2026年05月20日

なんでも自分で出来る人

いつもどこかが筋肉痛、イノウエです。
はい、おはよう。

なんでも自分で出来る人、そんな人は存在しません。
そう思っている人はたくさんいるでしょうけども。

まぁ自己責任でどうにかなることなら、楽しみで色々と挑戦するのは楽しい。
わたしもそういうチャレンジは好きだし、よくやっています。

しかし、それで火事を起こしたりしてはシャレにもなりません。

最近ご相談があった件ですが、ほとぼりが冷めたので、少し紹介しましょう。
とある地方のお客様、事情があって作業場所と窯の設置場所が別の建物。

窯の設置場所は借りている場所だったけれど、お客様に連絡もなくオーナーがそこを引き払うことになって、窯の移動後に事後報告があったとか。

そして勝手に移動された先は、素人目にも「ここは電気炉置いちゃダメでしょ〜」という環境だったんだとか。
それだけではなく、電気工事も素人改造があって、過去にはそこでボヤも起きたことがあるとのこと。

不安になってご連絡をいただいたという流れ。
まずは写真を送ってください、といつものお願い。

届いた複数の写真を見て、違法で危険なのがわかったので、ここでは絶対に稼働させないでくださいと念押し。
お客様もやっぱりそうでしたか、と納得されて、設置場所の方などには、やんわりと移動しないと無理みたいですと伝えるということに。

写真を全部出すとバレる部分もあるし、マネをする雑な印象派の人もいるので、1枚だけにしますが、三相の契約をしている分電盤から、無理やり単相を引き出して(違法)、それをトランスに繋ぎ、さらにそこに別のトランスを繋ぐ(異常)というヤンチャぶり。

田舎のオジサンのなんでも自分たちでやるしか無いという認識は理解します。
そういう心構えでわたしもこれまで色々なことを身に着けてきました。

しかし、電気とかガスはダメだって。

それで火事はシャレにならないし、そういうノリが感電死亡事故につながると思いますよ。


トランスにトランスを繋ぐって、小学生のアイデアだと思う。
15%の昇圧トランスを連結していくとどんどん電圧が増えるかな?

100V→115V→132V→152V→175V→…そんな都合よくなると思いますか?


生成AIに聞いてみようか。


昇圧トランスを2段重ね(直列)に接続した場合、電気工学的には非常に不安定で非効率な状態となります。具体的に電圧と電流がどのように変化するか、そのメカニズムを解説します。


1. 電圧の変化:掛け算で上昇する

理論上、無負荷の状態であれば、電圧は各トランスの変圧比の「掛け算」で上昇します。

    • 計算例: 100Vの入力を「15%アップ(1.15倍)」するトランスを2台繋いだ場合

      • 1段目出力:100V × 1.15 = 115V

      • 2段目出力:115V × 1.15 = 132.2V

    • 現実の挙動: しかし、実際には負荷(電気炉など)を繋ぐと、電圧降下が激しくなり、計算通りにはなりません。特に1段目のトランスにとって、2段目のトランスそのものが「重い負荷」となり、電圧が不安定に変動します。


2. 電流値の変化:1段目に過大な負荷がかかる

エネルギー保存の法則により「電圧を上げれば、その分だけ入力側の電流が増える」ことになります。ここにトランス自身の損失が加わります。

  • 1段目への集中: 2段目の先に電気炉(負荷)がある場合、1段目のトランスには「電気炉の消費電力」+「2段目トランスの損失(熱)」+「1段目トランスの損失」のすべてが電流として流れます。

  • 励磁電流の増大: 1段目の出力電圧が上がっている状態で2段目に入力されるため、2段目のトランスが「磁気飽和」を起こしやすくなります。飽和すると抵抗が急激に減り、異常なほど大きな電流(励磁突入電流のような状態)が流れ続け、配線や巻線を焼き切ります。

3. 電気炉運用における致命的なデメリット

井上さんが懸念されている通り、電気炉のような大電力機器をこの構成で動かすと、以下のような数値的・物理的破綻が起きます。

項目2段接続時の挙動リスク
電圧降下負荷がかかった瞬間にガクンと下がるPID制御の誤作動、温度が上がらない
変換効率トランス2台分の熱損失が発生電気代の無駄、トランスの過熱発火
波形歪み電圧の波形が崩れるマグネットスイッチのうなり、基板故障

結論

電圧を無理やり上げても、供給できる電流の「質」と「安定性」が著しく低下します。

特に写真にあるようなポータブルトランスは、長時間の定格運用を想定していないものが多く、2段繋ぎによる過負荷は、内部絶縁の炭化を加速させます。過去にボヤがあったという事実は、まさにこの「電流の過負荷による発熱」が限界を超えた結果と言えるでしょう。

理論上の数値以上に、「熱としてのエネルギー損失」がすべて火災リスクに変換されている状態です。


まぁそうだよね。


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手作りプラグで、コンセント焦げてますね。

また、時々相談を受けますが、ホームセンターやネットで販売されているトランスは、電気炉焼成などの長時間運用を想定していません。ですから、かならず電気炉メーカーや、ふくおか陶芸窯に相談してください。自分で購入しちゃったら、それは自己責任ってことになります。


posted by inoueseiji at 07:08 | 窯と焼成に関すること

2026年04月28日

補償導線のこと、改めて話しておきたい

おはようございますイノウエです。
今日も生成AIに記事のもとを作ってもらいました。


このブログでは以前にも補償導線について書いたことがあります。2010年の記事ですから、もう15年以上前のことです。あのころ自分で実験して、アナログ温度計とデジタル温度計の誤差が最大70℃もあったことに驚いた、そんな話でした。もっともこれはアナログ温度計のゼロ補正をしていないという話につながりますが…。

今日は補償導線のこと。

最近、陶芸を始めた方や窯を購入した方から「補償導線って何ですか?」「専用でないとダメなんですか?」という質問をいただくことが増えました。そこで改めて、「小学生でもわかる」レベルから「中学生レベル」まで、整理してお伝えしようと思います。

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(端子を付け直す)


まず、超シンプルに説明すると

窯の中に差し込んで温度を測るセンサー、熱電対(ねつでんつい)というのは、2種類の金属(白金と白金ロジウム:プラチナね)の先端を溶接したもので、その温度差によって電気が生まれる仕組みです。

その電気を温度計まで届けるのが補償導線の役割です。

ここで「じゃあ普通の銅線じゃダメなの?」となります。

ダメなんです。

普通の銅線でつなぐと、つなぎ目(接続点)でも余計な電気が生まれてしまいます。これが誤差になる。補償導線は熱電対とそっくりな電気的性質を持つように作られているので、つなぎ目で生まれる電気が熱電対と同じルールで打ち消し合います。結果、温度計には正しい値だけが届く、という仕組みです。


少し掘り下げると(ゼーベック効果の話)

1821年にドイツのゼーベックという人が発見した「ゼーベック効果」−−異種金属の接触点に温度差があると電圧が生まれる現象−−が熱電対の原理です。


この電圧は接続点「すべて」で発生します。熱電対の先端だけでなく、途中のつなぎ目でも生まれてしまう。補償導線は、その「余計な接続点が存在しないのと同じ状態」を回路全体で作り出すための線です。

だから熱電対の種類(R型・K型など)ごとに、専用の補償導線が必要になります。熱電対の金属が違えば、起電力の特性も違う。合わない導線をつなぐと、特性がズレて誤差が出るということです。


最後に

「ただの耐熱被覆電線だと思っていた」−−昔のわたしがそうでした(悪かったな、補っしゃん)。

温度一つ計測するだけで、これだけの技術と歴史と原理が積み重なっています。色見やゼーゲルコーンを入れることも忘れずに。データはあくまで、その窯・その人・その温度計のものです。

機材への理解が深まると、焼成の「なぜ」が見えてきます。それが技術の入り口です。


補償導線の素材は、対応する熱電対の種類によって異なります。

R型・S型用の補償導線は、実は銅と銅ニッケル合金の組み合わせが一般的です。白金・白金ロジウムという高価な金属と「同じ起電力特性」を持たせるために、この組み合わせが選ばれています。白金そのものを使うわけではなく、特定の温度範囲内で白金系熱電対と近似した特性を示す合金を使っているわけです。

K型用の補償導線は、素材がいくつかのバリエーションがあり、銅とコンスタンタン(銅ニッケル合金)の組み合わせや、鉄とコンスタンタンなどが使われることもあります。

ここが面白いところで、補償導線は「熱電対と同じ素材でなくてもいい」のです。使用温度範囲内で起電力特性が一致していれば素材は問わない、という考え方です。逆に言えば、特性さえ合っていれば安価な素材で代用できる−−それが補償導線の設計思想とも言えます。

だからこそ、R型の補償導線に普通の電線やコードを流用すると、素材も特性も違うためズレが生じてしまうわけです。先ほどの「専用でなければならない」理由と、きれいにつながりますね。

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posted by inoueseiji at 06:17 | 窯と焼成に関すること

2026年04月10日

窯の焚き方を誰に聞く?−−情報が増えるほど迷う理由

おはようございます。イノウエです。
今日もClaudと過去のブログ記事から再構成して投稿です。
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陶芸を真剣にやろうとすればするほど、情報を集めたくなります。
窯焚きが上手くいかないとき、誰かに聞きたくなります。それは自然なことです。

でも今日は、その「情報の集め方」について、少し立ち止まって考えてほしいと思います。


複数の人にアドバイスを求めると、なぜ迷うのか

よく焼成中の方から電話があり、窯の操作についてアドバイスをすることがあります。
お客様が多いのですが、中にはそのタイミングで初めての連絡、という方もいます。

ガス窯の操作がうまくいかない、温度が上がらない、上下の温度差がおおきい、そのような状況で、わたしが電話越しなどで指導をするわけですが、中には同時にわたし以外にも複数の人にアドバイスを求めている人もいらっしゃいました。


そうすると結果として、却って迷ってしまうことになる。

これは珍しい話ではありません。むしろよくある話です。

なぜ迷うのか。それはアドバイスをする人間の立場や経験、そして現場への理解が、それぞれ全く違うからです。先生、先輩、友人、知人。

Aさんはこう言った。Bさんはああ言った。どちらも自信を持って言っている。どちらを信じればいいのか。そしてまた別の人に聞く。さらに迷う−−この悪循環に入ってしまうと、抜け出すのが難しくなります。


