陶芸教室は、いったい誰のためにあるのでしょうか。
少なくとも、わたしのように、食えない作家を食べさせるためではないと思います。陶芸を、趣味や、楽しみとして選んだ人のためにあるのだと思います。
わたしは、あちらこちらの陶芸教室を転々としてきた受講生を見て、あまりにも陶芸というものが教えられていない、と思っています。
もちろん、陶芸教室にくるひともいろいろな考えの方がいるでしょう。教室を「癒し」の場として来る人もいるでしょうし、旅先の窯元で絵付けやロクロを体験するのを楽しみにしている人もいるでしょう。
教える側でもさまざまな方がいます。
わたしの街で陶芸教室をされているT先生みたいに、福祉施設やホームなどを積極的にまわって定期講座をされ、自宅に隣接する教室でも、80名前後の生徒さんに教え、陶芸教室にたいする、しっかりした哲学を持った方もいらっしゃいます。
また愛知県の友人のように、わたしなど到底足元にも及ばない経歴や、経験、技術を、全くひけらかすことなく、楽しみたい人は楽しませ、求める人には、尽きることのなく出てくる彼のノウハウを、惜しみなく出している人もいます。
そうかと思えば、釉薬の管理方法もしらず、陶芸をしている、陶芸を教えるという人間ならば、当然知っていなければならない原料の名前も正しく読めず、アロンセラミックは知っていてもCMCは知らないような「先生」も残念ながらいます。
・・・それは、それでいいでしょう。
20代のはじめ、わたしもいい加減な「陶芸家」につかまってしまって、数年を無駄にしたことがあります。
しかし、結果論で言えば、その失敗のお陰で瀬戸に行く決心もできましたし、応援してくれる方々にも出会いました。その後の訓練校も窯の仕事も、本当に真剣に取り組むことができました。
若い時の苦労は買ってでもしろ、という言葉は30代後半になってきて、その通りかもしれないと思うようになってきました。若い人間には回り道も意味のあることかもしれません。
しかし、です。
わたしは生涯学習センターの講師をしていますから、受講生の半数以上は親の世代です。そんな人たちにとって、いい加減な人の教えで遠回りするのは、ただの時間の無駄ではないでしょうか。
かつて、わたしに窯の仕事を発注してくれた方は、10年近くガス窯の購入を迷われたそうです。金銭的なことではなく、周囲で窯を買った人たちが、一様に苦労をしているのを見たからだそうです。
その方は、もっと早く出会えばよかったですね、というニュアンスのことを言ってくれましたが、わたしはそうは思いませんでした。
なぜなら、窯を売る業者が、だれでも窯のことを勉強して、せめて焚けるようになっていれば、買ったあとに後悔する人はもっと少なくなっていたはずです。そうすれば、その方も10年も悩まずにすんだと思います。
また逆に、買う側がきちんと知識を得ることができていれば、いい加減な業者が淘汰されていくはずなのです。
わたしにやきものを教えてくれた技術専門校は、生徒達全員に1年間、多くの技術や知識を、与えるだけ与えてくれました。
自分がそうしてもらったから、というのもありますが、生徒側がどんな使い方をしてもいいから、知識と情報の、与えられるものは全て与えつくす。
いや、技術は見て盗め。
そう思うのだったら、盗ませる人間をちゃんと雇いなさい。
盗んで覚えろなど、月謝をとる側が言うセリフではありません。
わたしは多くの技術を盗んで、記録してきた人間です。それでも、ほとんどの職人は懇切丁寧に教えてくれました。優れた人ほど、全てをオープンにしてくれました。
ものすごく、前置きが長くなってしまいました(笑)。
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