2021年11月26日

ドキがムネムネ




先日100Vの電気炉から始まった福岡県のお客様のところへ10kwの電気炉を納めてきました。
段差がかなりあるのですが、動画であるように足場を作って搬入します。

(念の為に記載しておきますが、この電気炉のサイズだからこの足場です。1トンを超えるガス窯であればブロックは使用しません。)


工房の名前の由来をお聞きしましたが、いろいろな楽しい「オノマトペ」がこの場で生まれるようにとのことでした。

いいネーミングだと思います!




★オノマトペファクトリー

これから宗像市にて本格始動です! みなさん応援よろしくお願いいたしますね。


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2021年11月19日

気持ちは痛いほどわかるけれども


先日質問のメールをいただいた件で、いろいろと考えておりました。

場所や個人・団体などは伏せますが、みなさんのご考察の一つになればと思います。

ガス窯において、焼成初期段階において一酸化炭素警報器が発報したという事例です。


【設置状況と設備】

  • 公共の施設である
  • メーカーの型番から推察すると0.3㎥前後のガス窯
  • 施設としては数基目で設置後10年程度
  • 窯小屋は施設本館とは独立したブロック組の広さ20uほどの建物
  • 最近一酸化炭素警報器を設置
  • 焼成時には換気扇を使用し扉なども開放
  • 高齢者を中心とした複数のグループのべ数十人がグループごとに窯焚きを行う
  • 知識のある焼成の指導者はいない



【警報発報】

  • 還元焼成に移行する前段階の低い温度で警報器が作動
  • 施設の管理側やガス供給会社なども駆けつける事態になった
  • ガス供給会社の担当が焼成中のガス窯付近で一酸化炭素を確認した
  • 施設側は今後還元焼成は一切禁止と判断
  • 電気炉へ交換する計画がある

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還元焼成が出来ないのは残念だということで、ネットの発信から存在を知っていたわたしに質問者の方がメールを送ってこられました。施設側の判断はなにを根拠としているのか、メンテナンスは可能かというのが主なメールの内容です。

また複数いる使用者の中には、警報器の電源を落として使用すればバレない、そもそもこの警報器がおかしいのでは、という発言もあったそうです。また質問者の方もこれは本当に異常な事態なのか、セカンドオピニオンがほしいということでした。

メールの返信ですが、わたし個人としては遠すぎてメンテナンスすることは不可能とお伝えし、何度かのメールのやり取りの後、意見をまとめたメモを送付しました。

もしかしたら使用者として質問者の方にも、ガス供給会社の人間はどこまでわかっているのかという気持ちもあったのかもしれませんが、陶芸愛好家の100倍ガスとその事故事例に詳しいのは間違いないのです。

わたしはメールのやり取りの中で、どこか警報器を発報させてしまった事態を軽視しているその集団のノリが非常に恐ろしいと思いました。と同時に、その気持も痛いほどわかるとも思いました。その集団に自分がいれば同じ言動をとっているかもしれません。

とはいえ、まず通常の還元焼成で警報が鳴ることはありません。
鳴らすぐらいモーレツ強還元の作家さんもいるそうですが、それはあくまでも例外中の例外です。

まず警報器が鳴るということは有りえないということを強くお伝えしておきたいと思います。他の警報器でも集団なら無視しますか?

そして助成金や税金によって運営されている場所において、管理側の決定に背くこともありえません。

もちろん、こうした今回の事故未遂のような事案は、全ての学習館や生涯学習センターなど、公設や半官半民の施設で行われている作陶活動に内包されている大きな問題だと考えられます。


わたしも地元の生涯学習センターに講師として、十数年の長きにわたって関わってきました。その中で陶芸窯、野焼き、危険な溶剤などを受講生とともに取り扱ってきましたし、さまざまなトラブルにも遭遇したからです。

きっとその公共施設の運営体制も、自治体の正規職員は全職員の半数以下もしくは数名で、あとは委託された管理会社の社員、どちらかといえば不安定な雇用形態の方が働かれている例が多いと想像します。のんきに見えますが実際は大変な職場ではないでしょうか。

さて、前述のようにわたしの講座でもいろいろとトラブルは過去に起きましたが、利用者側にそういうトラブルの元になってしまう考え方があると思います。それはこの施設だけではなく、公共施設でのサークル活動や生涯学習講座全般が抱えている問題の根幹になっている考え方かもしれません。的外れかもしれませんが、たくさんの高齢者の受講生と関わってきたわたし自身の経験をもとに書いておきます。

利用者によくみられる傾向として、公共の施設を安価や無料で使わせてもらっているという感覚の欠如、陶芸以外にもさまざまな講座やイベントなど煩雑な業務がその施設や事務局の人間にあることへの無理解、そして一番は自分にはその施設を利用する権利はあるが守るべき義務はないという甘えです。

わたしの講座でもツクや棚板の状態は放っておくとあっという間に悪化します。自分でお金を払っていない設備や道具を、人は本当に適当に取り扱います。過去には講座内容とはまったく無関係の自分の作品を焼成していた人もいました。ある程度なら眼をつぶることもありますし、テストピースなら大歓迎ですが、基礎をおろそかにして家で作ってきたロクロの大物を焼成する義理はないのです。


もちろんこの公共施設の管理側にも責任があります。

一酸化炭素用の警報器を設置したのは良かったですが、おそらくはそのガス窯の設置業者もしくはメーカー、施設の管理側も、ガス窯使用時のマニュアルやチェックシートは作成していなかったと思われます。

とりあえずは安全マニュアルで十分でしょう。点火や消火の手順、ダンパーとドラフト、換気扇の確認、そうした手順を毎回守らせることは非常に重要なことです。

わたしも小さな会社や職人の世界にいたことが多かったですから、いちいち書類とか面倒くさ〜い、と結構最近まで思っていましたが、その記録が事故を防ぎ、人を守ることになります。
そうした安全対策も考えていきたいと思います。

とはいえ、管理側の方々は仕事をはじめた時にはすでに陶芸の教室なりサークルなりが存在して、その管理方法もわからないまま日々の仕事に追われてきたのに、事故が起これば管理責任を問われかねない。かなり際どい事態が発生して電気炉へ移行しようとすれば利用者からは「還元焼成が出来なくなる!これまでずっとやってきたのに」と反対意見が出る。それではあんまりでしょう。


利用者の気持ちはすごくわかります。
みんなでワイワイ還元焼成したいですよね!



しかしです。何の指導もなしで不特定多数の、それも高齢者中心の複数のサークルがガス窯を運用するのは無理があるのかもしれません。プロだって30年デタラメな焼成をしてきた人がいたりするのですから。

せめて講習会をひらく、安全管理を行う、今後はそれが必須だと思われます。

わたしが確認しているだけですが、この数年の一酸化炭素中毒の事故は民間の陶芸教室と公共施設ばかりで起きているようです。


わたしはガス窯メーカーで鍛えられましたから、ガス窯が電気炉になると聞くとその寂しさみたいな気持ちは理解できます。しかし電気炉にしか出来ないこともあり、燃料で窯の優劣が決まるわけでもありません。

逆に還元焼成できないという条件でどれだけの作品を作れるのかを競いあっていこうじゃありませんか。


それに。






















 誰かが亡くなってからでは遅いと思いませんか。


posted by inoueseiji at 16:09 | TrackBack(0) | イノウエセイジの頭の中

2021年11月18日

日の名残り

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自分が窯造りを仕事として選んだ理由はある一人の在野の研究家に会ったからですが、大きなもう一つの理由は単純にガス窯の設置費用を貯金するぐらいなら造れるようになる方が早かろう、と考えたからでした。まぁ馬鹿ですからね。

