2009年08月06日

釉薬の厚み


釉薬に関する質問や、講座での作業がかさなりましたので、書いてみたいと思います。

釉薬の濃度は、作品の雰囲気を大きく左右する、とても重要な要因のひとつです。釉ガラスのベールを、どれだけの厚さ素地に重ねるのか、という言い方もできるかもしれません。

釉薬というのは、ガラスのようなものです。焼成した作品の釉薬面は、釉薬の色味と、焼きあがった土の色味が重なっているわけです。

そのため、あまりに厚く釉薬をかければ出来上がった作品は釉薬の色味が強く出てしまいますし、薄くすぎた場合は、土と釉薬が反応しあった中間層しかなく、いったい何の釉薬なのか、わからなくなってしまうこともあります。

厚くかけすぎれば、剥離したり、強い貫入がでてしまったりというトラブルがおこりますし、薄すぎれば荒い素地がでてしまったり、吸水性が強すぎて食器として使い物にならなくなったりします。

もちろん、結果として良好な雰囲気となれば、黄瀬戸の焦げであるとか、落ち着いてマットな雰囲気になったりもします。そのため、テストピースを制作して、釉薬をテストするときには、濃いところと薄いところができるようにムラに塗るか、濃度ごとにテストピースを用意するといいでしょう。

わたし自身の経験ですが、白っぽくなるように調合した釉薬を、何気なくあまった素焼きの別の土にかけたところ、その土の鉄分と薄く掛けた釉薬が、還元焼成によって、まったく違う色味と雰囲気を作り出したことがありました。その釉薬は、どちらかと言うと、いまいちだなぁ、とそれまでは思っていたのですが、その後、その効果を狙って頻繁に使用するようになったことがあります。

釉薬を使いこなすのは、とても難しい。

しかし、さまざまな実験をしたり、調合をするのはとても面白いものです。
また、たった一つの釉薬であっても、釉薬の濃度を極薄から特濃まで変化させたり、様々な種類の粘土を使用したりすれば、たくさんの雰囲気を出すことも可能なのです。

よく、同じ釉薬でもだんだんといい雰囲気をだせるようになる、と言われることがあります。
おそらくそれは、適正な濃度や、掛ける粘土の吟味、焼成技術(冷却技術をふくめて)の向上などにより、自然と高次元で融合した、作品自体のまとまり、というものが出てくるからではないでしょうか。

まだまだのわたしが書くと、あまり説得力がないですが・・・。





★ネット陶芸講座の受講生も募集中です。 
http://www.knowledge.ne.jp/lec1535.html

ランキングに参加しています。
↓↓↓ ほかにもたくさんの美術・陶芸ブログがありますよ。

にほんブログ村 美術ブログへ       にほんブログ村 美術ブログ 陶芸へ
posted by inoueseiji at 11:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | 釉薬に関すること
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/31102362
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック