2021年09月01日

出張アルアル


あっという間に9月ですね。
出張から無事に戻り、疲れも取れて通常通りお仕事しております。

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(昔列車でも渡りました)

さて、いろいろと発信のためにまとめないとイケないこともあるのですが。
本日は軽いネタでお茶をにごしておこうということで出張アルアル。

  • 一気に走れる距離が年々短くなっていく(若い時は 福岡ー名古屋 9時間台だった)
  • お土産は「通りもん」が鉄板
  • どこへ行っても久しぶり!よく来た!と食わされる(結果太る)
  • 親類はいつまでもわんぱくで食いしん坊と思っている(もう51歳です)
  • 方言が混じって言葉がおかしくなる(ハイブリッド化)
  • 「太陽の塔」の横を通ると決意を新たにする(独立時に行った思い出)
  • 奇跡のように誰かが平日休み(有給休暇バンザイ)
  • 絶対に地震がおきる(言われて気がついた)
  • 味噌煮込みうどんをもっと買えばよかったと反省する(でも2ダース買った)
  • 仕事モードの昼は土地の名物は食べない(セブンとかで済ます)
  • 車内で与太話を撮影するもいつもボツ(とりとめなさすぎて)
  • 新ルートを通るとテンション上がる(新名神とか)
  • ひそかに送電鉄塔の変遷を確認
  • 変わっていく部分と変わらない部分のそれぞれが胸に染み入る

今回は一人の移動、それも乗用車を用いてでした。
またどうしても現場に赴く必要がある仕事を二つがあって関わるメーカーなどにも行く必要があったためです。
十分な感染対策を行い、少人数での打ち合わせ、屋外での立ち会いなどがメインでした。

それぞれの場所でご対応していただいた皆様、本当にありがとうございました。




はやく落ち着いてほしいものですね。
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2021年08月25日

ひとつひとつ確かめること


ここはどこ?ワタシは誰?
みたいな状態になっております、出張中のイノウエです。

仕事や仕入れのために本当に久しぶりに東海地方に来ております。
そしていつもの如く梶田絵具店さんのテストピースの増殖ぶりを確認。

トキちゃんの詳細でディープな商品説明の電話を横で聴きながら、梶田さんと業界話で盛り上がりました。

ほとんどホワイトボードの前でくっちゃべっているどこかのオジサンと違い(笑)、一つの動画や一言のアドバイスの前に、これだけのことをしている人がこの世にいるという頼もしさ!(そして恐ろしさ)

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(テストピース保管用の巨大な倉庫があるという都市伝説)

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(スイカもペイペイも使える)


次のネタだというテストピース群も見せていただき、その詳細と数値化に衝撃をうけましたが、それはまた発信を待ちたいと思います。


そして本業の方では共栄電気炉製作所や古巣の大沢ガス炉商会にて仕事をしてきました。

コツコツとひとつひとつを確かめるように、材料や工程を改良しながら、昨日よりもより良いものを作ろうとする人たち。

いちいちそれを自慢することもなく。
名前も名乗らなず、買い物もしない電話にも丁寧に対応する。
持ち込まれた問題に真摯に対処してお金も取らず。

そういう人の背中を見れる幸せを久しぶりに感じました。

いつかYouTubeで、窯や釉薬や絵の具や焼成ネタの再生回数が、下手な電動ロクロ動画の再生回数をぶっちぎる日を信じて、また発信を続けていきましょう。





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2021年08月20日

陶芸家の条件

『奏でる陶芸家カルテット展』
博多阪急1階メディアステージ
■8月18日(水)〜24日(火)

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園田空也

岩元鐘平

草場瑛人

齊藤博之

博多阪急ライフスタイルリヴィング

九州陶芸家が集い2019年にスタートしたイベント、それぞれ作家の共通点の音楽やライフスタイルを通して作品を展示する1週間。




数学でさえその研究を支えるのは情緒だそうですが、ものを作る仕事であればなおのことでしょう。

陶芸家さんはいろいろなことが出来る、好き、趣味、という方が多いような気がします。
それ以外にも自分で家作ったり、小屋建てたり、そもそも窯を自作する方も多いですね。

カメラが好き、楽器の演奏ができる、デザインや絵のほうがコッソリ得意、スポーツマンだったり、機械いじりが得意、野菜をつくったり、花を育てたり、お茶やお華をされている方も多い。陶芸家というのは決して土にばかり向かっているわけでもない。わたしの好きな志村さん(ハニワでブレイク?)なんて文学のほうで受賞歴がありますから。


もしかしたらそれが職人と作家の相違点であるのかもしれません。

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技術だけを磨いていくと「技術だけ」が上がります。
体育会系の部分ですね。

でもちゃんと自分の情緒や渇いた心に水をまいていかないと、人の気持ちを軽くする器はできないのかもしれません。
文系の部分ですね。

卑近な例で申し訳ないですが、わたしが作品上の師匠としている方と知り合った頃、フランクルやカルザスという名を知っていたことが相当プラスに働いたのは間違いないと思っています。そういう部分の繋がりがいまでも長電話できる間柄となっているのではないかと単純に事実として自己分析しています。

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作家と作家、作家とお客様、師匠と弟子、器ややきものの間ですが、音楽を軸につながる方々もあるでしょうし、お茶やお華でつながっている方も多いかもしれません。

そうしたつながりの中で育つ自分の情緒がその人の情動やエネルギーやきっかけになっていくのかもしれません。

ロクロ名人をたくさん見ましたが、実はロクロ名人(つまり職人の頂点)が美しく素晴らしいものを作れるのか、というのは別問題でした。

技術だけでは到達できないところ。

そんな場所を知っている作家さんの作品には魅力があります。

このグループ展のみなさんは九州在住の方ばかりです。

偶然にもこの4人の作家さんのうち3人の作品をわたしは過去何度も購入させていただいておりました。本当にオススメです。

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まぁイノウエもくさ、一応ピアニストでギタリストやけんねぇ。





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2021年08月07日

イノウエはやっぱり知ったかぶりの模様です

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先日久しぶりにガス窯を焚きました。
補償導線を新品にして、熱電対の端子周りなども掃除したりしたので、温度表示がかなり変わるだろうと覚悟。

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(マジかぁ?)