わたしはいくつかの遠回りをして瀬戸の訓練校に入校したので、悠長に貯金をすることは考えられず、そもそも手仕事の修行中に貯金をするような賃金をもらうこともないことを知っていたのもあります。

他の仕事や変なトコロに遠回りをして良かったこととして、やきものには窯が必要だというシンプルな事実にすぐに気がついていましたし、それに気が付きながらもふんわり無視するということもありませんでした。

そんなわけで雑誌「陶磁郎」に載った芳村俊一さんの記事にも敏感に反応しました。関東方面から来た同期に伊豆なんてすぐだ、と距離感のわからない九州人のわたしに変わって一泊での伊豆行きの段取りをしてもらい、入校したその4月の終わりに同期数人と初めて芳村俊一さんにお会いすることになったのです。

わずか数時間のことでしたがその印象は強烈で「やきものをやるなら、まず窯をつくれ!」と直接言われたことは忘れられません。そしてわたしは在校中に結構あっさりと大沢ガス炉商会に就職することを決めました。また学校外でも薪窯の手伝いをする機会を得るように動き、また在学中には同期の有志十名ほどで穴窯を借りて自分たちの手で焚くこともできました。

これまでの動画やブログなどでもこの話はしていますが、わたしの発信なんて大した影響力もありません。もちろんそれでも動画で紹介されていた本を買いました、読みましたと言われることも何度かありましたが、最近若いお客さんから芳村俊一さんの名前を聞くことが何度か続き、それもまったく別ルートで知ったという方ばかりだったのには嬉しい驚きでした。そしてもう亡くなってしまったとはいえ、人生を変えて頂いたものの一人として、氏の発信がじんわりと広がっていることを嬉しく思います。

またそんなお客さんたちが羨ましくもあります。

二十代前半で芳村俊一さんの本を知り、100Vの電気炉を手に入れ、わたしや梶田絵具店さんのサポートを受けられるなんていいなぁ。別に二十代前半に限らず、三十代でも四十代でも何歳でもいいですが、そうした発信に支えられているという羨ましさを感じずにはいられないと言えば、どっかの穴の小さいヤツと言われるでしょうか(笑)。

あの資料館がもう見れないというのは大変残念ですが、バトンはずっと次へ次へと渡されているようですし、わたしもその中に参加していると自覚しています。

自分で掘った土を釉薬や胎土として小さな電気炉で焼成する。
窯も自分でというのは理想ですが、そんな本来のやきものの仕事をマンションの18階で行っているなんて考えると、いつかあの世で芳村さんにお会いすることが出来たら、ちょっとは報告するネタを作れたのかなぁと現時点でも思います。

まだまだ発信しなければならないことがありますが、焦らずにコツコツやるだけでしょう。実は工事や出張があり、合間に自宅での仕事や家事をさせていただいておりますので、動画はもう少し後かもしれません。

写真はウチにあるシブがき隊じゃなくて渋柿を窯場に干した様子です。ウチではこれを行うとああもうすぐ冬になるなぁと思ってしまいます。

皆様もご自愛くださいませ。







posted by inoueseiji at 10:28 | TrackBack(0) | イノウエセイジの頭の中

2021年11月11日

アナリティクスにションボリする


気が付けばYouTubeに300本以上の動画をアップしました。
いま現在6000人以上の方にチャンネル登録していただいております。

本当にありがとうございます。


YouTubeを発信している側には、YouTubeStudioという管理画面があり、自分のチャンネルの情報などを確認することができます。

登録者の数や視聴回数も重要ですが、チャンネル全体や個別の動画のアナリティクス(分析)を確認して、今後の発信の方向性や改善点を探ることができるのです。たとえばチャンネル登録者の男女比であるとか、年齢構成なども知ることができますし、動画のどの時点で視聴者が離れているのかを確認することもできます。

イノウエの場合、多くの方に焼成や窯へ興味を持って、自主陶芸に取り組んでほしいという明確な理由がありますので、基本言いたい放題ですが、それでも時々はこのアナリティクス(分析)を確認するようにはしています。

最近気が付いたのですが、マジメで重要な窯の話をしている動画で必ず登録者が減っているが、ごくまれに出すロクロ動画では大幅に登録者が増えていたという事実です。やれやれ。

視聴回数と登録者の増加を目論めば、週に一二度程度、コンスタントにロクロ動画を出すのが一番いいということですが、わたしは窯の情報発信がしたいのであって、登録者を増やしていきたいのとは少しズレたゴールを目指しているということになります。

それにしても窯の話は登録者が減少するという事実は結構凹みます。
やっぱりロクロは大好きだけど焼成には意識が向いていないという方が圧倒的に多いということでしょうか。

また年齢層もこの動画をはじめた当初はほとんど65歳以上でした。もう終わっているなと思ったものですが、今はこんな感じです。

視聴者の年齢

上段:視聴回数 
下段:総再生時間

女性
男性
26.3%
73.8%

13〜17 歳
0%
0%
18〜24 歳
0.2%
0.4%
0.2%
0.3%
25〜34 歳
1.2%
5.7%
1.1%
4.8%
35〜44 歳
3.0%
9.0%
3.1%
8.0%
45〜54 歳
4.8%
13.9%
4.9%
14.2%
55〜64 歳
6.7%
13.1%
7.0%
13.5%
65 歳以上
10.4%
31.6%
10.5%
32.5%


コピペしただけですから見にくいですが、これは多分ほとんどの陶芸動画の視聴者とそう大きくは変わらないと思います。
圧倒的に男性が多く、65歳以上の男性が一番多いようです。

また、注目すべきは「チャンネル登録」はGoogleアカウントを持っている人しかできません。そのアカウントの情報をもとに年齢や性別を分析しているのであって、そもそもチャンネルを視聴している人数のうち、カウントされているのは全体の三割ほどで、七割程度の人数はデータが取れないということです。

もちろん未登録者は、お前なんか嫌いだぁと登録していない人、あえてログアウトして視聴している人、たまたま観ちゃった通りすがりの人が大多数でしょうが、わたしが危惧するのはいつも観ているけれども「Googleアカウントって何?」という方が相当数含まれているのではないか、そしてそのほとんどは65歳以上ではないのか、ということです。

そうなると様々な方々が発信している各陶芸動画を支えている視聴者のほとんどは65歳以上ということも極論ですが言えそうです。

そこで何をどう考えて発信していくのか。

それを考えていかないと10年経ったら困ったことになりそうな気がしないでもない。

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posted by inoueseiji at 06:07 | TrackBack(0) | イノウエセイジの頭の中

2021年11月10日

「陶芸道具むらかみ」を訴える!


な〜んてことはしないイノウエです(笑)。

先日「陶芸道具むらかみ」のワタナベさんから丁寧なメールをいただき、わたしの動画を製品紹介に利用していただくことになりました。

タイトルに引っ張られてしまった方、すいません。サイトを見てほしいと訴えております。

★陶芸道具むらかみ


あの「世界のむらかみ」に関われるならば本望ですヨ(笑)。
そもそもわたしはネットに出したものを勝手に利用されてもいいと考えている部分もありますし、そのほうが業界のためにもいいと考えております。



タタラ成型機TSR




これがウチに来てから、タタラ成型への苦手意識は完全に消え去りました。
20万円以上するタタラマシーンはちょっと手が出ないアマチュア作陶家、仕事として作陶するプロの方にもお勧めできますし、お値段以上の仕事をしてくれます。

動画中でも説明しておりますが、ローラーの仕組みがよくできているので大きな力が必要ありませんし、それは結果として故障しにくいことに繋がるように感じます。

わたしが指導に関わっている生涯学習センターの工作室には、青くてデッカイあのタタラマシーンがあるのですが、面舵一杯やりすぎたのか、目盛りは狂っているし、厚みのあるものだと力がかなり必要です。そして機能の割には高額すぎて手がでません。

しかしこのシンポさんのタタラマシーンなら、お父さんの単焦点レンズとかお母さんの基礎化粧品セットよりは安いでしょうから、妙な中古機材をネットで探すぐらいなら小型タタラマシーンはコレ一択でしょう!



