2015年05月18日

ふくおか陶芸窯HP再リニューアル


こんにちは。

反応が芳しくなかった前HPをリニューアルしました。
写真ばかりではなく、文字を主体のHPに戻し、無料資料の提供をはじめることにしました。

窯というのはとても大切な買い物です。
窯があっての陶芸と言っても過言ではありませんからね。

わたしは九州を中心に、どちらかというと初めて窯を買う方を対象にHPを作成しています。
プロ・アマ問わず、本当にいい窯を提供していきたいと思います。

ご感想、ご意見などいただければ幸いです。

ふくおか陶芸窯 ホームページ



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2015年04月07日

電気炉ヒーター線交換


ふくおか陶芸窯です。

電気炉ヒーター線の交換には、ウェーブ式の全メーカー対応しています。

出向いて採寸し、その通りに加工してわたしが施工いたします。

一般的な電気炉のヒーター線の寿命は焼成150〜200回程度。
線が暴れたり、曲がったりしてきたら交換です。

また断線してもその部分を無理に補修せずに、その系統のみの交換をおすすめします。

見積は無料にて行っておりますので、ご連絡ください。

mail@inoueseiji.com

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写真は共栄電気炉さんでの交換の様子
posted by inoueseiji at 12:07 | Comment(0) | TrackBack(0) | 窯と焼成に関すること

2015年01月10日

新古のガス窯があります。0.15m3です。

福岡市に新古の陶芸用ガス窯があります。

本体価格70万円です。

税金・設置費は別途必要です。

見積りは無料でいたしますので、お気軽に連絡してくださいね。

焼成回数は素焼き・本焼き合わせて4回だけです。

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棚板サイズは450×400で8枚付属します。温度計も付きます。



mail@inoueseiji.comまで

posted by inoueseiji at 14:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | 窯と焼成に関すること

2014年09月15日

窯のお手入れ


よく勘違いされることですが、陶芸窯の表面の塗装は耐熱ではありません。

通常使用される、鉄部用のシルバー塗料です。ホームセンターに売っています。

もし窯に錆びが出てきたら、ワイヤーブラシでできるだけ錆をおとし、そのあとにシルバーでペイントしておけばオッケーです。

窯を設置している場所によっては錆取りをこまめにしたほうがよいでしょう。見た目がきれいになるとやる気も出ますよね。





posted by inoueseiji at 12:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | 窯と焼成に関すること

2011年10月31日

電気炉のヒーター線


●ウェーブとコイル


ヒーター線の加工で、ウェーブ式とコイル式があります。

ウェーブ式は波型のヒーター線を同素材のピンでレンガに打ち付けていきます。
加工に手間暇がかかっています。

コイル式はレンガや断熱材に溝を作り、そこにコイルを入れておく方式です。
レンガなどのカベに加工がひつようですが、コイルの製作はウェーブよりも楽ですし、張替えの手間も少なくて済みます。


どっちがいいのか。

断言しますが、ウェーブです。

加工が楽ということは、作り手側の都合です。
結果、安かろう悪かろうという窯が増えているのです。

多角形の窯は間違いなくコイルでしょ?

直角に曲げにくいからでしょうかね。

コイルは焼成を繰り返せば必ず縮みます。すると温度ムラができてしまします。
ウェーブ式は、温度ムラがほとんどできません。

見た目はコイル式がいいかもしれませんが、欠点が多いのです。

また大型炉でコイル式の窯は、溝加工したレンガがせり出してきます。レンガを組んで、コイルのヒーター線をつければ電気炉になると勘違いしているメーカーが時々います。



posted by inoueseiji at 10:26 | Comment(0) | TrackBack(0) | 窯と焼成に関すること

2011年02月23日

野焼きをしましたよ


話は前後しますが、今月の1日に地元の小学校で野焼きをしましたよ。

そのときのことはメルマガに詳しくかいていますが、写真をアップしておきます。

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穴も掘らない、一番原始的な方法でやりました。


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でも大成功! 
焚き火4つで、150個が焼けました。
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2010年11月06日

登り窯のお手伝いにいく


今日は佐賀県の方に登り窯のお手伝いにいってきます。
わたしはいつも、みなさんの疲れが徐々にでてきた深夜に登場するようにしています。

毎年、先生や先輩などの窯焚きに参加させていただいていますが、やっぱり自分はあの雰囲気が大好きですね。薪の臭いや煤臭さ、途中のバーベキューやビール、さまざまな業界話。

それではまたこのことはご報告しますね。
posted by inoueseiji at 18:22 | Comment(0) | TrackBack(0) | 窯と焼成に関すること

2010年08月30日

電気炉の制御


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電気炉が最近は主流になりつつあるようです。
ガス炉屋出身のわたしとしてはちょっと寂しいです。

たしかに100Vの家庭用電源で焼成できるというのは魅力的。
単相200Vでも小さなものであれば、自宅の電気配線で接続できるでしょう。

その電気炉で採用されるのがコンピューター制御です。

自分もこのごろ、友人に聞いたり本を読んだりして勉強していますが、なかなか素人には難しいです。

PID制御というものが採用されていますが、微分積分の世界なのです。

来た。微分積分。

はい美術専攻、数学2のわたし。

どうしましょうかね。

まあ、がんばりましたよ。お勉強。

それではいってみましょう!PID制御って何だ!!


PIDのPは(比例制御),Iは(積分制御),Dは(微分制御)の略なのでした。

まあ、多分曲線の温度グラフを、時間ごとにこまかい直線グラフに直して、その直線部分の角度と長さをどうこうしよう、というお話のようです。

Pの比例制御というのは、今の温度から、本来到達しているべき温度との差からその偏差の大きさを埋めるために電気の出力を上げて温度を上げていこうとする操作をを行います。

Dの微分制御の部分は、このままでは目的の温度をオーバーしてしまうぞ!というときに出力をオフにするの働きをします。微分というのはその一瞬の温度をとらえた言い方のようですね。

で、Iの積分制御ですが、その温度の数値をキープするときに微調整する働きをするようです。

わたしが読んだ一番簡単な本では、車の運転に例えてありました。
微分はそのときのスピード、積分はそれを維持した場合のスピードということです。

車のメーターは積分メーターという説明に納得しました。

また、60キロで走行しよう、と思っていても上り坂になればアクセルの踏み込みを増やして出力を上げますよね。それがまさにPID制御なのです。


そんなこと知らなくても窯は焚けます。

だけどどうしても電気炉は制御が簡単すぎてありがたみが薄れすぎ。
いろいろな制御グラフをご自身で考えて、さまざまな焼成を試みられたら面白いのではないでしょうか。

わたしは自分の上絵実験用のニクロム線テスト炉を将来的には制御できるようになってみたいですね。

答えのはっきりしない世界にいる分、このごろこういう理系なお話がきになります。



今丁度4.5kwの窯、いくつか出ています。
http://fukuokatougei.web.fc2.com/019.html












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2010年03月08日

補償導線のこと



これまでの熱電対トラブルのお話、原因は補償導線でした。

窯の温度計には、それ専用の線が必要で、それがかなり特殊なものである、と知らない方も結構いらっしゃったようです。

そもそも、どうして温度が測れるのか手元のカタログの受け売りの部分もありますが、簡単に説明してみます。

いつも言っていますが、わたしはバリバリの文系・美術系ですので、理系の方はやさしい目で見守ってくださいね。

理科でならったと思うのですが、金属中には電子がいます。(らしい)

それら自由電子は温度に応じて動き方が変わるわけです。温度が高くなれば運動は激しくなっていくわけです。

で、その動き方は金属の種類によってちがいます。熱電対の保護管の中には、2種類の金属線(プラチナとプラチナ+ロジウム)が入っていて、温度を計測する先端で溶接し、くっつけてあります。