熱電対の起電力を測定して温度表示に変換しているのが温度計と熱電対で、その中を取り持つのが補償導線です(笑)。

ゼーゲルコーンの8番は軽く傾いた程度でしたが、この温度表示は不安になる(笑)。

まぁ酸化焼成だったからというのもあるとは思います。


で、本日の本題です。

以前いろいろお問い合わせがあった際に、焼成中のエントツは100℃ちょっとにしかなりませんよ、それ以上熱くなったら熱が逃げすぎです、なんてエラそうに言っておりました。

まぁその通りなんですが、実はその後いろいろと調べてみると、非接触式の温度測定器、赤外線温度計(最近オデコにピッとされるヤツ)は、物質ごとの放射率を正しく設定しないと正確な数値が出ないということを知りました。

というわけで改めて焼成中にネットの一覧表やちょいと日本語の怪しい取説などを読み込んで測定してみました。
すると窯の煙道直上のエントツの温度、炉内最高温度においてはやっぱり180℃近くを示しておりました。1.5メートル程上でも130〜140℃でした。

数人の方にちょっとウソついてました。

すいませんでした。

勉強不足でした。

また還元焼成のときには多少の差があるのかもしれませんので、また次の機会に確かめてみたいと思います。

わたしが愛用している某大陸製の非接触式温度測定器にもメモを添付して、今後のお仕事に活かしていきたいと思います。

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実際に数値があっていないとどうなるのかですが、

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木材に数値(近似値)を合わせると。

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という感じです。



以前明らかに体温よりも高いのに、測定したもの(ステンレスでした)が低く表示されているのに気がついて確かめた次第です。

やっぱりこのオッサンの動画は当てにならないかもしれませんぜ!




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2021年07月20日

互いに情報交換できるようになったとシミジミ思った一日

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今出張しております(ホテルで書いてます)

出張などと偉そうに言っておりますが、今回わたしは以前のお客様の紹介のお客様に紹介した築炉メーカーの搬入に立ち会うのみ(日本語オカシイ)。今回は、お客様の設置希望などからシンリュウさんとのお仕事になりました。

なかなか同業他社の仕事をまじまじと近くで拝見することは、どの業界も少ないことかと思います。

興味津々にカメラ回したり、手伝ったり、邪魔したりしながら、職人さんとも話しつつ、いろいろと情報交換することができました。

たとえば、先日ツール・ド・フランスは終わってしまいましたが、今回の搬入工事でのワタシのポジションはよそのプロチームから今年移籍してきたベテラン選手状態なわけで、

「で、アッチではどんなドー○ングしてたの?」

「ウチはコレ一本でしたね!」

「効くよねぇ〜、アレ!」

みたいな会話を支店長と職人さんと始終しておりました(オイオイ)


探り合いというわけではなく、本当に情報交換という感じで。
なんとも気持ちの良い会話が続いたのでした。

シンリュウさん側でもわたしの窯にかんする情報発信で役に立つこともあったそうで、窯のこと全般についてもいろいろなご質問をいただいたり、情報交換をさせていただいたり、ワタシもたっぷりと教えていただくこともあり、非常に貴重な経験でした。



窯はまだまだ慣らしのための炙りや焼成指導がありますので、ワタシの緊張感は今からピークを迎えることでしょう。

お客様と取引先から信用されているのはヒシヒシと感じましたが、イノウエの脳ミソはヒリヒリです(笑)。





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2021年07月16日

特報


梅雨明けでめちゃくちゃ暑いです。

さて、本日はそろそろ復活というウワサを聞きつけたので、先んじてプレッシャーを(笑)。
やはり梶田さんはいろいろと忙しく、そもそもここまで発信できていたのが不思議なぐらいだったと想像します。

ただくっちゃべっている窯屋のオジサンと違い、それぞれのテストピースを調合して焼成して説明するための手順を考えて撮影して編集しているのですから。


復活前に予習をしておきましょう。





今年は一緒に盃を交わしたいですね!
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2021年07月10日

陶芸をやってみよう!


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最近では珍しく直球タイトルの本がでています。
偶然知って購入し、読ませていただきました。

この著書の方は以前「つくる陶磁郎」に連載をされていた方です。

博○堂でサラリーマンをされていたからか、あまりドツボに嵌ることもなく陶芸人生を送られていますが、普通の方が陶芸にハマっていく過程がよくわかりましたし、楽しめました。

技法などが書かれているわけではないのですが、今まさに「陶芸どうしようかなぁ」という感じの方が読むと、ポンと背中を押して貰えると思いますネ。

イノウエとしては著書が陶芸教室をはじめようという動機が不純過ぎて笑えました。
まぁそういう人がほとんどダヨネー!



そういえば、多治見市応援アニメの「やくならマグカップも」も先日終了してしまいました。

残念!と思ったら、秋からパート2が放送・配信されるとのことです。
人気がそこそこあったということでしょう!


たしかにアニメパートは絵もストーリーもすごく良いと思います!
イノウエは後半の実写パートは最後まで早送りして観ておりました。

部室が立派すぎるのもいい!

いきなりそこそこロクロが出来ているのもいい!

多治見がいっぱい映るのもいい!

声優さんは声優に徹してほしい!




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スカーレットあたりから、陶芸はそれなりに新たな認知をされているように思います。

小玉ユキさんの「青の花 器の森」もドラマ化とかされないかなぁ。
あ、7巻出てますよ!


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2021年07月06日

「100Vの電気炉は買わないで習いにきて」が本音?


