2014年08月19日

金ラスター釉


今回は、わたしが実験してとても良かった調合を紹介したいと思います。

釜戸長石 85 出発原料

亜鉛華  5
無鉛白玉 5
蛍石    5  以上 媒溶材、融材

二酸化マンガン 20 主着色材

酸化銅  3
酸化クロム 0.5  以上 鉱化材

1230℃ 酸化焼成


この釉薬は金属ラスター釉薬の種類になります。

また長石が多いので長石釉の種類に分類されるでしょう。

施釉のコツはちょっと厚めにぬることです。

亜鉛華は、亜鉛華という名前で売っています。
無鉛白玉は無鉛フリッとのこと
蛍石はフッ化カルシウムで、これも名前のまま売っていす。

酸化銅はふつうの黒色酸化銅です。
酸化クロムもそのままの名前で売っています。

この釉薬のように、基礎釉に特定の金属を大量に投入することで、案外と簡単に金属ラスター釉をつくることができます。是非いろいろと挑戦してみてくださいね。

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原料購入はこちらから↓
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2013年10月17日

織部の渋抜き


わたしのやり方は瀬戸の釉薬屋さんから聞いたものを、さらにアレンジしたものです。この正しいやり方をブログにもアップして、多くの人に知ってもらいたいと考えています。

織部の渋抜きには、トチ渋を使った方法もありますが、わたしの渋抜きは塩酸を使ったものです。ご了承ください。



●そもそも酸化皮膜とは何なのか

織部釉は焼成後、曇ったようにくすんでいます。これは釉薬の表面に皮膜がついているからで、この皮膜をわれわれは酸化皮膜と呼んでいます。この皮膜は釉薬に含まれている酸化銅の析出物ということですが、どうして皮膜になるのか、わたしはわかりません。残念ながら、わかっているという人に会ったこともないです。だれか教えてください。

まあ、皮膜が取れれば問題ないですよね。


●窯出し

窯出しの時に注意することは、織部釉の部分を素手で触らないということです。
軍手をするなどして、手の脂がつくのを防ぎます。そうしないと指の跡がいつまでも渋抜きで取れないことになります。


●まずは水に浸す

窯出ししたらまずは水に漬けます。理由は、渋抜きに使う塩酸の成分が、素地や釉薬の貫入にしみ込まないようにするためです。これをおこたると、渋抜きしても貫入から白い塩がいつまでも出続けてやっかいです。

水に漬ける時間は1〜2時間でいいと思います。塩酸で渋抜きする場合、これはとても大切な工程ですので忘れずにやってくださいね。


●お湯と塩酸を用意

いよいよ渋抜きをするわけですが、水ではうまくいきません。ある程度熱いお湯を用意します。お風呂よりもちょっと熱い程度で十分です。だいたい50〜60℃でいいでしょう。わたしは我が家の給湯器で一番熱い設定の60℃で行っています。

重要な塩酸とお湯の混合比ですが、かなり薄いです。だいたいお湯15〜20リッターに、塩酸20cc程度を目安にしてください。きちんと測ることが重要です。横着はしないこと。

作品がつかるだけの容器が必要です。コンテナ、衣装ケース、子供用プールなどを流用して使います。

塩酸は取り扱いに注意が必要です。手袋、マスクなどを必ず着用してください。


●中和のために重曹水

バケツ一杯の水に大さじ1〜2杯の重曹を入れて攪拌し、用意しておきます。別になくてもいいのですが、塩酸を中和するために重曹を使うのです。わたしが紹介している方法での塩酸溶液は、素手でも大丈夫なぐらい薄いのですが、念のためにも重曹水を用意しておくといいでしょう。


●漬け込む

いよいよ作品を漬け込みます。お湯がかなり熱いので、棒やハサミなどを用意するといいでしょう。漬け込む時間は1〜3時間程度です。塩酸水の濃度が薄いので、結構アバウトでも大丈夫です。キーワードは薄く長くです。

瀬戸の製陶所などは、もっと濃い塩酸溶液で、もっと短時間でやっているようですが、あわてることはありません。塩酸が濃くていいことはあまりありませんから。


●皮膜を取る

時間がたち、頃合になると、本当に皮がむけるように皮膜が取れてきます。そうなったらスポンジなどできれいに作品を洗い、完全に皮膜を取り除きましょう。このとき確実に皮膜をとることが大切です。拭き残すと乾燥したときに皮膜が残ってしまいます。

きれいに拭き落としたら、流水で洗い流します。この工程で、自分の作品の美しさを存分に味わってください。作者の特権です。


●乾燥させて終了

全ての作品の渋抜きが終わったら、後片付けです。塩酸水には先ほどの重曹水を混ぜて中和し、流しに捨てましょう。作品は水気を切り、乾燥させます。これで織部の作品ができあがりです。この一手間があるので、織部の作品は割高だったりするのです。


以上がわたしが行っている渋抜きの作業工程になります。是非参考にしてください。渋抜きで大切なのは、あまりあせらないことです。短時間でやろうとすると失敗のリスク、事故のリスクが高まります。とにかく塩酸は薄くして、長い時間をかけるようにします。



