2025年04月11日

好きなように作ってみて!

それはとても無責任な教え方だとわたしはこれまでの経験で思うようになりました。
極端な例を出せば、ピアノの前に座らせて「好きなように弾いてみて。それがアナタの音楽よ!」みたいな。

それはやっぱり無理があるというものです。

もちろん教室の環境や目的、受講生の年齢なども大きく影響することではあります。

陶芸には漠然としたイメージが世間にはあります。まず初回ではそのイメージを壊すことをわたしは意識しています。
初回に絶対に伝えることは、数値化することの重要性、電動ロクロはメチャクチャ簡単、記録はとってください、でしょうか。特に電動ロクロは簡単ですと伝えることは大きな意味があると思っています。

数値化することについては、初回に必ず手びねりで豆皿をつくってもらうようにしています。
100グラムで100ミリ以上のサイズにすること。通常もう少し大きくなります。できたら記録しておきます。
それが乾燥後に何グラムになり、何ミリになったのか。そして素焼きや本焼きの焼成後は?

自分が作ったものの重量を意識している初心者は意外と少ないと思いますが、最初にこれを行うことで自分が使っている普段のお気に入りの器の重量から逆算できます。AIに計算させれば簡単です。


電動ロクロにもいきなり触らせるようにしています。土殺しをして芯を出した土で、まぁ陶芸体験みたいな感じですが、そこで最初に回転の中心と回転するスピードのリズムを意識してもらいます。厚みを両手で感じ取り、意外とゆっくり作業するということも知ってもらいます。


「電動ロクロは簡単なんですよ。」

そう言われてからスタートする人と、ハートマン軍曹みたいな指導でようやくロクロに触る人では違いがあると経験上考えています。

ロクロでものを作るのは、走ったり、自転車にのったりすることと同じです。
上手い下手ではなく、まずはそのレベルでできるようになってもらうことを目指します。

また全般に言えることは、レシピを覚えるのではなく、作業のキモを押さえるという感じでしょうか。



しかし何年やっても教えることや伝えることは本当に難しい。


posted by inoueseiji at 05:50 | イノウエセイジの頭の中

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