2021年06月14日

トランスフォーマーって観たっけ?


こんにちは、イノウエです。


この数ヶ月の間に複数あった質問や発注。
それがパワートランスについてです。


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ふくおか陶芸窯仕様のKCシリーズは3種類の100Vの電気炉があります。

ようするにサイズが3つということですが、その熱源となるのは3つとも同じ100Vの家庭用電源。
鍋はおおきくなっても、コンロのサイズは変わっていませんよ、ということですね。

ここに関しては過去動画があるので御覧ください。

(男性も観てネ)

この動画ではトランスの説明をあえて間違った言い方でしています。

不安定な家庭の電気を一度トランスに”溜め込んで”みたいなニュアンスで話しました

これは間違った表現です。実際は変換しているのですが、誰にでも理解していただくためにあえてこのような言い方をしました。

トランスの仕組みは実はシンプルで、コイルの巻数の比で電圧を変化させるわけです。
これについてはこちらのPDFファイルがわかりやすかったのでリンクしておきます。

(別ウィンドウで開きます)


以前、日本の供給電圧は世界一低いという話を書いていますが、それがさらに不安定になってしまうと1200℃以上の温度をプログラムの時間通りに得ることが難しくなります。

特にK-3030Cモデルを希望される場合は必ずパワートランス(昇圧トランス)も併用していただくように資料と見積に記載しております。



実はこのトランスに関しては、これまでも複数の質問をいただいてきました。ご購入を検討中のお客様にはその都度ご説明させていただきましたが、一度書いておこうかなと思った次第です。

また最近増えた質問は「ネットでもっと安いトランスが販売されていますが、アレではいけませんか?」というものです。


これは確かに疑問に思ってしまうと思います。

ネットや大き目のホームセンターには様々なトランスが販売されていて、共栄電気炉製作所のオプションのものよりもみな安く、ネットでは外国製なのか、かなり安いものもあります。


しかしこの世の中、そんなに甘い話はありません。


販売されているトランスにも様々な種類、容量や定格があります。
その中から適正なものを選べるでしょうか。安い方から選んだりすれば事故につながる可能性もあると書いておきたいと思います。

定格という言葉も一般の方には馴染みが薄いかもしれませんね。例えば定格10分と書いてある電動工具があったとすれば、それは10分以上連続で使用しないでくださいね、ちゃんと注意書きしてますからね、ということなんです。

連続使用してモーターが焼けて壊れたらアナタのせいよ、とメーカーに言われても文句は言えません。

また、一部の定格が合致しているように見えても、トランスに必要な容量がなければ意味がありません。



問題:1.5kWの電気炉で12時間焼成する場合、トランスに必要な容量(kVA)は?



答え:1.5kVAじゃないのは確か




たとえば、高速道路の制限速度の規制が緩和されて時速120キロメートルで走行できるようになったとします(昇圧したのね)

そして福岡から名古屋までノンストップで走り続けたいとすれば、選ぶ車はもうウチの軽自動車ではないということです。そもそもスピードメーターが時速140キロメートル程度の表示の自動車であれば、巡航速度の設計上の設定は時速100キロメートル前後でしょう。

家庭用の100V電気炉では、1500Wで12時間以上稼働させることになります。
ホームセンターなどでトランスを販売している国内メーカーはおそらく100Vの溶接機や電動工具などでのバックアップを想定していて、どこも「100V電気炉の12時間以上の本焼成」を想定には入れていないと思われます(間違いなく)


「そんなの販売側の論理じゃねぇか」という方もいるでしょう。


ということで、わたしは電気工事士ですので、トランスの筐体をばらしてみました。

IMG20210614083602.jpg

容量とメーカーを確認してその入手先を調べてみると、このトランス自体は購入できるようでした。しかもこのオッサンが販売する金額の半分程度でいけそうです。

しかし、それはあくまで「トランス本体のみ」の話。

トランスを納めるための筐体を制作して、配線して、コンセントつけて、ケーブルに端子圧着して…となると購入したほうが安いと思いましたが、みなさんはどうでしょう。

ハント君。今回も対応していないトランスや、そもそも容量が合っていないもので事故を起こしても当局は一切関与しない、って感じでしょうか。

知識のある方が探せば、使える市販のトランスはあると思いますが、あくまでそうしたものの使用については自己責任となってしまいますのでご注意ください。


トランス自体はいろいろな世界で使われています。
オーディオマニアの方などは詳しい方も多いのではないかと思いますね。
電圧を上げるだけではなく下げたりすることにも使います。

原理を見つけたのはあのファラデーさんです。



100Vの電気炉のお客様で3030Cでなくても、設置場所の電圧に不安があるとか、温度の上がりがいつもウェイトかかり気味とかであれば昇圧トランスを導入するのはオオアリです。









posted by inoueseiji at 12:15 | TrackBack(0) | イノウエセイジの頭の中
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