今回紹介した渋抜きの方法、是非あちこちで広めてください。

もともとはわたしも釉薬屋さんに教わったことです。水に漬けるとか、重曹水とかは、わたしが付け足した部分ですが、薄く長くというのがこの方法の一番の肝です。

織部釉はとにかく美しいものです。特に渋抜きしたばかりの濡れた作品はとても美しい。だからやめられないのです。




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2009年12月12日

釉薬の調合試験


わたしがやきものの仕事でもっとも嫌なのが素焼きだ、という話は前に書きましたが、じゃあ何が好きなのか、というと釉薬の調合です。

もちろん、ほかにも好きな工程はたくさんありますが、先日かなりの数を調合しましたので、そのことを書いてみます。

調合をするのに、化学式が必要かどうかは、それぞれの人が、どう釉薬を捉えていくかにかかわってくることが多いとは思います。それよりも、まずやってみることが大切ですし、面白いと思います。

もっとも簡単なのは、長石と灰を混ぜる、さらにその基礎釉に酸化鉄やゴスを入れて着色することでしょう。

釉薬の調合に挑戦する場合は、とにかく乳鉢と乳棒を用意します。

大きさは、乳鉢の直径が12〜15センチぐらいのものを用意すればいいでしょう。あまり小さいと粉がこぼれたりしますし、これより大きくなると、一気に乳鉢の価格が上がります。

できれば上皿天秤があればいいでしょうが、まあ、最初はデジタル秤でもいいと思います。わたしは最初の1年ぐらいはデジタル秤でやっていました。複雑な調合でなければ、特に問題はありません。

三角座標を使用した調合のことなどは、多くの本やネットで説明されているようですから、わたしはそれ以外のこと、自分が学んで、なるほど、と思ったことを書いてみます。

まず、試験調合はたくさんの種類をおこなうはずですから、100円ショップなどでプラスチックのカップを購入し、そのカップに番号を振ってマジックで書いておきます。

これは当然、ミスを防ぐためです。わたしは数字やアルファベットを書いて、ノートに別に調合の内容を書いたりしています。こうすれば、カップは洗ってまた後日使用できます。試験する粉末は、20〜30gぐらいが適当でしょう。

まず、よく洗って充分乾かした乳鉢にまず最初の混合原料をいれ、乳棒でよく摺ります。

これはあくまで混ぜるためで、粒子を細かく摺るという意識は必要ありません。あくまで、大きなかたまりをつぶして、それぞれの原料が充分に混ざるようにするのです。

さて、いよいよ水を入れますが、入れすぎに注意しましょう。まず、粉を湿らせる程度にしたほうがよいと思います。それから、少しづつ水を足し、筆で塗れるぐらいにします。

わたしはこの段階でCMCを入れています。水だけでは、刷毛塗りがしにくいと思います。水やCMCを入れたら乳棒で数分充分に混ぜます。混ぜるときは、おへその所に抱え込んでゴリゴリやったほうがやりやすいでしょう。

用意した素焼きのテストピースに塗ります。

このとき、意外とおすすめなのが、均一に塗るのではなく、ムラになるように塗ることです。釉薬の薄い部分と濃い部分を意図的に作っておくのです。

こうすれば、一つのテストピースで、その釉薬のさまざまな表情を確認することができます。

釉薬1を調合して、テストピースに塗ったら、乳鉢と乳棒を洗います。

洗ったら、乳鉢をよく拭いて、乳棒をさし、ドライヤーの先端も差し込んで温風で充分に乳鉢と乳棒を乾かします。こうしないと、次の釉薬2の原料を入れたときに、粉が乳鉢にくっついて、仕事がかなりやりにくくなります。

数種類の釉薬を試験する場合は、なるべく、白い原料から混ぜていくべきです。しかし、もし乳鉢の内側に前の釉薬の色が残って、拭いても洗っても取れない場合は、長石の粉か、ケイ石の粉と水を入れて摺ると、きれいになります。

一つの調合で、テストピースを二つが三つぐらい作っておくと、酸化や還元、最高温度などの試験に使用できます。

こうしてすべてのテストピースを作って焼き、その中から、うまくいったものがあったら、今度はそれを、さらにテストします。

だんだんと作品を大きくすると、テストピースとのギャップがあることがあるかもしれません。小さな色見でいいと思っても、大きな器になると雰囲気が思った感じにならない、ということもあり得ます。

また逆に、意外といいぞ、ということもたまにはあります。

もちろん、調合のことばかりでなく、釉薬のテストをする土を変えるなど、やろうと思えばいくらでも試験はつづいていきます。

さて、いくつか試験した中から、これを使ってみよう、というものがでてきたら、今度は乳鉢ではなく、バケツなどで調合します。

バケツなどでキロ単位の調合をする場合は、先にバケツに水を入れてから粉を入れます。そうしないと、原料粉への水の浸透が悪くて、なかなか均一に混ざりません。

バケツで釉薬を作ったら、篩(ふるい)を通します。篩は80目以上であれば、大丈夫です。スムーズに篩を通すためには、なるべく水の多い薄い釉液にしておきます。後日分離したうわずみを取り除き、適正濃度にして使用します。


わたしは、こうした作業が好きですが、逆に、面倒くさくて嫌い、という人もいます。

あなたはいかがですか?




