2024年01月17日

仁義なき戦いは好きだが仁義は通す

最近多いのは、いや数年前から増えてきたのは、まだ存在している会社や業者の対応に不安や不満を感じてわたしに問い合わせをしてくださるお客様です。あざっす。

とはいえ、声を大にして言いたいのは、そうしたお客様は、ちゃんとその業者なりメーカー?なりに仁義は通しているということだ。

購入したところだから、いつもお世話になっているから、わかってナイのはわかっているけど他所に持っていくのは筋が違うから、家族の紹介だから、先輩の紹介だから、などという理由だ。

「呉のヒロノさん」じゃなくてもそれは常識でしょう。そうして筋を通しても、いつまで経っても見積書がこないとか、いい加減な返事をしてくるとか、資格も経験もないのに工事するとか、素人目にもコイツまじで?みたいなことがあるからわたしに話がくるのだろう。

トヨタに乗っている人にどんなことがあったら元ニッサンのカルロスに相談するのでしょうか?そう考えれば、けっこうエグい状況というのがわかるというものじゃないかな。もちろん、わたしにだって同様に数件の逆の例はあったし、今もどこかであっているかもしれないけども。

だとしても、少なくともわたしとカルロスは無資格ではないし、未経験でもありませんので、仕方ないかということになるけれども、なんの経験がない人が現場確認にきて以前とは違う話をしてお客様を不安にするというのはいただけない。そもそも2,3年の経験で現場確認や見積りが出来るわけもないだろうに。

またアチコチの窯業関係の業者さんで経営者が世代交代したり事業継承したりしているというのも事実だ(どこがというのは今回は伏せておこう)
それはそれで結構なことだし、さもしい根性で事業継承の補助金でもなんでももらってればいいとは思うけれども、親族だからとか、オツムがいいからとかで陶芸窯の業界に参入されてもわけのわからんことになるだけでしょう(なってるぜ笑)

営業所を閉鎖したり、リストラしたり、それはそれで結構ですが、そもそもトップが焼成や搬入設置工事の経験がナイならそれこそナイナイセブンティーンじゃなくてNAI・NAI 16ですぜ。車業界だってトヨタの会長もあのカルロスもゴリゴリにレースしてたじゃん?還元焼成してくださいよ。シンリュウや大沢ガス炉商会、共栄電気炉製作所のトップを見習ってくだせぇ、お代官様。

窯をパッと見てその重量や運搬方法を思いつかない人がいくら現場に来てもなんにもならないからね。
陶芸家を目指す方はとっとと焼成を経験して旧態依然とした「修行」みたいなものはぶっ千切ってほしいけれど、それでも究極は経験値がものをいう部分もあると気付いてさらに上達していきますよ。それが設備側の仕事をする我々ならばなおのことです。ましてや焼成も製造も設計も設置工事も経験してないのはダメダ〜メ。

情報は出していきますが、それをもとに経験は自分で積んでいくしかありませんよね。
活動自粛とか勘弁してやぁ〜。



jinginaki.jpg
そうそう、田中製陶でお仕事したことあります。
(お兄さんとのことでした)

posted by inoueseiji at 08:14 | イノウエセイジの頭の中

2024年01月16日

草刈りして一年たった

筑前町というところはとても良い町です。
ほどよい田舎感がありながら、すこし走れば大きな町にアクセスしますし、博多駅までの高速バス路線もある。

大きな病院もあるし、温泉もある。コンビニや一通りのチェーン店なども国道沿いにそろってます。
陸軍の飛行場があった場所ですから平坦な土地ですけれど、夜須高原記念の森なんて場所もあったりする。

若かりし頃に住んでいた阿蘇郡も良かったけれど、じっさいに家から90キロ離れた山の中の不便さはあった。
そういう意味では筑前町と実家の距離感は、今の自分にちょうどいい気がします。本当に巡り合わせだったと思います。

昨年はいろいろあったというのもあるけれど、新拠点のオープンは伸び伸びになり、草刈りと補修工事で一年が終わったという気がします。

IMG20240114134241.jpg

借りたときにはこのフェンスが見えないぐらいでした。

IMG20230203121013.jpg

スゴいよね。今見ると。

先輩のシムラさんが薪割りが大好きなように、わたしもこの一年、草刈りがちょっと好きになりました。
草刈りをつづけているとほんのちょっと哲学的になる気がします。

イヤイヤやったらただの労働ですが、思索の時間と思えばナカナカよいものです。
草刈りをしてきたこの一年で、自然や植物にたいする感覚もかなり変わりましたね。

最初は憎しみみたいな感情、特に夏とか。
そして今冬になると半分枯れてしまったような状態であっさりとこの手に駆逐されていくのを見るともののあわれを感じちゃうやん。

そしてまた春になって暴威をふるう夏が来るんでしょう。
そのときにこっちも少しは緑花咲く状態になっているんでしょうか笑。

IMG20240114110411.jpg

陶芸本読みにきてください。


ふくおか陶芸窯 筑前工房

〒838-0211
福岡県朝倉郡筑前町下高場2903−1 電話 080-9534-7310

※ 現場確認や出張工事のこともありますので一度お電話いただけると確実です。



posted by inoueseiji at 07:19 | イノウエセイジの頭の中

2024年01月05日

仕事はじめです


初夢は梶田絵具店に行くという内容でしたイノウエです(マジです)
八幡台から文化センターの丘を超えていくんですが、夢の中ではそれが2000メートルぐらいあって、ようやくお店についたら聞いていたよりも孫が多いというカオスな状態でした。

たぶん吉兆でしょう。


明けましておめでとうございます。

元旦からいろいろなことがあって正直わたしも精神的に打ち砕かれたような気がしました。
昨日ようやく珠洲焼のお客様の無事も確認できて安心しましたが、被災した方々や亡くなった方々を思うとやりきれません。