お疲れさまです、イノウエです。
いつの間にか7月になっておりますね。

さてさて。


陶芸について発信する人が増えたのはいいことだけれども、ふんわりした内容も増えました。

発信を見て、すぐになんでも真に受けてやったり買ったりする人がいるものなんです。
発信には責任が伴うとわたしは相変わらず思っておりますヨ。

撥水剤を自作して失敗している暇があったら、昔の人がどのような方法をとっていたのかを調べれば簡単に同じような効果を得るものがあります。字ばっかりの専門書を読みましょう。

それから相変わらず「窯を造ったことがない」「人生で2,3基しかさわったことがない」方の偏った発信で様々な迷惑をアチコチが被っているようです。

製造メーカーもその発信は確認しているとのことです。

自称プロが下手なロクロを発信するのはなんの迷惑にもなりません。
そのほうが初心者はわかりやすいし、とっつきやすいでしょう。


しかし、窯での適当な発信は多くの製造メーカーとその社員、取り扱い業者、そしてなにより窯の購入を考えている熱心な方々に迷惑をかけています。もしかしたら将来の大作家の第一歩を潰しているかもしれないんです。



代表してはっきり言います。


迷惑です。




もう一回言います。


迷惑です。











いいですか。


生徒が窯を買うことをほとんどの陶芸教室の講師は面白くは思いません。
これは購入を考える人が知っておくべき事実です。



窯の購入を考えていらっしゃる方。

鍛冶屋の職人にスパナとか脚立とかを投げつけられながら窯造りを覚えて、ガス窯は数え切れないほど、それ以外にも電気炉から薪窯まで仕事で製造し、窯業や電気の国家資格まで取得した人間の窯についての発信と、作家にもなりきれない陶芸教室講師のわずかな経験による窯にかんする発信を同じレベルで受け止めてどうするんですか(笑)。

窯に関わる仕事なんてしたこともないし、そもそも窯を売ったこともない人の窯に関する発信を信じることはできません。

動画というメディアは強い。だからみんなそれを利用して発信しているんです。
なぜなら画面に移るものを批判的に捉える訓練をわれわれは受けていない。無意識にテレビ番組と同じように受け止めてしまっているのです。

自称プロという大先生の、使ったことも造ったこともない窯の選び方を信じるのは勝手ですが、それって行ったこともない人間の「北海道ってこんな所!」っていう動画発信を真に受けて信じるのと同じことです。



自称プロ職人作家大先生は窯選びの発信なんかもしているようですが、

だったらなんでその窯選ぶかなぁ(笑)。

二つも購入しているのならよっぽどいい窯なんでしょうね。


窯の選び方というならば、燃料の種類の前に伝えるべきことがあります。
それを言えないから燃料の種類で分類しているんです。

窯を造ったりしたことがないと、どうしてもそうなってしまうんです。

窯についてお問い合わせがあった場合、わたしはそこから説明しています。

また100Vの電気炉を購入される方の多くは教室との併用や同時進行、先生や先輩に追いつこうと努力している真面目な方が大変多いのです。教室を見限ってなんて方の方が少数派です。しかし自分が知らないものを生徒が購入することへの危機感から、購入について否定的な発言をしたり止めるように言われたりする先生も少なからず存在します。


先生業、講師業というのは生徒の人生にあらたなチャンスを作ることでしょう。
それを正しく行ってきたから生徒は窯がほしいと思うようになったのではないでしょうか。

そうなった段階で窯を購入する人が増えたら習う人が減るかもしれないと思い立ったということでしょうか。だったらなんのために動画で作り方の発信をしてきたのでしょう。

小さくても自分の窯を手に入れると人生は劇的に動き出します。
それをそこまで発信して教えた側が邪魔するのは良くないとイノウエしぇんしぇ〜は思うばってんが。





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2021年06月25日

大人に何かを伝えるとき


福岡マラソン中止で不機嫌です、イノウエです。


先日は昔からお世話になっていたとある作家の方からお電話いただき、大変うれしく思いました。
素晴らしい仕事をされているその方から、相談すれば答えがえられるかもしれないヤツ、そこまでいかなくてもグチを聞いてくれそうな相手、と認識されるようになった自分を褒めてやりたいと思った次第です。

それは原料に関する話だったんですが、お互いの経験値のからヒントになりそうな情報を交換しあうようなことになりました。
いつかまたその方の器を見ることや買うことになったら、この器はあの電話の後かな、前かなと思うことでしょう。


さて、今日は半分リクエスト記事。

こうした情報交換でもそうですが、大人に何かを伝えるとき、特に技術やコツを伝えるときは、明確な数値を示すことが大切だとわたしも考えています。

指導する対象が子供から28歳ぐらいまでならば「とにかく数をこなせば気がつくはずだ」という実践重視の遠回り指導でもいいのですが、なかなかそれもこのご時世となっては時代遅れといわれるでしょうし、指導する側にも受ける側にも余裕はなさげな21世紀なのですな。

とはいえやっぱり大人相手のアドバイスとは「ガッときたらバーンって感じ」とかではなく「あと一割ぐらい強く前に」「あと5センチ下まで」などと具体的である必要があります。

わからないことを観たり聞いたりしている質問者は、ふんわりとした情報でも、それを得たことに喜んでしまい、そのアドバイスが実はまったく具体的でないことをスルーしたまま聞き流してしまうことがよくあります。

そしていざ自分でやってみようとすると「え?入れるの何パーセントだっけ?」と固まってしまうことになってしまうのです。


(フォートベントンはモンタナ州だったのは秘密)


ベントナイトの秘密は実体験としていろいろと知っていますが、まぁ小出しにしていきましょう!

いまはニガリを使用することが多いですね。
ベントナイトと違ってスーパーマーケットで入手できますからね。
(ボーリング工事屋さんに行けばタダでもらえそうだが)


当然こちらも入れすぎに注意です。
というかベントナイトより相当シビアに計量しましょう(笑)。

沈殿防止の考え方としては上水が分離しないほどの状態はヤリ過ぎということです。
しっかりと分離して沈殿するが、調整する際には底までしっかりと撹拌できる状態というのがポイントですね。

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(シェイクすれば手を汚さずに撹拌完了)



しかし、オリンピックは開催で11月のマラソンは中止かよ!
市民プールもようやく開園になりましたが、値上げや市民限定などの制限がついたところばかり。



また太りそうです。


posted by inoueseiji at 14:27 | TrackBack(0) | イノウエセイジの頭の中

2021年06月20日

とあるお問い合わせのための資料





先日あったお問い合わせのための資料として過去動画を紹介しておきますね。

とりあえず圧力計は一番敏感な部品の一つです。

実はこの50キロパスカルの圧力計はネットで誰でも購入できます(ぶっちゃけたよ)

ただし作業を行うには「液化石油ガス設備士」の免許が必要ですが(専門家に確認済)、一般の方であればネットでガス圧計を購入したとしても、ガスボンベでお世話になっているガス屋さんに取り替えてもらえばオッケーです。

こんな微圧計は普通どんなに大きなところでも在庫していないと思います。


ご参考までに。

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2021年06月14日

トランスフォーマーって観たっけ?