「経験が長い」と「仕組みを理解している」はイコールではない

ここで一つ、重要なことをお伝えします。

陶芸の経験が長いことと、窯炉の仕組みを理解していることは、イコールではありません。


長年ガス窯を使っていても、なぜその操作をするのか理由を説明できない人がいます。自分の窯では上手くいくが、別の窯では通用しない人がいます。経験則だけで覚えてきたから、例外的な状況に対応できない人がいます。

そういう方がアドバイスを求められたとき、どうするか。

「知らない」と言えればいいのですが、それが言えない人が多い。何か答えなければという気持ちが働いて、不確かなアドバイスをしてしまう。善意でやっていることが多いだけに、余計に厄介です。

そして問題なのは、その不確かなアドバイスが失敗や事故につながることがある、ということです。窯の操作を誤れば、作品が一つも取れなくなってしまうこともあります(経験アリ)。最悪、一酸化炭素中毒など命に関わる事故が起きることもあるかもしれない。「知らないと言えない善意」が、取り返しのつかない結果を招くことがあるのです。


信頼できるアドバイスの見極め方

では、誰のアドバイスを信頼すればいいのか。

わたしがいつもお伝えしているのは、「窯を造って焚ける人」から購入やアドバイスをもらってください、ということです。

窯を造れる人は、窯の構造そのものを理解しています。構造がわかっているから原理原則がわかる。原理原則がわかるから、どんな窯にも応用が利く。

また、自分の窯だけでなく、様々な窯を焚いた経験がある人−−このような人も信頼できるアドバイスの源です。アドバイスはそうした人の生身の経験から生み出されるべきだからです。

逆に言えば、自分の窯しか焚いたことがない人が他の窯についてアドバイスをすることは、原理原則への理解がない以上、実は不可能なのです。

そしてもう一つ重要なことがあります。

アドバイスには責任が伴うべきです。

わたしが焼成指導を行う場合、料金をいただきます。これがこちら側の責任になります。お金が発生することで、アドバイスする側に明確な責任が生まれる。無料のアドバイスが必ずしも無責任とは言いませんが、責任の所在が曖昧になりやすいのは事実です。

現場を見ていない人間のアドバイスには限界があります。同じ窯は一つとしてなく、設置環境も、使い方も、作品の内容も違う。現場を知らずに答えることは、地図を持たずに道案内をするようなものです。


2本の熱電対が招く迷宮

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アドバイスの話と全く同じ構造の問題が、温度計測にもあります。

熱電対−−窯の温度を測定するセンサーですが、これを2本設置して上下の温度差を測定しようとする方がいます。大変良いことですが、初心者の方にはあまりお勧めしていません。


なぜか。

2本の数値が異なったとき、多くの方が不安になります。その差を埋めようと何か操作をする。すると今度は上下の数値が逆転したりする。するとその原因がわからない。どんどん不安になる−−この繰り返しです。

情報が増えたことで、却って混乱が深まる。これはアドバイスを複数の人に求めるのと全く同じ構造です。

Aさんはこう言った、Bさんはああ言った、と迷うのと、上の温度計はこう示している、下の温度計はああ示している、と迷うのは、本質的に同じことです。


目の前で起きていることを信じる

では、どうすればこの迷宮から抜け出せるのか。

答えはシンプルです。

アドバイスを求めるなら一人にしておくこと。
その人の責任を明確にして、とことん信じること。

そして何より−−今目の前で起きていることと向き合うことです。

窯で確認できるデータ、炉圧、ライターの炎−−これらが現場の真実を教えてくれます。以前こう聞いていた、本にこう書いてあった、あの人にこう教えてもらった−−それが目の前で起きていることと矛盾しているなら、そのアドバイスや知識はあなたの現場に合っていないということです。


現場で起きていることより正しい情報は、現場にはありません。

これはダンパーとドラフトの操作の話でも同じでした。マニュアル通りではなく、ライターの炎が示す今日の窯の状態を読む。その判断こそが、本当の意味での技術です。


迷ったときの処方箋

最後に、シンプルな処方箋をお伝えします。

上手くいかないとき、迷ったとき−−複数の人に聞き回る前に、まずこれまでの自分の記録を見返してください。前回と何が違うか。温度は、窯詰めの量は、風は、季節は−−自分のデータの中に答えがあることが多い。

それでもわからないとき、誰かに聞くなら一人だけにしてください。現場を知っている人、原理原則を理解している人、責任を持って答えてくれる人−−そういう人を一人見つけて、とことん信じる。

情報は多ければ良いわけではありません。
質の高い一つの情報源が、質の低い百の情報に勝ります。

目の前の窯が、今日も正直に答えを出しています。



お困りの方はご連絡ください。
ふくおか陶芸窯 080-9534-7310
posted by inoueseiji at 07:05 | 窯と焼成に関すること

2026年03月23日

ダンパーとドラフトについて−−窯焚きの原理原則を理解する

なぜ今、この話を書くのか

最近、プロの陶芸家でもガス窯や灯油窯を選択する人が減ってきていると感じています。

その要因の一つに、「操作方法がわからない」「なんとなく不安だ」という気持ちがあるのではないかと思っています。それがわたしがこの情報を発信し続けるきっかけでもあります。

しかし実際には、ガス窯や灯油窯の焼成は難しいものではありません。原理原則さえ理解してしまえば、むしろ自由度が高く、ある意味でなんでもできる窯です。量産の現場では今もほとんどがガス窯です。それだけ信頼性が高く、汎用性がある。

これから中古のガス窯や灯油窯の流通も増えてくると思います。せっかくの選択肢を「なんとなく怖い」という理由だけで手放してほしくない。そのためにも、この情報をできるだけ多くの人に届けたいと思っています。


まず前提−−適切なエントツが設置されているか

ダンパーとドラフトの話をする前に、まず確認しなければならないことがあります。

窯に適切なエントツが設置されているか、ということです。

クルマやオートバイに、どれだけ良いエンジンを積んでいても、適正なマフラーが付いていなければ能力を発揮できない−−窯とエントツの関係はまさにこれです。いい窯かどうかの前に、適切なエントツが設置されているかどうかが重要です。

エントツには「エントツ効果」というものがあります。高いエントツを設置すれば、自然に吸い込む力が生まれる。単純な説明ですが、これがエントツ効果です。その太さや素材、形状も影響しますが、通常のガス窯であれば4メートル程度は必要です。窯のサイズによって太さを変える必要がありますが、ほとんどのメーカーは3種類程度の太さを用意して対応しています。

エントツは長すぎるくらいが理想です。あとはダンパーとドラフトで調整するからです。この前提なしに、ダンパーとドラフトの話はできません。


ダンパーとドラフト−−それぞれの役割

ダンパーとドラフトは、どちらもエントツへの排気の量と流れをコントロールする機構です。ただし、その仕組みと役割は異なります。

ドラフトは、窯の煙道が直角に曲がって上に立ち上がる場所にある穴です。レンガの栓を複数用いて、閉じたり開いたりします。これはストローに穴が開いているような効果があります。穴を開ければ外気を取り込むので、炉内の排気を抑えることになり、その排気量が変化します。

ダンパーは、板状の耐火物を煙道に差し込んで、物理的に煙道の断面積を変化させるものです。差し込む量によって排気の量をコントロールします。わたし個人の感覚では、排気のスピードをコントロールする感覚です。

この二つの使い分けを、自転車の変速機に例えるとわかりやすい。ドラフトがフロントディレイラー、ダンパーがリアディレイラーです。大きな調整がドラフト、細かな調整がダンパー−−そういうイメージです。

他のたとえを考えてみましょう。たとえば煙道からエントツへの流れを、渋滞なく流れている大きな3車線の道路に例えれば、ドラフトを開けることは自分が走っている3車線の道路の左側に合流する車線があるような感じです。合流するクルマがひっきりなしで、実質1車線が合流車両に取られてしまいました。3車線は炉内からの排気で、そこを走っているクルマが炉内からの排気です。

そしてダンパーは3車線の道路に突然現れた工事区間で、1車線が規制され、その車線のクルマが隣の車線にウィンカーをつけて合流しようとするため、道路が若干渋滞気味になり、全体の走行スピードが下がる感じでしょうか。2車線が規制されれば完全に渋滞になり、流れは止まってしまいます。ダンパーを閉めすぎる状態、とも言えるかもしれません。

極論を言えば、どちらかだけの操作でも問題ない場合もあります。しかしダンパーを閉めすぎれば、煙道が物理的に狭くなってしまいます。そこで、たとえばドラフトのレンガ栓が6分割されているのであれば、そのうちの一つを取る。そうすると外気が吸い込まれますから、ダンパーを閉めるのと同じ効果になります。この組み合わせ操作が重要です。

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ダンパーを閉じたまま焼成すると、事故が起きる

ここで、非常に重要な話をしなければなりません。

ダンパーを閉じたまま焼成を続けた結果、死亡事故が起きた事例があります。一酸化炭素中毒です。

煙道が完全に塞がれた状態で焼成を続けると、燃焼ガスが逆流します。密閉された空間で一酸化炭素が充満すれば、命に関わります。ダンパーとドラフトの操作は、単なる焼き上がりの問題ではありません。安全に直結する操作です。

この認識なしに窯焚きをしてはいけません。


押しと引き−−炉圧を理解する

ダンパーとドラフトを理解するために、もう一つ重要な概念があります。

押しと引きです。

押しは火力を上げることです。アクセルを踏み込む感じです。引きはエントツへの排気です。当然、引きすぎれば炉内の熱がエントツから逃げていきますから、温度が上がりません。

この押しと引きのバランスをどう把握するか。

炉壁には確認用の穴が開いています。そこにライターの火をかざして、炎の状態を見ます。

  • 炎が動かない → 押しと引きのバランスが取れた状態
  • 穴に吸い込まれる → 引きが強い状態(排気過多)
  • 吹き返される → 押しの状態(炉圧が高い)
  • 目視できるほど炎が吹き出す → 還元状態


デジタルの計器ではなく、ライターの炎という明確な判断基準を持つ。これがベテランの窯焚きの基本です。


還元焼成とは何か

還元焼成についても整理しておきましょう。

還元状態とは、炉内へ供給される燃料に対して、その燃焼のための酸素が不足した状態のことです。これを作るために、ダンパーとドラフトの操作で排気を絞りつつ、ガス圧を上げるという操作をします。排気を「押さえながら」火力を「上げる」−−一見矛盾するような同時操作です。

この操作によって炉圧が上がり、ライターの炎が穴から吹き出すような還元状態が生まれます。

ただしここで注意が必要です。還元をかけようと焦ってダンパーを閉めすぎると、煙道が詰まって危険な状態になります。だからこそ、ドラフトとの組み合わせ操作が重要になるのです。


マニュアル通りでは、窯は焚けない

ここからが本題です。

ダンパーとドラフトの操作を理解していない人には、共通した特徴があります。

「何時になったらこうする」「何度になったらダンパーをこうする」「還元焼成にするときにはダンパーを何センチ入れる」−−こういった把握の仕方をしている人です。

マニュアル通りにやれば、いつも同じ結果が出ると思っている。しかし現実はそうではありません。

気温、気圧、湿度、窯の中の作品の量、棚の組み方−−これらは毎回違います。同じ操作をしても、夏と冬では全く結果が違う。湿度が高い日と乾燥した日では、排気の状態も変わります。作品が多く詰まった窯と、少ない窯でも違う。

これらの変化に対応するために、ダンパーとドラフトがあるのです。

マニュアル通り派の人が直面する失敗は、現場でよく確認できます。温度が上がらない、焼成時間が不必要に長い、引きが強いままで無理に火力を上げるから燃費が悪い、エントツが赤熱する、それによる火災やボヤ、作品が安定しない−−そして窯が変わると途端に操作できなくなる。

窯が変わると操作できなくなる、というのが特に象徴的です。特定の窯のマニュアルを覚えているだけで、原理原則を理解していないからです。少し脱線しますが、同じような理由で、”自分の窯だけの焚き方”を他の窯で行おうとしたり、それを基準に人に指導をして、トラブルや事故を起こすこともあります。ほかの窯を使っている人のアドバイスや顔の見えないネットの情報などは当てにしてはいけません。全ての窯はある意味違いますが、原理原則は同じです。それさえわかってしまえば、なにも難しいことではありません。他所の台所でいつもと違う鍋でお湯を沸かすような話です。


電気炉とガス窯−−それぞれの特性を活かす

ここで少し、窯の種類の話をしておきましょう。

電気炉はプログラム制御ができるので便利です。ある温度をずっとキープすることができる。炎のある窯では不可能な焼成パターンを作ることも、それを何度も完全に再現することもできます。これは電気炉にしかできない強みです。

一方、ガス窯や灯油窯は炎の流れを想定した設計です。その炎の流れを利用して、還元でも酸化でも、様々な雰囲気を作り出すことができます。窯の中の場所によって表情が変わる、その豊かさは炎のある窯ならではです。

どんな燃料の窯にも一長一短があります。問題は、その窯の利点を活かした仕事をしている人が少ないことです。

電気炉を使っているのに、プログラム制御を活かしきれていない。ガス窯を持っているのに、炎の流れを意識した焼き方をしていない。道具の特性を理解せずに使っている−−これは非常にもったいないことです。

電気炉でしかできないスタイルがあります。ガス窯だからできる方法があります。まず自分の窯が何を得意としているかを理解する。その上で、作りたい作品を考える。この順番が、道具を活かすということです。


今すぐエントツを見直してほしい

新しくガス窯や灯油窯を検討している方だけでなく、すでに使っている方にも、ぜひ一度自分のエントツの設置状態と操作方法を見直してほしいと思っています。

エントツが短すぎる、直角に曲げている−−そういう事例が実際によくあります。

エントツの形状については、クルマやバイクのマフラーを想像してもらえればわかりやすい。マフラーを直角に曲げることはしませんよね。曲げるのであればゆるやかに角度を持たせて、その先に十分な長さを確保しているはずです。

学校のような建物で1階が窯場という場合、エントツが途中で曲がるのは仕方ありません。しかしそういう場合でもできるだけ直角にはしない。なるべくゆるやかな角度にして、外に出た垂直部分も十分な長さを確保する。これが基本です。

自分のエントツを見直すポイントはシンプルです。

  • 長さは十分か(ガス窯であれば4メートル程度が目安)
  • 直角に曲がっている箇所はないか
  • 曲げている場合、その角度はゆるやかか
  • 外に出た垂直部分は十分な長さがあるか


「なんとなく温度が上がりにくい」「焼成時間が毎回長い」と感じている方は、ダンパーやドラフトの操作の前に、まずエントツの設置状態を確認してみてください。意外とそこに原因があることがあります。わたしもこれまで、他メーカーの窯のエントツだけをやり直す工事を行ったことが何度もあります。


最後に−−ガス窯は「なんでもできる窯」である

ダンパーとドラフトは、単なる排気の調整機構ではありません。窯の中の世界を読み、押しと引きのバランスを取り、安全を確保しながら理想の焼き上がりに導くための、窯焚きの根幹です。

そしてその操作に必要なのは、マニュアルではなく理解です。数字ではなく判断です。

ガス窯や灯油窯は難しい窯ではありません。原理原則を理解すれば、電気窯では到底できないような焼き上がりを、自分の手でコントロールできる窯です。還元焼成、酸化焼成、その中間−−焼き方の幅が圧倒的に広い。量産の現場でプロが選び続けてきたのは、そういう理由です。

これから中古市場にガス窯や灯油窯が出回る機会も増えてくるでしょう。「操作が難しそう」という理由だけで選択肢から外してしまうのは、あまりにももったいない。

ライターを一本持って、炉壁の穴に火をかざしてみてください。その炎が、今日の窯の状態を教えてくれます。

原理原則を理解した瞬間から、窯焚きは怖いものではなくなります。



※生成AIとともにこれまでの記事をまとめました。窯の操作について、相談するところが無い方は遠慮なく、ふくおか陶芸窯へご連絡ください。080-9534-7310
posted by inoueseiji at 06:42 | 窯と焼成に関すること

2026年02月26日

液化石油ガス設備士だから出来ること笑【ガス窯】

お気に入りあの子がボンジョビの息子と結婚していたという情報にいろいろと心を揺さぶられたイノウエです。

そんな歳かぁ〜、俺もボンジョビも。
情けなくって鼻血出てくらぁ。


さて。

ガス窯のバーナーヘッド、ゆるめてますか?

★過去記事 バーナーヘッドはなぜ割れるのか


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知人の作家さんのガス窯のバーナーヘッド。

片側だけ壊滅状態。

多分ですが、搬入設置時にバーナーを取り付けた人がに二人で、左右のバーナーヘッドの締め付け具合が違ったのでしょう。

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ミリミリアクア(mmAq)の圧力計だったので50kPaのものに交換。
そもそも古い奴は完全にゼロが狂ってましたからね。

パスカルに統一されたのはたしか1999年だったんじゃないでしょうか。

kPaじゃない圧力計の方は
即交換してください笑。

あとガス窯でMPaの人、
まともに焼成できないので、
それも交換してください。


安心してください。

イノウエは液化石油ガス設備士の免状持ってますから!

持ってない人は違法だからやっちゃダメです。


バーナーの取り外し → 違法
圧力計の交換 → 違法

で〜す。


各産地は大丈夫かしら〜?
作業時はガス屋さんにお願いしましょう。


試験受ける人はネジ切り機貸しますよ〜。


posted by inoueseiji at 08:03 | 窯と焼成に関すること

2026年02月20日

小型電気炉を3ケタ販売して思ったこと

友人がヤマザキ秋のパン祭りに当選していましたイノウエです。

さてさて。


先日、受講生からこんなことを言われました。


「小型炉を手に入れて勉強するのが、もう常識らしいですよ。」


え〜、たぶんそれを大っぴらに言い出したの、このオジサンだと思うんですけどね(笑)。


でも、それだけ認知されてきたというのは良いことです。

わたしですらこれだけ販売してきたのですから、某ナントカドットコムさんなどは、もっと多くの台数を世に送り出していることでしょう。


つまり、それだけ 窯と焼成そのものに意識が向く人が増えてきた ということ。
これは本当に喜ばしい変化だと思っています。


ただ、その一方で、現場ではいろいろ考えさせられることもありました。


今日はそのあたりを少し書き残しておこうと思います。

とりあえず吐き出しておけば、いつかAIがうまくまとめてくれるでしょう(笑)。

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電気炉を売る側として感じたこと


実際に販売や相談を受ける中で感じたのは、こんな点です。


  • 焼成時の排気への意識がほとんどない

  • 実現できないRFへのこだわりと憧れ

  • 電気炉ならではの仕事(作品)をする人が少ない

  • 電気に関する基礎知識がほぼ共有されていない

  • メンテナンス方法がわからない

  • 使い始めの空焚きが知られていない

  • 他の窯との違いが理解されていない

  • メーカー・モデル差を正確に把握している人がほぼいない

  • 根拠のないアドバイスを受けてしまうケースが多い

  • 陶芸教室講師や陶芸家に反対される人が意外と多い




……ざっとこんなところでしょうか。


思い出したら、また一つずつ書いていこうと思います。




商売の話を少しだけ


正直に言えば、商売ですから「ふくおか陶芸窯」で購入していただければもちろんありがたい。


でも、自分にも経済的に苦しい時期がありましたし、今だって楽ではありません。

同じものなら安いところで買おう、という気持ちはよくわかります。


そこについて思うことは特にありません。


ただし。


ネットで顔の見えないところから購入して、質問やサポートだけ無料でこちらに求められると……まあ、思うところはありますよね(笑)。




せっかく買った電気炉を長く使うために


とはいえ、せっかく焼成に興味を持って電気炉を手に入れたのなら、長く楽しく使ってほしい。


ということで、今回は ヒーター線と窯のための「空焚き」 について書いておきます。
ぜひ広めてください。


基本はこれだけです


  • 購入したらまず本焼温度で空焚きする

  • 当然、作品は入れない

  • 棚板・棚組みは実運用どおりすべて入れる

  • 空焚きでも排気を意識する

  • ヒーター線の酸化被膜は1200℃以上で形成される

  • 最高温度で数時間キープ運転する



動画やブログでも繰り返し書いてきましたが、現場の実感としては、まだまだ知られていません。




よくある間違い


実際によく聞くのはこんな流れです。


  • まずは低い温度からだよね

  • 素焼きプログラムで動かそう

  • 届くまでに作品たくさん作ったし

  • せっかくだから入れちゃおう

  • 排気ってなに?