それでもそれぞれが自分の仕事に向き合って経済を回していくしかありません。そうすれば被災した方々やそれを支える様々な職業の方々への助けと繋がっていくはずです。

我々はやきものを生業としていますので、仕事であれ趣味であれ楽しくやっていきたいものです。
やきもの業界をグイグイ回しておけば被災した産地にもプラスになっていくはずです。



さて。見切り発進の新拠点、昨日は落ち葉を掃除したりしておりました。
随分キレイになってきた外まわり。

しかし、バケツに水をいれとこうとB棟の外水道の蛇口をさわると突然ポッキリ。
吹き出す水を避けながら井戸ポンプのブレーカーを落とします。

流石にいくつもの修羅場をくぐってきたイノウエでございます。


IMG20240104133522.jpg

そもそもここも素人工事で「ガス配管器具」で「水道配管」をしております。
ほんの一部の部材にガスと水道に供用のものもあったかと思いますが、普通ではありません。

電気工事同様に、外の蛇口もやり直しをしなければならないと思っていたとはいえ、ニップルがサビサビであまり関わりたくなかったのも事実。


IMG20240104141635.jpg

まずはなるべく「ニップルだったもの」を取り除きます。
ゴミをとってラスペネとかを吹いておきましょう。


IMG20240104142515.jpg

いつかはやらなければならない場所だったのでモノタロウで水道用逆タップは入手しておりました。
いったい何屋になりたいのかわからなくなってまいります。


IMG20240104142522.jpg

こうして突っ込んで緩ませる方向に回せばタップが引っ掛かって回ります。
回りますって言ってますが、回るまでに20分ぐらい悪戦苦闘しました。
やっちゃったらコンクリ斫って水栓柱ごと交換になっちゃいます。

ちなみに逆タップはサイズもいっぱいあって、折れたボルトなどにも使用します。
ボルトであればドリルで穴を穿ってからタップをかけます。ググってみてね。


IMG20240104142619.jpg


はい、取れました。

せっかく蛇口を取っているのでコマやパッキンも交換しておきましょう。
そういう部品は在庫しておりました。なにしろDIYの訓練施設かよ!ってぐらい素人工事や補修箇所があるのがこの新拠点なのです。


IMG20240104144638.jpg

ヤレヤレ無事に水が出ましたね、と終わってみればもう夕方。
中途半端なお掃除だったので、今日も早めに行ってお掃除です。


展示用の電気炉がありますのでサイズ確認いただけます。
お茶を飲みながら窯の話でもいたしましょう。

震電のある大刀洗平和記念館も近いですヨ。

皆様のお越しをお待ちしております。

続きを読む
posted by inoueseiji at 07:38 | イノウエセイジの頭の中

2023年12月31日

良いお年をお迎えください

IMG20231228155947-COLLAGE.jpg
(お餅がいっぱいだ)

大晦日から元旦になっても、ただ一日が経過してカレンダーがめくられるだけなのかもしれませんが、そういう区切りがとても大切だと思います。

築炉や陶芸の業界を良くしていかなければならないという思いを、直接メーカーの社長に言われたり(シ)、言わないまでも長くその企業の経営方針で示されたりして(共・梶)、50過ぎから特に、自分も微力ながらという気持ちで仕事をしてきました。特に今年はその気概がなければ耐えられなかったんじゃないかというぐらいイロイロありました。

似たようなことは今年のニュースで日本全体の問題としてもいくつか報道されたようにも思います。
プロがプロでなくなっていくのは実に勿体ないことです。

自分でプロです、なんて言うのはこっ恥ずかしいことこの上ございませんが、プロにしかないプライドはわたしにも多少はありますし、それにしがみついて日々を生きているというのが正直な気持ちです。苦しいときもありますが、プロは絶対にそのプライドを捨ててはいけません。できれば人の上に立つポジションの方や指導する立場の方こそ、それを伝えていってほしいものです。

それは実に些細なことの積み重ねです。面倒くさいから余ったボルトでくっつけとけとか、設計図と違うけど機能は問題ねぇやとか、見える場所じゃないからいっかとか、免許ないけど動かせるしぃとか、そういうことをいい加減にせずにお客様の気持ちを想像して大切にできるのかどうか。

自分と窯に嘘をつくのかどうか。

わたしは来年も「本業に関しては」そのプライドを守っていきたいと思います!


どうか皆様良いお年をお迎えください。

ありがとうございました。




posted by inoueseiji at 07:22 | イノウエセイジの頭の中

2023年12月26日

造って飛べるは凄いと思う。

IMG20231223155613.jpg
(ゴジラ効果で人は多め)

古い友人が先週末に新拠点に初めて来てくれました。

彼の要望としては

  • 震電見たい
  • 温泉入りたい
  • 鳥刺し喰いたい
  • 呑みたい

でしたので、まずは大刀洗平和記念館に行って震電。

80年近く前にこんなものを開発する技術力が我が国にあったというのがスゴいと思う反面、だとしたら自分たちがどんだけ無謀なことをしているのかも判ってただろうになぁとも思います。

もちろんこの写真の震電は模型であって、本物ではありません。
それでも意外とデカい!と友人は喜びつつも、特攻に散った海軍・陸軍のパイロットの名簿を見てなんとも複雑な表情をしておりました。もちろん私もですが。

震電の開発の中心人物は技術部の軍人で、造って飛べる人だったとのことです。厳密には設計してテストパイロットが出来るということですが、これは中々にスゴいことだと思いました。

窯を造って焚ける、の800倍ぐらいスゴいことですヨ。



隣にはいわゆるゼロ戦があります。
三二式ですね。

パイロットを育てるコストや機体の製造コストを考えると、やっぱりいつもやりきれない気持ちになりますね。

大刀洗平和記念館は新拠点からはクルマで10分弱の距離です。

その後はご要望どおりに地元のお肉屋さんに行って鳥をゲット。
鍋の用意もして、近くの温泉施設にて温まり、鳥と鍋で深夜まで盛り上がりました。
posted by inoueseiji at 06:55 | イノウエセイジの頭の中

2023年12月19日

盃がとっても大事

dark-side-eiga_pos7.jpg

※これは陶芸ブログです。

ようやく「ゴジラ-1.0」を観ました。
いやめちゃくちゃ面白かったです!