こんにちは、イノウエです。


この数ヶ月の間に複数あった質問や発注。
それがパワートランスについてです。


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ふくおか陶芸窯仕様のKCシリーズは3種類の100Vの電気炉があります。

ようするにサイズが3つということですが、その熱源となるのは3つとも同じ100Vの家庭用電源。
鍋はおおきくなっても、コンロのサイズは変わっていませんよ、ということですね。

ここに関しては過去動画があるので御覧ください。

(男性も観てネ)

この動画ではトランスの説明をあえて間違った言い方でしています。

不安定な家庭の電気を一度トランスに”溜め込んで”みたいなニュアンスで話しました

これは間違った表現です。実際は変換しているのですが、誰にでも理解していただくためにあえてこのような言い方をしました。

トランスの仕組みは実はシンプルで、コイルの巻数の比で電圧を変化させるわけです。
これについてはこちらのPDFファイルがわかりやすかったのでリンクしておきます。

(別ウィンドウで開きます)


以前、日本の供給電圧は世界一低いという話を書いていますが、それがさらに不安定になってしまうと1200℃以上の温度をプログラムの時間通りに得ることが難しくなります。

特にK-3030Cモデルを希望される場合は必ずパワートランス(昇圧トランス)も併用していただくように資料と見積に記載しております。



実はこのトランスに関しては、これまでも複数の質問をいただいてきました。ご購入を検討中のお客様にはその都度ご説明させていただきましたが、一度書いておこうかなと思った次第です。

また最近増えた質問は「ネットでもっと安いトランスが販売されていますが、アレではいけませんか?」というものです。


これは確かに疑問に思ってしまうと思います。

ネットや大き目のホームセンターには様々なトランスが販売されていて、共栄電気炉製作所のオプションのものよりもみな安く、ネットでは外国製なのか、かなり安いものもあります。


しかしこの世の中、そんなに甘い話はありません。


販売されているトランスにも様々な種類、容量や定格があります。
その中から適正なものを選べるでしょうか。安い方から選んだりすれば事故につながる可能性もあると書いておきたいと思います。

定格という言葉も一般の方には馴染みが薄いかもしれませんね。例えば定格10分と書いてある電動工具があったとすれば、それは10分以上連続で使用しないでくださいね、ちゃんと注意書きしてますからね、ということなんです。

連続使用してモーターが焼けて壊れたらアナタのせいよ、とメーカーに言われても文句は言えません。

また、一部の定格が合致しているように見えても、トランスに必要な容量がなければ意味がありません。



問題:1.5kWの電気炉で12時間焼成する場合、トランスに必要な容量(kVA)は?



答え:1.5kVAじゃないのは確か




たとえば、高速道路の制限速度の規制が緩和されて時速120キロメートルで走行できるようになったとします(昇圧したのね)

そして福岡から名古屋までノンストップで走り続けたいとすれば、選ぶ車はもうウチの軽自動車ではないということです。そもそもスピードメーターが時速140キロメートル程度の表示の自動車であれば、巡航速度の設計上の設定は時速100キロメートル前後でしょう。

家庭用の100V電気炉では、1500Wで12時間以上稼働させることになります。
ホームセンターなどでトランスを販売している国内メーカーはおそらく100Vの溶接機や電動工具などでのバックアップを想定していて、どこも「100V電気炉の12時間以上の本焼成」を想定には入れていないと思われます(間違いなく)


「そんなの販売側の論理じゃねぇか」という方もいるでしょう。


ということで、わたしは電気工事士ですので、トランスの筐体をばらしてみました。

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容量とメーカーを確認してその入手先を調べてみると、このトランス自体は購入できるようでした。しかもこのオッサンが販売する金額の半分程度でいけそうです。

しかし、それはあくまで「トランス本体のみ」の話。

トランスを納めるための筐体を制作して、配線して、コンセントつけて、ケーブルに端子圧着して…となると購入したほうが安いと思いましたが、みなさんはどうでしょう。

ハント君。今回も対応していないトランスや、そもそも容量が合っていないもので事故を起こしても当局は一切関与しない、って感じでしょうか。

知識のある方が探せば、使える市販のトランスはあると思いますが、あくまでそうしたものの使用については自己責任となってしまいますのでご注意ください。


トランス自体はいろいろな世界で使われています。
オーディオマニアの方などは詳しい方も多いのではないかと思いますね。
電圧を上げるだけではなく下げたりすることにも使います。

原理を見つけたのはあのファラデーさんです。



100Vの電気炉のお客様で3030Cでなくても、設置場所の電圧に不安があるとか、温度の上がりがいつもウェイトかかり気味とかであれば昇圧トランスを導入するのはオオアリです。









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2021年06月13日

ゴルゴ13ルール


お久しぶりです、イノウエです。

さて、わたしは一人自営業。
これまでいろいろな目に遭ってきて、いつの間にか自分なりのルールがあります。

  • 作陶する人を応援する
  • 技術や知識はすべてオープンにする
  • 窯と焼成についての発信を優先する
  • 誤解や危険な内容の発信はその限りではない
  • 業界の迷惑になることはしない
  • 背後に立つものは条件反射で倒す
  • 常にお客様の利益になる方を選択する
  • 自分は無知であることを知り学び続ける


そして迷った時にはアメリカ大統領が「リンカーンならどうするだろう?」と一人執務室で考えるように、「ゴルゴ13ならどうするだろう?」と一人アトリエで考えるのです。

別に冗談じゃなくて、わたしは最強の一人自営業者がゴルゴ13だと思うからです。
相手を主義、主張、性別、年齢、経験、釉薬、宗教などで差別することはありません。

陶芸の世界ってたまにとんでもないお金持ちがいますが、わたしは動画発信やホームページを通じて販売する窯は統一価格です。フェラーリ3台お持ちのお客様でも見積り金額は変わりませんし、実際にそういう方へも無償でアドバイスをしたことがあります。またいくら言われても価格を下げることはありません。

そもそも値切ったりされるのも、自分がするのも好きではありませんし、嫌な目にも遭ったからです。朝市で野菜買ってるわけじゃないんだから。


ちょっと想像してみてください。

ゴルゴ13のギャラ値切れますか?

