2009年05月17日

耐火レンガと耐火断熱レンガ


この二つのレンガの違いをご存知ですか。

簡単に言うと、カッチカチなのが、耐火レンガで、サックサクなのが耐火断熱レンガです。
(耐火断熱レンガでもカッチカチのはありますが、後で説明します)

一般の方が想像するレンガはほぼ間違いなく耐火レンガだと思います。
シャモットや粘土などを中心とした原料を焼き固めてつくります。固くて重たいです。多分1丁3キロぐらいあると思います。普通5丁づつ縛ってあります。その5丁が、耐火断熱レンガの10丁縛りよりも重たいです。

登り窯を山のなかでつくったりすると、レンガを運ぶだけで、かなりたくましい身体になります。
ほとんどはSK34番ですが、32番もあります。またほとんど見ることは無いと思いますが、その上の番数も耐火レンガにはあります。

このごろは、国産の耐火レンガがホームセンターに売っていたりして、便利になったものだと感心します。みなさん買うならTONOと刻印があるものがいいですよ。

耐火レンガの代表的な使い方は、薪窯やガス窯の台車、炉内の底に当たる部分、などです。ものが当たったり、重みがかかるところ、屋外に設置されるものに使用します。

レンガ自体の強度があるため、薪が当たっても大丈夫です。ほかに長所というか断熱レンガと比較すると、価格が安い、手に入れやすい、蓄熱するため、焚き終わったあとに冷めにくい、短所としてその逆にレンガに熱を食われてしまうため、ガス窯などを全て耐火レンガでつくる(志野窯など)と燃費がわるくなります。また断熱レンガよりも非常に重たい、加工が大変、などなどです。

耐火断熱レンガは、電気炉やガス炉の炉内表面に使用されている、白いものを筆頭に、実にたくさんの種類があります。色見もベージュや赤茶などいろいろあります。種類が非常に多く、カタログを見ただけでは一般の人にはどこに何を使えばいいかまずわからないと思います。

よく本や雑誌で、何々窯をつくるときには、このレンガ使う、と書いている記事が思いっきり間違っていたりします。鵜呑みにしないで、必ずきちんとしたところで相談して買いましょう。なかにはほぼ酸化焼成専用の使用方法を想定しているレンガもありますので、そういうもので還元焼成する窯を造ったりしないようにして下さい。

何十種類もありますが、陶芸窯で使用されるのはせいぜい10種類ぐらいですから、築炉メーカーなどに問い合わせて取り寄せてもらうといいと思います。

瀬戸にはいくつかのメーカーの工場や営業所がありましたが、閉鎖や廃業などがつづき、窯業地といえども、メーカーの営業所がないことがほとんどです。そのため、取引のある築炉メーカーなどで分けてもらうのが一番いいと思います。

耐火断熱レンガは、読んで字のごとく、断熱性が非常に高く、また一部を除いて加工が非常に簡単です。レンガ鋸と呼ばれる刃の粗いノコギリで用意に切断できます。

わたしはかつてレンガ師の手元として、よくレンガの切断を、このノコでしていました。そして食い入るように職人のレンガ積みを見ていたせいか、いつの間にかそれなりに出来るようになりました。といっても補修や修理をするぐらいのレベルです。

過去にレンガについて書いたブログの記事です。
http://inoueseiji.sblo.jp/article/15773694.html

加工が簡単ということは、物理的衝撃に弱いといことです。ガス窯の扉を、取り扱いを知らない人がいい加減に開け閉めすると、角のレンガが引っ掛かって、欠けたりすることがあります。

また耐火レンガに比べるとかなり湿気を吸いますので、保管場所や新品の窯のあぶり焚きなどに気をつけなければなりません。

こういう常識的なことを知らない業者が、かんたんに窯を売ってトラブルがたくさんおこっています。気をつけましょうね。



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posted by inoueseiji at 10:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 窯と焼成に関すること
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