是非「陶芸道具むらかみ」にてご購入ください。
日本電産シンポさんの正規代理店ですから、ロクロなんかもありますよ!




TS200R_89_1734.jpg

しかしTSRといえばイノウエの青春時代のコレですね。
スズキTS200R。これでウイリー覚えましたねぇ…。


posted by inoueseiji at 05:47 | TrackBack(0) | イノウエセイジの頭の中

2021年11月02日

言葉って難しい

ちょっとした空き時間に大きめの書店をブラブラしてみれば、とある陶芸雑誌の表紙に

「耐熱レンガ」

という文字。

一瞬凍りついてしまいました。

BTSのファンが「チゲ鍋」という文字を見つけたような、アメリカ人が「I love Dog!」というポスターをペットショップで見たような、ベドウィンの首長に「サハラ砂漠」と言っちゃうような、何とも言えない強い違和感を感じました(ナベナベ・犬の肉が好き・砂漠砂漠)。

動画に変な英語字幕をつける方は放置しておけばいいとしても、専門誌が耐火断熱レンガを「耐熱レンガ」とあんなにでっかく表記してもいいのでしょうか。そもそも耐熱じゃないレンガってあるんですかね?

あれでまた読者が築炉メーカーとかに

「耐熱レンガありますか?」

とか変な電話をすることになって

「え?耐火レンガのことですか?

違う?じゃあ耐火断熱レンガの方?

それでもないの?

で何丁ご入用ですか?

え、たったそれだけ?


なんてことにならないかと心配です。



「より土」という言葉があります。

道具土のことですが、より土という呼び名で瀬戸周辺では通じます。
レンガクズとかシャモットで、なんて誤解して覚えておりましたが、先日電話で山内陶料さんに確認すると、ちゃんと鉱山でこのあたりは「より土」になるなと見極めて掘り出し、1300℃オーバーの焼成テスト後にさらに調整して製品化しているとのことでした。

ウソを聞いてしまったお客様、申し訳ございません。
意外と天然ものですね。目利きでより土を作る瀬戸のおじいちゃんのより土屋さんがありましたが今はどうなっているのでしょう。

昔の窯詰めは、まな板のような棚板に、粘土の棒のようなふといツクでしたので、その棚組の安定のために「より土」は文字通り手で撚って使っていました。それでいて耐火度があり、焼き締まらない、という特殊な性質が必要だったのです。

初めて船に乗り込むヤツに「もやい結びやってみろ!」とロープを投げるように(なんかの映画であったなぁ)、昔の窯詰め職人は「ちょっと撚ってみやぁ〜!」と新入りがザクザクで使いにくい「より土」をどの程度扱えるのか、紐状に撚る際の手付きで判断していたとか。

茶碗の目土にしたり、ゼーゲルコーンの土台にしたりするのですが、現在の製陶所や工房では使用頻度が低いものだろうと想像します。

また地域によっては「より土」が「道具土」とイコールになっていないところもあることを確認しております。そうなると動画や電話で「より土が〜」なんて伝えたつもりになっていても、「可塑性があり、耐火度があるが焼き締まらない粗い土」ではなく、単純に「紐状に撚ったウチの粘土のこと」となっていることもまま有り得るということだと推察します。

実際に瀬戸でいうより土ではないものでゼーゲルコーンやオルトンコーンの土台を作っている人は意外と多いのではないかと今回いろいろな事例を知り、想像しています。あなたはどうですか?

言葉は非常に難しいです。
わたしは言葉の専門家でもありませんから、そのあたりの表記がフラフラしていると思いますし、やきものの世界は世代や地域によって言葉や常識、非常識が大きく異る世界でもあります。

とはいえ、答え合わせは世代が違っても可能だと思いますので、今後とも発信には気をつけていきたいと思います。

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2021年11月01日

焼成指導の七つ道具とその考察

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立ち会いでの焼成指導が今年はやたらと続きます。

もちろん100Vの電気炉のお客様も電話でのご説明や焼成時に連絡を待機しておりますが、ガス窯で初窯であれば現地での立ち会い焼成が必須だと考えています。

それはわたしが焼成と窯のいろはを教わった大沢ガス炉商会の創業社長がそうしていたからですし、会社に設置していた貸窯の指導でも熱心に学生や訓練校の生徒に窯の焚き方を教えていたからです。

大沢社長に習って焚き方を覚えても他所の窯買ったりする学生もたくさんいたわけですが、それはそれとして、まずはガス窯焼成の出来る出来ないを伝えないといけない。

それが築炉メーカーの存亡に関わることになるということも、大袈裟にいえばあるということなのかもしれない。わたしも現在まったく同じように考えていますし、今後もそうしていきます。


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現場に行ってみれば圧力計が狂っていたり、より土がなかったりすることがあって、今では焼成指導には七つ道具のようなものを持参して望んでおります。ちょっと紹介してみますね。

  • 焼成グラフ用紙(ふくおか陶芸窯製)
  • 筆記用具(エンピツ・三色ボールペン・ナイフ・メジャー)
  • ゼーゲルコーン・オルトンコーン(#8、#9、分度器)
  • より土(道具土)
  • 熱電対・補償導線・温度計セット
  • 赤外線温度センサー(非接触式)
  • バーナーヘッド
  • 50kpaガス圧計・パッキン
  • レンガ・レンガノコ
  • モンキーレンチ等工具
  • 軍手・皮手
  • ライター2ケ
  • テスター・起電力表(熱電対R・K用)

じぇんじぇん七つじゃありませんけど(笑)。
現場の状況によってはさらに持参するものは増えていきます。

より土は最近よく活躍しております。
地域によっては使用しないところ、存在が知られていない場合もあるようですので多めに持参しております。

温度計測関係はいろいろと持っていくようにしておりますが、シブいのはテスターと起電力表でしょう。いまのところ起電力表を使用しなければならないような最悪の事態には遭遇しておりませんが、テスターがあればアナログの温度計が壊れていないのを確認したり、熱電対が断線していないのを確認したり、逆に発見したりするのに使えます。

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ライターが2個なのはお客様にプレゼントするためだったりします。シュッと擦るタイプのライターだと窯焚きが終わる頃には親指の皮がヒリヒリすることもありますので、カチッと押すタイプの電子式がお勧めです。

レンガとレンガノコはドラフトの栓を改めて作ったり、壊れている色見穴の栓を作ったりできます。既存のドラフトレンガをカットすることもあります。

モンキーレンチなどは引っ張り棒が締め付けられたりしているのを緩めたりするのに使用しますが、他にも基本的な工具があればだいたいのことができますよね。

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赤外線の温度センサーは窯の表面温度やエントツの表面温度を計測して、お客様と確認することができます。なにより数字で温度が確認できれば安心感があります。

焼成指導は長い時間がかかり、他メーカーのユーザーさんであれば有料での仕事となります。受ける側も責任感をもって望んでおります。

お困りの方がありましたら相談だけでもご連絡ください。


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(コロナ太りと日焼けで丸い)
posted by inoueseiji at 13:37 | TrackBack(0) | イノウエセイジの頭の中

2021年10月25日

1300

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先週も今週も焼成指導です。
温度計で窯を焚いてはいけませんが、1300℃の数字が表示されるとやっぱり興奮します(笑)。

磁器ということもあり1250℃と1280℃のテストピースの表情が全く違ったのは改めて勉強になりました。
そりゃ産地によっては温度高い方がエラい感じになるかぁ〜と実感もしましたね。

エントツのダンパーとドラフトの操作についてもお客様との焼成中のおしゃべりの中で新たな発信の気づきがありました。
それはまた発信していきたいと思います。
posted by inoueseiji at 07:20 | TrackBack(0) | イノウエセイジの頭の中

2021年10月17日

ノーヘルで走れるのは若さではなくバカさ

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禁断の、という覚悟で、これまでもいくつかの動画を発信してきましたが、特段誰にも刺されることもなく。
よくよく考えればそれは結局は正しい仕事をしている人への利益になっていると思うようになりました。

この動画で話しているような内容、先日のブログの記事に記載した補修内容、本当に当たり前なんです。
逆に「いやいや、待ってちょ〜す、アレもやっとかなイカンに!」と言っている方もいるのではと想像しています。

窯の情報の希薄さが、陶芸人口の減少に多少は影響していないでしょうか?

