
ガス窯ネタを続けていこうと思います。
さてハンドルはまぁ分かるとして、ひっぱり棒って何?という方のための記事。
ガス窯の鉄のケーシングは天井部がない箱型。
爆発しても圧は上に抜けるようになっているなんて先輩に聞いた方もいるでしょう。まぁそういうことも結果としてあるかもしれませんが、鉄のフレームを自分で組んでみれば天井部に鉄板なんて貼れないのがわかるかと思いますし、そもそもレンガ積みを受け止めるためのケースですから、天井部はアーチがはみ出す場合もありますし、補修工事でも邪魔にしかなりませんから必要ないのです。
窯のサイズが大きくなるとレンガの量も増えるし圧も強くなるので、前後左右に「ひっぱり棒」というものをつけます。これは築炉メーカーによってどのサイズから設けているかは色々です。また時代によっても考え方の変遷があったようにも見受けられます。大沢ガス炉商会さんの0.4㎥はひっぱり棒がありますが、ウチにある古い0.4㎥にはありません。シンリュウさんは横だけ引っ張っているモデルが意外と多いです(どれも正しいと思います)。
写真のものはかなり古いガス窯ですが、ボルトとフレームの間には大きなスプリングがはさんでありますね。これでわかるようにひっぱり棒のボルトは締め付けてはいけません。完全に窯が冷めている状態で、このボルトが指で回せる程度にしておいてください。まぁ写真のタイプだとスプリングワッシャーが効くので締め付けてもいいでしょうけれど。

鉄というものは意外と膨張します。そのため指で回せる程度の締め付けでも、最高温度付近ではレンチじゃないと回せないぐらいパンパンに張っていることがあります。
以前の古い動画でもお話していますが、これは扉のハンドルでも同様です。
片手で軽く回して止まったところからちょっと閉める程度でまったく問題ありません。これまたやはり熱による膨張で最後はギッチリ締まっていきます。
大きなガス窯でハンドルに棒を突っ込んで全力で社員が締めているなんてところもあったそうですが、この動画を観て同じ窯の傷み方をしているのを知っていただき、今は正しく締めているとか。
実に些細なことです。
聞けばなるほど〜って納得できることですし、間違った扉の閉め方は窯を確実に傷めます。
中古取り扱い業者になれば、正しく説明できないところの方が多いでしょう。築炉メーカーでも怪しいところがあるのかもしれない。
こうした些細な情報をガス窯に興味を持ったかた全てに知っていただくしかないかと思います。
「窯の専門家」の方はじぇんじぇん伝えてないみたいですけんねぇ。
(いや髪が黒いなぁ。)