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2009年08月06日

釉薬の厚み


釉薬に関する質問や、講座での作業がかさなりましたので、書いてみたいと思います。

釉薬の濃度は、作品の雰囲気を大きく左右する、とても重要な要因のひとつです。釉ガラスのベールを、どれだけの厚さ素地に重ねるのか、という言い方もできるかもしれません。

釉薬というのは、ガラスのようなものです。焼成した作品の釉薬面は、釉薬の色味と、焼きあがった土の色味が重なっているわけです。

そのため、あまりに厚く釉薬をかければ出来上がった作品は釉薬の色味が強く出てしまいますし、薄くすぎた場合は、土と釉薬が反応しあった中間層しかなく、いったい何の釉薬なのか、わからなくなってしまうこともあります。

厚くかけすぎれば、剥離したり、強い貫入がでてしまったりというトラブルがおこりますし、薄すぎれば荒い素地がでてしまったり、吸水性が強すぎて食器として使い物にならなくなったりします。

もちろん、結果として良好な雰囲気となれば、黄瀬戸の焦げであるとか、落ち着いてマットな雰囲気になったりもします。そのため、テストピースを制作して、釉薬をテストするときには、濃いところと薄いところができるようにムラに塗るか、濃度ごとにテストピースを用意するといいでしょう。

わたし自身の経験ですが、白っぽくなるように調合した釉薬を、何気なくあまった素焼きの別の土にかけたところ、その土の鉄分と薄く掛けた釉薬が、還元焼成によって、まったく違う色味と雰囲気を作り出したことがありました。その釉薬は、どちらかと言うと、いまいちだなぁ、とそれまでは思っていたのですが、その後、その効果を狙って頻繁に使用するようになったことがあります。

釉薬を使いこなすのは、とても難しい。

しかし、さまざまな実験をしたり、調合をするのはとても面白いものです。
また、たった一つの釉薬であっても、釉薬の濃度を極薄から特濃まで変化させたり、様々な種類の粘土を使用したりすれば、たくさんの雰囲気を出すことも可能なのです。

よく、同じ釉薬でもだんだんといい雰囲気をだせるようになる、と言われることがあります。
おそらくそれは、適正な濃度や、掛ける粘土の吟味、焼成技術(冷却技術をふくめて)の向上などにより、自然と高次元で融合した、作品自体のまとまり、というものが出てくるからではないでしょうか。

まだまだのわたしが書くと、あまり説得力がないですが・・・。





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2009年05月14日

低火度釉・高火度釉


今回は、かんたんではありますが、温度による分類のことを書いてみます。

これまで、釉薬の分類の定義はいろいろあります、ということを書いてきましたが、焼成するときの温度によって分類されることもよくあります。

900℃から1120℃ぐらいの低火度釉、または低温釉などという分類、これはフリットや楽焼などになるでしょうか。

そして1140℃から1300℃の中火度釉、または中温釉、わたしたちが一般に使用する温度域ですね。

さらにそれ以上のもの、1500℃ぐらいまでのものを高火度釉、高温釉などといいます。

これもややこしいのは、また別の分類で、1000℃から1100℃の釉薬を軟質釉とかいうことがあったようで、わたし個人も経験があるのですが、低火度釉と言ったときに、相手が想像する温度がこちらと少しずれている場合があります。

温度による分類は、その温度でとけるものの関係上、まったくレシピがちがいますので、有効な分類だといえると思います。

高温釉などは、個人が調合して使用することはそうそうないかもしれませんが、低火度釉はチャレンジした方、これからされる方がいらっしゃるかもしれませんね。

楽焼の釉薬は、低火度釉に入りますし、七輪陶芸などでもその温度は簡単に生み出すことができるでしょうから。

わたしも過去に初めてチャレンジしてみたときは、フリット、唐の土などを使って絵具店の方や、友人などに聞いていくつか調合してみました。その中の3,4種類がいまわたしの楽焼の定番になってもいます。

低温でとけるものは、なんとなく身体に悪そうなものが多いので、調合するさいにはよく調べて行ってください。

いまでは無鉛フリットがありますので、それとカオリンなどを8:2とかで混ぜれば安全な低温釉ができることはできます。


話は脱線しますが、わたしの受講生に歯科の先生がいて、その方に聞いた話ですが、最近では安い金属のカバーなどが出回っていて、その製造元が某大陸らしく、もとの金属の安全性がどこまであるのかわからないから怖い、ということでした。

例えば鉛とかですか、と聞いたらそれもありますが、歯科の場合口の中に入れっぱなしなので安易に安いからといって使うのはためらわれる、ということでした。同じことは100円ショップの器の釉薬にも言えます。