その反対側は温度計の中で回路としてつながっているので、くるっと一周した電気回路なのです。(デジタル温度計のコンセントは電光表示のための電源取りがメインで、温度測定のためではない。アナログ温度計が電源を必要としないのはそのため)

この2本が同じ金属ならば、自由電子は移動しません。ところが異種金属だと自由電子は、他方の金属へ移動するそうです。

そんなこと知るかい、と思っていましたが、1821年にドイツのゼーベックという人が発見したため、「ゼーベック効果」と名づけられています。


ま、美術系のわたしが自由電子の気持ちを説明すれば、

 「なんだ、あっちもプラチナか・・・。」

というのと、

 「おい、ロジウム混じりなんて見たことないよ!行ってみようや!」

という違いでしょう。(ゼーベックさん、ゴメン)


じゃあ、補償導線とはなにか。

熱電対の中のプラチナを、何メートルも伸ばすことができるのならば必要ありません。おそらく。

しかし、金銭的にも工業的にもそれはあまりにも無駄なので、それらの金属のゼーベック効果による起電力とほぼ同じ程度の起電力を「補償」するリード線、つまり「導線」なのです。

陶芸のR型熱電対の測定範囲は600〜1600℃ですから、その温度帯に適合した補償導線を必要とします。

前回のメルマガを書いたあと、おもしろい実験をしてみました。

わたしの手元にある温度計2つと、あずかりもの1つをそれぞれ比較することにしました。熱電対は2本、補償導線は新旧、型ちがい合わせて3本です。

やってみて実感したのは、600℃以下の数値が温度計3つともバラバラ。
R型というのは600〜1600℃というのを実感しました。
(実際には1400℃までぐらいが適正使用範囲らしいです)

線をつなぎ変えたり、熱電対と温度計の組み合わせを変えたりしてみましたが、温度計を付け替えた時の誤差が一番大きかったようです。

つまり、線や熱電対を交換するよりも、温度計を交換すると表示される温度が一番変化しました。ですから、やっぱり人の言う温度はあてにできませんね。

アナログ温度計とデジタル温度計の誤差は、最大で(あくまでわたしの実験上)70℃ぐらいです。

これは、1180℃でわたしの窯でゼーゲルコーンの8番が倒れる、というのに合致しています。偶然だとは思いますが、今現在アナログ温度計が生産されていない以上、端子の酸化や劣化などで、ほとんどの人のアナログ温度計は低く表示されているでしょうね。

データはあくまで、その窯、その人、その温度計だと割り切るべきです。


さて、補償導線ですが、わたしがもっている資料では、R型の補償導線だけでも10種類以上あります。ちゃんとしたところから買いましょうね。

当然、補償導線は陶芸のためだけのものではありません。発電所やボイラー、をはじめ、さまざまな業界で使われています。温度管理に関わる重要なものとして、規格なども決められているようです。

わたしたちが知っている黒い補償導線、あの色もJISで決められている色なのです。国によっては同じR型対応でも色が違ったりするようです。海外に陶芸関連のお仕事で行かれる方はお調べ下さい。

わたしも、あいつのことをただの耐熱線だと思っていた時期もありました。
(悪かったな、補っしゃん。)

温度一つ計測するだけでも、これだけたくさんの技術と人と歴史があるのです。正直子供のように感動してしまいました。

いろいろな方や仕事との出会いでたくさん勉強させてもらっています。

ありがとうございます。



※ 熱電対・温度計関係、新品・修理をお考えの方メール下さい。

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2010年02月06日

熱電対と温度計 その2


熱電対のお話、ようやく答えが見つかりました。

今回のお話、中古の熱電対を手に入れたけれど、それが狂っているのではないか、と困っている人がいたら、是非教えてあげてください。

前々回のメルマガでは、ある方が購入した中古の窯の、移動修理後の初窯に立ち会ったところ、温度計が大きく狂っていることに気付きゼーゲルコーンを頼りに悪戦苦闘したことを紹介いたしました。

中古とはいえ、温度計も熱電対もわたしの窯のものよりも新しく、補償導線もまだまだきれいなものです。端子も特に酸化しているというわけではありませんでした。それに、通電が悪くなってくると、低いほうに温度表示は狂います。

答えはすぐに見つかるかと思って調べはじめましたが、恥ずかしながら3週間近くもかかってしまいました。

自分ではなかなか満点に近い答えを見つけることはできませんでしたが、福岡のMさんから、同じ目にあったことがある、たしか熱電対のタイプの違いだったはずだ、というメールをいただきそれをきっかけに道がひらけました。

わたしは陶芸家として制作活動をしつつも、こうしてメルマガを書いたり、窯の仕事を請けたりしています。そのつながりで1,2年前に知ったある企業を思い出し、電話で問い合わせることにしました。

商売へのつながりが薄いのにこういう電話は気が引けるのですが、もし故障だったりすればお願いしますので、ということでかなり詳しく教えていただくことができました。

サラリーマン経験のあるわたしの秘密作戦として、11時43分ごろにかけるという高等テクニックを駆使し、相手に12時まで話しちゃおうという気にさせたのは言うまでもありません。


◆ここからが大事なところ


おそらく、わたしが知る限り、もっとも多く熱電対を取り扱ってきたのであろうとおもわれる方が電話口に出てくれました。

実は熱電対にはたくさんの種類があります。
K・J・T・E・N・R・S・Bなどです。

この中で、陶芸の世界でわたしたちが目にするものはほとんどR型です。
ただし、ごくまれにK型が使われます。

今回はこのRとKについて説明します。

熱電対は、保護管(白い筒の部分)のなかに、0.3ミリ2本か0.5ミリ2本のどちらかの太さの金属線が、細い保護管に包まれて入っています。

さきほどのアルファベットの型番が違えば、保護管にはいっている金属が違うのです。

さらに2本の金属線はプラスとマイナスで種類が違い、R型の場合、プラス側が白金ロジウム、マイナス側が白金で、先端は溶接してつないであります。

高温の中で異なる材料の2本の金属を接続して1つの回路(熱電対)をつくり、ふたつの接点(窯の中と外の温度計)に温度差を与えると、回路に微弱な電圧が発生します(ゼーベック効果という)。

この起電力は、金属によって違います。つまり、温度計の種類が変わると変化するわけです。


ですから温度計が熱電対に対応していない場合、正確な数値が出ません。
そして、R型とK型は見た目はまったく同じです。

K型はニッケルを中心とした、クロメル(+)とアルメル(−)で、

    1000℃までしか測れません。



ではなぜ、それが陶芸の世界にあるのでしょうか。中古品の熱電対として流通してしまうのでしょうか。

それは、工場の素焼炉用なのです。

素焼はご存知のように、高いところでも900℃ちょっと。K型で充分です。

中身を入れ替えるだけで、さまざまな型に対応できるからでしょうか、保護管や端子のネジなどには何型と書いてあることはあまりないようです。

ではRとKの見分け方はないのか。

お聞きしたところ、保護管をはずして、中の線を確かめるしかないようです。
また、もし線が切れたりした場合、リサイクル可能です。というか、白金の相場で買い取ってくれるらしです。

知らないでそのまま不燃物で捨ててしまう人が多いのだとか。
・・・もったいないことを。

熱電対が数万円するのは、ほとんどこの白金の価格ということになるでしょう。
これから中古や業者を見極めるには、このR型K型のお話を思い出していただき、きちんと答えられない物は買わないことです。

また、熱電対を売るならば、やはりこれぐらいは頭に入れてほしいものですね。


いやそれにしてもどんな世界にもプロフェッショナルというのはいます。
各種熱電対を取り扱っているプロというのもいるのです。

ここに書いてはかえって誤解を招くため控えているような、深く詳細な話をたくさん聞かせていただきました。

G社のSさん、本当にありがとうございました。ふとしたきっかけで始まった小さなつながりでしたが、今回とても助けていただきました。

新品・修理をお考えの方メール下さい。

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2010年02月01日

熱電対と温度計 1


昨年末、ガス炉本焼きの焼成立ち会いに伺いました。

中古ガス炉の煙突工事を頼まれたところで、一度目の本焼きでどうも釉薬の溶けが悪かったため、2度目の本焼きではゼーゲルコーンを入れ、わたしも窯が1000℃を超えたあたりから立ち会うことにしました。

特に仕事という意識はなく、その方や、茶道をされている友人の方のお話などを伺い、楽しくすごしていました。(今度は是非呑みましょう!)