  • あれ?もう断線した…



ちなみに、共栄電気炉製作所さんのように出荷前検査をしっかり行うメーカーでも、試験は素焼き温度程度までです。




「慣らし運転」の感覚は間違いではない


クルマの慣らし運転のように、「最初は低温から」という感覚は理解できます。


わたし自身、何も知らなければ同じことをしていたと思います。
実際、人生で初めて手に入れた電気炉では、慣らし運転も空焚きもしていませんでした。


だからこそ、


  • 情報がない中で丁寧に使おうとする気持ち

  • 後から正解を知ったときの悔しさ



どちらもよくわかるつもりです。


自分が嫌だった経験を、他の人にはしてほしくない。
だから教育や訓練や法律というものが存在するのだと思います。




電気炉でも「窯の中」で起きていることは同じ


電気炉でも、炉内では他の窯と同じく熱化学反応が起きています。


つまり。


煙突がない電気炉でも、排気は必要です。




……あれ?


排気できないヤツ、あるよね?



※ オリジナルの記事には読むに堪えない表現が多数見受けられたため、生成AIによる清書された文章を掲載しております。
posted by inoueseiji at 07:29 | 窯と焼成に関すること

2026年02月14日

グレーって何色?【電気炉の三相モデル】

あいの里に癒されていますイノウエです。

さて。

謎のいろいろが解けたところで、推理小説のように溜飲が下がるわけでもない。
犯人も被害者もがもういないとか、ただ自分だけが心を傷めただけなんて、ジュリアに傷心なことがショッチュウある。

電気炉にはメーカーにもよるけれど8kWぐらいから三相モデルがある。
三相は低圧電力契約、一般家庭の従量電灯契約とはことなり、設置する機器の電気容量で契約をするもの。

1kWあたり千円ちょっとの基本料金が発生します。
たとえば10kWの電気炉であれば1万円と少しが基本料金になります。

しかし焼成時の電気代は単相の電気炉よりも安くなります。

これはこの制度は、国内の製造業を支えるために工場などを想定してスタートしたらしく、必要な電力を供給するために機械の容量を確認して申請させ、毎日の使用料は抑える、という趣旨だと読んだことがあります。

産業を支える国策のようなものでしょうね。

しかし電気炉は毎日動き続けるわけではありませんから、この基本料金がネックになるともいえます。一切使用しなくても半額がかかるようですし、そもそも全く使用しないことはなかなかないでしょう。

先日の現場で共栄電気炉製作所から確認を指示されたことのひとつに、お客様の契約状況を確認してほしいというものがありました。そして実際に電気炉の容量と契約容量が1kW違うことが判明。

最初その理由がまったくわかりませんでした。
しかし共栄電気炉製作所の方は、たまにこういうことがあると教えてくださいました。

それは基本料金を下げるため。

ここからはオジサン二電工の想像。

10kWの電気炉で5kWの契約はあからさま。契約には図面の提出が必要で、本当に5kWならなんでこんな太い線使ってるんだと突っ込まれるでしょう。点検でもバレバレ。

だからツッコまれない程度に。
1kWぐらサバを読んでの申請、

ということでしょう。


グレーな部分です、と共栄電気炉製作所のHさん。


グレー?
違法です。
ブラック。


わかるよ。
お客様の基本料金をちょっぴり抑えてあげようという善意。

でも違法な善意はだめだろう。

そのお客様も、そういえば電力会社の点検時に、契約容量のことを言われたことがあったということを、私の説明を聞いて思い出されていた。

無条件に信用してくれるのは業者としてはとても嬉しい。
でもまさかその築炉工事や補修工事が、間違ったとはいわないが、グレーなものだったらどうだろう。

設置工事中や補修工事で事故が起きていたら?
その後の実況見分で違反や無資格が判明したら?

これまで何回か確認しているけれど、どっちも無知で途中まで幸せでしたというパターンもある。

上手く焚けないのは自分のせいだと思い込んで何年も過ぎていく。
本当は設置や説明が間違っているのに。

無資格もダメ。
無知もダメ。
違法は論外。


お客様になる側も意識を上げてほしい。

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(ロクロで遊ぶな!意識低いぞ)


こんなこともある。

なにも調べず大型の電気炉を設置した。

基本料金が毎月5万円ぐらい。
使わなくても半額。

元を取るほど売れまくるわけでもない。

で、たまりかねて灯油窯に改造とか。
それで引き取りは幾らかって?

そんな改造した元電気炉に製品価値はない。


どうやったらこういうことを無くせるだろうか。


学校とかにPDFファイルを送り付けるか!


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(あいの里の内容で泣いているわけじゃないのよ)

posted by inoueseiji at 08:00 | 窯と焼成に関すること

2026年02月06日

ハニワの先にいるのは

昨日は今年初の休肝日でしたイノウエです。

以前から工房に来て下さる方々が野焼きをやってみたいということでしたのでようやく。
山内陶料さんの野焼土で作っておいてもらい、いつものメンバープラスツーで開催です。

皆の日頃の行いが良かったのか、3月並みに暖かい日、ご飯も持ち寄りで外でいただきました。
昔からの友人も急に連絡があったので飛び入り参加。

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大成功でございます。

昔小学校で8年ぐらい生涯学習センターのアウトリーチ授業で野焼をやっていましたが、やっぱり大人も楽しいイベントです。

野焼は穴掘ったりとかいろいろなやり方がありますが、わたしは作品が見える状態でやる野焼をお勧めします。作品が変色していく様、それがさらに温度によって変化していく様子を目で見ることができる。炎の取扱い、安全への意識、輻射熱がスゲーってことを体験する。

こればっかりは新聞読んでもAIに聞いてもわからない。

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ですよね。

頑張りますよ〜。


いろいろありますが。



やきものは楽しいぜ!

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(インディーズバンドかって!)


posted by inoueseiji at 07:24 | 窯と焼成に関すること

2026年02月05日

電気炉のヒーター線【三相】

自分が電気工事士の免許を取得したのは40歳の時だ。

ロックンローラーらしく最終学歴は芸術学部卒のイノウエだが、訓練校から築炉の仕事をし徐々に電気炉の取扱いも出てくる中、自分の電気炉のヒーター線を交換することになった。100Vの旧型である。

その際にたまたま友人に電気工事屋が数人いたので助かったが、これは素人がすることではないと思って一念発起して免許を取得したのである。ヨメにウソをついても窯の仕事にだけはウソをつきたくはない。

そしていつも言ってますが免許を取っても何かが出来るわけでもない。コツコツと勉強したり、共栄電気炉製作所の方に電話の向こうで呆れられたりしながら邁進するしかないのだ。そんなオジサンも今年で56歳になるわけで、免許歴だけいえば15年選手である。その年数になんの意味もない。陶芸教室歴15年といい勝負だ。今でも電気は怖いし不安だ。だからいつも「安全第一」と自分を戒めている。勉強のためにいまでもたま〜に友人の電気工事についていく。


そうだ。
自分に電気屋や電気炉屋の常識がないのは重々承知している。

アマチュアの作陶家が自分の電気炉を自分でどうにかしようとして火花を散らしたり、プログラムコントローラーの盤内で変なことして熱暴走させたりしても、同じ男の子、その気持ちは結構わかっているつもりだ。

ぶっちゃけ痛いほど分っているよ。

わたしもなんでも出来る人を目指してこうなった。そういう子たちと違ったのは免許を取ろうという考え方をしただけで、取らないヤツの気持ちもわかる。若い時だけではなく、今でも自分にそういう部分があるのを感じ取っている。

バイクのエンジンを整備士でもないのに開けてたし、自転車の整備は自分でするものだと思っているし、ホイールも組んだことあるし、クルマのオイル交換も自分でしていた時期がある。最近の話でいえば時計の電池交換は全部自分でやっている。わたしもどっちかというと困ったさんなのである。

しかし、それによる結果は我が身のみに降りかかることであって、その自己責任を覚悟してのことだ。

今の筑前工房の補修も電気は全部自分で出来るが、さすがに井戸ポンプの修理はウン万円払ってプロにやってもらったし、高い所は苦手なのでエントツ屋根の補修で危ない所は友人をおだててやってもらったりする姑息な中年なのである。


しかし。

それとプロの世界は次元が違う。
それはあなたもわかるだろう。


築炉メーカーが仕事としていい加減なことをするのはいただけない。
はっきり言って許せない。

先日、初めてご連絡をいただいた作家さんの電気炉を現場に確認に行った。

三相の電気炉で、製造メーカーは熱研ですでになく、20年目でのヒーター線の断線の際にはどこに頼めばいいのか困ったようだ。
知人に紹介された某産地にある某築炉メーカーに連絡をし、そこがヒーター線を交換したとのことである。

しかし、そこから焼成時間が延びるし、温度が思うように上がらなくなった。連絡してもフワフワした対応しかされず、気がつけば数年が過ぎつつあった。埒が明かないのでネットで見つけていた私に連絡があったという流れ。

さて。

このオジサンが電気工事士の免許があるとしてもヒーター線を作れるわけではない。それはいつもお世話になっております、共栄電気炉製作所さんにお願いするので、寸法や配線の状態を測定、記録、撮影して丸投げである。しかし今回、このオジサンでも「?」と思うことがあったが、現場ではお客様には言わなかった。不安にしてもしょうがない。

データを送ると即折り返しの電話があり。

「ほんとに現場で測りましたか?」
「はい。」
「この数値はおかしい。」
「もう一度〇〇も測ってもらえますか?」
「え、それは可能ですが、やっぱり?」

ということで再訪。
(何県かは言わんがわかるよね?)