わたしの勝手なイメージですが、身体に悪そうな奴ほど低温でとけたりします。しかし、そういうものほど美しかったりするのです。

アメリカとかイタリアの駄菓子で、これはどう見てもやばいだろ、という色の奴ほど美味しい的な・・・。

釉薬の安全性のことなど、いつか書けるように仕事と勉強を引き続きがんばりますね。






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2009年05月07日

白マット釉とワラ白釉


白マットと藁白の二つの釉薬の違いを、講座で説明するのが意外と難しいです。

まず、マットという言葉をしっかり定義してみましょう。

マット釉というのは、不透明で不光沢である釉薬、と言えるでしょう。
釉薬自体が透明ではない。またその表面はツヤがない、ということです。

表面にツヤがないということは、融けないものが多めに釉薬に入っているということですね。

ワラ白釉などは、不透明ですが、光沢があります。乳濁釉と言うこともあります。釉薬自体はこちらの方がよく融けているということになるのでしょうか。

この二つ、どう例えるといいのか考えましたが、上手く思いつきません。

マット釉は融けきれてないが、乳濁釉は融けているともいえます。
また、マット釉は調合自体がその結果をしめしていますが、乳濁釉は、たとえば透明釉に乳濁作用のあるものを添加すると、それらが釉ガラスに作用して乳濁させます。



■ 分類の境界


すこし意地悪なことを書いてみましょう。

透明釉も調合によっては、窯での焼成後、ゆっくりと冷却したり、もう一度再加熱したりすると、透明ではなく乳濁の方向へ変化することがあります。

また逆に、マット釉を再加熱したり、最高温度で窯の外に引き出したりすると変化していきます。

そして釉薬は、ある程度の厚みで施釉して焼成した場合は、はっきりとその釉薬の性質を現しますが、一定以上薄く釉掛けしたり、個性的な土を使用した場合、素地の影響をうけて全く違ったマチエールとなることがあります。

こうなってくると、もとの透明釉とは、もはや呼べないのではないでしょうか。

混乱のないようにするには、調合したり、購入したときの釉薬の名前をもって管理するのがいいのではないでしょうか。



わたしもいつの間にか、このバケツの釉薬はこうなる、これはこう、などと無意識で考えるようになっていました。それを矯正するうえでも、ひとつひとつの用語と向き合うのはとても意味のあることかもしれません。


また、陶芸教室では、釉薬をなにか絵具の種類のように捉えていることが多いようです。たくさんの種類の釉薬があるのは、たしかに楽しいです。

しかし料理の味付けで、お醤油がいろいろな使われ方をするように、たった一つの釉薬でも、適正濃度、薄く、濃く、粘土の変化、焼成方法の種類、冷却方法のバリエーション、再加熱などで驚くほど多彩な変化をしてくれると思いま
す。

わたしも、こう書いた手前、今まで以上にそうしたことを試していきたいと思います。


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2009年03月05日

さまざまな濃度で焼成実験


長石と灰の調合から、いろいろなバリエーションができるという話を以前しました。
それでは今回はというと、濃度によるバリエーションについてです。

5、6年前からはじめた釉薬の勉強ですが、自分が勉強したことをノートに記録しつづけてきました。

初めて焼成試験したのは2成分で、次に実験したのは、それぞれに酸化金属を入れることでした。陶試紅や弁柄などです。

また、濃度によるマチエールの比較をしました。ある調合の釉薬を、濃度を変えながら釉掛けして、その違いを確認するのです。これは非常に意義深い実験でした。




ためしにそのときのノートを写してみますね。

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「比重の違いによるテスト」

■土 本業土 赤 (瀬戸の代表的な粘土です)

■釉 長石 75 灰 25
   高さ3センチほどの小さな湯のみ状のテストピース(弁柄とゴスで絵付
   けする)に同じ方法でずぶ掛け。

■窯 電気炉 SK7(1230℃) OF(酸化焼成)


◆60(濃度)

気孔のような微細なぶつぶつが釉面にある。鉄絵は流れるギリギリ。
描いた線や絵のシャープさがない。SK7では使えない。

◆50

気孔なし。貫入あり。
釉がたまった部分の線が流れ気味。50〜60では鉄絵がはっきりしない。
いかにも透明釉をかけました、という感じの濃度。

◆40

たぶんうすい。貫入はない。砂気がある土なので、渋い感じ。
鉄絵ははっきりしている。ほどよい。

◆30

かなりうすい。水はしっかりはじいている。
鉄絵は描いたそのまま、という感じ。筆のかえしの微細なはねの線もそのまま。

◆20

かかっているかどうか、パッと見にはわからないぐらい。
水をはじいた、と思ったらすぐに素地にすわれてしまった。
食器にはとても無理。土をかえるか。


◆感想 濃度によって雰囲気がまるで違う。土味が薄いほど顕著にでる。


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・・・という感じです。

いま読み返すと突っ込みどころ満載ですが、当時本当に一生懸命でした。
勉強し始めたころのことを思い出しますね。たしかこれ、風呂場で釉掛けしたんだと思います。なつかしいなあ。



同じ釉薬でも、濃度を変化させると、まったく違います。特に鉄分を多く含んだ赤土などは、さまざまな表情を見せてくれると思います。




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2008年11月07日

釉薬のかけ方


釉薬をかける方法を調べている方は以外と多いようですね。

先日、生涯学習センターの本焼きの窯詰めをしました。窯詰めの日に釉掛けする人が多いのですが、掛けわけの方法などを相談されて、その方の作品には、はけ塗りを提案しました。

はけ塗りの方法は後述しますが、みなさんは、釉薬を掛けるときに、どの方法をとられていますか?