ところが気のせいか、温度計の数字と色見から見える窯の中の光がずれているような気がしたのです。しかし、自分の窯場ではないし、周囲の明るさの加減かもしれないな、と気にもとめずにいました。

しかし、温度計が1150℃を超えてもゼーゲルコーンの角もたったまま全く反応がおきているような感じもしません。1200℃を超えましたが8番のゼーゲルコーンはまったくピクリともしません。普通、十分に時間をかけて昇温した場合、ゼーゲルコーンの指示温度よりも早く軟化し、すこしづつ倒れはじめます。

以前にも書きましたが、わたしの窯でわたしが焚いた場合、SK8は1180〜90℃で完全に倒れます。これは還元焼成の場合で、酸化焼成ならば、倒れる温度は多少上がります。

年末の焼成立ち会いでは、もうこの時点で12時間以上の時間がかかっていましたので、そろそろゼーゲルコーンが反応しはじめてもいいころです。しかし、まったく反応していません。

たまたま不良品のゼーゲルコーンだった、ということはありません。ゼーゲルコーンはJIS規格品であり、JISの認証というものはそんなに簡単に取れるものではないからです。

温度計と熱電対、二人のアマチュア作陶家と一人のプロ、そしてゼーゲルコーン。この中で一番当てになるのは、当然ゼーゲルコーンです。

温度計の数値が1200℃に近づき、超えた時点ではっきりと炉内温度と温度計の表示温度にずれがあるという確信を得ましたので、ゼーゲルコーンを倒すことを目標に窯を焚き続けました。

とうとう、温度計は1300℃を超えてしまいました。しかし、1300℃近い高温でみられる、炉内からの強烈な発光はありません。まだまだ黄色とオレンジの中間のような感じでしかないのです。

どうも100℃以上のずれがあるようです。

最終的に火を止めたのは、1370℃でした(笑)。すごい。



熱電対には保護管の中に白金と白金ロジウムという聞きなれない金属が入っています。これらの金属は高温に熱されると、二つの極の間に微量な電圧を発します。これをゼーベック効果といい、この微弱な電圧を利用して温度を知るのです。

つまり、温度計が二つの電極からの電圧を読み取り、それを温度へ表示しなおしているのです。そのため温度計というのは、ほとんど電圧計と同じだといえます(ミリボルトメーター)。

これは余談ですが、保護管先端の金属で発生した電気で針を動かすわけですから、アナログの温度計には電源は必要ありません。デジタルの温度計は数値をデジタル表示するために電源が必要ですが。

今回の温度計の数値の狂いはどこからくるものでしょうか。
考えられるのは、熱電対自体がなんらかの不具合をおこしている、といのが一つ。それから、どちらにも不具合はおきていないが、温度計側の電流値のオフセットが合っていない、という可能性が一つ。

どうもそのあたりのような気がします。

いろいろと調べましたし、信頼のおける人にも聞いてみましたが、このような事例に遭遇した人はなくて、はっきりとした解決にはいたりませんでした。

電圧値をテスターで測定して、数値を割り出したりするのをみたことがあるよ、という知人がいましたが、わたしのほうでそれ以上は調べられませんでした。

次の焼成で、動作が確実な温度計と熱電対を持ち込み、交互に差し替えてみながら誤差を把握してみようと思っています。

それにしても、ゼーゲルコーンや色見を入れる重要性を改めて感じました。いくら経験豊富でも炎と炉内の色だけで窯を焚くのは無理でしょう。ゼーゲルコーンがないならば、せめて色見を入れるべきです。

今回、あらためて温度計で窯を焚く危うさを感じました。わたしの手元にある温度計と熱電対の2セットは、それぞれ差し替えて同じ数値を指し示すことを確認していますが、それでも熱電対と温度計が必ず正確かというと、正直わかりません。両方とも同じようにあっていない可能性もあるからです。

保護管の中の配線が悪くなっているなど、物理的な故障の際の修理についてもこれからさらに調べてみようと思っています。

この件に関して何か情報をお持ちの方は是非お知らせ下さい。

あなたの熱電対と温度計は大丈夫ですか?








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2010年01月31日

ガス炉で酸化焼成


先日、ガス炉で酸化焼成がうまくいかない、という相談がありました。

その詳しい内容は割愛させてもらいますが、ガス炉で酸化焼成をされている方は、いったいどれぐらいの割合でいらっしゃるのでしょうか。

瀬戸の一部のことしかわたしは知りませんが、普通に織部や黄瀬戸などをガス窯で焚いている産地ですので、とくにこんな疑問を抱くことはありませんでした。

しかし、これまで九州内や、メールでのいくつかの質問や問い合わせを見る限り、他の産地や、作陶をされる方の中には、酸化焼成は電気炉で、還元焼成はガス炉か薪窯で、という考え方をしている方がけっこういらっしゃるようです。

もちろん、それぞれの窯の得意分野を利用するのは、重要なことです。しかし、だからといって、様々な燃料の窯を複数持つというのは、現実には難しいことでしょう。

だとすれば、必然的にひとつの窯で様々な燃焼方法を駆使しなければなりません。

あらためて今回のお話ですが、どうもガス炉で酸化焼成をしている方は少ないようです。というよりも還元焼成をするためにガス炉を導入している、というところが多いのでしょう。

わたしもかつての受講生から、先生の窯で還元で焼いてほしい、というようなことをいわれたことが何度かあって、還元焼成がなにか特別な焼成方法のようにとらわれていることに少し戸惑ったことがあります。

わたし個人、その気持ちはとてもよく理解できますが、同時に危険だとも思っています。

なぜなら、その考えを突き詰めていけば、電気よりもガス、ガスよりも薪のほうがよい、という思想に行き着くような気がするからです。

数百年か数千年かはわかりませんが、その長い歴史の薪の窯と、1950年代に普及してきたガス炉や電気炉とでは、開発史や焼成技法、また一般への認知度があまりに違いすぎますし、そもそも比べることではないとわたしは考えています。

電気炉やガス炉など、今の機材を使って優れた作品を生み出している作家は人間国宝をふくめ、たくさんいますし(個人的にはそのほうが多いと思います)、これから世に出てくる作家はそれを意識していく必然があると思っています。

過去何回も繰り返して書いていますが、わたしは薪窯は大好きです。最低年に1,2回は焚き手として窯を焚きますし、自分でもはやく薪窯を作りたいと思っています。

ただ、それとこれとは別で、わたし個人としては、自分が努力しなかった言い訳を窯や燃料のせいにはしたくないと思っています。

釉薬の調合、焼成スケジュールの設定など、一人の作家の一生をかけてでさえ、一つの窯の焼成を極めることは不可能かもしれません。

最近、自分のことを棚にあげるのが得意になってきましたが、なぜその操作をするのか、今窯の中がどうなっているのか、はっきりと言葉に落とせていますか。薪窯だからこの粘土でつくる、と決め付ける前に、手に入れられるだけの土を窯に入れてみたのでしょうか。(自分もこれはやってないな・・・)