問題は、電気炉のサイズは容量でいいますが13kWというモデルなのに、10〜11kWの能力しかない。

三相の電気炉の方のためにお伝えしますが、三相は3本の電線が繋がっているので、√3が計算に出てきます。



大丈夫。オジサンも数学2だったから。
これ単純に覚えるだけ。

その電流値の測定を現場でしたら37Aではなく31Aしかなかった。


√3(1.732) × 200V × 31A = 10738.4 ≒ 11kW


ということになる。

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お客様の修理を頼んだときの記憶や実際の焼成の状態を聞いて総合的に判断すれば、ようするにこの補修をした某築炉メーカーは、どうも直径の近い在庫のヒーター線で補修したということのようにも想像できます。それが適正ではないとわかっていたのかどうかですが、産地から少し離れた女性の作家の電気炉なんてこれでいいだろうと思ったのかもしれませんし、ただ無知だったのかもしれません。

ヒーター線の直径が細いということは発熱量が少ないということになるだろう。キッチンのコンロを修理してもらったらサイズが小さくなっていて、いつも沸騰していた大鍋で全然沸騰しなくなった、という状態である。


う〜ん。



訴えません?

マジで。

まぁ証拠は残しておきますね。


久しぶりに仕事で涙目になりました。
父ちゃん情けなくって涙出てくらぁ!って感じ。

共栄電気炉製作所の方もいつも大人の言い方で「他所さんはいろいろと変わったやり方をされているので…」とおっしゃいますが、ようするにダメな工事が多いってことよ。これは以前同行してくれた電工さんも某〇ク〇メーカーの制御を触っていて指摘していたわ。


そりゃ衰退するだろ。
こんな仕事をその産地の築炉メーカーがしてんだから。

半端大工が余ったベニヤ板で壁をふさぐのとはわけが違う。
窯です。陶芸家にとって一番重要な設備です。
波山は家を薪にして窯焚いたんです。




あなたならどうですか。

プロと思った所に頼んだら、直るどころかおかしくなっている。
しかもそれは相手の不真面目さによるものだ。

電気的な配線が間違っていたわけではない。
確信犯的にヒーター線がまちがっていたとしたら。

その後の数年間、ストレスを抱えながら作家活動をするはめになったとしたら。


あとでこんなオッサンにこれ間違ってますね、と言われたら。
そしてまた補修の出費をしなくてはならなくなったら。



許せますか?

そしてそれは自分の勉強不足ですか?



違いますよ。




築炉メーカーのモラルだろ。








posted by inoueseiji at 07:52 | 窯と焼成に関すること

2026年01月30日

毎日クルマを運転していてもエンジンの修理はできないでしょ?




久しぶりの記事ですが、またちょっと切ない話になってしまいます。

時々ある自分で何かをやって壊れたみたい、というお問合せ。
その製造メーカーが関西だったり関東だったりで九州まで呼ぶのは相当なコストと想像し。
おや福岡にこんな業者がいるじゃないかと連絡をいただくのでしょう。

しかし残念ながら、一度無資格での作業をされてトラブルが起きたものはかかわりたくありませんし、事実お断り一択です。

ガス窯とか灯油窯のレンガがどうしたとかそういうものではなく、電気炉ですね。制御盤内を触ったとか、ヒーター線を自分でどうにかするとか。

無理です。

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先日は電気炉の制御盤の不具合にたいして、自分でちょっとした部品を交換したために熱暴走を起こしたような内容でした。残念ながら私が現場にいくこともありません。メールの返信で製造メーカー連絡するようにお伝えしてフェードアウトです。見ていませんが恐らくは全損だと思います。その方も自己責任という言葉を使われていましたが、自己責任って本当に恐ろしいことです。

じゃあ電気工事士の免許をもっていればいいのかということなのか。
これまでのお客様の中にも女性で免許をお持ちの方もいましたし、受講生にも何人か電気工事士の資格保有者がいらっしゃいました。

しかし以前にも記事にしましたが、電気工事士の免許を取っても電気炉の補修は無理です。
わたしも様々なことを経験し、現場ではいつも共栄電気炉製作所のCICと無線連絡を取って制御盤と向き合っているのです。

安全を確認し問題ないと写真を確認してもらっても、一回でスパッと動くことの方が少ない。その都度アドバイスをもらいながら確認をしながら作業する。バックアップがあるのです。


ただ電気工事士の免許を取ったというのは、クルマの免許を取っていきなりレースに出るような話。

あなたが毎日クルマを運転していてもエンジンの修理はできないでしょ?
ラジェーターキャップの意味と寿命とかさえ知らないではどうしようもない。
エンジンとかサスペンションとか以外に重要なチェック項目が山ほどあるけど、無資格未経験の人はそれがわからない。

電気炉や陶芸窯もそうです。全部に意味があり、それに対しての正しい保守や補修の方法がある。


無料で相談にはのります。
聞くだけタダです。
壊す前に連絡してみてください。

080-9534-7310
posted by inoueseiji at 07:47 | 窯と焼成に関すること

2025年12月26日

窯と窯場のお掃除方法

窯出しは大成功だったでしょうかイノウエです。

初めての本焼ですっかりはまった人もいたみたいですね。
今年の講座は終わりました。

ふくおか陶芸窯の仕事はあと一件県外がちょっとありますが週末はのんびり。
とはいえ家の大掃除も控えています。

窯を運用されているみなさんは、窯と窯場のお掃除もいかがでしょうか。
どこをどうしていいのかわからない、と全く何もされない方も多いものですが、ゴミやサビをそっと掃除機で吸ってあげるだけでもトラブルは防止されます。炉内にサビが入らないように、フレームのサビが進まないように意識してください。

特に電気炉の方、ウェーブ式のヒーター線の電気炉なら柔らかい刷毛でそっとヒーター線のホコリを落としつつ掃除機で吸ってください。そして炉内からヒーター線が外へ出ているところもしっかりとゴミを吸っていただくと良いと思います。炉壁の中でヒーター線が溶断している例がよくありますが、それはお掃除不足なのかもしれません。

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また電源を落としたことを確認してですが、電源回りの端子台などのホコリも取ってあげるとトラッキングなどのトラブルを防ぐことができます。壁のブレーカーなども確認しましょう。

フレームのサビはワイヤーブラシで落として油性のシルバーペイントをしておきます。耐熱である必要はそこまでありません。窯をきれいにすること、窯場をきれいにしておくことが重要です。いい仕事をされている人はやっぱり窯場や窯がキレイです。ぐちゃぐちゃでへっちゃらな人もいますし、どちらかというと自分もそっちのタイプですが、窯詰め前や年末はしっかりとお掃除しましょう。

ガス炉の人はバーナーヘッドの割れやヒビ、バーナーの中をライトで確認しておくのもいいですね。年に数回しか焼成しない方などは知らぬ間にバーナーの中にクモの巣ができていたりドロバチの巣があったりすることがあります。そんなことがあると知っているかどうかもトラブル防止には必要かもしれませんね。

ご安全に。

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posted by inoueseiji at 06:53 | 窯と焼成に関すること

2025年12月18日

酸化と還元【ダンパーとドラフト】

ノンストップで1キロ泳いでヘトヘトですよイノウエです。

寒くなってきてプールに来る人は少なくなっているような気がします。
それはいいとして。

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たまに見ているネット上の陶芸関連のグループのページ。
陶芸家でもなく、それを志望しているわけでもないのに、仕事上で窯を焚かなければならない人から(意外とそんな人はいる)ガス窯の酸化と還元の雰囲気をうまくコントロールできないので、技術的なアドバイスを求めてコメントが入っていた。

わたしはそのページに投稿があった場合、窯の運用上で安全ではないこと、窯についての記載内容があきらかに誤っていることにはコメントを入れるようにしている。ほかのSNSでも同様にしている。自分ルールで。

そのガス窯についての質問の投稿には、すぐさま様々なコメントが入っていた。
質問者も返答者も、誰も窯のサイズ、メーカー、様式、エントツの状態、バーナーの種類や数、使用している原料、焼成データなどは何も書いていない。まずはそれをツッコミたかったが、すでにダンパーとドラフトを軸に複数のコメントが入っていた。中には明らかに誤りや誤解、そもそもガス窯の経験が無いのでは、という方もいた。そしてすべてのコメントが言葉が足りなかった。

質問への返信はすべて善意で行われている。
もちろん承認欲求などもあると思う。
少なくとも自分には多少ある。
なければネットで発信なんかするもんかい。

でもね。

酸化と還元をダンパーとドラフトだけで語るのは無理です。
また自分が使用していない機材についてアドバイスをすることも無理があると思います。
そして無責任です。

わたしは情報が少なくてなにもアドバイスをすることはできないし、ガス窯の焼成方法はこのようなコメントの積み重ねで習得できるものでもない、まずはガス窯に精通した陶芸家か、その窯の製造メーカーに連絡して、立ち会って焼成指導をしてもらうことを勧めます、と書きました。そして自分はプロであり、どこにも頼れるところがなければ連絡してくださいということも。

どうするのかは質問者次第だろう。

さて。

もし、これを読まれている方で、自分のガス窯の焼成方法に自信がない方がいらっしゃるのなら、遠慮なくお電話ください。

分からないまま焼成を続けていくことは危険です。
もしかしたら5分の電話で作品はもっと安定して燃料費も節約できるかもしれません。
逆に自分は正しかったと自信を持てるかもしれません。
補修の必要性がわかるかもしれません。

窯の焚き方に秘密もなにもない。
ガス窯で酸化焼成はいくらでもできます。
それよりも誤った操作で危険な目にあう人を減らしたい。


ご遠慮なく。





ふくおか陶芸窯 井上誠司

080-9534-7310




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posted by inoueseiji at 07:06 | 窯と焼成に関すること

2025年12月16日

K-Cシリーズ価格改定

おはようございます。
緊急でブログ書いております、イノウエです。

昨日アナウンスがあり、来年の2月発注分より新価格となります。

各モデル、5〜10万円値上げになります。

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240Cは36万から41万に。
2430Cは39万から45万に。
ちなみに税別。