無理ですよね。

かといって。
実はゴルゴ13が金額のみで動いているわけではないのも有名な話。

わたしも依頼とあらば、老婆が家財道具を売りはらった雀の涙のギャラであっても、数千万円の経費と自分の命をかけて仕事を完遂するゴルゴの心意気はもっているつもりです第136話 海神が目覚める )

そんなわたしもルールを無視されると悲しい気持ちになりますし、時々は自分で自分のゴルゴ13ルールを破ってしまうときがあります。

まだまだ修行が足りません(まだ2巻のゴルゴレベル)

先日もやらかしてしまいました。
早朝、古いお客様から電気炉のとある部品が破損したという連絡がありました。焼成には問題の無い大型炉だけのフレームのパーツの一部分です。

状況を聞き、すぐに行きますとお答えしましたが、電話をいただいたのはあいにくの出張工事のための移動中。その日は対応不可能でした。

翌日の朝改めて電話した際に、ふと思いついて「…そういえばホームセンターでこういうものを購入して付けていただければ応急処置になるかもです。」と言ってしまったのです。

その方はわたしより少しお姉さんのお客様。とても器用な方というのもわかっていましたし、そもそもその窯は昨年大規模補修をしたばかりだったからというのもありました。

設置場所は県外ですから、また出張費をいただいて数千円の部品代のために赴くのは気が引けたのです。なぜならこれまで、

 お金はかけたくない
 できればタダがいい
 てか、タダで教えろ
 中古の窯はないんか

という一部の陶芸ファンとのいろいろな楽しい記憶がよぎったためでした(笑)

長いお付き合いの方ですので、こちらのスタンスもご理解していただいていると思ったのですが、さらに次の日に
「よその窯屋さんにきいてみようかなと思っている」と電話してこられたので、ちょっと待ってください、と改めて説明しなおしてお互いの認識を確認し、すぐに伺ったのでした。

そして現場に行ってみれば錆びたボルトを女性が回せるはずもなく、わたしでも無理でした。
結局は電動工具で破壊して付け直し、せっかく来たので不安がある部分をすべて交換して帰ってきました。他の部分もしっかりとチェックすることもできました。


そして帰る前にお客様に謝りました。

こんなことを考えて、お金のかからない方法を伝えようと思ってしまった、と。

お客様には許していただき、逆にだからお前は信用できると言っていただき、ホッと胸を撫で下ろしました。実際に多数の生徒さんを抱えているお客様ですので、お金はいくらかかってもいいから、不安を払拭してほしかったということです。

これは完全にわたしの悪いクセがでたなぁと思ってしまいました。
貧乏な自分を基準に世界を見てはイケナイということですし、お客様が不安に思っている部分を理解しきれなかった、そして窯の補修は安全につながるということを一瞬でも失念してしまったという失敗です。

器用貧乏キャラあるあるですかね。


お客様にしてみれば確実にこなしてくれるゴルゴ13に依頼の電話したのに、

「ホームセンターでさぁ〜
 安いショットガン買って〜
 自分で撃った方が早いって!

 俺まだジンバブエなんよ!」

と答えられたようなものだったのです(ホントかよ)

それができないから依頼している
のにってことです。

ゴルゴ13に電話してタダのわけはないのも承知の上ですから、お互いにプロとしてそこはキッチリと依頼を受けるべきでした。

自分の軽口に深く反省しました。
ただお客様を不安にしただけでした。
本当にすいませんでした。



アナタも一人自営業ならゴルゴ13と同じです。
自分のルールがあると思います。

そして自称の方も他称の方もプロはプロです。
相手もゴルゴ13と思って接していきたいと思います。


「ゴルゴさぁ〜、
 ついでによ〜、
 あの隣のヤツも撃ってよ。
 高い金払うんだからさぁ、
 いいだろ〜?ダメ〜?」

さて、それにゴ、いやデューク・東郷はなんて答えるかな?

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2021年05月26日

一所懸命に大間違いするとプロが動いてくれる話


いつも大変お世話になっております、イノウエです(笑)。

先日の熱伝導率の話、実は熱伝導のほうだろうが!というツッコミと、その素晴らしい補足記事をつくばセラミックワークスさんに書いていただきました。

まずは下のリンクをご覧ください。
別ウィンドウで開きます。


ジャグリングも作陶もイノウエが足元にも及ばない福田さんのホームページ https://tcworks.blogspot.com/





そもそも人間としての基本OSがわたしとは全然違う、イノウエの三大抑止力の一人である福田さんのツッコミと、この記事には正直ありがたく、内心ホッとしております。

梶田絵具店さんのYoutubeもそうですが、わたしの話でまぁまぁ信用できるのは窯の話ぐらいということです。

それでもレベル低いなりに一所懸命に発信を続けていくことで、

「ちっ、しょうがなぇなぁ〜イノウエは〜!」

と忙しいプロも腰を上げてくれるということなのでしょう。
本当にありがとうございます。

シリカと珪酸の使い分けも結構適当なオジサンですから、優しい目で見守っていてください。

熱伝導と熱伝導率がぐちゃぐちゃな記事を書いたことを反省もしますが、両方について伝えたかったことも事実であり、下手なロクロ動画をいくつもYoutubeで野晒しにしているように、先日の記事のタイトルもそのままにしておきたいと思います!

カッコつけて「馬鹿が専門用語を使うとロクなことはない」という悪い見本としてご記憶ください。


また棚板の熱伝導率が粘土と大きく異なるという点においては、焼成時にそこまで気にすることはないかもしれないと山内陶料さんをはじめプロ数人の方の助言をいただきました。ありがとうございました。

それでも築炉や焼成技術の視点からみるとレンガが耐火断熱レンガになっていったように、あの土のまな板のような窯道具から、カーボランダムに置き換わっていったことで焼成時間の短縮や均一な熱分布などが可能になったのは間違いないと想像しています。

早く焼成しようとすればいくらでも可能なのが現代の窯炉でしょう。ゆっくり行うほうが難しいという部分もあるかもしれません。素焼きも韓国の人が驚く8時間800℃はじつはもっと長くてもいいのかもしれないし、形状によっては韓国バリにゴリゴリと攻め込んでもいいのかもしれませんね。

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(勝手に画像を転用するのはイケないルージュマジック)


さてさて話を戻して。


素焼き、もちろん本焼きでも、モノによっては棚板の上直接というのはあまりよろしくないことがある、そういうことを知る方が増えただけでも素晴らしいことだと感じております。

実際に大物の素焼きの窯詰めは、より土の団子などを底につけて浮かせたりしますし、同形の器を重ねるにしても密着が強い形状であれば、隙間ができるようにやはりより土や断熱ウールの切れっ端を挟んだりすることがあります。

わたしのブログ記事で書いたように、棚板の上に大物をベタ置きすると、作品と棚板の熱の差が大きくなりすぎるのか、単に温度の上がりが悪くなるだけなのかはわからないとしても、次の福田さんのアドバイスこそ最強でした。


 焼成の基本は「出来る限り品物全体一様に熱を伝えるほうがいい」のハズ!