新拠点の近くには大刀洗平和記念館があるのですが(かつて巨大な飛行場があったので)、そこに震電のレプリカも展示されています。
あれが飛ぶとこんな感じかぁ〜という感動もありましたね。

シン…があまり好きじゃなかったイノウエとしては大変面白かったです。

今回は大事な友人と忘年会をする前に酒の肴になるので観ておいてネと言われていたし、信頼する多くの友人知人がSNSで良かったという発信があったので、あくまでもお付き合いのために観に行ったというのが本音です。

事前情報ゼロで期待値もゼロ。
予告編も観てませんでした。

でも良かったですね〜。
ネタバレはしませんがオススメですよ。
多分海外でもウケると思います。

なによりも何も事前情報がなくて観に行ったオジサンが面白いというのはポイント高いです。


さて。
やきものネタ。


高校の同期で以前映画関連の仕事をしていた友人がいます。福岡に戻っていまは別な仕事をしていますが、昔からよく彼と映画の話をしていました。

その彼の専門学校の同期の方でいまも映画のセットの仕事をしている方がいるそうです。
どういう仕事かというと、台本には書いていないセットの細かな小物を想定していくようなことをするそうです。例えば50代のやきものオジサンの仕事場、という設定があれば、きっとこんなものがあるだろうと想像を膨らませて設置していくわけですね。部屋のイメージから小物にいたるまでリアリティを追求するわけでしょう。時代が遡るような作品ではさらに細かな注意が払われていると想像します。

そうした仕事がキッチリとされているかいないかは、やきものオジサンにとっては非常に重要です。

そう。
器ですよ。

時代劇の器が鋳込みの量産品だったりするとキョウザメしちゃうんです。
最近は随分と減りましたけれども、まだ時々残念なことがあります。
(ミリオタ的だと銃器の扱いとかもネ。)

今回のゴジラでも盃やちょっとした器、バラックでの食事シーンなど、やきものオジサン目線でもちゃんと納得できたなぁと思います。
CG含め、日本の映画製作のレベルも上がっているんだなぁと感動もしました。

なによりも、ゴジラがいる、という世界観を受け入れられないオジサンに納得させられる設定とドラマが大変良かったです。



posted by inoueseiji at 05:50 | イノウエセイジの頭の中

2023年12月15日

一酸化炭素のことを忘れないでネ



多分これまでの動画でもっともマジメなものの一つ。

ご安全に!
posted by inoueseiji at 08:16 | イノウエセイジの頭の中

2023年12月14日

マイナーチェンジしてました【100V電気炉】

IMG20231124143650.jpg
(240C・2430C・LR-10)

新拠点は1月から見切り発進する予定です。
展示機も少しですが並んでおります。
その他いろいろなことができるように少しずつ進めていきます。

さてさて。

こうして改めて240Cと2430Cを並べてみるとたった80ミリとはいえ、炉内高さの違いが全体のバランスに影響しているようです。

そしてビックリしたのはこれまで240Cはヒーター線が縦10系列、2430Cは8系列だったのが、2430Cも10系列になっていました。

IMG20231213140020.jpg

その分、コイルのピッチが240Cよりも広くなっていて、同じヒーター線を使えていた以前とは違い、各モデルごとに適正なヒーター線を製作しているということです。

IMG20231213140017.jpg

たしかに最近2430Cで温度上がりません、というケースが少なくなったなぁと思っていましたが、そういうことだったのか。
せっかく良い感じでマイナーチェンジしてたのなら教えてくださ〜い。

まぁでもコレ以外にも細かく改良やマイナーチェンジはしているわけですから、やはり国内メーカーの自社工場での生産体制というのはフレキシブルで素晴らしいわけです。

現物を見てみたい、窯について話を聞いてみたいという方はホームページをご確認いただき、ご連絡ください。


ではご安全に!

ふくおか陶芸窯
posted by inoueseiji at 07:05 | イノウエセイジの頭の中

2023年12月13日

塩オレンジにシミ青く

無線もいいが有線もいい、イノウエです。

平和な年末年始にむけておウチ作業をコツコツとしております。
玄関の外灯が寿命になってきたみたいなので交換しようとしましたが。

IMG20231209105540.jpg

安定器のある蛍光灯タイプ。

あまっていたランプレセプタクルがあったのでLED化します。
LED化は簡単で直結すればいいだけ。

外灯自体を取り外すと数十年前の電気屋の適当な配線工事を発見。
長さがたりないからアース線で延長してました笑。

まぁ自分の家じゃない工事ならこんなもんでしょ。
それが人間ってものさ。

というわけで配線からきっちりとやり直します。

だって自分の家だから笑。

IMG20231209120012.jpg

完成です。
これでつけっぱなしでも電気代はグンとお安くなります。

こんな時に電気工事士の免許取っといて良かったなぁと思います。
そして意外と嫁にも家族にも感謝はされなかったりして笑。

あ、タイトルですが、LEDじゃなくてLANケーブルの順番の覚え方。


塩オレンジにシミ青く幸せ緑は七五三


LAN.png
(最後茶色は?)

え?