ということは、補修費用も上がります。

見積を出させていただきました方々、どうかご注意ください。
発注時に価格が変わることもあり得るということです。それぞれご案内はいたします。

正直厳しいですが、断熱材やヒーター線の素材の価格高騰が続いているようですし、人件費も上がっていますからね。

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こうした値上げの時期に起こりがちなのが中古炉の動きが活発になることです。
値段も上がります。窯選びはどうか慎重に。

この仕事で一番重要な設備なんですから。
posted by inoueseiji at 07:13 | 窯と焼成に関すること

2025年12月04日

トラッキングを防ごう【電気炉】

今日はお休み〜と設定しても電話とメールがガンガンきますイノウエです。
逆に今日は頑張るぞ〜という日は超絶ヒマだったりするけど笑。

さて。

先日いろいろと検索してご家族とお電話をいただいたお客様。

古い七宝炉をお使いとのことですが、火花が出て動かなくなったとのこと。
ウチから結構近いところでしたし、電話では100Vなのか200Vなのかもよくわからない。やり取りするぐらいなら行ったほうが早い。見積りのための確認ですから請求はありませんとご説明してから伺いました。

行ってみれば、シロタの80年代の200Vの七宝炉。
けっこう大きいほうでした。上絵窯のようなデザイン。

製造は80年代ですが、古い大西先生の本に同じような上絵窯の写真があったので、基本設計はもっと古いのかも。

スイッチ部分がカバー付きナイフスイッチ。

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白いレバーをガッチャンコと上にあげるとスイッチオンになります。いかにもですが、問題はこの隙間。そして床にも落ちている本体からのサビ。そして長年のホコリ。カバーを外してお掃除をし、とりあえず今日の窯詰めと焼成はできるようにしました。

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また後日ブレーカーに交換するか、カバースイッチを交換するかになるでしょう。もっとも今となってはブレーカーにすることがほとんど。

トラッキング現象についてはGeminiに聞いてみた。


!️ カバースイッチとトラッキングのリスク

1. 構造的な問題点

カバースイッチは、以下の構造的な理由からトラッキングリスクが高まります。

  • 充電部の露出と隙間:

    • カバースイッチは、ヒューズ交換や操作のためにカバーを開閉する構造上、内部の充電部(端子やブレード部分)が完全に密閉されていません

    • カバーと本体の間にわずかな隙間があり、ホコリや金属粉、湿気が侵入しやすいです。

  • 絶縁距離の確保が不十分:

    • 古い設計のものが多く、端子間の**空間距離(沿面距離)**が、現在の安全基準を満たす機器ほど確保されていない場合があります。

2. トラッキング現象のメカニズム

カバースイッチ内部でトラッキングが発生するメカニズムは以下の通りです。

  1. ホコリ・湿気の付着: 侵入したホコリや粉塵が、空気中の湿気や蒸気、油分などを吸着し、帯状の導電路を形成します。

  2. 微少なショート: この導電路を通じて、充電された端子間で**微少な電流(漏れ電流)**が流れ始めます。

  3. 炭化(トラッキング): 漏れ電流により発熱し、絶縁物(本体の磁器や樹脂など)の表面やホコリが炭化します。炭化物はさらに導電性が高いため、漏れ電流が増大します。

  4. 発火: 最終的にこの炭化路が高熱となり、**火花放電(フラッシュオーバー)**を伴い、発火に至ります。


️ NFBへの交換による安全性向上

このリスクを考慮すると、今回の**ノーヒューズブレーカー(NFB)**への交換は、トラッキング防止の観点からも極めて有効な安全対策となります。

  • 密閉構造: 多くのNFBは、充電部がモールドケース(樹脂)内部に完全に密閉されており、外部のホコリや湿気が触れることがありません。

  • 高いIP規格: 設置する分電盤やボックスを**IP規格(防塵・防水規格)**の高いものにすれば、さらに侵入リスクを低減できます。

電気炉の安全かつ安定した運用のためにも、ぜひNFBへの交換を進められることを強くお勧めします。




電気炉だけではなく、一般住宅のコンセントでも起こるトラッキング。
下手すれば火事になります。

寒空のもと洗車したり、新しいグロスを買いにいく暇があったら、電気炉の本体のサビ落とし、窯場の掃除とホコリの除去、各部を掃除機で吸うなどをしてください。電気工事士じゃなくてもできることはあります。

まず、どのような窯でもいえるのは、窯場をきれいにすることです。窯からのサビはどうしようもありませんが、それを放置する、掃除しない、が問題なのです。


まっ茶色のジャリジャリのサビくれたチェーンの自転車が走っているのをよく見ますが、そんな意識の人がロードレーサーになれないように、窯のサビや窯場の掃除ができない人もなかなか成功しにくいのでは、とオジサンは心配しています。


実はこれまでもブレーカーや漏電遮断器回りのホコリを落とすだけのお仕事はありました。これだけで金をとるのもなぁと思いますが、半日つぶして現場まで赴いている以上、それなりの料金が発生します。ガッツリ商売の教室さんとかからは遠慮なく請求しますが、わからないなりに一所懸命に頑張っているアマチュアの方からは請求しにくいのも事実。ただ掃除だけしておいてくれれば、ということなんですからね。


電源を確実に落とし、掃除機の細いノズルを構えて、掃除用の刷毛などで優しくホコリを取っていただければいいのです。自宅の分電盤などは4年に一回の点検がくるかと思いますが、彼らが電気炉の接続部分をチェックすることはありません。それは使用者側の責任になっているからでしょう。トラッキングで電気炉のプロコンなどが壊れたりすればかなりの出費ですし、火災になればシャレにもなりません。


年末に向けて、窯のまわりも大掃除してください。とくに、最近全然使っていなかった窯の場合、制御盤内やバーナー本体の中に蜘蛛の巣がはっていたりすることがあります。地域や設置場所によっては泥バチの巣みたいなものができているなんてこともあるかもしれません。それに気が付きませんでしたでは永遠にプロにはなれません。一番大事な商売道具です。お掃除してあげてください。




ご安全に。


posted by inoueseiji at 07:16 | 窯と焼成に関すること

2025年12月01日

20年以上前のはなし【ガス窯】

プールで泳ぎ過ぎて筋肉痛、イノウエです。

先日九州に移住される作家さんからガス窯についてのご相談をいただきました。
エントツ工事についてのことでしたが、写真をいただくとシンポさんのネームプレート。

一瞬「シンポのガス窯かぁ〜」と思いましたが、全体像などの写真を順次いただくと、明らかにとあるメーカーの造り方だとわかりました。フレームや各部の造りも大変良い。なかなか良い窯だとお見受けしました。

そして急に自分の古い記憶もよみがえってきたのです。

自分が訓練校を修了し、瀬戸の大沢ガス炉商会に入ったのは1997年、そのころシンポ工業も日本電産グループになります。すぐだったかどうかの記憶があやふやですが、シンポの関東の営業の人から、ネームプレートをシンポにして大沢ガス炉さんに製造してもらいたい、というような仕事がいくつかありました。その営業の人はかなり優秀だったらしく、大沢ガス炉へいくつかの発注をしたあとに日本電産グループの別部門に引き抜かれたと聞きました。後任の営業の人になったとたんにパタリと窯は出なくなりました。

今回のお客様からのお問い合わせで、それと同じようなことが他地域の他のメーカーでも行われていたんだと、今になって知ることができました。旧シンポ工業から日本電産グループにと、社内はゴタゴタしていたのかもしれません。もしかしたらガス窯の製造は止まっていたのかもしれませんね。懐かしいようななんともいえない気がします。

旧シンポ工業のガス窯も当時カタログにありましたが、あまり良い窯にはわたし個人には思えませんでした。実際にそういう声があったのかもしれません。当時のその営業の人も特に窯に詳しい感じはなかったのですが、だったらOEMしてもらおうという発想になったのかもしれません。出来るところに話を振って顧客満足度を上げるというのは営業として正しい。でもメーカーとしてはより良い製品やアフターサービスを充実させて顧客満足度を上げるべきだったのかもしれません。

それにしても、今回思ったのは、シンポのネームプレートの窯を見て、これはシンポじゃなくて〇〇〇〇の製造じゃないの?と看破できる人がどれだけいるのだろうか?ということです。そういう人を増やすことが今後の発信の目的のひとつであるのは間違いありません。

クルマやスマホの違いぐらい陶芸作家さんが窯を語れればいいと思います。ゴルフとアウディの違いは語れなくてもいいけれど、何人乗りかとか、ハイブリッドとガソリンの違いぐらいは選べるはずです。山に行く気のないランクルとかも都心を走っていますが、そういう方もランクルのブランドや価格でチョイスはしたはずです。だったら窯でもそれができるように、これからもわたしは馬鹿な記事ばっかり書かないでコツコツと発信を続けていきます。

今回気が付いたのは、バーナー回り、フレームの作り方、各部の細かいパーツの形、配管の取り回し、などからの判断でした。その後自分が過去に撮影した修理の画像やネットの写真で確定した感じです。

今日から師走。

朝のコタツでできる作業のひとつは発信や記録です。

日々コツコツと。




コタツだけに笑

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(大沢ガス炉の特徴は、HOPEで横バーナー、黄色配管、旋垂扉、壁厚め、エントツは鉄板曲げなど)
posted by inoueseiji at 07:34 | 窯と焼成に関すること

2025年11月24日

電気炉のエラー表示

数年ぶりに勤労感謝の日に休めましたよイノウエです。

先日地元の方から連絡をいただき、むかし懐かしの構わんの200Vを見てきました。
数年ぶりに起動させてみたら一回は焼成できたものの次にはエラー表示となってしまったとのこと。
電源ははいるけれどもファンは回らず、エラー表示のまま。

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(うんともすんとも言わない)

ほんとに近所の方でしたし、こちらの経験値にもなりますので伺いました。
アチコチをチェックしましたが、はっきりとは原因がわかりませんでした。

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(基盤が逝ったら終わりの設計)

温度センサーを直結したらファンは動きはしましたがそれ以上は無理。
ヒーターの断線はしてはいないようですが、これまでの焼成記録からすると寿命が近づいている回数ではありました。