とのお言葉ですので、みなさん額に入れて窯場に飾っておきましょう(笑)。


わたしのブログ記事は経験則からの発信でしたが、次回の福田さんの記事は窯詰めの具体例を示してくださるようですから、楽しみにしておきたいと思います。

またこれを機に、つくばセラミックワークスさんのページのメニューから興味のありそうな記事をいくつか読んでみてください。

内容も素晴らしいですが、福田さんの文章がそもそも面白いんですよ。

イノウエは、このネタについては動画を作成中でしたが、即ボツにします!

だって全然まとまらなくて撮りなおしてばっかりでしたから。
単純に窯詰め動画を考えていきたいと思います。

あぁ〜良かった!

イノウエは基本一発撮りなんです。
一発で話せないことは「腑に落ちていない」という判断と、「面倒くさい」という理由からです。


福田さん、今回も本当にありがとうございました。

第二部にも期待しております!






posted by inoueseiji at 08:14 | TrackBack(0) | イノウエセイジの頭の中

2021年05月24日

熱伝導率のはなし2


ものを焼成する、加熱するということでやきものもお肉も美味しくなるわけですが、その時に大切なのは熱伝導率のこと。

バーナーの炎やヒーター線の熱がどのようにアナタの作品やお肉の塊の中心部分に伝わっていくのか、ということを意識することです。

また窯や炉の中の熱の動きや伝わり方と想像することができれば、素焼きで爆ぜることもなくなり、本焼きでの意識もかわることでしょう。

たとえば素焼きは重ねて焼成できるからといって、ギュウギュウに窯詰めすると、中心部分にはうまく熱が伝わりません。

体験されたことのある方もいるかと思いますが、同じ形のタタラの丸皿などを重ねまくってベタ置きで素焼きすると皿の中心部分の色が灰色のままだったり、ガス窯などであれば接触面にススが残っていたりすることもあります。

また分厚い鉢のようなものをいくつも重ねたり、蓋物で蓋の中の色がすこし薄かったりしたことを確認されたことのある方もいるでしょう。

熱や炎がしっかりと各作品に伝わるように、窯詰めを考えなくてはいけません。たしかに素焼きは重ねて焼成できます。ですが、重なりが密でその奥まで熱が伝わらなければ均一に焼成できないことになります。

色が違うということは焼成によって到達した温度がその場所は他とは違う、ということになるのです。


炉内の温度の均一化のためにもカーボランダムの棚板は一役かっているわけです。熱伝導率が粘土よりも非常に高く、それが何枚も棚組されています。作品を置いているのも棚板の上、その作品の上にも次の棚板が載っているわけですから、ムラなく加熱されることになります。

逆に高台が分厚くなった作品を素焼きで急熱すると、底の棚板だけが熱くなり、分厚い底が爆ぜてしまいます。思い出していただきたいのですが、分厚い作品が爆ぜても、かならず底の部分だったはずです。それは窯の中で棚板が先に熱くなるので、作品の底が急激に加熱されることになるからなんです。

それを防ぐには、均一な厚みの作品づくりを意識するだけではなく、素焼きであっても棚板や各作品通しの間隙を考慮して窯詰めをすることだと思います。

またこれに関しては動画にしていきたいとも思っております。


posted by inoueseiji at 11:14 | TrackBack(0) | イノウエセイジの頭の中

2021年05月20日

熱伝導率のはなし


な〜んて偉そうなタイトルにしましたが、別に専門的な知識があるわけではありません(笑)。
いつものように、へぇ〜そうなんだ、程度にお読みくださればと思います。

素焼きの焼成で窯から「ボンッ!」という鈍い破裂音が聞こえたりした経験、窯出しの時に自分の作品だけ爆ぜていた経験が、陶芸を楽しまれてきた方なら一度や二度はあることでしょう。

もちろんわたしも何度もあります。
最高記録は1メートル近い大作でした(泣)。

そうした事故現場(笑)を丁寧に検証してみると、だいたい底も部分が爆ぜています。
もちろん、削りが下手で高台部分の厚みがかなりあることや、そもそもの乾燥が不十分なことなども大きな原因です。

爆ぜると空気のせいにする方も多いと思いますが、空気で爆発するほどのエネルギーは生まれません。

問題は水。
そして熱伝導率です。
(映画ならここからオープニングテーマ!)

日々当たり前だと思って使用している棚板。
陶芸だとカーボランダムのものが多いです。黒くて固くて表面が白いアルミナコーティング。
アイツです。

大昔、イノウエもまだ生まれていない頃、ほとんどは土で作った俎板のような分厚い棚板を使用していました。
重たくて、寿命も短く、窯詰めも非常に大変だったそうです。
その再利用として、石の代わりに窯垣として使用され、今でも瀬戸や常滑、有田などの産地にそれが残っています。

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(公式サイトから拝借)

わたしははっきりとは知りませんが、いつのころからかカーボランダムの棚板に置き換わりました。

※いまググってみるとカーボランダムは会社の名前で19世紀末に発明・製品化されたようです。国内での初製造は1917年に鹿児島県においてとのことです。モース硬度ではダイヤモンドの二つ下、ご存知のようにカッチカチですもんね。いつ板状になって陶磁器の製造現場で一般的に使用されるようになったのかはわかりません。


一つはっきりと言えることは、カーボランダムの棚板によって、焼成や築炉技術はすすんできたはずです。

熱に強く、熱伝導率が非常に良い素材だからです。うろ覚えの知識ですが、確か土や粘土の二十数倍の熱伝導率だったと記憶しております。

ここから本題。


素焼き前の作品、しっかりと乾燥させたし、外に出して日に当てて一週間以上乾かしました。
それでも爆ぜるときは爆ぜます。

なぜでしょうか?