そんなことはない?

でも気になる。

未だに焚き方についても都市伝説みたいな話が飛び交っているようです。

勝手なことを言うのはまぁ勝手ですが、聞く方はソイツが窯焚き出来るか確認しましょう。

むかしの窯焚きでの笑い話ですが、こんなことがありました。

初めての若いのを先輩が応援に呼んだので、その若いのに「何回ぐらい薪窯の焼成関わったことあるんだ?」と別の人が聞いたんです。
それは彼の焼成経験を知り、何を教えるべきなのか、何をしてもらうのかを現場として把握したかったからです。別にゼロでもいいんです。経験者のクソ野郎よりも、未経験で素直な子の方がマシだからです(あれ?ブーメラン?)

その若いのは4回だと答えました。

ほう、なかなか経験しているじゃないのと思ったら、学生のときに見学したのが2回、どこかの窯場で1回薪を投入したことがある、で?あとの1回は?と聞くと。

「子供のときに親に連れていってもらってどこぞの窯場で見ました。」とのこと。

「あのね、そういうのは何一つ経験じゃないから」

あんなに冷ややかなシ◯ラさん、初めて見たっけなぁ(笑)。

自分が窯が焚けるから、焚けない業者をチクチクしているわけではありません。
わたしは基本的なことしか知らないし出来ません。でも、窯を取り扱うということを別なことに置き換えれば理解していただけると思います。

蕎麦アレルギーのそば打ち名人はあり?
免許がないディーラー営業マンはあり?
パソコンを販売しているけどタイピングできないとかは?
窯を販売しているけれど点火から消火まで窯焚きの体験がないのはどう?

百貨店の催事担当者でも、陶芸展担当になったから、と初めてのロクロを購入して回す人もいるんですよ。

窯を売るなら焚けるのは当然だと思いませんか?



中古の窯でも、もう絶対使えないようなものを流通させていたり、使える気になっていたり、電気炉以外自分ひとりで焼成した経験もないのに窯の選び方を発信したり、コントロールできない窯でデタラメに燃料を消費したり、壊れたバイクのレストア気分で窯をどうこうしようとか、これまで他の方の発信には呆れて物が言えなかったり、考えさせられたりしました。

情報に飢えている人はそんなものでも信じてしまいます。

そもそもアナタの修行先が本当に正しい作業をしていたのか、誰が判断できるのでしょうか。
師匠も弟子も全員圧力計をたたいてるっていいんですか。よくそこから外へ眼を向けたなと関心もするけれども、逆にそのままでいつづけたらと考えると怖いです。

電動ロクロの作陶動画なら、微笑ましい気持ちで観ることもできますが、誤った窯の販売や設置、情報発信は下手をすると人が死にます。

だからこれぐらいは出してもいいかと考えて発信することにしました。




参考になれば幸いですし、ご意見などありましたらお聞かせください。




posted by inoueseiji at 09:17 | TrackBack(0) | イノウエセイジの頭の中

2021年10月13日

10年前と言っていることは変わらない


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当時課金?して読んで下さった方には申し訳ございませんが、有料記事の中古機材についてです。







◆◆◆   中古陶芸機材について











とある業者の方からメールをもらった。とても嬉しいメールだった。
わたしの窯の仕事に共感と評価をしてもらったのである。遠く離れた地方だがそういう感覚を持っている人がまだいるということがわかっただけでも嬉しい。


陶芸の窯、ロクロなど中古で流通する陶芸機材はかなりある。

特に窯などは新品を購入したり設置したりするにはそれなりに費用がかかるのは承知の通りで、場合によっては新車1台分以上の出費を覚悟しなければならない。

そこで中古の機材を探そうとするのは自然なことだろうが、中古車と違い、陶芸の機材の場合はかなり気をつけなければならない。

必ずしもきちんとしたものが流通しているというわけではないからだ。

わたしは窯についてよく車に例える。あなたが車の免許を持っていようがいまいが、それなりに自動車についての評価を想像することができるであろう。たとえば年式、走行距離や傷などで、その価格と車の価値を考えることができるであろう(もちろん車屋もひどいのがいる)。

そもそも、車には車検というものがある。国と法律が介在している世界なのだ。
ところが陶芸の世界にはそんなものはない。しかも、ほとんどの人はそういう機材や道具をいざ買うぞ、という状態で初めて中古の窯や道具にむきあわなければならない。

はたしてそれで正しい判断ができるのであろうか。はなはだ疑問である。





◆中古機材の販売


わたしは瀬戸を離れて数年がたつが、これまで窯業界で経験したこと、また地元に戻って見聞きしたことから正直なところを書いてみたい。

まずは中古の窯がどういう経緯で売られていくのかということである。窯業地では工場が閉鎖したりした際に、そういう業者が介入してくる。この時、多くの場合はタダ同然で、重たくて面倒くさい窯や機械を引き取ってあげる、もしくは手数料を取ります、ということが多い。

それをどうするのか。

そこから業者の良し悪しが分かれてくるのだ。そして残念ながら、良い方よりも悪い方が多い。





◆悪いとはどういうことか


何をもって悪いというか、はっきりさせておきたい。

タダで手に入れたものを、数十万で売るのは悪いことか。わたしはそういう業者は好きではないが、ここでは悪いということにはしない。そういうものを手に入れるタイミングやチャンスに恵まれる要素もあったと思うからだ。また、人によってはそういう行為こそ良い商売と考える人もいるだろう。人間にはそれぐらいの振れ幅があるのはわかっているつもりであるが、嫌いなものは嫌いなのである。

ここでの悪いとは、手に入れたものに対する無知と無頓着である。

窯というものが、陶芸の仕事においてどういう意味を持つのか、実感として知らない、電動ロクロの整備の仕方がわからない、手に入れたものが寿命のどのあたりにあるのか理解する知識がない。

そういう無知を「悪い」という。

土練機の中の固まった粘土を除去もせずに現状渡しとしたり、錆びを落としてペンキを塗ることもしないで、ただ価格をつけてネットにのせるような無頓着も悪いんだ、とわたしは言いたい。




◆まともな商品はあるのか


30センチの高さの作品が焼ける小さな電気炉の中古で、20万円ぐらい。

よくそういう問い合わせがある。
結論からいうとそんなものはない。あるほうがおかしい。

以前ネットでその条件に合うものがあるので見て欲しいと言われたことがある。
わたしから買うわけでもないのに、見ず知らずの人にそんなことをする義理はない。正直腹立たしかった。それでも興味本位にそのページを見てみた。

なるほど現状渡し、20万円である。

しかしヒーター線の劣化が異常に激しく断線もあり、10万円単位での修理が必要であることが見ただけでわたしにはわかった。もちろん一般の人にはそんなことはわからない。


電動ロクロで、年式も不明なほど古い。整備もしてないが数万円する。
堂々とそれを売っている。はたして新品で高くても十数万円のロクロが数十年たっても数万円の価値があるのだろうか。