16時半過ぎという絶妙な時間なので、共栄電気炉製作所の計装の方へお電話。はっきりと言って他社のこうしたトラブルを共栄電気炉製作所の方に聞くのは筋違いです。こういう無理筋な電話をするたびに、これまで積み上げたKYOEIさんへの貯金がゼロになっちゃう感覚があります。まぁでも今年は制御盤の改装をいくつか発注しましたし、通りもんの大箱送ったので許してねって感じです。

結局はこのタイプの場合、この基盤とプロコンがオリジナルなのでどうしようもありません。すべてを取り外してKDS製でカスタムすることは可能ですが、そこまでするなら新しいものが買えるぐらいになっちゃうかもしれません。このお客様にはその辺りを説明させていただきました。

いろいろとお話をさせていただきましたが、足掛け20年近く使ってきたし、ご自身がご高齢ということもあって処分するということになったようです。

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以前ご紹介したプロコンの換装ですが、これはプロコンだけではありません。リレーなどもすべて交換になります。ヒーター線と本体以外の中身は変わっちゃうという感じです。またそれぞれの部品には電圧や電流によっておびただしい種類があり、その選定や設計には制御や計装についての知識が必要になります。そして電気の配線を触るには電気工事士の免許が必要です。

もちろん、ある一つの部品だけがおかしくなることもあります。その部品だけを交換すれば良い、ということになりますが、ダメになった頃にはその部品は廃盤になっていて代替の現行品にする必要があることがほとんどです。その選定や施工はネット検索してもできません。またマグネットから電子式になっていたり、そもそも全部交換しないと、となることもあります。

わたしは施工時には、必要に応じて共栄電気炉製作所の方にサポートしてもらう体制を取っています。自営業なので土日でも仕事をしますが、プロコンの換装においては共栄電気炉製作所が稼働している日時でなければなりません。そして途中で必要ならば自分が配線した制御盤の写真をメールで送ってアドバイスを求めますし、通電のチェック作業も、計装課の方と通話をしながら行うこともあります。

一切電話などをすることもなく、一人でスパッと出来ることもありますが、通電しても動かないとか、プロコンの設定を入れ直すとか、換装作業後にいろいろと作業が発生することがほとんどです。

もしアナタが電気炉をお使いの作家さんで、プロコンにエラー表示が出たのであれば、ご自身でどうにかしようとはせずに、メーカーや設置業者に連絡してチェックしてもらってください。まぁそういう無茶をする方はほとんどいないでしょうけれど。

そういえば、数年前のお盆休みに、朝っぱらから電話してきたアマチュアの男の子がいましたが、無資格の業者と制御盤いじって火花が散ったからといってコチラに話をもってきても、そんな話を受けるわけないですよね。常識も資格も無い業者も業者ですが、お客の男の子も早朝から電話してきてオタクは電気炉修理できますか、なんて非常識でしたね。

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電気炉の修理について、実におおざっぱな動画や投稿がネットで散見されますが、ただただ危険なだけです。作家さんがたとえ30年電気炉で仕事をしてきたとしても、その経験は修理の知識とはまったく関係がありません。

わたしは電気工事に関する資格をたくさん取りましたし、友人に電気関係が多かったのもあり、いろいろな工事や作業を経験させてもらう機会がほかの陶芸窯取扱業者よりも多かったと思います。それでも共栄電気炉製作所の方のサポートがなければ現場で泣きそうになることがよくあります泣。だってそもそも芸術学部ですし瀬戸の訓練校ですし、ガス窯屋だったんですから。

プロやそれに近いレベルの方々は、安全のためにも資格のある業者さんやメーカーから購入し、メンテナンスをしてもらうようにしましょう。そして簡単で結構ですから電気炉の方は電気全般や制御についての知識を、ガス窯の方はプロパンガスについての知識を、ほんの少しで結構ですから知る努力をしてもらうと良いと思います。

どの燃料の窯で焼成をしたとしても、粘土が熱でどうなっちゃうのかの反応は変わりません。だけど窯ごとの相違点、エントツがあったりなかったり、排気栓があったりなかったりするのはなぜなのか、ちょっと考えてみてください。

そして、この仕事で一番大事なのは窯と焼成であることを忘れないで伝えていってほしいです。



ご安全に。
posted by inoueseiji at 07:47 | 窯と焼成に関すること

2025年11月03日

電気炉のプログラムコントローラーが壊れたら

文化の日は毎年文化的なことをしておりますイノウエです。

とはいえ、今日はまた電気炉ネタ。
今年はあちこちでプロコンの換装をしております。

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(焼酎ありがとうございました)

電気工事士の免許があっても制御に詳しいわけでもございませんので、共栄電気炉製作所の計装課の方々にサポートしていただきながらの作業。安全第一ですね。

古い電気炉をお使いの方で突然プログラムコントローラーが壊れたりしたらお手上げですよね。
さらに設置業者も廃業していたり、メーカーから邪険に扱われたりして、どうすればいいのかとお困りの方は、相談だけでもしてみてください。

結構直せたり、改造できたり、それこそ新規で製造もできますので。

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(マイコンってのがイイね!)




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世の中には、いろいろなプログラムコントローラーがあります。
ボタンがいっぱいのヤツもいいけど、設定温度と測定温度の同時表示がされるものがわかりやすい。

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(このプロコンだったら製造はKDSです)

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完全に新しくすることもできます。上の写真は三相の電気炉の制御部分。
リレーが3つ。オジサンもだんだんわかってきたぞ。

赤白の線がリレーに信号を送っています。
ソリッドステートリレーね。SSR。

最近の工事でよく見るのが電源ケーブルの劣化です。

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(これは壁付のブレーカーにつながっていた部分)

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(前回の記事ね)

これぐらいは目視で点検できるかと思います。

ハンパな芸術学部出身のオジサン電気工事士が言うことでもないでしょうが、明らかに電気工事や機械修理の常識がナイナイ!の人が作業したのがわかる施工もたまに見ます。その勇気に感服しますが、違法ですし危険です。

白線そこには繋がないだろとか、ワッシャーの向きが違うとか、スプリングワッシャーがなんでここに、とか笑えない。電気炉の感電死亡事故はあるんです。

共栄電気炉製作所の方に言われたことで、肝に銘じているのは「イノウエさん、電気は見えませんからね」ということです。

ガス窯や灯油窯の炎は見える。油が漏れれば床が濡れているし、ガスが漏れれば警報機が鳴るとかするでしょう。でも電気が漏れていたら(漏電ね)、感電するまで、事故がおきるまでわからない。

素人目でもいいんです。
ヒビや割れとかはオカシイと思える。
見える範囲の電線なり部品をチェックするようにしてください。
最低限それでいいんです。そして定期点検をしてもらいましょう。

異常を感じたらご連絡ください。
遠方の方でメンテナンスする業者もいないのなら写真でも送ってください。


この仕事で一番大切なのは新品のロクロじゃない。
中古でノーメンテの、その窯の方ですよ。


安全第一で楽しくいきましょう。


posted by inoueseiji at 07:42 | 窯と焼成に関すること

2025年10月29日

電気炉の設置環境【を:から】考える

ヨメに内緒でモニカ・ベルッチ、イノウエです。

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(ソフィーのことばっか言ってから!)

本日は電気炉の設置環境についてです。

わたしのガス窯は半分外みたいな場所においてあります。ちゃんと屋根があって壁もあるけど密閉空間ではないということです。
それはガス窯だからまぁいいかという感じであって、その設置環境を磁器系の作家さんに驚かれたこともあります。人によってはありえないってことですね。

一部開放なのは設置する場所の問題で妥協した部分であり、日々目につく場所なので製造経験のある自分が気をつけているからいいかという感じ。それでも明らかに屋内の窯よりもサビていくのは早いと思いますし、冬は窯焚き後の窯の下で野良猫が暖を取っていたりしていたこともあります。

これはガス炉や灯油窯ならギリオッケーでも、電気炉では厳しいという環境になります。
電気炉の本体や制御部分には、プロコンをはじめ、各配線の端子部分や端子台など、サビてしまうと困るものがたくさんあります。

とはいえ。
わたしのガス窯の設置環境のように今更場所を選べないという人もいるでしょう。

問題はそれに関してまったく意識がないことであって、使用者のアナタが「本当はこんな環境じゃいけないんだよなぁ」と思っているかどうかは、かなり電気炉の状態に影響すると思われます。

倉庫ならまだしもカーポートのような環境やベランダなどに設置するのは本来は好ましいことではありません。でも湿度対策をするとか、カバーをするとかの工夫があるのかないのか。せめてそこへの意識はほしいものです。

ふくおか陶芸窯で購入してくださったお客様の中にはベランダに設置されている方もたくさんいらっしゃいます。そのような場合、上記のような懸念について説明して対策をしていただくようにしています。また完全な室内よりも条件が悪い、つまりは寿命や劣化具合に影響があることは理解してもらうようにしています。

先日の主任との話でも出たことなんですが、電気炉のそばに石膏ボードがあるかないかも大きく違ってくるのではないでしょうか。窯からの熱を考えて木造の壁に石膏ボードを貼るなんてこともありますよね。しかし断熱のためだけではなく、石膏ボードに除湿する機能もあると考えると、湿度が高い環境ならば、そういう工夫があってもいいということです。

これも今更言うなというネタかもしれませんが、様々な電気炉や窯の設置状況を見てきて、そこへメーカーの方の意見やお互いのディスカッションで明文化できたという感じです。旅客機のいまの安全性のウラにおびただしい犠牲者がいたのと同じってことでしょうか。大げさかもしれませんけれども。


それから紫外線です。

これは自分の経験で気が付いたことですが、窓側の配線だけが異常に劣化している電気炉がありました。まだ20年も経っていない電気炉で、単に窓側、それも南向きでもありませんでしたが。配線カバーの中だったのでお客様が日常の点検で気が付かない場所です。それを点検すべき設置業者はすでに無く、ここまで傷んだのはメンテナンスや点検が長期間なかったためとも思われます。

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(ヒビヒビです)

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(パックリいってます)

もっと古い、何十年も経過した古い電気炉で配線を触ると被覆が割れるなんてスゴいことも経験したことがあります。
大丈夫、あなたがお住まいのマンションやオフィスのビルの電気室は毎年のように保守点検が義務付けられていますから、こんなことにはなりません笑。

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(暑いと思ったら1300℃かぁ)

わたしは小屋の温度計がわりにデジタル温度計を窯につないだまま放置していますが、本来は精密機器ですから窯焚きごとに外して室内においておくほうがいい。ましてや電気炉であればリレーやプロコンなどがあってみんな湿度が大嫌いですから設置環境は重要です。

学校やオフィスビルのキュービクルは月次・年次で点検がありますが電気炉にはそのような決まりはありません。趣味でも仕事でもアナタが使用する業務上の機材ですから使用者のアナタに責任があるものなのです。それをサポートするのが設置した業者とメーカーということになるでしょうが、まずは使用者であるアナタが意識をしていただきたいと思います。

脅かすわけではなくて、そんなところにパソコン放置しておきますか?って感覚でいいと個人的には思います。電気炉ではなくパソコンと思ってみるとわかりやすいでしょ?