素焼きの温度の話のときにもしていますが、いくら乾燥させても粘土鉱物がもつ分子レベルで結合している水はなくなりません。

ですから点火してからの焙り初期段階は非常に重要です。
ここで急激に温度を上げると爆ぜてしまうことがあります。

もう一つ重要なのは粘土と棚板の熱伝導率のちがいです。

確か26倍程度の差があったように記憶しておりますが、ようするにアナタの大切な作品よりも20倍以上早くカーボランダムの棚板には熱が伝わっているのです。

素焼きが爆ぜる前の状態とは、熱い鉄板の上に「分厚くて冷たい豆腐」を置いている状態とも言えるでしょう。底が焦げてはこまるのどころか、豆腐の中の水の一部が沸騰すれば水蒸気爆発を起こしてしまいます。


ではどうすればいいのか、は次回の続きとしましょう。
posted by inoueseiji at 05:29 | TrackBack(0) | イノウエセイジの頭の中

2021年05月16日

お客様の声


ユーザーレビューを載せた方がよいと散々ホームページ制作をしてくれた方から言われていましたが、なかなか実現せずに日々の仕事に追われておりました。

しかし、いつまでもステイホームの期間が続く中、ネット陶芸展の2回目を開催するのを機に、お許しをいただいた方々の写真や感想などをようやく載せることができました。

ご協力いただきましたみなさま、この場を借りて深甚なる感謝の意を表したいと思います。
みなさん本当に素晴らしい作陶生活を送られていて、なんだか羨ましいほどです。

自分にもこんな気持の時があったようななかったような(笑)。

こうしたレビューは多くの方の気持ちを動かしてくれるのかもしれません。

また、掲載は勘弁してね、という方からもたくさんの温かいお言葉やメッセージをいただきました。

ありがとうございました。

どうか今後とも「ふくおか陶芸窯」をよろしくお願いいたします。

★お客様の声はトップページの窯の写真をクリックして御覧になれます。




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posted by inoueseiji at 10:46 | TrackBack(0) | イノウエセイジの頭の中

2021年05月07日

ネット陶芸展2!【参加者倍増】




たくさんの方の協力を得て、第2回ふくおか陶芸窯展を発表しました。

本当はリアルで行いたいですね、というお話をいただいておりましたが、このコロナ禍で2年越しで2回目の開催となりました。
まぁこれはこれで良かったのかもしれません。

遠くの方とも一緒に出来るというのはいいものです。

どこか遠くにいるお客様がいつも動画を観ているというつもりで発信しているイノウエです。

お客様各人も、どこかに同じ窯で作品づくりをしている人がいると知ることが励みになれば幸いです。

とても良い動画になったと自己評価しています。



ファーストもヨロシク!


posted by inoueseiji at 07:49 | TrackBack(0) | イノウエセイジの頭の中

2021年04月22日

日本の電気は意外と意外と!




この一週間でお問い合わせいただいたお客様へご説明した内容を少しまとめておきます。

今日の内容は以前のブログ記事と重複する部分があります。

◆陶芸に必要な電気の知識 http://inoueseiji.sblo.jp/article/187843247.html


さて、日本の家庭で使用している電気の電圧は100Vですよね。

実はこれは世界的にみてかなり低い電圧で、日本と北朝鮮ぐらいだったと記憶しております。
ちなみに、エアコンやIH調理器で使用する家庭用単相200V、工業用の三相200Vもブッチギリの最下位です。

電圧とは電線を流れる電子のスピードのようなものですが、わたしはもっとイメージしやすいようにお伝えしています。

これは電気的な現象をイメージしやすいように例えており、厳密に正しいわけではありません。決して電気科の試験などで解答に引用しないようにご注意ください(笑)。

また電気のプロの方々は、2電工取得10年たらずの陶芸オヤジに突っ込みたくなったら、一般人にわかるように説明する例えを教えていただけれると幸いです。

発電所では電気を作っているわけですが、この電気をお湯に例えて説明します。

そして送電鉄塔では数十万ボルトで電気を送っています。

この電圧をお湯を送るパイプの太さと考えてイメージしてみてください。

つまりどこか遠くにある発電所でできたお湯を冷めないように街まで送るには、パイプを太くして勢いよく流すしかありません。

かりに50万ボルトで送電しているとして、それをパイプに置き換えて直径50メートルだとします。

こんなに太いパイプでお湯を送れば、遠くまで冷めることはなさそうですね。変電所などを経て太さは徐々に細くなりますが…

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街にある電柱と電柱を結ぶ電線には6600Vの電圧ですから、まだ66センチのパイプです。


これが家庭に引き込まれるときに200Vになります。

66センチから、いきなり2センチになり、分電盤から各部屋へは100V、たった1センチになってしまうのです。発電所で沸騰させたお湯はいったい何℃になっているでしょうか。

100Vの電気炉というのは、はるか遠くから運ばれてきたお湯を使って、再び何かを沸騰させようという試みに近いわけです。


しかも共栄電気炉製作所の小型炉ではそれが可能なのです。
昇温可能というだけではなく、耐久性も必要です。

いかにヒーター線の性能や断熱性が重要かわかりますし、なぜ配線の距離や延長コードが危険なのかというのもご理解いただけけると思います。


IMG_1513.JPG



ほとんど石油が取れない日本のクルマが異常に燃費性能がいいように、100V・200Vという世界一低い電圧下で開発と研究がすすんだ日本の電気炉はスゴいんですよ。


こんな豆知識的なことも抑えつつ、電気炉をたのしく使っていってください。

国産電気炉が最強なのも納得ですネ!




※ ちなみに日本の電圧が世界一低いのは感電事故が起きたときの死亡率を抑えるためという国民想いな判断によるものです。

posted by inoueseiji at 06:47 | TrackBack(0) | イノウエセイジの頭の中

2021年04月21日

あとはVシネのみ?




