白マットと藁白の二つの釉薬の違いを、講座で説明するのが意外と難しいです。
まず、マットという言葉をしっかり定義してみましょう。
マット釉というのは、不透明で不光沢である釉薬、と言えるでしょう。
釉薬自体が透明ではない。またその表面はツヤがない、ということです。
表面にツヤがないということは、融けないものが多めに釉薬に入っているということですね。
ワラ白釉などは、不透明ですが、光沢があります。乳濁釉と言うこともあります。釉薬自体はこちらの方がよく融けているということになるのでしょうか。
この二つ、どう例えるといいのか考えましたが、上手く思いつきません。
マット釉は融けきれてないが、乳濁釉は融けているともいえます。
また、マット釉は調合自体がその結果をしめしていますが、乳濁釉は、たとえば透明釉に乳濁作用のあるものを添加すると、それらが釉ガラスに作用して乳濁させます。
■ 分類の境界
すこし意地悪なことを書いてみましょう。
透明釉も調合によっては、窯での焼成後、ゆっくりと冷却したり、もう一度再加熱したりすると、透明ではなく乳濁の方向へ変化することがあります。
また逆に、マット釉を再加熱したり、最高温度で窯の外に引き出したりすると変化していきます。
そして釉薬は、ある程度の厚みで施釉して焼成した場合は、はっきりとその釉薬の性質を現しますが、一定以上薄く釉掛けしたり、個性的な土を使用した場合、素地の影響をうけて全く違ったマチエールとなることがあります。
こうなってくると、もとの透明釉とは、もはや呼べないのではないでしょうか。
混乱のないようにするには、調合したり、購入したときの釉薬の名前をもって管理するのがいいのではないでしょうか。
わたしもいつの間にか、このバケツの釉薬はこうなる、これはこう、などと無意識で考えるようになっていました。それを矯正するうえでも、ひとつひとつの用語と向き合うのはとても意味のあることかもしれません。
また、陶芸教室では、釉薬をなにか絵具の種類のように捉えていることが多いようです。たくさんの種類の釉薬があるのは、たしかに楽しいです。
しかし料理の味付けで、お醤油がいろいろな使われ方をするように、たった一つの釉薬でも、適正濃度、薄く、濃く、粘土の変化、焼成方法の種類、冷却方法のバリエーション、再加熱などで驚くほど多彩な変化をしてくれると思いま
す。
わたしも、こう書いた手前、今まで以上にそうしたことを試していきたいと思います。
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