今日の内容?
やきもの絡みだってばよ!
posted by inoueseiji at 07:46 | イノウエセイジの頭の中

2023年12月08日

ツルツルピカピカは流行らないらしい




現在では原料を購入する方が少なくなっているそうです。
つまり釉薬を自分で調合する人が少なくなっているということでしょうか。

まだギリギリわたしは友人知人とあの長石よりもこの長石がいいとかいう会話をした記憶が遥か遠くにありますが、もうそういう人は少なくなっているようです。

ガス窯の焼成方法がわからない、発信がない、設置環境の問題、そのような理由で、だんだんと電気炉でデビューする人が増えた今世紀の初頭、電気炉の自動制御は便利だけれど、イマイチ伝統釉じゃシブい感じにならないのか、俄然釉調合に走る人が多かったような気がしていました。8万種類の調合を使いこなすとかいうタオル鉢巻の人がいたような(兄貴?)、釉薬をラーメンスープに例えた動画を出してプロに呆れられたオッサンがいたような気がしましが(いたいた)、もうそれも過去の話。

今では何処其処の◯◯釉がいいとか、いやいや✕✕釉がいいとか、そういうことになっているようです。ぜーゲル式?ナニソレ?って感じでしょうか。それはそれでいいと思いますけれども。

長石云々というのはどこの豆がいいか、みたいな話で、調合に走るなんてのは、ドリップ方法がどうしたこうしたという話になるんじゃないでしょうか。で、このメーカーやあの釉薬屋さんのアレがいいとかコレがいいとかいう話は、どのチェーン店コーヒーが旨いかという感じだと思います(どう?マスター的には?)

それはそれで全く問題がないのですが、これがどの缶コーヒーが好きか、という話になっていき、そもそもコーヒーというものが豆から抽出するということを誰も知らない状況になったりしては不味かろうという感じがいたします。なにがなんでも調合しろとは思いません。それでも宇宙飛行士がサバイバル訓練をする程度には体験しておくのはとても有意義なことです。

そして器の釉薬やスタイルには流行り廃りが当然あり、いまはマット系、結晶系、ラスター系が人気だとか。そしてスタイルとしては安定の粉引系が強いそうです。生まれ変わったら主夫じゃないシェフになりたいオジサン的には、マット系はあとでサランラップ掛けれないのでちょっとご遠慮気味ですが、たしかに好きは好きだなぁ。


じゃあ織部スタイルが復興するまでトレーニングに励んでおきましょう!

posted by inoueseiji at 08:05 | イノウエセイジの頭の中

2023年12月07日

刷毛塗りはやっぱりいい感じ

IMG20231205144112.jpg


めちゃくちゃ久しぶりに「刷毛塗りで施釉」なんてことをしてみました。
素地は一昨年のかな?

ロクロは講座があったので多少は触りましたし、施釉はズブ掛けでしておりました。
あと柄杓掛けかな。

刷毛塗りはCMCを入れて、厚みに気をつけて行いますので初心者向けの講座では指導しておりません。
ある程度の経験があったほうがいいですからね。

(めちゃくちゃ若い!)


釉液の量が少なくても、作品が持てないぐらい巨大でも、刷毛塗りならばできます。
もちろん釉薬の種類によってはムラがひどくなるものもあります。織部など熔けがいいものは慣れれば平滑に仕上げることができます。また意図した厚みにしてわざとムラを作ることもできます。

特にテストの釉薬は少量しか作らないはずですので、刷毛塗りをマスターしておくことをオススメします。テストピースに必要な釉薬の厚みも作りやすいですし、織部のように複数の釉薬の掛け分けも慣れれば簡単です。




フリーカップは一個挽きで作れば仕事が早い。


イノウエのように特殊部隊を目指して挫折するのもアリですが(高所恐怖症と判明)、フリーカップを小型炉で楽しく作って小さな成功体験を積んでいくところからプロを目指してた方が楽しいかもしれませんぜ。

まだ正月の宴会に間に合うじぇ!


CMCの語源はコチラ!(ウソだって)

ホントはこっち。
posted by inoueseiji at 07:29 | イノウエセイジの頭の中

2023年12月01日

あっという間に師走かな

新拠点の一輪車のタイヤ交換がうまくいってご機嫌です。

IMG20231129134848.jpg
(めちゃめちゃスッキリ!)

気がつけばもう12月。
今年はホントにイロイロありました。


★ FBI WARNING ★ KOKOKARA HA OJISAN NO GUCHI DEATH !! ★



でもやっと終わりました。

新拠点の改修とオープン、愛知県と岐阜県への重要な出張を諦めて。
ようやくすべてのカタがついて、気が緩んで昨日から風邪気味です。



誰かの間違いを指摘してやり直しをさせるなんて、一番嫌われ者になる行為ですヨ。
アタシは今年それをどれだけやったことでしょうか。

だって事故や人命に関わるんだから仕方ないじゃん。

じゃん?


本人がまったく危険性に気がついていないとか。

社外からの突っ込みじゃないとトップが聞いてくれないとか。

そんなことも世の中にはあるのかもしれません。

免許と資格のはなしで動画内でも申し上げておりますが、そんな方々の「そんなの別にどうでもいいじゃん?」とかいうことが事故につながるんです。


先日電話で師匠が仰ってましたが「日本の良いところ」がすっかり無くなっているように感じます。

搬入工事でクレーンの場所が悪かったら、一回仕切り直せばいいじゃないですか。
そのためにわざわざ出張してきたんだし、時間はたっぷりあるんだから。

移動式クレーンと架空電線までの距離は規定で決まっているけど知らないってことは無資格?
オレはそれをクリアしてもっと条件の悪い6月に搬入できましたヨ。

ブームを戻してアウトリガーを畳んでトラックを移動するのが面倒くさいから、巻取側のセンサーを殺したり、非常操作ボタンを使って警報を消して作業する。

それってゼネコンの現場でもするのかな。


ブタンガスのお客はコイツだけなのに充填所まで取りに行くのが面倒くさいから、プロパンガスを繋いどく。
もちろん伝票にはブタンガスって書いておこうって?
バレたら分子式が似てるからだって?そりゃ炭化水素だからね。
けど熱量が違うだろ!


お客様の人生なんて知ったこっちゃないので在庫の灯油窯を売りつけとけって?
そんでもって無資格・未経験のデタラメな搬入設置工事を見て不安になったお客様に◯くおか陶芸窯に相談されちゃう。

君だけは永遠にロックオンしておきます笑。




みんな大赤字になりましたね。

え?