窯のこと、焼成のことで様々な相談を受けるたびに、このご時世に陶芸窯を売る人は、焚けなければ商売にならない、と感じています。

はっきり言えば、焚けない人は売るなと言いたい。
どれだけ多くの人が、そういう人たちに迷惑をこうむってきたことか。

それから、これは声を大にしていいたいことですが、自分がやったことがないこと、自分ができないことを安易に人にアドバイスするのはやめてほしいと思います。

特に窯焚きのことでは、そのアドバイス一つで、その人の一窯がダメになるおそれがあるわけです。大きな窯では2ヶ月近い時間がかかることがあります。それを安易な一言でダメにしてはいけませんし、焚くほうもそれを鵜呑みにしてはいけません。(鵜呑み経験者 談)

また、わたし個人は、ガス炉の酸化焼成について、正しいと思われる記述を雑誌や本で見たことはほとんどありません。ダンパー全開で、ドラフトのレンガを閉じていれば酸化になる、などというのは、はっきり言って大嘘です。

わたしは車の免許のない人から車は買いませんし、乗れないひとから競技用の自転車も買いません。

きっとみなさんもそうではないですか?



ガス炉での酸化焼成は、右のカテゴリ、「窯と焼成にかんすること」を参考にしてみてください。









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2009年11月13日

窯の温度を知るには


先週の素焼きの話について、メールをいただきました。ありがとうございます。

その方が読んだ本で、電気炉での素焼きの温度の設定がいろいろと書いてあったそうです。例えば、何度で何時間キープなど、と説明があるそうです。

メールにあった温度の設定は初めて伺ったものだったので、興味深いものがありました。素焼きというのは、案外と奥の深いものではないかとわたしも考えます。

さて、窯の温度のはなしですが、例えば温度計がその温度を示していても、実際の炉中の作品は、昇温中なら指示温度よりも低いはずで、冷却中ならば高いはずです。

ですから、窯を焚く時には、温度計の数値と作品との温度差が少なくなるように、なるべくゆっくりと温度を上げたほうがいいわけです。

たとえば温度計が600℃であっても、実際の炉内の作品の温度は、もっと低いわけですから。

みなさんも、素焼きの窯出しで、お皿などの重なった部分に煤が残っていたり、色がグレーだったりしたのを見たことがありませんか?

煤が残っていたり、グレーだったりした部分というのは、焚いた時の温度計が何度であれ、その部分の温度が、かなり低かったということです。たしか、煤が燃えきるには600℃近くにならなければならないはずですので、そこはそれ以下だったのでしょうか。

素焼きの場合特に、窯の詰め方や、作品の重なり具合などで、かなり温度差ができるようです。

もちろん、一つの作品においてもその温度差は生じますので、素焼きといえども、十分に気を配って焚かなければならないのでしょう。いくら温度計の針だけを動かしても、同じタイミングで作品自体の温度が上がるわけではないのです。

ところが、人間やっかいなもので、針やデジタルで、「今この温度ですよ」と示されると、「そうか、今この温度なのね」と無意識に思ってしまうものなんです。(少なくともわたしは)

繰り返しになりますが、実際には大なり小なり作品と温度計の指示温度には誤差があります。もっと言えば、作品の表面と芯の部分でも温度差があるのです。

ある温度においておこる化学反応は決まっています。あとは、十分その反応させるための時間、ということになるのではないでしょうか。還元焼成に入る前に、900℃付近でねらしに入り、炉内の温度を均一にするように操作する、とはよく本などにも書かれています。

物を焼くのは、どれだけの熱をかけたのかが重要ですから、早く昇温させるよりも、ゆっくり昇温させたほうがいいに決まっています。

それを知る目安として、温度計と熱電対があるわけです。

さらに重要なのは、それ以外のものでも、温度を知る努力をすることでしょう。たとえば、ゼーゲルコーン、色見、自分の眼や手などです。

ゼーゲルコーンは、炉内に一緒に入れて焼き、それが解けて軟化した温度をその指示温度で管理するものです。ノリタケチップなど、ほかにも似たようなものがあります。

ゼーゲルコーンを使用するときの重要な考え方は、窯の温度(温度計が示した温度)が何度であっても、SK8のゼーゲルコーンが軟化してきれいに曲がったら、1250℃である、とすることです。

ゼーゲルコーンは熱量を測るもので、温度を測るものではありません。温度計との誤差で、ゼーゲルコーンはあてにならない、とか、自分の温度計は狂っているのでしょうか、などと不安になる人などがたまにいらっしゃいますが、それは捉え方が間違っていると思います。

わたしのガス窯で、わたしが還元焼成をした場合、SK8のゼーゲルコーンが倒れるのは1180℃前後です。そして、生涯学習センターの電気炉酸化焼成では、1240℃、わたしの100Vの小型電気炉では、確か1225℃前後です。

それぞれの窯で、同じカロリーがかかる焼成条件に違いがある、ということです。たとえれば、家のアルミの手付き小鍋と、専門店の大鍋で同じカレーを煮込んでいるということです。

もし仮に、誰かが、初めてわたしの窯で焚いたとして、このことを知らなければ、まちがいなく必要以上に温度を上げてしまうことになるでしょう。

まだまだ1180℃だと思っていても、実際には1250℃、SK8相当のカロリーがすでに作品には加えられているのです。

以前にも書きましたが、瀬戸の貸し窯で、棚板に釉薬を流した学生のほとんどは、流れやすい織部などの釉薬を掛けた作品を、根拠もなく教科書どおりの温度で焼成し、しかもゼーゲルコーンも色見も入れていない人ばかりでした。(もちろんわたしにもそんな経験はありますよ。)

先ほどの例をあげるまでもなく、この釉薬は1230℃ですよ、といった場合、ほとんどの場合は、SK7(ゼーゲルコーン7番:1230℃)という意味です。自分の窯で何度なのかはまったくわかりません。

その釉薬を、100Vの電気炉で焚くのか、ガス炉で還元するのか、薪窯で1週間焚くのかで温度計が示す温度は変わってきます。それでも色見もゼーゲルコーンも入れないで焼成するならば、数回の窯焚きをデータとするしかありません。それではあまりに労力がかかりすぎます。

ゼーゲルコーンは、1本が200円以上するかと思いますが、初めて焚く窯や、初めての焼成方法を試みる場合は、入れるべきではないでしょうか。

陶芸の仕事では、眼で見えるかたちで一つの基準をつくること、が、とても重要だとわたしは考えます。

ゼーゲルコーンなどあてにはならない、目で見ておぼえなくては、という方は温度計も使わないほうがカッコイイということもおぼえておいて下さいね(笑)。

一度ゼーゲルコーンの完倒温度が判れば、次からは使用せず、色見と温度計に頼ればいいわけです。

わたしも、はじめのころは窯焚きのたびに色見を何個も入れていました。

自作の色見は、作品と同じ土と釉薬ですから、一番の判断基準になります。もっとも取り出して急冷してしまいますが、どの程度とけたのか、焼き締まったのかがわかります。そして、うまくいったときのものは、次への参考に取っておけばいいのです。

わたしはこうした部分を押さえて、自分の中で基準をつくった上で、感覚的に薪窯などをするのは良いと思います。実際に、自分が楽や薪窯をするときに、頼りにしているのは、自分の眼や感覚です。

しかし、センスや感覚の前に、どこまでがストライクゾーンなのかを論理的に知っておくのは、決して無駄ではありません。極端な例かもしれませんが、5年の窯焚きの経験を、5回の焼成で得ることも可能かもしれません。

そしてわたしたちは、経験則に固まらないように気をつける必要があるでしょう。


ゼーゲルコーンを近くで売っていない方は、こちらでどうぞ。(回し者です)
http://kajita-enogu.com/








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2009年11月11日

素焼きはいったい何度なのか?


