2010年03月23日

土に釉薬を混ぜる


先日数人の方にたて続けに質問されたので書いてみます。

土に釉薬を混ぜることは、わたしはやったことはありません。

しかし、かなり昔からある技法だと聞いていますし、数年前に陶芸の技法雑誌にも紹介されていました。また逆に、共土といって釉薬に作品と同じ粘土を混ぜることも昔から行われています。

また、耐熱鍋土は特定の長石分を一般の粘土よりも非常に多く含むため、同じ釉薬を掛けてもまったく違う風合いになります。この状態は、土に釉薬を混ぜた状態に近いと言えるかもしれません。


そもそも、なぜ土は窯で焼くことで「やきもの」になるのでしょうか。

この部分を説明するのは簡単なのですが、習いはじめの方が、自分の腑に落とすのには、ちょっと時間がかかるかと思います。


土を焼くとどうして固く焼き締まるのか。


それは、土がとける成分を一部持っているからです。

一部がとけるから焼き「締まり」ます。(本焼すると収縮しますよね)

一部はとけないから形が保たれています。




これはあくまで日本のやきものの話ですが、

まず土器ができた。

焼成技術・設備の向上で温度が上がる。

焼結の度合いが高まる。

灰の付着による素地表面の変化に気付く。

灰を釉として利用するようになる。

さらに釉薬に向いた原料を使用するようになる。


大雑把にこういう流れになると思います。(1万年ぐらいかかってます)




灰以外は全部、土の中から掘ったものです。


ものすごく分かりやすく説明しますと、鰹節も、カツオのたたきも、鰹です。
猫飯は別物というわけではないですよ。

または、豆腐とアゲの味噌汁と納豆でもいい。(全部大豆がらみでしょ)

なにが言いたいかというと、釉薬も粘土も、もともと土の中にあったものなのです。
親戚のような関係にあり、はっきりと分けることができる、とは言いきれない。

多くの日本の陶器では、釉薬の中にも、土の中にも長石は存在します。

また、釉薬は釉薬だけでは存在できません。(例外はあります)

作品にくっついてないといけないのです。釉薬をよくガラスに例えますが、決定的に違うのは、釉薬は、一人じゃやっていけないということです。わざわざ土に釉薬を混ぜなくても釉薬と土の境目はとけあって中間層をつくっています。

逆に、共土(ともつち)といって、釉薬に作品に使う土を少し混ぜて、この中間層の形成を助長するようにすることを昔からやっています。

わたしも今度実験してみますね。

土に釉薬をパーセントで管理して混練し、さらにその上にその釉薬をかけて焼く、というのは面白そうですね。

ついつい思い込んでしまうのですが、土と釉薬の関係は、豆腐と厚揚・油揚、まああっても納豆かな、という程度の差でしかないとわたしは考えます。

その考えと作品がうまくリンクしないんですけどね・・・。











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posted by inoueseiji at 12:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | 作陶に関すること
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