はい、ウチもです笑
だけどこっちにはプライドが残ってる。


なぜその仕事をしているのかもう一度思い出しませんか。


われわれの仕事は素晴らしい。
支えているお客様の仕事も素晴らしい。


来年は良い年になる。
そのための残り一ヶ月にしていきましょう。









posted by inoueseiji at 07:50 | イノウエセイジの頭の中

2023年11月28日

面倒くさいこと

トントントンと立て続けに三本動画をアップしました。

搬入設置工事で必要なユニック車でのクレーン作業。
大きな窯であればクレーン車が来てくれますが玉掛作業者の資格がないと適正な指示をオペレーターに出すことができません。

もちろん、いちいち現場でお互いに資格を確認するようなことはありませんけども。

カリスマ美容師さんに国家資格を確認することがないように、ユニック車に乗って現場にきたオジサンには資格があると思いますし、白衣を着ている人を病院で見れば医療関係者だと思いますよね。

ただし、見学するこちらが資格や免許を持っていて、作業をする人間が持っていないと結構な確率でそれがわかります。
ようするに「あんなことをするなんて、この人は無資格だなぁ〜」と見てわかるということです。

もっと極端なことを言えば「この人はこの仕事に慣れていないな」ということがわかりますし、俺様が人生を懸けているこの仕事をそんなレベルでしか考えていないのかということまで分かります。

無資格で事故ったら窮地に陥るのは作業者本人ですが、資格があっても経験が無いというのはもっと困ります(資格も経験もないなら◯◯ちまえ)。たとえ何年製陶所で働いても、何十年陶芸教室に通っても、バケ学の知識があったとしても、ユニック車を持っている米屋を何人連れてきても、なんの経験もないのであれば窯の設置工事はできません。搬入も搬出も見かねた第三者に手伝ってもらってりゃ世話ないし。


こういう話ってウザいし、読んでいても楽しくもないでしょ?
それは自覚しています。

それでもこれまで何度も何度もこんなネタをしているのは、それだけそういう事例や事故があるということです。

動画でもお話していますが、こうした資格は誰でも取れます。

デスクの片付けのように面倒くさいだけです。

お金と時間もかかります。



それは何のためなのか?

誰のためなのか?


窯のしごとをする(まだしたい?)方はもう一度それを考えてみませんか。
わたしよりもオツムが良い方なら特に。


ご安全に〜。




posted by inoueseiji at 07:50 | イノウエセイジの頭の中

2023年11月24日

いつ払うのか?後でしょ!【陶芸窯購入】

昨日は久しぶりにちゃんと休日らしいことをしましたイノウエです。

IMG20231122151701.jpg
(これぐらい長いといいなぁ)

「窯のはなし」も一気に3本出しまして、多少イノウエセイジの頭の中は動画制作モードになっています。

以前、簡単な電気炉の作り方をだそうかなと思ってやめたことがあります。
それはプロだと思っていた人でも電気炉についての誤解や危険な感覚があることが複数わかったからで、アマチュアの方はさらに七宝焼の電気炉を改造する相談をしてくる方が何人もいたり、それで十分なんて発言をきいたりもしたからです。

そこに学研の科学のフロクみたいに「電気炉を作ろう」なんて動画でやってしまっては、責任の取れないことがおきるだろうと考えたからでした。

やりたい人は自分で調べて勝手にしてくださ〜い。

b7857d55baf65bd1246a421a66b0a9ad20200411130905185.jpg
(危険な二人は元気かな?)

ガス窯の搬入方法などについても、自分たちでやりたいんだけど、なんて方から以前質問がありましたが、無資格・未経験での作業の危険性を指摘しただけで実に不愉快な対応をされてしまいました。搬入の様子を紹介した動画はいくつかありますが、動画を観たのに道具や作業工程がわかんなくて質問してくるような方には出来ないのが搬入設置工事です。洒落にならないことになりますヨ。

いろいろな大小のトラブルを確認することが多かった今年、陶芸窯に携わる人間として、お客様になる方々には気持ちよく窯の購入に踏み切ってほしいという思いもありますので、トラブルに合わないように実際の購入や設置工事の流れや段取りは紹介しておこうと思いいたりました。

きっかけはいつもマイナスな出来事ですが、ネガティブ発信気味なオッサンとのマイナス掛け算でプラスに変えていきたいという試みでござんす。

手っ取り早くどこが大切かというと、窯の購入について、いつどのようにお金を払うか、ということです。これを言えば同業他社はオイオイと突っ込むでしょうが、絶対に先に全額を払ってはいけません。

動画でも話していますが、新品の発注であれば個人の方からは前金をいただきます。小型炉を除いて陶芸窯は受注生産だからです。発注してから「やっぱりもう少し大きくできますか?」とか「主人がアカン言うてます〜。ちょっとヤメときますわ」などと言う素っ頓狂な方々がもしかしたら居たのかもしれないし〜、お客様から頂いた前金をそのまま製造メーカーにこちらも前金として送っておけば窯のサイズによっては材料購入の資金繰りがそれなりに助かる場合もあります。大きな窯であれば打ち合わせから設置まで半年以上になることが多いわけで、鋼材や耐火断熱レンガなどの支払いは先にくることになります。これはケースバイケースですが。

中古炉の場合は特に、先に代金を払うとトラブルの元です。
新規製作とは違い、すでに窯はそこにあるわけですから先にお金が必要なわけではありません。業者への支払いは間違いなく仕事を完遂してからでいいのです。なんなら初窯の後でもいいぐらいです。

そんなわけで今後も「窯のはなし」シリーズは続けていきます。



posted by inoueseiji at 07:26 | イノウエセイジの頭の中

2023年11月23日

勤労感謝の日はだいたい仕事?