わたしがやきものの仕事でもっとも嫌なのが素焼きです。
生の粘土が、はじめてやきものになる工程が、この素焼きの部分です。窯の中から、独特のボンッ、という音で作品のどれかが破裂したのを知ることぐらい嫌なものはありません。

素焼きで割れたらあまりにも情けないですし、割れなくてもキレがでることもあります。

また、窯屋の仕事で、素焼き専用の窯を修理の際に、痛んでぼろぼろになった鉄板が、溶接の炎ではじけ飛んで、よく顔を火傷していた辛い過去のせいかもしれません。

それからあの湿って熱い蒸気と有機物が燃える、あの特有の臭いもあんまり好きではありません。
みなさんはどうですか?


さて、素焼きはいったい何度で焼くのか、ということですが、

 あなたは何度で焼いていますか?

 そして、その温度にした根拠はなんですか?

 土によって、つくった物によって温度を変化させたりしていますか?


わたしの知っている人で、知識の少ない、若くて早い時期に独立したため、かなり長い期間、素焼きの温度をもっともキレがでやすい温度帯で焼いていた人がいました。

角物などが多く、かなりキレもでて素焼きで2,3割だめになるのを見越して仕事をしていたそうです。ある時、ふとしたきっかけで、わたしが素焼きのはなしになったときのことです。

その方が「何度でやってるの?」と聞かれ、「何度です。」とわたし。

「え?!」

「え、じゃあ何度でやってるんですか?」

「○○○℃」

「え〜!それはまずいでしょう!」

「そうなの?」

「・・・・。」

次の素焼きの時には、何一つキレなかったそうです。

「おかげで儲かるわ。」(実話:ちょっと脚色)



よく、粘土の結晶構造の中にある水(結晶水という)が抜ければ素焼きになるということになっています。その結晶水は400℃ぐらいから抜けはじめます。
また、600℃前後で、粘土の主成分であるシリカ(ケイ素)が一気に膨張するということになっています。

そうした劇的な変化が起きる温度は通り抜けておきたいですよね。そのため、それ以上に焼くのが素焼きということだろうと認識しています。

また、燃えてしまう物は燃やしてしまうためでもあります。粘土に混ざっている有機物などが燃えるときのガスを土の中から抜く、という効果もあります。

では世に言う800℃の根拠はなんでしょう。

これは、学校などでは温度計と物質の温度差を考慮して、ということになっています。つまり、温度の上昇時は、中にある器は、温度計の表示温度よりもまだまだ低いわけですから、その差を見越して600℃プラス200℃で800℃ということになっています。

しかし、世の中には400℃以下の人もいれば、陶器でも900℃ぐらいの温度で素焼きをする人もいます。(磁器は900℃以上ですが)

わたし個人の経験ですが、700℃と800℃では素地の感じが全く違います。こうした焼き締まり具合の違いは、おそらくかなり絵付けや施釉に影響するでしょう。

また、釉薬と土との中間層の形成に影響します。生掛けが雰囲気いいよね、などというのはこのためです。

わたし自身が人のアドバイスから実践していることは、複雑な形状や、型打ち、長皿などキレそうなものが多いときには、温度を高めにするとよい、ということです。

これは実践してみて、効果を実感しています。


素焼きにしても本焼きにしても、なぜその温度なのかを考えること、可能ならば実験してみることは、とても重要だと思います。

本焼きであまりに極端なことをするとすべてパアということもありますが、素焼きの温度を100℃ぐらい変更してみるのはアリではないでしょうか。

あなたが使っている土と釉薬によっては、え〜という結果があるかもしれませんよ。








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2009年10月22日

焼成時の安全対策


茨城県で、ガス窯焼成時における死亡事故がありましたね。

非常に残念でなりません。
なくなられた方のご冥福と、重態の方のご回復をお祈りしています。

陶芸のお仲間の方々もきっと辛い思いをされているでしょうね。

一酸化炭素中毒に関しては、直後にブログにも書きましたし、人に聞かれたり、機会があるごとに話したりもしてきました。

また、わたしの尊敬する先輩の師匠も一酸化炭素中毒で亡くなられていて、この茨城での事故をどんなお気持ちでご覧になっただろう、と思うと胸が痛みます。

きっとこのブログを読んでくださっている方々も、その事件についての話題が職場や学校であったり、一般の方から質問をされたりしたことでしょう。

陶芸の窯は、たとえそれがコンピューター制御の電気炉でも1200℃を超える高温を生み出す以上、ある意味、とても危険なものです。

まして、ガスや灯油は炎を発して、同時に窯の近くに燃料のタンクを設置していますから、取り扱いを間違えると大惨事になる可能性もあるわけです。

また、それらのバーナーでは大量の酸素を消費しますので、換気をおろそかにすれば、一酸化炭素を発生させて死亡事故に至ることがあります。


◆一酸化炭素は、炭素含有物の不完全燃焼によって発生する無色・無味・無臭の気体で、発生したことに気づきにくく、酸素の代わりにヘモグロビンに容易に結びついて運動能力を低下させ、窒息にいたります。

普通の家庭でも、ファンヒーターなどによって、毎年冬にはなんらかの事故が起こるぐらいですから、陶芸の窯では換気には十分気をつけなければなりません。

今回の事件は、一酸化炭素中毒で、その原因はダンパーを開けずに窯に点火し、そのまま換気されない閉め切った窯小屋の中で3人の方が被害にあわれたということでした。バーナー数本の酸素消費と3人分の酸素消費で、小屋の中の酸素は、あっという間に使い切ってしまわれたと思います。



◆陶芸窯で使用するガスバーナーの燃焼に必要な酸素の量はガス1に対して


 プロパンガスで約24倍

 ブタンガスで約31倍

 アセチレンガスで約12倍(陶芸には使いませんが)


の酸素が「最低限の」必要量です。


これはあくまで酸素量です。「空気」ならばさらにこの5倍が必要なのです。

 ※これには人間の呼吸の分は含まれません。


◆わたしは灯油バーナーについてのデータはほとんど持っていませんが、同じように換気に注意するのは間違いのないことです。
(これについては是非詳しいかたの発信を期待します)



今回の事故は、素焼きの点火からかなり短い時間で発見されたにも関わらず、死亡事故になりました。後日の報道でダンパーが閉じたままであったことが判明しました。

あくまで、想像の域をでませんが、もし、ダンパーが開けてあればこんなに短時間に死亡事故にいたることはなかったのではないかと思います。残念です。


かつてのわたしの勤務先にはレンタルのガス窯が3基ありました。
一度だけ、女の子が一人で借りて焚いたとき、点火してすぐに、その子は食事かなにかに出かけてしまいました。

ところがダンパーが閉じたままでした。

窯場にはほかに誰もいませんでしたが、わたしトイレに行くついでに覗いたときの中の空気といったら、形容しようがありませんでした。

あわてて、すぐに火を止めて、社長らに報告し、その子が来るのを待ちましたが、1,2時間戻ってきませんでした。

もし、わたしたち全員が現場に出ていたならば、もっと発見が遅くなったと思います。なんらかの事故につながったかもしれません。

後日見た窯の中は煤けて真っ黒でした。

レンガを積んだりする工場と隣接して、かなり広い窯場でしたが、たった2時間ぐらいで耐え難いような空気になってしまうのです。
(これを教訓に工場の壁の上部を一部取り外して、換気口にしました)