釉薬というと、バケツや甕に入っていて、攪拌して器を釉液に浸す、という方法を思い浮かべられる方が多いのではないでしょうか。それしか経験のない方も多いかもしれません。

しかし、実は浸し掛けというのは、本来、それほど一般的な方法ではないと思います。

まず、湯のみひとつを釉掛けするにも、ある一定の量の釉液が必要になってしまいます。

プロでも、20リットルの釉薬を使い切るにはそれなりの量と期間を要しますので、アマチュアの方で、買った釉薬がいまいち気に入らない、というとき、残りの釉薬をどうするかと、悩むのは、かなりのストレスだろうと想像します。

それに、浸し掛け、またそれに付随する柄杓掛けには、どうしてもテクニックが必要で、なかなか一朝一夕には習得できません。

ほかにも釉掛けの方法には、スプレーや霧吹きをつかったり、また、CMCなどを器の表面に塗って、粉を振り掛けるという方法もあります。ほかにも、窯のなかで蒸着させるなど、方法はいろいろあります。

はけ塗りの方法ですが、少し濃い目に調整した釉薬にCMCをおよそ2割ほど混ぜて(濃度は試験してくださ)、たれる雫が糸を引くぐらいが目安でしょうか。

あとはムラにならないように塗ります。それでも、どうしてもムラがでますが、手作りの器に自然なムラが出て、下手な柄杓掛けよりも雰囲気が整っているとわたしは思いますが、どうでしょう。

はけ塗りもある程度慣れが必要ですが、少量の釉薬でできます。わたしが以前、一窯分の器(0.4mの窯)を、はけ塗りで釉掛けしたときは、多分、2リッターも使ってなかったと思います。

ペットボトルに作っていた釉薬でしたが、以外と使わないものだな、とおどろきました。また、沈殿した釉を攪拌するのも、ペットボトルを振ればいいので楽です。

陶芸家の仕事場にいくと、釉薬を入れたバケツや甕が庭にたくさん並べてあるという光景を見るかもしれませんが(まぁうちもそうですが)、それ以外にもやり方はたくさんあります。

かつてわたしも、そういう「陶芸家らしい仕事場」に夢と憧れを持ったこともありました。ですから、アマチュアの方がそういう方式をまねしたり、思い込んだりするのもわかります。

ですが、たまには、こうでなければならない、という呪縛を解いて、プロを驚かせてみませんか。


これまでの記事も参考にしてください。
http://inoueseiji.sblo.jp/category/517045-1.html


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2008年08月16日

釉薬の自作について 2


陶芸をある程度やった人で、釉薬も自分でつくってみようと思い立つ人はどれだけいるのでしょうか。

わたしは訓練校修了して、築炉メーカーで働いていたときに、自分でも作陶をしはじめました。しかし、小さな子供もいて、仕事のあとにロクロを回したり、土をこねたり、という生活は長くは続きませんでした。そこで、つくる方はいったんやめて、先に釉薬を勉強しようと思いました。

作陶は1年間訓練校にいっていたから、一応、基本をおさえた、ということにして、在校中には全く本気で勉強しなかった釉薬をやってみることにしたのです。今思えば、将来的な展望などではなくて、ただ周りの同期たちがどんどん作家として活動していったことへの焦りからだったような気がします。

・・・訓練校の名誉のためにいっておきますが、訓練校では三角座標も、ゼーゲル式も、釉薬の調合もすべて授業と実習があります。ただわたしは在校中、そんな化学式のようなものは必要ない、ものづくりとはそういうことではない、などと傲慢不遜な三流美大生の考えをまだもっていました。また、限られた時間の中での講義ではどうしても理解不足になってしまい、化学式などにアレルギーのある生徒はほとんどわたしと同じような考えかたをしていました。

卒業してから、もっと勉強すればよかった、と思うのは凡人の哀しさですが、今度は、おそらく仕事に関わることですから真剣に取り組みました。また釉薬の勉強では、最初は本を読むことが多く、疲れて帰っても、寝るときでも、昼休みでも勉強することができました。これはとても精神的によかったと思います。とにかくいろんな本を読みました。

次は実践です。まず、仕事上でお付き合いのあった、陶磁器絵具店の方に相談しました。すると、まずは長石と合成土灰でやりなさい、ということを言われました。つまり2成分の釉薬ですね。(3成分だと三角座標を使います)そこで福島長石と合成土灰を買って帰りました。

当時、100Vの電気炉は持っていましたから、素焼きの破片に長石:土灰で1:9〜9:1のテストピースをつくって焼きました。乳鉢で20gづつぐらいで実験しました。

   参照(3月の投稿)      釉薬の自作について  

釉薬を勉強するにあたり、釉薬ノートをつくりました。何をしたのか、何を使用したのか、どう思ったのかを、そのときの自分の知識の範囲で記入していきました。わたしは他にも作陶ノートなどもつくっています。記録しておくと何かと便利です。なにげない記録が、数年後大きな転機のもとになることがあります。