久しぶりに「窯のはなし」シリーズの動画です。
結局はなにがしかのトラブルによる相談から発信につながることが多いようです。

相変わらずこうしたネタは全く視聴回数が伸びませんが、意味があることだと思っています。

たくさんの方が陶芸に関する動画や発信をされていることに感謝しかありません。
それによってわたしのような業者や築炉メーカーに仕事が来ているからです。

「〇〇さんの動画を観ていて、イノウエさんの動画を知りました」

「〇〇工房さんの動画で作り方を結構覚えましたので窯を買ってみようと思いました」

そうしたことを伺うたびに、逆にわたしの発信がそうした発信者のお役に立っているのかなと考えてしまいます。

せめてもう少し頻度高く発信していきたいと思います。

もしご要望などがございましたらいつでもご連絡ください。

posted by inoueseiji at 07:16 | イノウエセイジの頭の中

2023年11月20日

知らないことの怖さ

手伝いの◯屋さんを守りましたイノウエです。

窯などの重量物、搬入と搬出でいえば意外と搬出が難しかったりします。
しかも今回の事案は、搬出する外側が下り坂。さらに道具も間違っているし、足りないし、作業者全員に全く経験が無い。25年以上この業界にいるけれどこんな現場は初めて。

相談をいただいたお客様には、こちらから無償で立ち会いを申し出ておりました。
搬出作業については基本的に手を出さないつもりで。

それでも、ありとあらゆる道具は持参しておりました。
もう誰も事故を起こしてほしくはありませんから。

とはいえ。

結局は見るに見かねて、力持ちのイノウエと、もっと力持ちの友人Mのオッサン二人でパレットトラックの暴走を防ぐために駆け寄ってスクラム体勢。1トンちょっとでこのスロープなら三人でどうにか止まる可能性があるが、手伝いのオジサン一人だと完全に事故になるからだ。

その手伝いのオジサンがパレットトラックを上げすぎているので「レバー握って下げて!」と言ったら、

「え?どうするの?これ初めて使うわ」

とのこと。

オイオイ。

seiwa_hansyutu (1).png
(パレットトラックがあり得ないんだって)

結果は見ている人が悲鳴を上げる程度のヤバさで止まりました。
誰も怪我してません。

エントツベースも鴨居にぶつかる寸前で指摘して取り外させた。
とにかく見ていてヒヤヒヤした。友人Mはマジで怖かったみたいだ。

こんなことでは搬入はできていたとしても台車付の窯を「設置」できたはずもない。



無事に返品・返金されて良かった良かった?
ここで他の業者の誤りを指摘してルンルンか?




 全然だ。



あれからずっと私はドンヨリして過ごしている。
どうしてこんなことが起こるのか。

窯をなんだと思っているのか。

長い付き合いのMからは帰りの車中で「このお客さんは運がいい。ちゃんとセイちゃんに相談したんだから」と言った。

そうなのか?

窯の購入や業者さん選びに、運の良い悪いがあってもいいのだろうか。




また、搬入設置工事とは別のことだが。

アイボルトが一本だけ途中で折れているということから何が推理できるのか。
そしてなんで両側のステーが曲がっているのか。
扉レンガの傷。

この窯に過去どんなことが起きたのか。
窯の状態を見てなにもわからない人が販売している。

台車の車輪の固着や天井のキャスタブルのコケから、そうとう長い期間、屋外のようなところでブルーシートを掛けていたのだろうか。

そしてそれをそのまま設置するつもりだったのか。




イノウエは、また「窯のはなし」の動画を撮ることにします。

これまで窯の焚き方を伝えてきた。

選び方。

買い方。

窯の運搬や設置方法も伝えてもいいかもしれない。

安全第一。


皆様今日もご安全に。

posted by inoueseiji at 08:47 | イノウエセイジの頭の中

2023年11月16日

いろいろなKさんに謝らないと


絵具店のKさんと一緒にジョギングして自転車でお散歩する夢で目覚めましたイノウエです。
楽しかったけれど起きたときに感じた寂しさはなんとも切ないものがありました。
(トキちゃんのご飯食べそこねた)

また先日は織部の師匠のKさんから窯焚き中に質問のお電話をいただき、ちょっぴりお役に立ったみたいで嬉しかったのですが、今月開催されている個展にも行けず、完全にY沢の兄貴に持っていかれている感じがやるせない気持ちでいっぱいです。

義理のお父さんもイニシャルがKですが、いっしょに呑むのを楽しみにされているだろうし、わたしもしているけれど、どうにもならない状況に不義理をしている罪悪感を毎日チクチクと感じています。

取引先のK栄D気炉S作所さんにも行く行く言っておきながらもう霜月の後半です。
あとお世話になっている所はKじゃないところもたくさんあるわけで、気持ちだけは阿倍仲麻呂ぐらい瀬戸方面を思っているんですがねぇ。

Abeno_Nakamaro.jpg
(味噌煮込み食べたかぁ)

瀬戸に行く行く詐欺を働いて早半年、今年はちょっといろいろとあり過ぎて、しかも全部動画とかブログには出せないヤツばっかりで。でも意識を変えてみれば、誰も怪我していないし、改善されていますし、雨降って地固まる的なこともいくつもありましたし、それはそれでアリかもしれない、とも思うのですが、それはあくまでもこちらサイドの感想。

お客様側では迷惑を受けてしまったり、困ってしまった方もあったのは事実でもあり、多少なりとも自分が関わったり相談を受けたりしたわけですから、今後とも誠心誠意サポートをしていきたいと決意を新たにしております。

おそらく12月になれば、なんて考えますが、来月になればというセリフを7月ぐらいから言っていますから、信用しないほうが良いでしょう。


2tlr10.png
(これはイメージ画像)

この歳になればしみじみと思います。
仕事をする際には


 安全第一


それからやきもの屋ですから

 一 土
 二 窯
 三 細工

(地域によっては一窯二土になる)


そしてわたしは

 窯に嘘をつかないこと

を大切にしています。
posted by inoueseiji at 06:48 | イノウエセイジの頭の中

2023年11月10日

テレビに出ると大体ヤバい状況

今シーズンのすき焼きはまだですイノウエです。

nabe (12).jpg

今朝のNHK、萬古焼でペタライトが足りないというニュースがありました。
その報道で初めて知ったことですが、ジンバブエの鉱山でペタライトを採掘しているのは一か所だけで、すでに中国資本によって買収されているということです。ペタライトは葉長石(Li2O・ Al2O3・8SiO2)、リチウムを含んでいるので電気自動車のバッテリーに欠かせないんですって!


