2010年02月03日
熱電対のお話がまだまだかかりそうなので、今回はまた違う話題を。
陶芸にしろ、ほかの工作や製造の仕事でも、自分に合った道具を用意したり、つくったり、整えたりすることは基本でしょう。
わたしも常日頃から、これはあれに使えそうだ、などと思いをめぐらせてホームセンターなどをぶらついています。
先日、展示会も一通り終わり、アトリエを片付けていました。その日は天気もよく、かなりやる気になっていたので、片づけを通り越して、奥さんの仕事机の上へ照明の設置など、かなり本格的な作業をしていました。
わたしの家の近くには須恵器の窯跡がありますが、その窯跡の近くに、近郊では最大のホームセンターもあり、よく通っています。
仕事机の照明には、使っていない照明器具をアトリエに使おうと思い、それを天井につけるための長方形の小さな接続器みたいなものの片方を買いに行きました。差込側は照明器具についていたのですが、それを取り付ける側がなかったのです。
電気部品コーナーで見つけて圧着端子なども買ってきて、にわか電気屋をすることにしました。ところが。
ちょっとばかり電線の接続で合わない部分があり、また買いに行くのも面倒だし、困ったなと考えているときに、たしかハンダごてがあったはず、と道具箱をひっくり返していると出てきました。
もうかなり前に単なるあこがれで購入したけれど、ろくに使えずしまったままだったのです。しかし、あれから陶芸をこころざし、窯屋にもなって溶接もできるようになりました。
電線を上手くハンダ付けできるかな、と挑戦。だめなら200円ほどの部品なのでまた買ってくればいいやと思ってやってみたら、年の功でしょうか、大成功です。
無事に照明器具を取り付けることができました。(自己責任でやりましょう)
アトリエ全体の蛍光灯をつけるには明るい。しかし、嫁が仕事をするには暗い、という状態を改善することができました。(お褒めの言葉を頂戴しました)
それにしても、せっかくハンダを出したのに、たったこれだけで終わりではもったいないなぁ、と思っているとアトリエの流しのところに置いてある、村上金物店の掛けひしゃくが。
瀬戸にいたころ、歩いて村上金物店の前を通ったりすると、ご主人がでっかいコテみたいなもので、これまたでっかい銅のハンダを融かしつつ、さまざまな道具を作っていらしたのを目にしたものです。
そんなことに影響されてかされずか、梶田絵具のカジタさんも、一斗缶をハンダで改造して注ぎ口を作ったりしていました。
もう一つ思い出しましたが、ある技法書では鋳込みの道具が手に入らない地方の方が、鋳込むための道具を自作していたのを写真で見たことがありました。
なかなかハンダと陶芸は絡んでいるんじゃないか?(自分の頭の中だけ?)
同じ道具箱には、かつての石膏取りのための真鍮板があり、窯仕事の煙突工事でトタン板を切るのに使う板金ハサミがあります。
展示会も終わったので、その日は片付けで終わり、と決めていましたので、ハンダこてで遊ぶことにしました。
まずは真鍮の小さな板同士をくっつけてみます。万力にはさんで(万力もある・・・)固定してやってみると、成功。
しかし美しくはないので、もう一度。だんだん上手くいきます。ハンダが融ける瞬間がいいですね。そろそろ手馴れたころ、今度は丸い真鍮版の輪を作ってみることにしました。短冊状に切って、曲がり癖をつけ、くっつけてみますが、さすがに難しい。
どうにかこうにか、輪はできましたが、ぺらぺらの真鍮板です。実用品の厚みでするのはかなり難しいでしょう。(村上金物のものは銅など様々な素材)
ハンダ遊びはとりあえず終了。道具箱を片付けてから、改めて村上さんの、注ぎ口や持ち手をハンダ付けして作られた掛けひしゃくを手にとって、まじまじと見てみます。
それから、口でふく霧吹き。これもハンダで作ってあります。
やはり見事ですね。
何気なく使ったり、買ったりしていますが、それらの道具にどれだけの技術が隠されているのか改めて知りました。
自分は物をつくる仕事だけを十数年来してきたし、溶接などが出来るのでわかる部分もあるのかもしれません。でも、みなさんも一度、この道具を自分の手で作るとしたらどうだろうと考えてみると、そこにまた新しい発見があるかもしれませんね。
道具といえば、友人の携帯電話は、写真を撮るとその場所を地図上で記録して保存、表示できます。ものすごく驚きました。(知らないだけで自分のもできるのかな?)
そういうデジタルな便利道具はいま、もういいよ、というほど出てきます。
しかし、わたしたちの大好きなやきもの、陶芸の道具を作る人たちはどんどん減ったり、追い込まれたりしてきています。
デフレから一気に本物志向に転換する、消費行動の転換点がもうすぐ来る、とわたしは信じています。(評論家みたいですね)
まあ信じていなければこんなことやっていないでしょう。
そのとき、それを支える原料や道具が入手困難になっている恐れがあります。そうはさせないぞ、というのが今年の目標の一つです。
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posted by inoueseiji at 10:00
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道具や材料に関すること
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