次に、焼きあがったものの調合から、ゼーゲル式を計算して比較しました。それにより、2成分系の調合の限界に気付きました。グラフのある領域から出ないのです。

その結果をもとに、陶磁器絵具店にいき、「・・・こういうことがわかりましたので、次は石灰とカオリンとケイ石を売ってください。」といいました。すると絵具屋さんも、「買ってよし。」といいます。(教えてくださいとお願いしたのでこういうやり取りがありましたが、普通は何でも買えますよ)

こうして、だんだんと勉強はすすんでいったのでした。このころのことは、いま思い返すと本当に懐かしいです。


■ゼーゲル式は必要か

まさか自分がゼーゲル式をやるとは思ってもいませんでした。訓練校の講座でも、試験があるから一応するけど、やっぱりセンスが一番でしょう、と思っていました。
エクセルでの計算シートや、津坂先生の本にCD-ROMがついているようですが、頭で理解して、筆算をしたほうが(電卓は使う)最初は良いと思います。そして、残念ながら、近道はありません。

美術系のわたしには、モルという概念を理解するのに苦労しました。そのために化学の簡単な本を買いました(マンガの)。計算自体は、モルの一覧表と計算方法の手本を見れば簡単です。津坂和秀「釉薬基礎ノート」の後ろのほうを見ればできます。

また、作品や仕事内容によっては、化学式は必ずしも必要ないかもしれません。三角座標を使えば、伝統釉の多くはカバーできるかもしれません。また作り手である釉薬屋さんと上手に付き合うのもとても大切だと思います。(それには産地に赴かなければなりませんが)

わたしも、現在のスタイルで仕事をつづけるならば、厳密には必要ありません。勉強した当初も、何かをせずにはいられなかった、というのがゼーゲル式を勉強した大きな動機だったと思います。

わたしがある方に教えられたことですが、こんな意見もあります。

「ゼーゲル式をおぼえることで、頭の中に釉薬のソロバンをもつことができる。それによって、自分で掘ってきた、分析表のない原料を使うときに、足りないものを感覚的に補うことができる。また、古いものや人の作品を見たときに、おそらくこれぐらいの調合であろうと見当をつけることができる。それがゼーゲル式を勉強する意味です。」

わたしも確かに勉強して実験したあとでは、観賞点がかなりかわりました。美術館や博物館で展示物の前にいる時間がとても長くなりました。そして、以前よりはっきり見たものが記憶に残るようにはなりました。

学校で教われるのなら、先生を質問攻めにして、しっかり理解することをお勧めします。将来邪魔になる知識ではありません。ああ、そういうことか、という程度の理解で十分だと思います。

また化学式に置き換えられる事象の少なさも同時に知ってください。(わたしはよく思い知らされています)

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2008年05月17日

液状の釉薬や長石を使って調合するには


透明釉や織部など、ほとんどの釉薬は自作しています。
そのときに使用する長石は、瀬戸の釉薬屋さんからわけてもらっている擂った長石を使用しています。巨大なミルで擂ったもので、釉薬屋さんが基礎原料として作っているもののようです。品質も安定しているようです。

瀬戸に住んでいるときは、なにも思わずに釉薬屋さんをはじめ、絵具屋さんや道具屋さん、フルイ屋さんなどにいっていました。福岡には当然そんなお店はありませんし、知っている範囲での有田界隈にも瀬戸ほど何でも揃っているわけではないようです。なんとも贅沢な環境で勉強したり、仕事をしたりしていたんだな、としみじみ思い返します。

さて、その長石ですが、釉薬の白いポット1本で2000円ちょっとだったような気がします。ポットは自分で持って行きます。買う場合はたしか1000円ぐらいだったと思います。わたしは年に1度は車で愛知県に行きますので、そのときに長石を1、2本もらってくるのです。

いつも安定してるその長石、1リットル分を乾燥させて長石がどれぐらい入っているかデータを取っていました。ところが先日、小分けしていたポットの内面を洗い、その洗い水のせいで、いつもよりも相当薄くなっていました。これではデータが使えません。単純な整数比の調合ですが、あまりにも分量が変わっては釉薬の性格がかわってしまいます。

わたしはいつも、比重計をはじめ1リットルあたりの重量も測って釉薬を管理しています。
そこで、一度キチンと比重と固体含有量の関係を調べておこうと思っていましたが、「釉とその顔料」に載っていました。今後はこのデータを基準としていこうと思っています。

ここからは、わたしの個人的な考えですから、注意して読んでください。

陶芸は不確定要素がとても多い世界だと思います。土、釉薬、焼成何一つとして同じものはありません。同じメーカーの同じ窯を隣同士において、同じ制御で窯を焚いてもわずかながら違いがあることがあります。ある種の釉薬は長石が少し変化しただけで、発色がかわってしまうそうです。

どうすればいいのでしょうか。

わたしは数年前に、そこに数字を持ち込んでみようと考えました。こう書くと理系の人みたいでかっこいいですが、もともとわたしは美術系です。数字が嫌いなんですね。やきものも最初はセンスだろうと漠然と考えていたぐらいです。

ところが、センスなどではものはつくれないんですね。つくれないことはないのでしょうが、わたしが考えるものはつくれませんでした。どうしても科学的に考えたり、数字を使わないといけない部分があるんですね。

