2021年02月15日

当たり前を教える難しさを忘れるのは当たり前?


※地震被害に遭われた方々へお見舞いを申し上げます。連絡をくださったお客様方ありがとうございました。


自分にとって当たり前のことをよく分かっていない人へ教えるというのはホントに難しいものです。

叔父がまだまだ現役で、自分の会社は円満に閉じたものの、その経験を活かして関連会社で見積をしたり打ち合わせをしたり仕事は結構しているらしい。

近所に住んでいて、先日パソコンがおかしいと連絡があり、一通り手入れしたりしてあげていたが、ブルースクリーンエラーが出て今度こそイカれてしまったようだ。

バイオス等に異常はないが起動がおかしい。そもそも8年前のメーカー製デスクトップで会社のお下がり、今回の症状も調べるとそのメーカーパソコンでちょくちょく報告されているトラブルでもあるらしい。

次はノートパソコンにしようと一緒に買い物にいき、お前が決めてくれと頼まれたので国産メーカーのノートパソコンにした。保証とサポートが大切だろうと考えてのことと、値段もこなれていたことが理由。

そこそこの性能さえあればエクセルを使うだけだからなんでもいいんだけれど、本人が知っている国産メーカーが安心だろうと思ったのと、今後のことも考えて家中のどこでも作業できるようにノートパソコンを勧めたのです。

ウィンドウズ10にアカウント等を設定してログインとか、アップデートとか指紋認証とか、いきなりの70代がわかるわけもない。叔父はわたしが一緒じゃなかったらとても出来ないと言っていたし、ルーターだのLANだの言われてもわからないのは当然だろうとも思いました。

見積書と文章を少し作成するだけでネットはしないという叔父だが、せっかくパソコンが新しくなったし、いとこの家はWi-Fiがあるのだからネットも利用してほしいと思う。

ちょっとしたことを覚えるだけで劇的に見積作成も楽になって喜んでいるのを見ると、おせっかいもやきたくなったのです。

それにしても自分が毎日歩くことぐらい当たり前に行っているパソコン操作を、もう一度イチから教えるというのは難しくて久しぶりの良い経験でした。


その道のプロが教える危なさについては以前にも記事にしていたような覚えがありますが、あまりにも当たり前と思い込んでいることは「教え忘れたり」「言語化できない」ことになったりしがちです。

そうなると「なんとなく教わる」という状況が生まれ、ちょっぴりズレた上陸地点に到達したりする。同じ大陸だからいいんじゃない?と歩きつづけて行方不明になることもあるだろうと想像します。

実際にわたしは電気工事の世界では逆の立場です。電気工事の世界の常識を知っている人間が絶対にやらないことをやったりする恐れが高いのです。

ずっと「やきもの」を教えることを続けていると、そういう風に習ったんだろうな、とか、そういう人の発信で独学したんだろうな、という人や動画がわかったりすることもままあります。そしてそんなネタがさらに発信したり拡散していくのを見ると複雑な気持ちになることもあります(ワタシの発信もその一つだけれど)

とはいえ、すべてのことには必然があるはずで、その必然が薄ければやがては消えていくだろうと考えて楽観もしています。

パソコンで最初の設定がぐちゃぐちゃと素人にわからないのは安全や保護のためだし、パスタをひねって山形に盛るのは冷めにくくなるからからだし、土練りをしなければならないのは粒子の状態が不均一だからですよね。窯詰めで目土をつけるのにも必要な条件があり、温度計があるのにゼーゲルコーンを併用するのにも明確な理由があるのです。

パソコン作業には明確な正解と答えがある。
検索するファイル名を一文字間違えても出てこないし、「これのこと?」なんてこちらを忖度してくれることもない。

書類や3DCGを作成するのに素人がプロにまぐれ勝ちすることは絶対にない世界でしょ?


陶芸ってそこをフワッとしたままでいける世界。
決してみなさんはワタシのような確信犯になってはいけないのです。

陶芸のプロになるってことはピアニストになるようなものです。
感性でフワッとしててもいいけど曲はプロレベルで弾けんといかんばい(笑)。


人間というのは、自分に甘いと永遠に上達しない危険がアブナイのでアル。

だから自分でプロとか職人とか言う人を絶対に信用してはいけない(笑)。

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(天山から有明海と雲仙を望む)











posted by inoueseiji at 06:58 | TrackBack(0) | イノウエセイジの頭の中
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