所有権のある中国側との交渉で提示されている価格は現在の7〜8倍。
もう土鍋は贅沢品になりますな。

山内陶料さん(ねんどやさん.com)をみてもずっと耐熱土はSOLD OUTの状態。

いまさらだけど、鉱山が一か所なら、なんで日本が買い取らなかったのか。工業的にも重要な原料、別に土鍋のために存在している鉱山じゃないんだから国が動かなかったのかということだね。

福岡県でも、むかし陸軍が採掘していた場所があるけれども、ジンバブエ一国ではなく他の産地も同時に使用していれば良かったのかもしれない。もちろんこれは素人考えで採算がいちばん合っていてのがジンバブエだったのだろう。パワーストーンじゃなくて原料として必要なんだから。

土鍋の製造側にしても、いざ入手困難となってから代替原料を模索したり、調合を変えたりしても、間に合うのか。
そもそもその予算はちゃんと確保できているのだろうか。やる気のあるどこかの一人だけとかになっていないか、国や県や試験場なんかはどこまでかかわっているのだろうか。

多分微妙なのかもしれない。



似たような話。


以前紹介した波佐見の道具店さんでも、御本人が引退宣言をしてようやく「それは困ります」と組合なんかが言ってくる。じゃあまだ一、二年は仕事するかとなったそうだが、困ればいいんだ、そうすれば自分たちでやれるようになる、というようなニュアンスのことを御本人はおっしゃっていた。この方が廃業すれば困ってしまうなんてこと、ちょっと考えればわかったんじゃないのかなぁ。有田だ波佐見だと張り合っているわりにはその道具店に頼り切っている人がわんさといるってことなんでしょ?





また、とある産地で原料を採掘している鉱山でも「もう採算が取れないので廃業したい」と経営者が言えば「この原料がなければこの産地はなりたたない」となる。「では申し訳ないが値上げさせてほしい」とお願いすれば「値上げはもっと困る」となる。

じゃあどうするのって話ですよ。

瀬戸だって藤井聡太とかにうつつを抜かしている場合じゃない。
なんにも瀬戸に金は落ちないだろうに(とばっちり受けてマス)

窯元や製陶所だけではない。原料関係や道具関連でも跡取りがない所はたくさんある。
まぁ跡取りがいればいいというものでもないけれど。


ここからは私見・私論。

これまでの経験から、感覚的に言えることは産地や産業がテレビに出ると大体手遅れの状況になっている。
極論でエビデンスないんで、まぁ少なくともやきものがらみは、ってことにしておこうか。

2000年頃はやたらと瀬戸が出てたよ。テレQ系のビジネス番組なんかにもよく出たよね。それから数年後は有田がよく出てた。最後の輝きなのか、ようやくプレスリリースを思いつくのか、微妙なランクの女優さんが旅番組で来たりしますが、だいたいテレビに出る頃にはもう手遅れになっているように感じる。

テレビに出てV字回復するのは個人の飲食店ぐらいでしょうか。それでも急に増えた客数を捌けないから結局悪評が出てやがて沈静化してしまうことが多いように感じます。みなさんはどう思われるかな。


10年後とか考えておかなければ、どんどん原料は枯渇したり入手できなくなったりする。
コロナになって外国製の絵具が手に入らないとか騒いだ人いましたよね。なんとかカオリンが手に入らないとか、〇〇長石が無いとか。そりゃネットで顔も見えないところで買ってる時点でそういう覚悟しておかないとさ。いいと思ったらガッツリ量も確保しとこうよ。どうせ天然原料だから掘る場所で変わっていくんだし。製造メーカーが突然廃業したり倒産したりすることもある。

原料がないなんて作家サイドに関してはけっこうみっともない話だとわたしは思うけれどな。

以前炭バリが手に入らないでワチャワチャしたけど、あれは毒劇物取扱を持っていないところがモグリで販売していたのをソっとやめただけだったみたいじゃない?けれど今回のペタライトは鉱山を押さえられてしまったんだからもうどうしようもない気がする。その用途も今をときめく電気自動車のバッテリーですがな。土鍋?知るかい!と言われるんじゃないかな。



これは本当に厳しいと思う。


これからこういうことがちょくちょくあるでしょう。というかこれまでもあっただろう。
だから原料や絵具、これだと思ったらある程度の量を確保しておきたい。
いらなくなったらあげたり売ったりできるだろうし。

ゼーゲルコーンの例もある。いつでも手に入るけれど価格が倍になるものも出てくるでしょう。
電気炉や土練機もどんどん値上がりしている。

イノウエの日当はいまのところ上がっていないがどうなるかわかりません。
下がったりして笑。

posted by inoueseiji at 08:18 | イノウエセイジの頭の中

2023年11月07日

Everything's Gonna Be All right【まぁ〜だ、どげんでんなりますばい】

自分のこれまでを振り返ると全ての出来事はそれなりに必然性があったように思えます。

だから逆境にある人やいま苦しいところにいるお客さんに、自分の実体験を通じて明るい未来が待っていまずぜ、と励ますことが出来る。

だが、よくネガティブな発言、発信を怒られる。
日生学園OBと電通の方に言われるので間違いない。

そういう性格なんだと思う。気をつけているけれど暗い面を見がちなのかもしれない。
これまでの人生経験も影響しているのかもしれない。とても人に言えないようなことがいろいろとあったし。