まったくの偶然でみつけたこのアニメ。

パソコンで一気見しましたが、賢いウチのテレビは「陶芸」というキーワードで自動で録画しておりました。エライ(笑)。

まぁこういうアニメはこれまでも自転車版なんかもあり、一連のパターンがあります。


高校入学直前になぜか引っ越して新天地で新生活をすることになる主人公。
話の展開上、中学以前の過去を一切排除するということなのでしょう。

そして偶然に新たな世界に触れるか、才能の片鱗を認められます。そして入部などで本格的にかかわるようになります。だいたい天才肌の先輩とか、ハチャメチャな同級生とか、堅実なクラスメートなんかがいて、その世界のあるあるネタと、高みを目指すもの同士のぶつかり合いなんかがあって、いよいよ全国大会…みたいなところが定番でしょう。

「やくならマグカップも」も主人公が高校入学を機に多治見に移り住んで、しかも幼い頃になくなったお母さんは、当時気鋭の女性陶芸家、お父さんも脱サラして多治見で喫茶店を始めている、という設定と伏線があります。

まぁ東海・東濃地方で喫茶店を新規開店するのは陶芸家になるよりも難しそうだというのは置いておいて(モーニング!)、あと陶芸部の部室が異常に立派なのも置いておいて、純粋にこの作品を楽しみましょう。とても良くできていると思います。

決して表に出なくても、様々な援助やサポートを地元各社や窯元、当然共栄電気炉製作所さんも関わっていることでしょう。

「やくもの放課後」なんてコーナーが最後にあり、各キャラクターの声優さん4人が多治見を案内するのも面白いです。知っている通りや看板なんかを見つけて嫁と懐かしがっておりました。


信楽はスカーレットで朝ドラ、波佐見はいま小玉ユキ先生の漫画連載があります。陶芸関連かどうかは置いておいて、寅さんでも京焼を舞台にした回がありますし、サスペンスもので窯元殺人事件とかあった気がする(笑)。




有田瀬戸はなんか映画あったかなぁ?


ある意味まとまりが悪そうな産地って気もするので。

逆転の発送で対抗していくには渋めのVシネ路線はどうだろう?





ということで、考えておきました!


タイトル案いってみよう!
(怒っちゃダメよ)






「磁器なき戦い 陶石戦争」


「陶器なき戦い ロクロ作戦」


「窯炉の掟2 溢れた撥水剤」


「ベンガラ・ファイル」


「地獄のコバルト3 ダミ筆で描け!」


「地獄の七釉 赤津作戦」





※ どっちの産地も絵具店で発砲するのはご法度という設定です。




大人のみなさん怒っちゃダメ。
陶磁器業界の盛り上がりを応援していきましょう。






posted by inoueseiji at 06:07 | TrackBack(0) | イノウエセイジの頭の中

2021年04月17日

失礼よりは嫌味な方がマシ



YouTuberあるあるでしょうけども、新しい動画のコメントに過去の別の動画についての質問が書かれることがあります。

それはそれでありがたいことですが、内容に即した場所にコメントしてくれた方が次の人へのヒントにもなっていいのになぁと思ってしまいます。先日も同じ様なコメントがあり、そのコメントに返信しました。

わたしの発信について春先の質問で時々あるのは窯の移動等についてです。
知人から窯を貰えることになったから、中古の窯を個人売買したから、安く済ませたいから、などの理由だと思います。

先日のコメントを書いた人も、その質問の内容から、そうした作業への理解はあまりないか、自分は多少出来ると誤解している方だと推察できたので、

「無資格は危ない、未経験も危ないよ、そもそも有料相談案件だから」

みたいなことを書いたわけです。

すると、

「あんたがそんな嫌味なヤツとは思わなかった、聞く人間を間違えた」

みたいなことを書かれてコメントを削除されました。





あのね〜。







世のオヤジというのは、
嫌味なものなんです(笑)




タダで聞こうとしているんだからそれは我慢しなくちゃ(笑)。



わたしの動画発信をご覧の方なら何度か与太話でお聞きになっているかと思いますが、ホームページに謳っている有料相談の案件について、実は礼を尽くしてくださった質問者からお金を取ることはほとんどありません。

そんな人が殺到しても困りますが、これまでも何時間も電話で話したり、メールのやり取りを数ヶ月に渡って続けたり、ラインで半日窯焚きに付き合ったりしてきました。

それはそうした質問者の方々が礼を尽くしてくれたからだし、わたし以外に迷惑がかからないことだったからです。


無資格で陶芸窯の搬出中に事故が起きたとしましょう。

どんな事故の可能性があるかもわからないから無資格でゴー!と思うのでしょうが、全工程で複数の事故の可能性があるんです。

そもそもこの動画だって多少はどこかの業者の迷惑になっていく可能性があると思います。だから実際の作業のキモになる部分は編集してトウシロには真似できないように配慮しています。全体で6分の動画ですが、実際は搬入当日だけで5時間ぐらいの作業をしています。

二人合わせて1ダースぐらいの資格と免許を持っていますし、二人合わせて150基以上のありとあらゆる窯造りの経験があるんです。

事故を起こせば、レンタル建機屋さんや被害者だけでなく、窯を譲ってくれた人、やきもの業界も迷惑します。万が一、死亡事故にでもなったら保険もおりません。

たくさんの人に迷惑がかかる可能性がある質問だともいえます。自分で運んで窯を壊した人って結構いますし、そもそも貰える窯が、ちゃんと使える窯なのかも疑問だったりするんじゃないのかねぇ(そうか、これを嫌味というのか)

一回こっきりの移動であれば道具を揃える金額でプロに頼む方が安くつくことの方が多いと思います。


ラーメン屋さんに、そのスープのレシピを教えろ、といって教えてくれますか?

いやぁ〜ないよね。

でも、こういうのどうでしょうか。

「〇〇と申します。そちらの△△ラーメンに衝撃を受け、自分でも作りたいと思って地元の店で8年修行しています。いよいよ独立と思い、△△ラーメンさんのスープを目指して研究を重ねていますがどうしてもタレの醤油が決まりません。今は出汁を〇〇と〇〇でとり、醤油は〇〇産のものが合うと思って工夫しています。今のレシピは〇〇〇〇です。ご多忙の折、大変不躾な質問で申し訳ございません。何かヒントになることでもありましたらご教授願えませんでしょうか。」


まぁこれでも失礼だと思いますよ。
でも多分、五人に一人ぐらいはヒント教えてくれるんじゃないかな?



わたしならこの一人のために動画にするかもね。


2009年の過去記事:中古の窯を運ぼう http://inoueseiji.sblo.jp/article/28349546.html

posted by inoueseiji at 09:58 | TrackBack(0) | イノウエセイジの頭の中