買う人がいる以上、それは余計なお世話なのかもしれないが、あなたは20年前の整備されていない乗用車に、その新車価格の十分の一を出せるだろうか。

すくなくとも整備はしてほしいとわたしは思う。整備をしないということは、整備できないということであろう。

古さが評価されるのは作品だけで十分である。





◆まともな業者はいるのか


いる。

わたしもそうなろうとしている一人のつもりだし、その努力を怠っていないつもりだ。わたしだけでなく同じような価値観を持つ人もいる。

特に自分たちで造っている人たちは信頼できる。つまりメーカーだ。

また、作陶の経験がある人(わたしもその一人:継続中)も、同様の感覚を持っていることが多い。

臭い言い方かもしれないが、陶芸をしっかりと愛しているかどうかということかもしれない。















平成23年 1月13日

井上 誠司

(一部編集済み)




まぁ有料メルマガなので文体は意識して硬い感じにしていたような記憶があります。
でもちょっとクドいかな(笑)。

陶芸窯についてのわたしの発信内容はあまり変わっていません。
それは窯というものが大きくは変化していないからです。

つまり変化の激しいパソコンやIT業界とかと違って、窯や窯焚きというものは、一度その太い幹を掴んだら一生モノの知識と技術になるのです。

それには実践して確かめるしかないのですが、逆にいえば誰にでも出来ることです。

そうそう、みんな大好き電動ロクロですが、シンポさんの標準機、現在のダイレクトドライブ以前のRK-88とかの部品はほぼ流通していないようです。特にゴムのリングなどは入手不可能ですから、補修できません。またメーカーにも在庫はありませんからご注意ください。

新しいのを購入してほしいというのがメーカーの願いみたいです。

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2021年10月12日

ハンドルとひっぱり棒

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ガス窯ネタを続けていこうと思います。

さてハンドルはまぁ分かるとして、ひっぱり棒って何?という方のための記事。
ガス窯の鉄のケーシングは天井部がない箱型。

爆発しても圧は上に抜けるようになっているなんて先輩に聞いた方もいるでしょう。まぁそういうことも結果としてあるかもしれませんが、鉄のフレームを自分で組んでみれば天井部に鉄板なんて貼れないのがわかるかと思いますし、そもそもレンガ積みを受け止めるためのケースですから、天井部はアーチがはみ出す場合もありますし、補修工事でも邪魔にしかなりませんから必要ないのです。

窯のサイズが大きくなるとレンガの量も増えるし圧も強くなるので、前後左右に「ひっぱり棒」というものをつけます。これは築炉メーカーによってどのサイズから設けているかは色々です。また時代によっても考え方の変遷があったようにも見受けられます。大沢ガス炉商会さんの0.4㎥はひっぱり棒がありますが、ウチにある古い0.4㎥にはありません。シンリュウさんは横だけ引っ張っているモデルが意外と多いです(どれも正しいと思います)

写真のものはかなり古いガス窯ですが、ボルトとフレームの間には大きなスプリングがはさんでありますね。これでわかるようにひっぱり棒のボルトは締め付けてはいけません。完全に窯が冷めている状態で、このボルトが指で回せる程度にしておいてください。まぁ写真のタイプだとスプリングワッシャーが効くので締め付けてもいいでしょうけれど。

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鉄というものは意外と膨張します。そのため指で回せる程度の締め付けでも、最高温度付近ではレンチじゃないと回せないぐらいパンパンに張っていることがあります。

以前の古い動画でもお話していますが、これは扉のハンドルでも同様です。
片手で軽く回して止まったところからちょっと閉める程度でまったく問題ありません。これまたやはり熱による膨張で最後はギッチリ締まっていきます。

大きなガス窯でハンドルに棒を突っ込んで全力で社員が締めているなんてところもあったそうですが、この動画を観て同じ窯の傷み方をしているのを知っていただき、今は正しく締めているとか。

実に些細なことです。
聞けばなるほど〜って納得できることですし、間違った扉の閉め方は窯を確実に傷めます。
中古取り扱い業者になれば、正しく説明できないところの方が多いでしょう。築炉メーカーでも怪しいところがあるのかもしれない。

こうした些細な情報をガス窯に興味を持ったかた全てに知っていただくしかないかと思います。
「窯の専門家」の方はじぇんじぇん伝えてないみたいですけんねぇ。







(いや髪が黒いなぁ。)
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2021年10月09日

陶芸窯のエントツの表面処理は

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言葉の間違いでよく恥をかきますイノウエです。

以前のエントツの話でアルマ加工を自分の中でいつの間にかアルマイトと誤認しておりました。
正確にはアルマイト処理はアルミニウム製品の表面処理のことで、まぁラグビー部のヤカンとかのあの色のことでしょう(こうやって適当なことを言うから恥をかくのよ)。陶芸窯のエントツに行うメッキは正確には溶融アルミニウムメッキのことです。

まことに勝手ながら愛知県の企業と偶然教えていただいた福岡の企業のホームページをリンクしておきます。

ご興味のある方なら、これらのホームページの内容から、どのような分野で溶融アルミニウムメッキが使用されているかわかるかと思います。

とにかく、これまで間違いをエラそうに発信してきたこと、お詫び申し上げます。
またその気付きのヒントを下さったつくばセラミックワークスの福田さんにも改めて感謝申し上げて奉り候。

ありがとうございました。



◆東海アルマ工業



新興アルマー工業株式会社




※ また最近では加工のコストが下がってきたこともあり、総ステンレス製のエントツも採用されるようになりました。価格はアルマ加工よりも高くなりますが一つの検討材料になるかと思います。
続きを読む
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2021年10月04日

結局ガス窯で大切なものは

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(これはなにか普通じゃないヤツ)

ブログでも動画でもお話していますが、業者さんのいい加減な工事を変えていくには、お客様になる人たちを変えるしかないと思います。

見込み客のすべてが圧力計はどうなっとる?エントツ工事はどうするんだ?見積書のハンコがねぇぞ、とグイグイ詰め寄ってくれば嫌でも下手な仕事はできなくなります。悪い人がいても悪いことが出来ない環境をつくればいいだけです。

もしかしたら業者だって何も知らないだけで悪気はないのかもしれません。その可能性も否定しませんが、正しい施工方法を知らない人が取り扱うには陶芸窯は危険すぎます。

以前だれでも簡単につくれる電気炉の動画をつくろうとしたことがありますがボツにしました。それはプロと思われる人でも電気炉やその危険性についてまったく注意を払っていない事例をいくつか知ったからです。電気炉しか使ってないのにねぇ。

ましてやアマチュアの方がその発信でなにか事故をおこしたら、と考えると恐ろしくなってやめたのです。
電話の中古窯の問い合わせでも、手伝うから安くなりませんか、日曜大工みたいなことは得意ですが、なんて言われたことがありますが、そういう問題ではありません。電気工事士の免許はお持ちですか?と聞き返したら絶句。別に意地悪を言っているわけではありません。危ないから免許が存在しているだけです。

また、これも嫌な話ですがアマチュアの方の中には、窯を購入しただけで得意になってしまう方もいます。そして周囲に得意になってロクロを教えだしたりする。窯はちっとも焚けるようになっていないのに。高いロードバイクとウェアを着ていつまでもお腹が出ているような、大観峰のパーキングで何時間も高いバイクを駐めて見せびらかしているような、何とも言えないみっともなさがあります。

わたしのやっていることは更にもっとみっともないことかもしれません。そんな人たちに、あなたの脚力ならそのロードバイクはあってませんよ、とか、そのバイクのパーツの付け方違いますよ、とか頼まれないのに突っ込んでいるようなものなのかもしれません。

それでも役に立つ情報を探している人がいますし、限られた時間と予算、それはすべての人がそうでしょうが、その中で自分の作陶に合う陶芸窯を選べるようになっていただきたい。

そして正しく「安全に」運用できることです。今回選び方をまとめてみてこれまで口酸っぱく言っていたエントツだけではなく、圧力計も絶対にガス窯に必要ですね。圧力計なしで初めてのガス窯を焚く自信はわたしにはありません。


いろいろ書きましたが、



エントツと圧力計が大事!