毎日日本中で、何百というガス窯が焚かれています。その中で爆発や一酸化炭素中毒の事故はほとんど起きません。窯はきちんと管理すれば危ないことはないのです。

しかし、当然、事故はゼロではなく、ガス窯の小さな爆発事故や一酸化炭素中毒をはじめ、薪窯で火事を出した人もたくさんいます。

陶芸とは、炎を使う仕事です。炎がない電気炉でも高温を発生します。
それを行う人間は、誰よりも安全対策や燃料に詳しく、それらの情報に敏感でいないといけないと、わたしは思います。

すくなくとも、どんなことをするにしても、安全第一なのは間違いありません。


ここでわたしが書いたガスの話は、自分の経験と、たった1冊の本から得た情報に基づいています。それも図書館にあったものです。

今ならば、ネットで調べることもできるかもしれません。

ガスを使うならガスのことを、灯油なら灯油のことを、電気ならば電気のことを、薪ならば薪のことを、もう少し知るべきではないでしょうか。

さる有名な陶芸家が、最近の人間は焼成をきちんとやっていない奴が多い、と言っていました。といって、その人がそういう機会を若手に与えてくれるわけではないんですけどね。
(もっと言うとその人は焼成を化学的には理解してないんですけどね)

それを聞いて、悔しかった当時のわたしは、俄然勉強して今日に至っているわけです。

先日、隣街で小さなビストロをしている友人が来てくれましたが、彼はシェフになるにあたり、フランスのワイナリーから、福岡の食肉加工場の解体現場まで、見学したそうです。

そういう姿勢が、よい仕事と安全につながるとわたしは思います。








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2009年10月16日

一酸化炭素中毒による死亡事故


茨城県で陶芸窯の焼成をしていた3人の方が一酸化中毒になり、二人が意識不明、一人が亡くなったという報道が、今ありました。仕事を中断して書いています。

ガス窯で事故が起こることはありますが、もっとも痛ましいのは、この一酸化炭素中毒です。

窯の製造や販売にかかわるものとして、陶芸家として、もう一度、以前の記事からこの一酸化炭素中毒について書いておきます。


ガスの話 2008年8月25日
http://inoueseiji.sblo.jp/article/18365242.html


◆以下記事より抜粋して加筆


陶芸窯で使用するバーナーの燃焼に必要な、酸素の量は、

プロパンガスで約24倍、ブタンガスで約31倍を必要とします。

 (酸素量です。空気ならばさらにこの5倍必要)

 ※これには人間の呼吸の分は含まれません。

必ず換気をし、新鮮な空気が入るようにしてください。
 
 
一酸化炭素中毒の経験者の話によると、意識の喪失は、じわじわというよりも突然くるそうです。

山小屋で一斗缶で焚き火を4人で囲んでいたら、一人が突然倒れ、大丈夫かと声をかけた二人目も倒れ、窓に向かう途中に三人目が倒れ、四人目が窓を開けてどうにか全員助かった、という話がガスの本に載っていました。

最初の一人に聞くと、突然のことで、自分が倒れたことは、まったくわからなかったそうです。このように症状があらわれるのは突然で、個人差もあるようです。

冬に鍋パーティーで忘年会していても、部屋の換気が悪いとぼーっとなることがあります。小さな卓上コンロと、数人の人間でもそういうことが起こりえるということです。ましてやガス窯の焼成は、一般家庭の一月分のガス使用量を超える量を、一回の窯焚きで燃焼させます。

とてつもない量の空気を必要とするのです。


とにかく仕事場にガス窯がある人は、換気には気をつけてください。





亡くなった方のご冥福と、お二人の回復をお祈りします。

また、これまで以上に、購入・運用者には、こうした説明を詳しくしていきます。






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2009年10月02日

焼成について 4


焼成について、数週にわたり自分が思うことを書いています。

ここまでの焼成のおはなし、知人の方々には、非常に参考になっている、という励ましの意見をいただきました。ありがとうございます。みなさんのご感想はいかがでしょうか。

ご意見の中で知人が言っていましたが、焼成方法について細かな情報を発信している方はまだまだ少ないようですね。

情報を発信しても、けっして減るものでもありませんので、どんどん発信する方が増えてくるといいなぁ、とわたし個人は考えています。

わたし自身、限られてた知識と経験しかありません。
それでも、発信することでさまざまなことが好転しているのを実感しています。

是非、みなさんも自分の仕事や焼成のことを発信してみてください。
それがかならず、めぐりめぐって自身の利益になることが必ずあります。発信した情報に比例して、利息がついて戻ってきますよ。



さて今回は、陶磁器焼成の勉強方法についてです。
思うように窯が焚けるようになるには、どういう順序で勉強すればいいのでしょうか。

焼成を覚えるの早道は、しっかり焚ける誰かと、何度か一緒に窯を焚くことでしょうが、なかなかそれも難しいことなのかもしれません。

また、その誰かが、偏っている経験と知識の人である場合(わたしを含めてほとんどそういう人です)、型にはめられてしまうリスクもあります。もちろん、勉強を続けていく決心のある方ならば、一度型にはまってみて、その視点から焼成を考えてもいいかもしれません。

わたしが陶芸の基本を学んだ瀬戸の訓練校では、当時も現在も焼成に関する授業は、時間的にもわずかしかなく、火入れから窯だしまでの間で、生徒が作業に関われるのは窯詰めと窯出しの工程ぐらいです。

かつて、大学に在学中に陶芸とテラコッタの授業がありましたが、生徒は制作して釉薬をかけるところまでしか作業しませんでした。もっとも陶芸科ではありませんでしたので、そのことにとくに不満や疑問は当時ありませんでした。

人から聞いた話ですが、窯業関連の学校などでは、焼成のスケジュールがすでにあって、窯場の方へ、このテストピースをこれこれの窯で焼いておいてください、という形で焼成しているところもあるようです。

いずれにしても、やはり陶芸を学ぶからには焼成を抜きにはできないと思います。

けっして特別な技術ではない焼成を、しっかりと伝えていく、そういう考えかたを持つ人がどんどん増えて欲しいと切実に思います。お偉い作家さんが、焼成をきちんと身につけている人が少なすぎる、などと憤っていたりしますが、少しは啓蒙活動してから物を言って欲しいと、わたしは思いますね。

わたしを含め、もし、あなたがなにか焼成に関して秘密にしていることがあったならば、それはあなたの作陶と窯焚きでしか通用しないと思ってまちがいありません。

なぜならば、一般的な焼成の基本から外れた要素は、窯のサイズや燃料の種類が変われば再現できないからです。

また、焼成とは、同じメーカーが同時に同じ窯を複数納めても、微妙にそれぞれの窯に個性というかズレが生じてしまうぐらい複雑なものです。わたしは試みていませんが、非常に複雑な調合の釉薬などではそれをかなり実感するらしいです。

大西氏の書籍に紹介されていましたが、同じ電気炉を工場に二つ設置していても、手前と奥の窯で焼き上がりにわずかながら差ができるそうです。

また同じ気温や湿度、当日や前日、後日の天候、窯場の風の通りなど、同じ条件はありませんから、わたしたちは最大公約数の幅のなかでスタイルを追求しているのかもしれませんね。

話は脱線しますが、古いやきものと、現代の陶芸作品でもっとも違うものは、空気中や燃料中に含まれる化学物質だそうです。

桃山時代には、大気中に排気ガスもなく、核実験もやっていないでしょうから、
窯焚きの時に炉内に供給される空気はまったく別物です。

現代の作家がいくらその時代のものを再現しようとしても薪や土、釉薬に、当時存在するはずのない物質が、かなり含まれているわけです。確認できませんが、水道水も影響を与えているようです。