それでも自分の人生と、自分がかかわるこの業界については、明るい未来を信じている。
きっと良くなるんですよ。


とはいえこれまで、なんでそんな窯を買ってしまったんだ、どうしてこんな工事をしているんだ、といろいろな場所で嘆いてきた。えげつない現場も知っています。

きっとそういう嘆きにもなにかの意味や良い面があるのだと思う。

どっかのアホなオジサンはじゃあ発信しようと考えるようになって、山のようにテキストを書いた。メルマガは380本ぐらい書いたが誰も読まなかったに近い。だがこのときの言語化が動画発信につながったし、それに影響をされた絵具店の店長も発信しちゃったりしたのかもしれない。それによってこの業界でお客様になる人たちは、窯や原料や業者への意識が変わっていっただろうし、自分のモノづくりへの意識を変えた人もいるだろう。

何よりもそれによって出会えた方々が我々にはたくさんできた。残念ながらビジネスとしてはつながることはなかった作家さんたちも多いが、そういう作家さんから何人ものお客様を紹介してもらった。人知れずわたしを推してくださった方もいる。

自分のまわりだけは5ミリぐらい良い方向に動いたかもしれない。
あとはみんなで業界を5ミリぐらい動かすのみです。回りはじめればあとは早いはずだ。

そしてまた、大きなものから小さなものまで、お客様の窯と設備に起きたトラブルは、結果としてわたしやかかわる業者とお客様自身を成長させてくれたとも思う。熱電対や温度計のこと、電気工事のこと、雨漏りのことや、使われている部材のことなどを、わたしが深く知るようになったきっかけはすべて何某かのトラブルだったと記憶している。

いま陶芸窯の取扱業者になりたいという方がいれば、それは業界にとって大きなプラスであり、喜ばしいことだと思う。情報を発信してきた甲斐があるってものだろう。

ただ、決して安全を犠牲にしてはいけないし、何よりもお客様を不安にさせてはいけない。
それを防ぐには自分がお金を出す立場だったら、というシンプルな考え方をするだけでいいと思う。

経営者に必要なのは愛と勇気と想像力でしょうぜ。



うっとおしいアホなオジサンから面倒くさいメールがきたことが、いつか御社の明るい未来につながったらいいと思う。







posted by inoueseiji at 07:11 | イノウエセイジの頭の中

2023年11月06日

誰にでも初めてはありますが【窯の設置工事】

ざ〜っす。

え〜またいつものノリの記事です。
特定の一人に向けたアレなヤツ。
月曜日の朝から読まないほうがいいヤツね。

はい〜。

fe83af00.png
(雨ん日と月曜はいっつもガックリくるっちゃん)

この2ヶ月半の間に、地元のある業者のお客様二人からウチに相談の電話がありました。
どちらの方も、わたしにセカンドオピニオンをいただきたいということでしたが料金はいただいておりません。
同一事業所の顧客から、こんな頻度で複数の相談を受けたのは初めてで、これは異常です。

一件は製造メーカーへ直接依頼するようにお伝えし、一件はわたしのお客様の近くの方だったので現場も拝見しました。
どちらもちょっと詳細は書けませんが、明らかに経験の無い方の中途半端な作業。詳細はアレですが設置はアレがアレした風でした。

吸った揉んだじゃなくてスッタモンダがあって、その後メールでその業者さんと連絡は取れましたが、昨年に事業継承したばかりなのはいいとしても、陶磁器業界にいたわけでも、ましてや築炉の現場などは知らない方だということが判明。定年後にこの陶芸材料の仕事をされることにしたようです。

とはいえ、わたしは別にそれが問題だとは思いません。
そういう意地悪を言いたいわけではありません。
問題は取り組み方なのではないかと思います。


わたしにだって初めてはありました。今でもあります。でも窯はなぁ。
問題はその方がなぜか「初めてだけど、台車とエントツのある窯の設置工事ぐらい出来るだろう」と思っていたこと、もしくは思い込もうとしたこと、です。



無理です。



わたしが窯の設置工事で「1トン?軽いねぇ。」とか「こんなの段差のうちに入らへんもんで」とか瀬戸弁で言えるようになるには、やっぱり二、三年はかかりました。そしてその間は一番ペーペーのパープー社員として出来る人たちのサポートをしながら見て盗んできたわけですし、独立後は自分が責任者として安全には留意してきました。


その業者さんは最後のメールに「誰にでも初めてがありますから」と送ってきましたが、その初めてをお客様の窯と現場でやっちゃダメじゃない?それによってトヨタカローラのお客様が二人も、意を決してスズキ自販に電話する状況になったわけです。

「はい〜DRとRMXのスズキ自販二輪オフロード部門ですが〜」

「スイマセン!そちらで中古のトヨタ車は修理できますか?(泣)」

1_l.jpg
(なんでも出来るのがデュアルパーパスモデル:乗ってたなぁ)

そもそもお客様が業者の経歴を聞くことはありません。
こんな特殊な業界ですから看板上げていればプロだと思うものです。
ふつうの人間が弁護士の良し悪しを選べないように、陶芸窯の取扱業者の良し悪しなんて選べないんです。
※ だからこのオジサンはグダグダと発信しているんですね。

まぁ未経験ならば現場は経験値を上げる場所には違いないでしょう。
けれども、自分が作業責任者なのに未経験というのは危険すぎます。経験が無いのであれば取引先のメーカーの設置工事に手伝いとして何度か関わって作業するとか、最初の数回は工事に立ち会ってもらうとか、窯の設置工事はどういう段取りでどんな作業を行うのかを、そのゴールと正解を知ってから取り組んでいただきたいと思います。



搬出作業はどうかご安全に。ヘルメットも被りましょう。
そして経験のある人と一緒に作業することを強くお勧めします。





経験がないということはちょっと羨ましいけどね。

posted by inoueseiji at 08:43 | イノウエセイジの頭の中

あなたのクリックでオジサン泣いちゃいます→ にほんブログ村 美術ブログ 陶芸へ