たとえ話になるかどうかわかりませんが、なにか絵を描くときに、鉛筆も絵具も紙もあれば、センスでいいのかもしれません。では絵具から作ってください、といわれたら画家はどうするでしょうか。陶芸はどうもここらへんがちがうようです。程度の差はありますけれど。絵具をつくるとなったら、もう数字が出てきそうです。

全てはあいまいな範囲でしか安定していません。
ですからこちら側にははっきりした数字が必要なのかもしれません。

長石のはなしに戻りますが、いままでわたしが使っていたデータは、長石1リットルが1500gのとき、それを干して得た長石乾粉は760g前後でした。「釉とその顔料」のデータを参考にすれば、1リットル1500g(真比重2.60 泥しょう温度15℃)だとすれば、809.250gになっています。この数パーセントのずれをどう考えるかは個人の自由だろうと思います。わたし個人としては自分の測った1リットルの曖昧さ、学者の提示するデータの潔癖さを合わせてかんがえれば、対比して問題なかろうと思います(実際それで釉薬をつくっています)。

100点ではありませんが、70点ほど悪くありません。

釉薬を液状で保管、購入したとします。その釉薬に5%のベントナイトや0.1%のコバルトを加えるときにあなたならどうしますか。

経験豊富な陶芸家はよく、「適当な」という表現をします。わたしも適当にやっていることもたくさんありますが、こういうデータを使っての適当も便利だと思っています。

デイ漿ショウ比重ヒジュウ、ボーメ固体コタイ含有量ガンユウリョウ相互ソウゴ関係カンケイ
固体コタイシン比重ヒジュウ2.60 デイ漿ショウ温度オンド15℃のとき)

漿比重

固体含有量

°Be

比重ヒジュウ

g/l

30

1.263

427.375

33.84

31

1.274

445.250

34.95

32

1.285

463.125

36.04

33

1.297

482.625

37.21

34

1.308

500.500

38.31

35

1.320

520.000

39.43

36

1.332

539.500

40.55

37

1.345

560.625

41.67

38

1.357

580.125

42.79

39

1.370

601.250

43.91

40

1.383

622.375

45.03

41

1.397

645.125

46.15

42

1.410

666.250

47.27

43

1.424

689.000

48.39

44

1.438

711.750

49.51

45

1.453

736.125

50.63

46

1.468

760.500

51.75

47

1.483

784.875

52.87

48

1.498

809.250

53.99

49

1.514

835.250

55.11

50

1.530

861.250

56.23

51

1.546

 

 

52

1.563

 

 

53

1.580

 

 

54

1.597

 

 

55

1.615

 

 


この記事はまだまだ追加してくことがありそうです。


<追記>

先日の窯焚きのときのデータを書き込むのを忘れていました。
わたしの灰を使った透明釉、この表を使ってあらためて調合したものと、今までのバケツから釉掛けしたものを窯に入れてみました。結論から言いますと、違いはありませんでした。

ゼーゲル式を用いての調合ではありませんから、単純な整数比の調合では問題ないのではないでしょうか。それよりも重要なのは、いつも同じ原料を使う、安定した長石を使うということだと思います。長石の個性を生かしたい場合は別ですが。少なくとも、既存の釉薬になにか添加したいときに、この数値は役に立つのではないでしょうか。

御意見お待ちしていますが、クレームは受付かねますので、調合は自己責任でお願いします・・・。

<追記2>

先日、いつも使っている1リットルの計量カップで、水の重量を測ったら980gぐらいでした。つまり、1リットルになっていなかったのです。あらためて計量カップにしるしを点けて、長石をはかったらほぼ、上記の一覧表と同じ数値をとりました。もっとも、これまでも支障はなかったので、釉薬にもよるでしょうが、数パーセントの誤差は許容範囲だと思います。



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2008年05月06日

釉薬の濃度調整について


わたしのメインの仕事は織部の器です。織部釉薬は、掛け方や濃度によって、まったく違う表情になってしまいます。これまで、形が上手くできても、釉薬にからんだ失敗で、たくさんの器をボツにしてきました。(ボツになったものがどうなるかは、あまり触れたくありませんね・・・)

下は、そうした中で、検索で偶然発見した釉薬メーカーのホームページからの抜粋です。
これもプリントにして講座でくばりました。



釉薬の濃度調整に、比重計を使用される方が多いかと思いますが、信用していると、とんでもない事に成る場合が有ります。

それは、同じ物が手に入る保障が無いからです。メ−カ−・ロット等の違いによって、何時も同じ物とは限りません。酷い物は、5度以上違う物も有ります。比重計を使われるなら、常に予備を1本持ちその間に新しい物を購入して下さい。そして新しい物が同じ所を指すかを確認しておいて下さい。

その様な管理をして比重計を使用したとしても完璧とは言えません。何故ならば、釉薬の濃度を合わせただけに過ぎないからです。

一番大事な事は、素焼素地の上に釉薬の層が、どれだけ付いたかが問題だからです。常に一緒にしようと施釉しても、施釉の速度・素地の厚み・素地の大きさ・素焼の焼け具合・季節の温度変化などにより何時も一緒には成りずらいのです。最善の方法は、施釉した後爪で引っ掻いて、釉薬の厚みを確認する事です。これが、最も大事な事です。難しくて出来ないと言う事をよく聞きますが、慣れて頂ければ出来ると思います。もう1つは、施釉後の素地の破片を保管しておき、最も良かった時の物に限りなく近づけて頂く事です。そうした釉薬管理が出来て初めて、自分の思い描いた作品が出来上がると思います。今後の参考にして頂けたら幸です。