これだけ覚えておいてください。






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2021年09月28日

やっていればわかりますから(笑)

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先日とあるところで焼成指導をしてきました。

プロとして独立し自分の窯も手に入れてという若い作家さん。
中古ですが設置してすぐ、なんだか窯の操作に違和感を感じ、その業者にも違和感を感じて、意を決してふくおか陶芸窯にご連絡をしていただいたとのこと。

そのガス窯を設置した自称「窯の専門家」の業者さんはやはり常識としてありえないことをしているだけでなく、「30回ぐらい焚いたらわかりますから」との有り難いアドバイスを彼に残していったとのこと。

ワタシも自分が思い通りに焚けるようになるまで15回ぐらい失敗しましたが、それは窯の操作は出来ているが求める還元焼成の度合いや窯詰め方法などで失敗したということであって、窯が言うことを聞かないとか、温度が上がらないとかではありません。

初窯に失敗したわけではありませんでしたから。



30回ねぇ。

もしワタシがこの人生を30回ぐらい繰り返し生きたら最後はなんとかソフィー・マルソーとの結婚も叶いそうな気がしますが、家族背負って、人生かけて、どうなるかわからない焼成を30回もこなすことがアナタには出来ますか?


もちろんガス代はあっち持ちではなく、アナタ持ちです。
安いところと契約していても30万円弱はするかな(笑)。



自分で焚けない、自分で窯を造っていない、そういう方が陶芸窯の販売をしても極論わたしはいいと思います。

だったら「ホームページに窯の専門家って書いてますけど、だれも窯焚き出来ないんですわ」とちゃんとお客様に言いましょう。

焼成指導は別料金と明記して外注するか、小声で「無理デス!」って先につたえましょう。

焼成指導とは、その窯を自由自在にコントロールして購入してくださったお客様を知識と技術で応援する大切な「窯の専門家」の仕事です。築炉メーカーなら当たり前で、取扱業者のワタシでも当たり前のこととしてガス窯では行っています。

また窯の購入をお考えの方々はしっかりと情報を集めて、一人でも焚けそうな気がするゾ!というぐらいの根拠のない自信を持てるようになるまで大きな買い物をするのは控えた方がよいと思います。

しい言い方をすれば購入する側に知識がないから「窯の専門家」なんて自称を許しているということでしょう。わたしはそれをもってその産地のレベルが瀬戸にかなわないという悲しい根拠になると考えます。

お客様になる側にちゃんと知識や経験があって「エントツぐらい真っ直ぐ立てろアホ!」とか「圧力計つけたままで運んでくんなボケ!」ぐらいのことをその産地の誰もツッコめないからいけないのです。


窯の専門家の「これで大丈夫ですよ!」にツッコめないではカモになるだけです。
一人ひとりが「これのどこが大丈夫なんだよ!」って欠陥工事をインスタに晒せるような知識をもちましょう。




車の購入に例えるとすれば、築炉メーカーが正規ディーラーや製造工場、ワタシのような業者は元ヤン店長の中古車屋みたなもんです。

新車が買えないのならば「この車はこことここを新品にすればイケるな」ぐらいの眼を持つまでは手を出さないか、元ヤン店長がいまは更生して実は整備士免許持っていた、なんてことを確認するまでハンコを押すのはやめましょうよ。


そんなことできる自信がないというならば、何百回も言っているように

窯はつくって焚ける人から買う

につきます。



「プロですから分かってらっしゃるでしょ〜!」
   分からないことを分からないと言えるのがプロです。

「前の窯と同じように操作すれば大丈夫ですよ〜!」
   前の車と同じように運転してもいいの?

「30回ぐらい焼いたらわかりますよ」
   じゃあガス代そっち持ちだよな?

「まぁやっていればわかりますって!」
   生きていれば悟りますって?無理無理!







この再生リストを30回ぐらい観たら「窯の専門家」を論破できると思います(笑)。


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2021年09月20日

電気炉への配線

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連絡がうまくいっていなかったのか、電気炉初めての電気屋さんだったのか、搬入後の配線工事でブレーカーまで設置されていたのに電気炉への接続がありませんでした。

まぁそういうこともあるかなと反省しつつ、われわれの経験値アップもかねて炉の操作説明をする日に配線工事も行ってきました。また今後は電気炉が初めての電工さんのために施工に関する資料も事前にわたすようにしていきたいと思います。


イノウエは芸術学部美術科、ムスコは都市園芸科出身なのですが、なぜか二人とも第二種電気工事士免許を持っております。一家に一人の電気工事士は大変便利ですが、現場でも重宝いたします。

最近では電気工事業として登録するために必要な測定器や工具もすべて揃ってしまいました。


また、こうした工事の前にいつも様々なアドバイスをいただく電気工事関連の友人や知人の方々、本当にありがとうございます。

この場を借りてあらためて御礼を申し上げます(こんどフリーカップあげます)



さて訓練校の後輩にもあたるこちらの作家さん、これからの活躍を応援していきたいと思います。


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2021年09月16日

悪いのは窯とエントツの方じゃないの?


エントツが大事なんだと言い続けて結構な年数がたちますが、まだまだ認知されません。

そもそも本体のおまけみたいに捉えている人もいるようですし、本気で製造していないメーカーもあるようです。太さ、長さ、素材、施工方法、曲げる必要があるときの考え方、雨仕舞などなど。

本体がどれだけよくても、エントツがダメだと全く焼成できません。

スズキの空油冷エンジンがいくら良くてもマフラーぶった切ったら音がうるさくなるだけでパトカーからは逃げられないってことですな。

年齢のせいかイヤミが本当に過ぎるようになったというか(笑)。
一発撮りでも編集しないと放送禁止になってしまうようになりました。


それを優しく指摘してくれる人から見放されたらどうしよう。


というわけで、動画だとエグいことになりそうな話を次の方のバトンとして書いておきます。


ほとんどの人は読まない方が良い内容です(R-35指定)。



時々あるお問い合わせ。

「エントツがおかしいと思うので作り直してもらいたい」

「うちの窯のバランスがおかしいと思うので見てほしい」

そういうときに98パーセントおかしいのは残念ながらアナタのほうです。

自分が間違っているのかも知れないと思ってみることも時には必要です。


特にあなたが以下に当てはまるのならば、もう一度あらためて窯炉というものに向き合ってみましょう。

1 窯のサイズが変わったらうまく焚けなくなった

2 これまでの人生で焼成した窯は自分の窯だけ

3 長い伝統を継いでいる自分はいつも正しい

4 陶芸に理科や数学は必要ない

5 焼成の記録を取っていない・グラフ化していない

6 築炉屋や粘土屋が偉そうにアドバイスするんじゃないよと内心思っている



何人かがお茶吹き出したり、心筋梗塞をおこしているかもしれませんが、ざっくりと説明します。



★1 窯のサイズが変わった途端にうまくできなくなる人は、そもそもガス窯などにおける焼成のメカニズムを理解していないと認めましょう。大丈夫です。前の窯ではうまくできていたのですから、それを補正すればいいだけです。ダンパーやドラフトの操作を何℃で何センチなんていう把握をしている方がこのタイプに多いです。前の窯のやり方でエントツを真っ赤にしているような人もいましたが、窯が悪いんじゃなくてアナタが悪いですからね。炎のある窯では炉圧を意識してください。そして火力は押し、エントツは引き、という認識です。ある空間の温度を上昇させるのが窯炉というものです。ではどうすればその空間の温度はあがるのでしょうか。前のガス窯は3㎥だったんだよねと自慢する暇があったら検索してみましょう。