話をもどして。

焼成工程を知る上で、わたしがお勧めするのは、どんな窯でもいいから、まずいきなり自分が責任者として一窯焚いてみることです。

それは電気炉でもいいですし、薪窯でも七輪でもかまいません。

故芳村俊一さんに、「やきものやるなら、まず窯を造れ!」と言われましたが、その通りなのです。粘土細工はそのうち上手くなりますから。

自分で焚いてみたら、次に理論を知る努力をすることだろうと思います。

前にも書きましたが、瀬戸にいるときに、ある方に「頭が先行していない陶芸家はダメだ」と言われました。技術や経験も重要ですが、専門書(雑誌は含まず)を読んだり、論文にあたってみたりすることが大切だと、いうことです。

酸化と還元は別のもの、と捉えている人と、酸化還元反応という同時に起こる反応の片側を陶芸ではそれぞれ酸化、還元とよぶ、と捉えている人は全く次元が違います。

また闇雲に薪を投入して強還元する人と、乾燥した薪には、どれぐらい酸素が含まれているかを知っている人では、窯をコントロールする言語があるかないかぐらい違ってくるでしょう。

そして、その差は、かならず将来現れるものだと思うのです。
これまで知った多くの友人、知人、お客さんなどを見ていての実感です。



窯焚きに関しては、いろんな人がいろんなことを言いますが、熱による化学反応の結果が窯焚き、作品なのです。

なかなかこう断言する人は少ないのかもしれませんが、そうなんです。

わたしもかつては、窯焚きの時だけ神頼みをし、神通力を信じ、ちょっとした出来事をジンクスのように見たりしていましたが、それは全く意味がありません。(でもまだそういうことしているかも・・・)

薪を赤松にこだわろうが、途中で酒を呑もうが、焚き口にタバコの吸殻を放り込もうが、窯場に女性が来ようが、化学反応に影響がなければ、それらは意味のないことなのです。

もちろん、他人の窯場でのマナーや、自分の仕事のスタイルを大事にするのは当然のことです。上記は極端な例ですから、念のため。

わたしが現在の知識と経験をもつことができるようになったのも、瀬戸という場所、築炉という仕事に関わったことが、かなり有利に働いているのは事実です。

しかし、出会った人たちから、経験してから物を言え、しかし経験だけではないアプローチもしなさい、というメッセージを受けて、行動したことがとても大きかったと思います。同じ場所で同じようなメッセージを受けた人はたくさんいるわけですから。

年数を重ねないとできないことは確かにたくさんあります。しかし、パジャマで寝転んで本を読んで、ノートに記録するだけでも追い越せる「経験」というものも、意外とたくさんあることも知っておいてください。









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2009年09月24日

焼成 酸化と還元 3


ガスや灯油、薪の窯での、還元焼成の状態についてヒントになるかもしれないことを書いてみます。

還元焼成に入ると、窯の色見の穴から炎がふき出します。通常の焼成でも、温度が上がってくれば炉内圧が上がって、色見の穴の前にライターの炎をかざすとふき返しますし、還元状態になれば炎が数センチふき出します。

このことは、よく陶芸の技法書などで紹介してあります。逆に酸化焼成では、穴の方へライターの炎が吸われます。この説明、たしかにその通りです。

しかし、この説明では足りない部分があります。

引くところ、ふくところの境界、プラスマイナスゼロの部分がまったく説明されていません。色見の穴から、炎がふき出さないし、炉内へも引き込まない状態、かざしたライターの炎が動かない「ゼロ」の状態があります。

このゼロの状態をまず探すこと。

これが炎のある窯では大切であるとわたしは思います。薪窯ではまた話がちがってはきますが、ガスや灯油の窯であれば、このゼロの状態を見つけ出すことが基本のテクニックになるでしょう。(残念ながら、それを教えてくれる人は少ないですが)

この窯のバランスを意識できなければ、思う通りの焼成を行うのは難しいと思います。同じ窯でデータを取り続けても完全に同じように焚くのは難しいものだからです。

還元をかける前の段階や酸化焼成では、この基準のゼロから少しマイナス(中に炎が吸われる)の状態にして焚くのが効率がいいのです。

いま現在酸化焼成をしているが、基準ゼロから、どれぐらいマイナスになっているのか、把握しなくてはいけません。マイナス1とマイナス10で、色見の穴の部分でライターの炎が見せるのは同じ現象です。ですが、温度の上がり方や、燃料の消費の仕方はかなり違ってきます。


この基準のゼロの部分がわかると、酸化焼成をするのが楽になります。

脱水と有機物の燃焼がある素焼きの初期段階と、本焼きの酸化焼成では引かせ方を変えたりしてみてください。酸化焼成が難しい、温度が上がらない、という窯焚きは、煙突に熱を引かせすぎているのです。

また、このプラスマイナスゼロの状態を「中性」、と呼ぶこともあるようですが、わたしにはその認識はありません。中性というのは、はっきりと還元、とは言い切れない炉内の雰囲気のこと、弱還元の状態をさしているのかなぁ、と思っています。

還元焼成では、このふき出す炎の長さなどを基準に還元状態を推察して、焚いていきます。わたしは自分の窯では基準とする長さがある程度あって、それ以上炎がふき出しているようならば、ドラフトやダンパーで調整します。

還元焼成の際には、色見の穴の、炎のふき出しが目安になります。ガス窯などでは、どれぐらいの長さが出ているのかを基準にしますし、人によっては、その炎の色や勢いをみているようです。

また、薪の窯では、複雑に酸化還元反応がおこっているわけですが、酸化気味に焚く場合は、投入した薪が十分に燃えて落ち着いてから適量の薪を投入するようにします。

薪を投入した直後、色見の穴から煙や炎が勢いよく噴き出しますが、薪が燃えていくにつれて、その炎が落ち着いていきます。そしてある程度燃焼させると炎も煙も出なくなります。窯の構造にもよりますが、ここまで待って適量の薪を投入していけば酸化「気味」に焚いていくことになるでしょう。

逆に還元「気味」に(薪窯ではほとんどそうなりますが)焚くには、炎が色見の穴から出なくなったタイミングで薪を投入します。

薪窯は焼成にかける時間もほかの窯よりも長く、燃料としては効率の悪い木材を使用しますから、ガス窯のように一言で酸化、還元と言えない部分があります。

そのため、窯のどの場所に詰めるのか、などで焼き上がりを調整していく必要があります。燃焼でのコントロール幅がゆったりしている分、窯の詰めかたや、薪を投入するタイミングなどが重要になっていきます。







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2009年09月18日

試験炉製作のはなし


燃焼のはなしの途中ですが、この数日の間でのことなので、気持ちが新鮮なうちに書いておきたいと思い、今回はこのネタです。

どんな窯の話だ?と期待された方には申し訳ありませんが、実はこれは陶芸の窯ではありません。

防火壁の耐火試験のための試験炉です。

ある金属加工メーカーの方がわざわざネットで調べて、わたしの所に連絡をしてくれました。お盆休み直前のことです。

最初はHP上に紹介していた中古のガス窯が欲しいということだったのですが、一体普通の企業がなんのために窯が必要なのだろうかと思い、話をしてみると、建材の壁材の耐火試験に使いたい、ということだったのでした。

条件を聞いてみると、商業施設の壁に使用される新製品の試験だそうで、なんと、40分で950℃にしなければならない、という陶芸の世界にいる人間としては、とんでもない条件だったのでした。

さすがに、そんな短時間で昇温させたことなどないですし、しかも取り付ける試験体は、最低でも1メートル四方のボードだそうで、それ以上小型にするわけにはいかないということでした。

相手はちょっと名前は控えますが、大きな会社ですし、設計、営業、工場のお偉いさん(?)の3人がわざわざアトリエまで来てくれてのはなし、無碍に断るのもかわいそうです。
すでにこれまで社内でいくつか試験炉を製作して失敗し、もう予算もない、ということでした。