(カネアツ釉薬 HPより抜粋)

施釉(せゆう)の基本はまず濃度の調整です。いきなり感覚で物事を進めるのは、ただの遠回りという気がします。しかし、同時に、五感を使って作業を進めることも大切です。 釉薬の取り扱いは、実は非常に難しく長い熟練を要します。小さな製陶所で施釉している人がいたら、間違いなく熟練工か社長です。  私は趣味だから適当でよい、という考え方には反対です。 色々なことにチャレンジしたり、記録したりしてみて下さい。

 そしてものつくりに一番大切なのは、創意工夫を楽しむことです。



釉薬の取り扱いはとても難しいのは確かです。


学習センターの講座をはじめたころ、継続してわたしの講座にきた、陶芸経験者の誰一人として釉薬の濃度という概念をもっていませんでした。これには正直ショックでした。複数あるどの講座でも教えていなかったそうです。どうして受講生は釉薬を絵具の色のように捉えているのだろうか、という疑問が少しとけた気もしましたし、教える側にいる人間として反省もしました。

同業の多くの知人は、この爪でひっかく方式をとっているようです。粘土の含水率を計測しないのと同様に、なにごとも経験という言い方もできると思います。しかし、わたしの性格では、目の前に比重計があるのに、使わないという選択をするのは無理なのです。

加減を覚えるというのは時間もかかります。加減を早く覚えるためにも、数値化するというのは重要だと考えていました。(いまもこういう考え方に変わりはありません。)

わたしも以前は必ず比重計でしっかりと測るだけでした。ひしゃくなどを使って釉薬をかける動作は変わりませんから、最初の数値を合わせればそれでいい、と考えていました。そのころは爪でひっかいて厚みをみることは知っていましたが、やっていませんでした。

今はどうしているかというと、比重計である程度まで合わせてCMCを入れ、そこから先は爪を使う、という方法にしています。


熱帯魚を育てる方々のはなしによると、塩分濃度を測る比重計は、同じ水槽の水でも、メーカーによって示す数値がことなるそうです。水槽で使用する比重計は、釉薬に使用する比重計とは目盛りがちがいますので、陶芸用もそうだと言っているわけではありません。ただし、どんな計測器も100パーセント信用することはできないということはできるでしょう。


わたしの場合、今まで購入した3本の比重計は、全て同じ釉液で同じ数値を差しました。同じきちんとしたお店で買ったものだからだと思います。話はそれますが、以前ホームセンターで買った湿度計はかなり狂っていました。計測器はやはり信頼の置けるお店とメーカーの品、ということでしょう。


いずれにせよ、自分なりの創意工夫が大事だと思います。

感覚だけでは自分のしっている仕事の枠を抜け出すことはできません。また計測に頼りすぎると、ものづくりで一番大切なセンスが培われなくなってしまいます。



・・・これが他人ごとならいいのに。



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posted by inoueseiji at 22:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | 釉薬に関すること

2008年03月22日

釉薬の自作について

出発原料に長石を、溶媒原料に合成土灰を使って、釉薬をつくります。

長石 9〜1

土灰 1〜9

上記の範囲で5〜9種類を調合して、杯型の素焼きテストピースに塗り、焼成してみます。

粉末20gでテストピース2個分ぐらいだと思います。


 

まず、秤でできるだけ正確に重量を測り、紙コップ(プラスチックのほうがよい)などに、順次入れていきます。その時、カップに番号などを書いておき、間違いのないようにしてください。

 全ての計量が終了してから、乳鉢で擂ります。まず、粉擂りと言って、粉だけを軽く擂ります。数十秒で結構です。それから少しづつ水を入れて、擂りながら、クリーム状にします。クリーム状になってから1分ほど擂れば十分です。水の入れすぎに注意してください。


 素焼きのテストピースに、ゴスか弁柄で、裏側の釉薬をかけない部分に、どんな調合か、焼成方法か、判るように、番号などを記入してください。(例 長8:灰2RF など)そして、釉薬が掛かる部分にも、線や模様などを描いてください。これは下絵がどうなるかを見るためです。以上、釉薬を塗る前に全てのテストピースに描いておきます。


 刷毛などを使って、釉薬を塗ります。このとき、必ずムラになるように塗ります。厚いところと薄いところが、一つのテストピースにできるようにします。焼成します。



一つの調合で、酸化・還元それぞれ2種類作るとよいでしょう。

土の種類を増やすなら、調合する粉の量も増やすこと。

テストピースは同じ形のものをあらかじめ作っておく。

調合比や、原料、土の種類など記録しておく。




わたしの講座で実際に配ったプリントです。


まずは簡単な二成分系の釉薬から受講生全員で試験焼成しました。その後、自分の釉薬を自作する人もでてきて、成果はあったと思っています。

 

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