★2 電気炉の経験しかないのに偉そうに窯の講釈タレたり、勉強会なんかを得意になって主催している方もいるでしょう。別に電気炉が悪いわけでも、ガス窯が偉いわけでも、薪窯が最強なわけでもありません。ただし自分の窯しか経験がないというのは自分が経験したマツダの教習車一台をもって世界の乗用車の歴史と製造について語っているのに近いことです。自分はまだ序の口で一方向の視点しかないという認識を持つべきです。複眼的に焼成ややきものを見れていないということを事実として受け止めましょう。これはわたしもですし、ある意味この世界の全員がそうです。ただ体験した数が多いか少ないかということで言えば、はやり多い方が有利ということになるでしょう。またこれは焼成回数にも言えることかもしれません。フェラーリをガレージに8台並べている人よりも、好きな1台を乗りまくっている人のほうが多角的にフェラーリを語れるでしょうから。


★3 時代はどんどん進んでいます。窯だってそうです。少なくとも裏の倉庫にこっそり設置されたガス窯には薪窯の口伝は通用しないことがほとんどです。また自分は焼成の作業を「見ているだけ」だったら、焼成と窯焚きについて適当なことを若者に吹聴するのはやめてくださいね。この世界で威張っていいのは自分で実践している人だけです。全行程それができるのがやきもののいいところです。器の作り方の本は本当に掃いて捨てるほどありますが、いまだに焼成方法のまともな本がほとんどないってどうなのよ。これは「俺の作り方は最強だぜ〜真似しろや〜」という人間は掃いて捨てるほどいるけれども「俺の焼成方法を見てみろや〜」という人間が皆無ということです。むかしは秘伝とか窯の秘密とか言っていたようですけれども、それは薪や炉の寸法などが違いすぎて共通点が少なかっただけなのかもしれません(そもそもたいした秘密ではないし)。でも今の陶芸家が使っている窯は薪であってもガスであっても同じメカニズムで焼成されているでしょう。


★4 数学のテストで0点取ったことがあるイノウエでも、ゼーゲル式を必死に勉強しました。また理系の考え方をしないとロマンにハマってしまいます。べつにどんなに適当にやっても手順と組成が正しければ正しい結果が生まれるものです。神棚や神頼みにも意味はありませんし(するけどね)、雨や台風のときの窯焚きで良いものが取れるのは苦労してびしょぬれで焚いたからではなく、空気中や薪の湿度や露地の水分、ドラフトの働きを強い風が不規則におこしてくれたから、なのかもしれません。出来ない、やらない、はいいとしても理系の考えを否定してはいけないですし儲かりません。ロマンがどうしてもやめられない人は骨董とかオススメします。


★5 時間と温度計の数字の羅列を手書きで行っていては焼成は上達しません。グラフ化していくことが重要です。またそれぞれの窯のサイズによってもおおまかな焼成時間というものはあるものです。たとえばガス窯ならそうです。それなのに無駄に何日もかけるとかガス屋さんが喜ぶだけかもしれません。1㎥でも24時間以内で焼成する人がほとんどでしょう。そのために耐火断熱レンガで造っているんですから。長く焚くならどの温度域を何故に、とつきつめておかないとこれまたロマンの入り口です。


★6 そう思っている人の窯をつくって原料を提供しているのは誰でしょう。最近では随分と減りましたがこのノリの方は依然いますし、いまではダンディなアマチュアの方に散見されるような気がします。窯を造る人が焚けなかったという部分がこうしたノリを過去生み出したのかもしれません。しかし、実際に一番科学的な知識をもって考察し、自分でも窯を焚いているのは原料に近い人たちです。レンガの種類や鉱物の組成を諳んじていないのならプロを敵に回すのはやめましょう。中にはこれまで一回も窯も焼成も体験していないのにどうしてかしらと思うほどコチラがお叱りをいただくようなこともありますね。まぁロクロ頑張ってください!


また怒られるかもしれませんが、わたしは窯と焼成に関して安全第一で発信をつづけます。
それが「窯の専門家」ってもんでしょうから(自分でプロとか専門家って言う人は(笑))





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2021年09月12日

ウェブせともの祭陶器市★瀬戸


オリバーとは無関係です、イノウエです。

書こうと思っていておそくなりました、開催は今夜まで!



諸事情で福岡の陶磁器フェアにはどうしても行けなかったのですが、リアルで開催したことは評価できると個人的には思います。

オリンピックは開催で11月の福岡マラソンの中止なんだから、行く人、参加する人の自己判断で何がいかんとや?という気がするからです。

とはいえ批判もかなりあったようですから、今後はウェブも当たり前になっていくんだと思います。

ウェブの陶器市、参加する資格がどうなっているのかなど、それぞれの産地でいろいろとあるでしょうけれども、丹波なんかでも組合のサイトの売上がスゴいことになったそうですし、大きな可能性があるわけです。

器をネットで買うなんて考えられなかった人たちがネットで購入するように変わってきたのは紛れもない事実。

これからは我々が今Amazonを当たり前と思う程度には当たり前になっていくと思いますね。




◆ウェブせともの祭陶器市


(多治見がアニメにしたのは正解だな)









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2021年09月10日

プロにはプライドがあるものです


結構な数の中古の窯がこの数年で動いたと思うのですが、そのガス窯や灯油窯のエントツ工事はどうだったでしょうかねぇ。

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(安いレーザーは線が太いぜ)

先日知人の紹介で現場確認に伺ってみれば屋根の母屋材(垂木みたいなの)に干渉するからと無理やり斜めに取り付けられたエントツを見て絶句してしまいました。木材に当たる部分は無理やり断熱材をあててあり…。

大沢ガス炉商会で鍛えられたワタシにしてみれば切腹モノの仕事。
初代社長なら介錯もしてくれずに打ち首獄門を言い渡されそうな雑な仕事です。

窯の専門家が行った工事でないのは明らかです。
プロの感覚からすればありえないしプライドが許しません。

当然消防からも注意があったとのことですが。

そもそもちゃんとした専門家に頼んで正しいエントツ部材と正しい工事が行われていれば少しは高くなったとしても、あとでまた余計な出費をすることもなかったでしょう。ワタシとしては40歳の秋、いい加減な雨仕舞工事を前に山口県の屋根の上で涙ぐんだときと同様に、この件は儲け度外視で行っていきたいと思います。


別にヒ・ミ・ツではないので書いておきます。

まずエントツがある窯の設置においては、どこからどうエントツを出すのかを決めてから本体の設置場所を検討します(レーザーの出番)

う〜んここだとバーナーの点火がしにくいなぁとか、ここだと後ろが狭いなぁとか、あ〜垂木に当たるわぁとか考えるわけですね。

その現場確認のためだけに出張することもママあるのです。

それから完成した本体の搬入が行われ、屋根に穴をあけてエントツを設置しつつ、本体側でも位置を微調整します。

それからアンカーボルトを打つとか、雨仕舞をするとかになるわけですよ。

雨漏りもみっともないですが、消防に工事のダメ出しされるなんて本当にいただけません。

みなさんがもし良い中古を見つけたとしても、安易にご自分で設置工事を行わないようにしてください。兄貴が土建屋で資格あるからとか、人によっては自分たちで出来ると思えることもあるでしょうけれども、せめて一度でいいから専門家のアドバイスを受けるべきです。

ウチなら焼酎二本程度の有料相談案件ですが、お値段以上の情報は提供しますし、そもそもワタシはどこの誰にも事故を起こしてほしくありません。

だからこんな情報発信を十数年行っているんです。

また先日とある県外で、クレーン付きのトラック、いわゆるユニック車をお客様に借りていただくということがありました。お客様が電話すると「あんさんにクレーンの免許が無いと貸せまへんえ」と建機屋さんのおねえさんにピシャリと言われたとのこと。急遽ワタシが電話して手続きしたこともありました。

知っている業者がいるからと、小忙しいワタシを気遣っておっしゃって下さったお客様に甘えたのですが、そんなことは免許制度に関係はなく、逆に「今はそこまで厳しくなっているんだ」ということを知ることなりました。

むかしはクレーンの免許がなくてもトラックの運転免許証があればだれでもユニック車を借りれました(経験者談)
それは「俺はクレーンの免許もってないけど、現場に持っているヤツがいるんでねぇ」という理論でスルーされていたグレーなゾーンだったんですな。

そもそもクレーンは免許持っていても事故が多い機材です。
そして事故が起きて無資格無免許が発覚するとドンドン厳しくなっていくわけですね。

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(この現場に同級生がいましたヨ:元気か?)