細かい打ち合わせの経緯は割愛しますが、最終的には、相手は加工メーカーですので、窯のフレームは自社で製作し、わたしのほうで設計や材料などを提供して欲しいというお話になりました。

とにかく、
瀬戸の築炉メーカーなどに相談してアイデアを出してみましょう、ということに。

とはいえ、陶芸の世界で、1時間以内のうちに炉内を1000℃近くまで上げることはありません。そのため、どうしても常識にとらわれてしまい、なかなかいいアイデアも浮かんできませんでした。

はっきり言えることは、たとえ真っ白な耐火断熱レンガであろうとも、レンガを使用してはその条件は難しい、ということです。

1メートル四方の試験体を扉にして、なるべく薄くするとはいってもバーナーの炎が動く幅が必要ですし、扉になる建材に直接炎を当てない、というのも条件になっているため、どうしても炉内の幅が50センチぐらいは必要になってしまいました。そのため、タバコの箱を横に倒したような形の窯になりました。

試験炉の容積は、1mx1mx0.5m=0.5m3 ということになります。

これはわたしの窯とほぼ同じぐらいのない容積です。それを40分で950℃にしなければなりません。レンガを使ってしまうと、点火後にまず窯のレンガに熱を取られてしまいますから、なかなか温度が上がりません。

レンガが使えないということは、その代わりになる耐火物を使用し、さらにその断熱性がレンガよりも良くなければならないのです。

そんな材料があるのか? 

あります。

それはある種の耐火ボード製品で、大変熱伝導率が低く、低蓄熱量ですので炉壁への熱の損失がレンガよりもはるかに低いのです。

また、アルミナシリカ系の耐熱繊維なので、ふかふかとやわらかくて軽く、加工もまあまあ簡単です。そしてなんと最高仕様温度は1300℃なのです。
これまでの仕事で使用したことも何度かはあります。

ただ、高い。

何度かの打ち合わせや見積の結果、このボードと同じく600℃ぐらいまで耐えてくれる断熱ウールという断熱材との2層構造で試験炉を製作し、ガスバーナーは4本つけることになりました。

材料を納入し、その後工場に出向いて、わたしも一緒に製造にかかわりました。ステンレスのピンで溶接しながら留めていくのでレンガを積むよりは早く仕事ができます。一気に完成させて、二日目にもう試験焼成をすることになりました。



その二日目。

はたして上手くいくのでしょうか・・・。

ものすごい不安が、イノウエセイジの頭の中を過ぎります。

試験体である、金属製の枠の中に耐火物が入っている建材ボードを扉代わりに取り付けます。ガスボンベのバルブを開けて、ガス圧をいきなり高めにして、最初から全てのバーナーに点火しました。

デジタルの温度センサーの数値はいきなり上昇していきますが、炎が当たっているだけの最初の段階では、温度計の数値はあてになりません。

しかし、温度計の数値が落ち着いてきた点火後20分ほどで、炉内は800℃を超え、30分で900℃に達しました。

60分の試験を終えて、非常に良好な結果を得ましたので、相手の方々には非常に喜んでいただきました。これで上手くいかなかったら、今頃メルマガを書いていないかもしれませんね・・・。

それにしても、このアルミナシリカ系のボードはすごいですね。
なにがすごいと思ったかというと、あっという間に冷めてしまったんです、この試験炉。950℃で終了して、1時間半ほどでもう100℃ぐらいになっていましたので、試験体を外して内側を確認することができました。

つまり、このボードは、レンガなどと比べると、まったく蓄熱しないということです。いくら炉内に何も入れていないとはいえ、レンガで作った窯の場合、そんな短時間で温度は下がりません。
(もちろん逆に、こんなに短時間で昇温もしませんが・・・)

正直言って、できるのかどうか非常に不安でした。
温度は大丈夫だと思っていたのですが、時間がクリアできるのか、というのが最大のネックでしたが、まさかこんなに簡単にできるとは思いませんでした。

新しい素材を知ることもとても大切ですね。

新しいといえば、試験をした建材の耐火壁は商業施設などの通路などに使用されるそうです。たくさんの人が逃げる時間を稼ぐために、非常に厳しい条件が国から求められているそうです。

いいことなのか、悪いことなのか、こうした条件の変化は、数年前の耐震偽装問題からだそうで、各メーカーが新商品の開発、既存の商品の撤退、などさまざまな動きがあるそうです。

この試験炉で社内試験を繰り返し、本試験は国の施設で年明けに行われるそうです。その本試験も小さな普通乗用車の購入費用ぐらいの費用がかかるそうです。






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焼成 酸化と還元 2



酸化焼成と還元焼成について書いていきましょう。

先週の続きで、どの温度で、どうやって、どれくらい、というお話にうつっていきましょう。

還元焼成に入るのは、一般的に900〜950℃の間ということになっています。ガス窯や灯油窯など炎のある窯では、この温度帯でしばらく窯をねらし、炉内の温度をなるべく均一にするようにします。

電気炉などと違い、炎がある窯では低温域での炉内温度はかなりばらつきがあります。

また、以前書いたように、温度計が指し示す温度と、実際の作品とではかなり温度の開きがありますので、最初の焙りから、ようやく一段落というこの温度で少し中休みということです。

先月、かつて働いていた築炉メーカーにお邪魔しましたが、そのときの社長の話でも、このことを強く強調されていました。いつも学生への焼成指導でもそのことを指導するそうです。

学生のころにはわたしもそうでしたが、どうしても温度計を気にして焚いてしまうんですね。温度計がそうなっていれば、つい作品もそうなっている、と無意識で考えてしまいます。

900℃ぐらいの温度というのは、けっこう簡単に自然界でも出てしまいますし、まして陶芸窯の場合は1250℃を意識して造っているわけですから、これぐらいの温度はどんな窯でも普通に焚いていれば短時間でも上がります。

しかし、それと作品の温度、熱、カロリーというのはまた違うのです。

昔は数日かけて焚いていたのを、十数時間で焚くのですから、どうしても温度計先行になってしまいます。とにかくここではしっかり練らして、窯の温度を均一にしていく努力をしましょう。

さて、それではいよいよ還元焼成にむけて、さまざまな操作をしていきます。

まず、ガス圧などを操作して、火力を強め、炎を多目に送り込みます。

また、同時に煙突のダンパーを中に差し入れたり、ドラフトを開けたりして、煙突の引きを弱めます。これを陶芸の世界では煙突を押さえる、などと言います。

こうすることで、還元焼成になっていきます。(先週のお話を参考に)

還元焼成が安定すれば、たとえばガス窯の場合、色味の穴から炎が数センチ吹き出します。温度の上昇も1時間当たり30〜50℃ぐらいになってきます。
もしまったく温度が上昇しないのならば、それは押さえすぎているはずです。

電気炉の還元焼成では、ガスや薪などの可燃物を炉内に供給します。


おおよその数値ですが、1100℃ぐらいになると、釉薬が溶けてきて、釉ガラスを還元ガスが通り抜けられなくなります。

そのため、あまり短時間で還元焼成の温度帯を通り抜けてしまってはいけません。どれだけの時間、還元をかけたのか、それはひとつのデータですから記録しておくことが大切です。

1150℃にもなると釉薬の表面も溶けてきて、還元焼成の効果もあまりなくなりますので、還元の度合いを弱め、温度が上がりやすいようにしていきます


還元焼成は、なかなか本やこうした記事だけではなかなか理解できないと思います。

どうしてもある程度のテスト、もしくは失敗が必要になるでしょう。






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posted by inoueseiji at 02:49 | Comment(0) | TrackBack(0) | 窯と焼成に関すること