2021年09月10日

プロにはプライドがあるものです


結構な数の中古の窯がこの数年で動いたと思うのですが、そのガス窯や灯油窯のエントツ工事はどうだったでしょうかねぇ。

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(安いレーザーは線が太いぜ)

先日知人の紹介で現場確認に伺ってみれば屋根の母屋材(垂木みたいなの)に干渉するからと無理やり斜めに取り付けられたエントツを見て絶句してしまいました。木材に当たる部分は無理やり断熱材をあててあり…。

大沢ガス炉商会で鍛えられたワタシにしてみれば切腹モノの仕事。
初代社長なら介錯もしてくれずに打ち首獄門を言い渡されそうな雑な仕事です。

窯の専門家が行った工事でないのは明らかです。
プロの感覚からすればありえないしプライドが許しません。

当然消防からも注意があったとのことですが。

そもそもちゃんとした専門家に頼んで正しいエントツ部材と正しい工事が行われていれば少しは高くなったとしても、あとでまた余計な出費をすることもなかったでしょう。ワタシとしては40歳の秋、いい加減な雨仕舞工事を前に山口県の屋根の上で涙ぐんだときと同様に、この件は儲け度外視で行っていきたいと思います。


別にヒ・ミ・ツではないので書いておきます。

まずエントツがある窯の設置においては、どこからどうエントツを出すのかを決めてから本体の設置場所を検討します(レーザーの出番)

う〜んここだとバーナーの点火がしにくいなぁとか、ここだと後ろが狭いなぁとか、あ〜垂木に当たるわぁとか考えるわけですね。

その現場確認のためだけに出張することもママあるのです。

それから完成した本体の搬入が行われ、屋根に穴をあけてエントツを設置しつつ、本体側でも位置を微調整します。

それからアンカーボルトを打つとか、雨仕舞をするとかになるわけですよ。

雨漏りもみっともないですが、消防に工事のダメ出しされるなんて本当にいただけません。

みなさんがもし良い中古を見つけたとしても、安易にご自分で設置工事を行わないようにしてください。兄貴が土建屋で資格あるからとか、人によっては自分たちで出来ると思えることもあるでしょうけれども、せめて一度でいいから専門家のアドバイスを受けるべきです。

ウチなら焼酎二本程度の有料相談案件ですが、お値段以上の情報は提供しますし、そもそもワタシはどこの誰にも事故を起こしてほしくありません。

だからこんな情報発信を十数年行っているんです。

また先日とある県外で、クレーン付きのトラック、いわゆるユニック車をお客様に借りていただくということがありました。お客様が電話すると「あんさんにクレーンの免許が無いと貸せまへんえ」と建機屋さんのおねえさんにピシャリと言われたとのこと。急遽ワタシが電話して手続きしたこともありました。

知っている業者がいるからと、小忙しいワタシを気遣っておっしゃって下さったお客様に甘えたのですが、そんなことは免許制度に関係はなく、逆に「今はそこまで厳しくなっているんだ」ということを知ることなりました。

むかしはクレーンの免許がなくてもトラックの運転免許証があればだれでもユニック車を借りれました(経験者談)
それは「俺はクレーンの免許もってないけど、現場に持っているヤツがいるんでねぇ」という理論でスルーされていたグレーなゾーンだったんですな。

そもそもクレーンは免許持っていても事故が多い機材です。
そして事故が起きて無資格無免許が発覚するとドンドン厳しくなっていくわけですね。

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(この現場に同級生がいましたヨ:元気か?)

搬入の動画からどんな道具が必要なのか教えてくれい!と連絡をいただいたことがありますが、動画を見てわからない人に免許がないのは確実ですからやんわりとお断りしたこともあります。

中古を購入するにしても、よく見極めましょう。

窯ではなく業者を。

それからいつも言っていますが、エントツさえ正しく製造と設置がされていれば、本体側の弱点はある程度はカバーできます。

窯と焼成の知識と技術でそれは可能なんです。
その知識と技術がない人が「エントツはこれつけときゃエエやらぁ」と適当なことをするんでしょう。

誰もGSXのエンジンに単管パイプ突っ込んでマフラーにしないでしょ?
この感覚をせめてプロには持ってもらいたいと願う実にアマアマなイノウエです。







posted by inoueseiji at 17:59 | TrackBack(0) | イノウエセイジの頭の中
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