え?

無茶苦茶って?
まぁいいたい笑。


不安がある、これでいいのかわからない、他所やネットで購入したんだけど。

それでもいいですから、相談するところが無いのでしたらご連絡ください。

メールがありがたいけど電話でもいいよ。
ホームページ見てね。


安全第一でいきまっしょい!
(博多弁か?)


posted by inoueseiji at 07:33 | 窯と焼成に関すること

2025年10月28日

電気炉ヒーター線の断線を防ぐ

ソフィー・マルソーは嫁公認ですイノウエです。


さて電気炉のヒーター線についていま書けるだけのことは書いておきましょう。
わたしはガス窯の製造メーカーからスタートしたので電気炉の経験値はまだまだですが、それでも業者として一般の方々よりは多くの事例をしっています。また電気工事士を始め電気炉のメンテナンスや設置工事に必要な免許や資格はありますので、美大の先輩の適当なアドバイスよりも確かなことは言えるポジションです。

というわけでヨロシク。

先日の主任との電話から、いろいろなヒントをいただきました。
ヒーター線の断線が固定ピンが原因になることもあること、そして炉内から本体外へヒーター線が抜ける穴が当然あるわけですが、そこの形状や掃除についても言及しておきましょう。

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ヒーター線の掃除についてですが、ホコリなどが付着していくでしょうから掃除機と掃除刷毛などを利用して優しく掃除します。ホントにそっと撫でる程度で良いと思います。あくまでわたしの考え方なので、この作業をどう捉えるかはアナタ次第ですが、なんの窯でも炉内はキレイにしておくべきです。そして一番良くないのは何もしないことです。

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特にヒーター線の終端が炉内から出る穴に汚れが蓄積すると、そのせいで断線がおきたりします。炉内のヒーター線に異常はないのに、断線しているという数値が出た場合、この壁の中で切れているということがわたしもこれまで何度かありました。

これを防ぐには炉内全体の掃除も大切ですが、穴の中にゴミが入っていかないようにメンテナンスをすることも必要でしょう。綿状の断熱材などで間隙を埋めておくことが必要です。

それから、この穴埋めには道具土やモルタルは使いません。
なぜって?さぁわからんけど、これは築炉屋だった人間の肌感覚です。

こういう感覚がなんの仕事にも必要でしょ?

無くてもやる人はいるみたいだけどさ。


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穴があれば蒸気もそこから出ようとします。
その窯に排気栓がなかったり、使用する人間に排気の意識がない窯は特にそうなります。
熱電対のケースの金属部分が腐食するのもこれが原因です。

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電気炉にはエントツがありません。
でもエントツがある窯と同じ反応が炉内では起こっています。

だから積極的に排気を意識していく必要がありますが、ガス窯や灯油窯のように炉内の空気の動きは激しくはありません。それを意識していくしかありませんが、なによりも高温になるわけですから安全第一で作業してください。

共栄電気炉製作所やシンリュウのカタログに電気炉はスイッチ入れれば放ったらかしてオッケーなんて書いてありません。他の窯と同様に温度ごとに気をつけることや行うべき作業があります。

アナタが電気炉はスイッチ入れれば放置でオッケーなんでしょ?と思っているのならその認識はあらためていただいたほうが良いと思います。そのほうが窯は長持ちし、良い作品も生まれると思います。


窯という機材について、わたしのように仕事で取り扱っている人間でも、初めて聞いたとか、そんなこと最初に言ってくれ!という事がたくさんあります。このブログのネタも永遠になくなりません。ましてや初めて窯を検討する人が十分な情報を得ているとは思えません。


というわけでこのネタは続きます。

posted by inoueseiji at 07:18 | 窯と焼成に関すること

2025年10月27日

【重要】電気炉焼成における排気について

単眼鏡で初期伊万里ビッグバン、イノウエです。

はいおはよう。

本日のネタは多くの方に拡散していただきたいネタです。
すっかり仲良くなっちゃった某電気炉製作所の計装課の主任様とお電話で補修の内容についてのやりとり。
そしてさらに補修に関わることについての追加の質問をし、そこから派生した雑談などを大爆笑を交えつつしておりました。

いろいろな現場で電気炉の補修にも関わってきたメーカーの方々の率直な感覚だと思いますが、やはり電気炉は排気が大変重要であるということ。これは揺るがない。特に陶芸炉に関してね。

電気炉の排気は500〜600℃程度まで!
排気栓をしっかりと開けておくこと。
でも安全第一で!

これに尽きます。

確かに、メーカーもわたしもアノ人もコノ人も400℃ぐらいまで、と言ってきました。
でもまだ足りないようです、というかもっと積極的に高い温度まで意識すべきだったということでしょうか。

確かに製陶所の社長さんなどでたまに、そんな温度まで蓋上げてちゃダメっすよ社長、みたいな人がいるけれども、あれは経験則による判断だと思います。何十年も仕事してきて、何十回も補修をしてきた人だからの実践ということでしょう。仕事に必要なものは回数と経験ですな、やっぱり。

さて、主任とのお話でこれは伝えねばと思いましたし、お客様向けの資料も再編集しなおしました。

600℃を目標としてほしいです。
これは素焼きも本焼きもです。

なんで本焼きも?と思ったアナタ。素晴らしいです。
結晶水は抜けてるじゃん?と思いますよね。でも釉薬の水分やその成分の燃焼ガス、揮発するナニカがあるということですね。

電気炉、つまりヒーター線の使い始めについて。

届いた新品は赤ちゃんのお肌と同じです。ピカピカの金属光沢をしています。それが焼成によって真っ赤になり、その際に炉内の空気と反応するでしょう。だからまず新品のヒーター線は本焼き温度で空焚きをしてください、と口を酸っぱくしてこれまで説明してきました。しっかりと空焚きすればピカピカの金属光沢は消えて、うっすらと最初の酸化皮膜が表面をおおいます。

赤ちゃんのお肌からお相撲さんの足の裏ぐらい強くなったのです。

こうなってから使い始めます。できれば最初の作品焼成も本焼きスタートだとなお良し。

ヒーター線だけではありません。同じ素材でしかも細い固定用のU字ピンも同様です。ヒーター線よりも細いということは、固定ピンの方が先に傷むということです。自分の電気炉の固定ピンの状態を観察してみてください。特定の場所だけ変色していないですか?真ん中辺りばっかり茶色くなっているとか、U字の先端が黒くなってきているとかさ。

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(お〜い、しっかりしろ〜)

固定ピンのためにヒーター線自体がトラブルに見舞われることも現場での長年の観察でよく見るそうです。ですから固定ピンが黒くなっていたら交換したほうがいいし、そもそもそうなるということは使用方法を見直すことも必要でしょう。みんなが使わない酸化金属が入った釉薬ばっかり使っているとか、排気なんて考えたこと一回もないとかね。

ウェーブ式であれコイル式であれ固定ピンの状態は一つの判断基準になります。



もちろん全員がヒーター線のトラブルに見舞わるわけでもないんです。
昔も書きましたが、毎年修理の話をしてくるような「大先生」もいれば、前の修理以来まったく連絡してないなぁという作家さんもいるんです。近くで仕事したついでに寄ってみれば、まだまだ10年選手のヒーター線はキレイだったりする。

こうした機材としての窯の相談を受けるのが設置業者であり、製造メーカーです。だからどこでどう購入するのかも大変重要なことなんです。プロだろうとアマチュアだろうとね。

ヒーター線や固定ピンの素材は、焼成しだすと最初は酸化皮膜でグレーのカサカサした質感になり、徐々に黄色っぽいような茶色っぽいような色になって、最後黒っぽくなります。

こうした説明のない中でネット購入などをした場合、多くの人が、空焚きもせず、まずは低い温度からだよね〜と素焼きスタートで使い始めることになるようです。

これは最悪のスタートです。


さらに安全のためならヒーター線の寿命など犠牲にするしかないという考えのメーカー製であれば、そもそも排気栓どころか排気口が無かったりします。こうしたことを知らずにに、自分の窯だけの経験則を、わたしゃプロでござい、職人でござい、で発信して、小型電気炉はすぐにダメになるなんていうオツムが…(自粛)。



これが我が国の現状。

オジサンは電話で泣きながら主任様に申しました。

「最初に教えてくれれば、みんなマジメだからやりますよ!」

すると切なげな声で主任様は言いました。

「聞かれないことをわざわざ言う人は少ないんですよ…」


温度計と熱電対と補償導線の件でもそうでした。
最初に訓練校でプリントもらっていたら全員の知識、常識になった話。
なにも難しいことはない。

筆の使い始めとか、窯も使い始めとか、ロクロや土練機の脚は調整できるとかね。
最初に説明されれば、子供でも理解できることばっかりじゃないですかね。

この話、続きます。




は?
やけん、七宝炉は陶芸炉にならんって言いよろうが!
いつまで言いよっとかって、キサン!
(英訳:No, an enamel kiln will not serve as a substitute for a pottery electric kiln. Please stop saying such things.)
posted by inoueseiji at 06:15 | 窯と焼成に関すること

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