますよね。なんでも窯で焼いて確認するって泥臭いけれども、最強の経験値でもあります。
技術や知識はそうやっていくしか(痛い目にあうしか)伸ばせない時がありますし、無理やり三歩進んで謙虚に二歩下がるのがイノウエのオススメです。
ディスっている割に100V電気炉を愛用している人にもオススメします。