2010年02月06日
熱電対のお話、ようやく答えが見つかりました。
今回のお話、中古の熱電対を手に入れたけれど、それが狂っているのではないか、と困っている人がいたら、是非教えてあげてください。
前々回のメルマガでは、ある方が購入した中古の窯の、移動修理後の初窯に立ち会ったところ、温度計が大きく狂っていることに気付きゼーゲルコーンを頼りに悪戦苦闘したことを紹介いたしました。
中古とはいえ、温度計も熱電対もわたしの窯のものよりも新しく、補償導線もまだまだきれいなものです。端子も特に酸化しているというわけではありませんでした。それに、通電が悪くなってくると、低いほうに温度表示は狂います。
答えはすぐに見つかるかと思って調べはじめましたが、恥ずかしながら3週間近くもかかってしまいました。
自分ではなかなか満点に近い答えを見つけることはできませんでしたが、福岡のMさんから、同じ目にあったことがある、たしか熱電対のタイプの違いだったはずだ、というメールをいただきそれをきっかけに道がひらけました。
わたしは陶芸家として制作活動をしつつも、こうしてメルマガを書いたり、窯の仕事を請けたりしています。そのつながりで1,2年前に知ったある企業を思い出し、電話で問い合わせることにしました。
商売へのつながりが薄いのにこういう電話は気が引けるのですが、もし故障だったりすればお願いしますので、ということでかなり詳しく教えていただくことができました。
サラリーマン経験のあるわたしの秘密作戦として、11時43分ごろにかけるという高等テクニックを駆使し、相手に12時まで話しちゃおうという気にさせたのは言うまでもありません。
◆ここからが大事なところ
おそらく、わたしが知る限り、もっとも多く熱電対を取り扱ってきたのであろうとおもわれる方が電話口に出てくれました。
実は熱電対にはたくさんの種類があります。K・J・T・E・N・R・S・Bなどです。
この中で、陶芸の世界でわたしたちが目にするものはほとんどR型です。ただし、ごくまれにK型が使われます。
今回はこのRとKについて説明します。
熱電対は、保護管(白い筒の部分)のなかに、0.3ミリ2本か0.5ミリ2本のどちらかの太さの金属線が、細い保護管に包まれて入っています。
さきほどのアルファベットの型番が違えば、保護管にはいっている金属が違うのです。
さらに2本の金属線はプラスとマイナスで種類が違い、R型の場合、プラス側が白金ロジウム、マイナス側が白金で、先端は溶接してつないであります。
高温の中で異なる材料の2本の金属を接続して1つの回路(熱電対)をつくり、ふたつの接点(窯の中と外の温度計)に温度差を与えると、回路に微弱な電圧が発生します(ゼーベック効果という)。
この起電力は、金属によって違います。つまり、温度計の種類が変わると変化するわけです。
ですから温度計が熱電対に対応していない場合、正確な数値が出ません。そして、R型とK型は見た目はまったく同じです。
K型はニッケルを中心とした、クロメル(+)とアルメル(−)で、
1000℃までしか測れません。
ではなぜ、それが陶芸の世界にあるのでしょうか。中古品の熱電対として流通してしまうのでしょうか。
それは、工場の素焼炉用なのです。
素焼はご存知のように、高いところでも900℃ちょっと。K型で充分です。
中身を入れ替えるだけで、さまざまな型に対応できるからでしょうか、保護管や端子のネジなどには何型と書いてあることはあまりないようです。
ではRとKの見分け方はないのか。
お聞きしたところ、保護管をはずして、中の線を確かめるしかないようです。また、もし線が切れたりした場合、リサイクル可能です。というか、白金の相場で買い取ってくれるらしです。
知らないでそのまま不燃物で捨ててしまう人が多いのだとか。・・・もったいないことを。
熱電対が数万円するのは、ほとんどこの白金の価格ということになるでしょう。これから中古や業者を見極めるには、このR型K型のお話を思い出していただき、きちんと答えられない物は買わないことです。
また、熱電対を売るならば、やはりこれぐらいは頭に入れてほしいものですね。
いやそれにしてもどんな世界にもプロフェッショナルというのはいます。各種熱電対を取り扱っているプロというのもいるのです。
ここに書いてはかえって誤解を招くため控えているような、深く詳細な話をたくさん聞かせていただきました。
G社のSさん、本当にありがとうございました。ふとしたきっかけで始まった小さなつながりでしたが、今回とても助けていただきました。
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posted by inoueseiji at 11:32
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窯と焼成に関すること
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この日曜日月曜日で登り窯わ焚きましたか、あろうことか途中で二つとも壊れて役に立たなくなるというアクシデントが起きてしまいました。高価なものですので是非安いところを教えて頂ければ嬉しい。どうぞ宜しくお願いします。