搬入の動画からどんな道具が必要なのか教えてくれい!と連絡をいただいたことがありますが、動画を見てわからない人に免許がないのは確実ですからやんわりとお断りしたこともあります。

中古を購入するにしても、よく見極めましょう。

窯ではなく業者を。

それからいつも言っていますが、エントツさえ正しく製造と設置がされていれば、本体側の弱点はある程度はカバーできます。

窯と焼成の知識と技術でそれは可能なんです。
その知識と技術がない人が「エントツはこれつけときゃエエやらぁ」と適当なことをするんでしょう。

誰もGSXのエンジンに単管パイプ突っ込んでマフラーにしないでしょ?
この感覚をせめてプロには持ってもらいたいと願う実にアマアマなイノウエです。







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2021年09月08日

「共栄電気炉製作所さんの動画を拝見しました」というお問い合わせ


先日共栄さんの工場紹介動画をアップロードしました。
直後より問い合わせを数件あちこちからいただき、やはり映像の力は大きいなぁと思った次第です。

そもそもコロナがなければ協力関係にあるメーカーの工場紹介動画を撮ろうと画策していましたし、それは必ずお客様の安心と製品に対しての信頼につながることになると確信していました。

様々な陶芸窯の製造メーカーや販売店があります。

国産ではない電気炉も多く国内に流通していますし、それを販売しているところの方が業界では名前が通っていますよね。

事実これまでも「あなたの紹介するメーカーは聞いたことが無い。やっぱり○○ポにします」と言われたこともあります。
そんなときにこうした動画があれば、と悔しい思いをしてきました。

100Vの電気炉においては競合する製品の価格帯もほぼ同じで、ターゲットとなる家庭で作陶される方々にその相違点は判断しにくいのも事実でしょうし、あちらもわざわざ「ウチのは国産ではありません」とは明示してありません。

こうした陶芸用電気炉の販売競争において、われわれのセールスポイントはなんでしょうか。

多治見という陶産地において70年以上前から電気炉を造り続けているということが一つ。

日本初の還元焼成対応電気炉やマイクロウェーブ炉、超高温炉を開発する技術力があることが一つ。

製造に関わる人たちは陶磁器製造や焼成、電気、計装、金属加工など築炉にかかわる技術をそれぞれの専門として持ち、分業しながら質の高い製品を世に出しているということが一つ。

電気炉においてすべての部材や製造を国内にて行っているということが一つ。
(下町ロケットみたいになってきたな)

企業と製造のトップに陶磁器製造と焼成の経験と知識を持った人が複数いるというのも強みの一つでしょう。
(わたしとしては当たり前と思うのですが今ではこれがセールスポイントかぁ)

ご存知ないかたも多いかもしれませんが、海外と日本では焼成温度や窯や機材に対しての感覚が全く違います。壊れれば直せばいいという国民性もあるでしょうし、高性能を犠牲にしてもユーザーによる補修を可能にするという考えもあるようですし(理解できんが)、そもそも窯に対する感覚がズレまくっているということもあるでしょう。

これについては過去動画でもお話しています。


どこで誰が造ったというのが見えているというのはとても大切なことではないでしょうか。
特に家と窯は製造者の顔が見える方がいいと個人的には思っております。

遠くのお客様で大きな電気炉であれば、なるべく製造中の進捗状況の写真を工場にはお願いするようにしていますし、今回の動画もその意味があります。

今回の工場紹介動画は、すでにふくおか陶芸窯で電気炉をご購入されたお客様方にとって、自分の電気炉に対する安心感や信頼性、ある意味プライドにもなったようです。





まだまだあるのですが、続きとします。


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2021年09月03日

共栄電気炉製作所



共栄電気炉製作所さんの本社工場の様子をダイジェストの動画として紹介してみました。
まぁでも普通の方にはこれで十分かもしれませんね。

シャーリングのメーカーに興奮したり、ホルソーのデカさにビビったりするのは製造現場で働いた人間だけでしょうからね(笑)。

大沢ガス炉商会にしてもシンリュウさんにしても、共栄電気炉製作所さんにしてもスタートはやきもの、陶芸で、窯を焚ける人がトップにいるし、創業者だったりする。

コレってあまりにも当たり前ですよ。

そしてそれぞれに得意分野があるわけで、大沢ガス炉商会ならガス窯、そして共栄電気炉製作所さんは名前のとおり電気炉です。

その名前を聞いたことがない人から「ちゃんとしたメーカーなの?」なんて失礼なことをわたしは電話で言われたことがありますが、この動画をご覧いただければ一目瞭然です。ロクロメーカーしか知らない方が失礼じゃあ〜りませんか(笑)。

世の中の基準では中小企業になるのかもしれませんが、築炉メーカーとしてはかなり大きい共栄電気炉製作所さん。1942年設立です。
そして製造工場だけではなく、ギャラリーや体験工房などもグループに持っています。多治見市だけではなく、陶磁器業界への貢献も多くされています。また還元焼成可能な電気炉を初めて開発したのも創業者と試験場の職員だったという話しは以前動画にもしています。



いつも本当にお世話になっております。
社長はじめ社員の皆様ありがとうございます。




株式会社 共栄電気炉製作所

◆営業本部 大原工場

〒507-0074 岐阜県多治見市大原町11丁目5番地
電話 : (0572) 29-5172(代)
FAX : (0572) 29-5173


◆富士見工場

〒507-0047 岐阜県多治見市富士見町3丁目66番地
電話 : (0572) 21-3511(代) FAX : (0572) 23-9006


◆鳥取工場

〒689-2202 鳥取県東伯群北栄町東園稲場工業団地
電話 : (0858) 37-4778(代) FAX : (0858) 37-4789

・営業時間は、平日9:00〜17:30になっております。
・富士見/鳥取工場は製造工場のため、電話応対することができません。
 ご連絡は基本的に、営業本部 大原工場へお願い致します。




★ボイスオブセラミックス

〒507-0047
岐阜県多治見市富士見町3丁目68番地1
電話 : (0572) 25-7267 FAX : (0572) 23-9006


陶芸体験・陶芸機材販売 
ボイスオブセラミックスHP  http://www.voice-tougei.com/



★ギャラリーヴォイス

〒507-0033
岐阜県多治見市本町5丁目9番地1 陶都創造館3F
電話 : (0572) 23-9901 FAX : (0572) 23-9902

展示・シンポジウム開催 
ギャラリーヴォイスHP  https://gallery-voice.jp/



★ヴォイス工房

〒507-0801
岐阜県多治見市東町1丁目9番地17
電話&FAX : (0572)25-2233

陶芸を学ぼう 
ヴォイス工房HP  http://kds-kiln.co.jp/v-kobo/

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