道具箱を片付けてから、改めて村上さんの、注ぎ口や持ち手をハンダ付けして作られた掛けひしゃくを手にとって、まじまじと見てみます。
そうはさせないぞ、というのが今年の目標の一つです。
http://www.knowledge.ne.jp/lec1535.html
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5月17日 液状の釉薬や長石を使って調合するには
http://inoueseiji.sblo.jp/article/15005024.html
ほかにも、300〜500ccぐらいの釉薬をテストでつくるときや、既存の釉薬に、何かを添加してテストをするときなども、ミキサーで攪拌しています。そのほうが確実な気がするからです。500ccぐらいの釉液を乳鉢などで均一に混ぜ合わせるのは骨がおれます。
みなさんも、なにか便利な道具があったら教えてくださいね。
本焼焼成後の器から、水分がしみてくる(もれる、ではないのに注意)場合や、花器など、長時間水などを満たしておくものには、制作者が水漏れ防止剤を使用することがあります。その種類と用途、使用方法をいくつか説明します。
まず、防止剤を使用する器は完全に乾燥していることが重要です。
使用したものならば日に干してもいいでしょう。よく乾燥させてください。
*食器には使用できない防水剤(花器など)*
次の3種は、もともとは建材等用に開発されたもので、陶磁器に転用されているものです。
POLON-T 油性 1kg ¥1300〜
器に8分目ほど注いで、5分ほどおき、空けます。1日以上十分に乾かしてから使用します。
話は脱線しますが、このPOLON-T、テントやカッパなどの撥水剤としてアウトドアの世界では有名のようです。
KC-88 油性 1kg ¥1800〜
POLON-Tよりも防水力が強い。使用方法は同じですが、原液で使用した場合、乾燥に1週間ほどかかります。
ラッカーシンナーか、POLON-Tで薄めることができます。
1:1で薄めても、POLON-Tより強いです。乾燥が2日ほどになります。
KR-252、D-7 1kg set ¥4900〜
2液反応型の高濃度防水剤です。
内側に刷毛塗りするだけでも強い防水力があります。
*食器に使用可能な防水剤*
CP−M6 水性 1kg ¥2000〜
陶磁器用に開発された防水剤です。
原液の中に完全に器を5〜10分(テストして時間は決めること)浸す。
取り出したら余分な液はふき取る。乾燥時間は器の形状、厚み、気候などによって前後しますが、自然乾燥で48時間を目安にしてください。乾燥して残るのはケイ酸分だけです。
食器用ということで、防腐剤などは使用してありません。開封後はただちに使い切って下さい(菌に侵されやすいため)。未開封でも保存期間は、冷暗所5〜10℃で3ヶ月程度です。
番外 米のとぎ汁
昔からとぎ汁を器に入れて一晩置くとか、とぎ汁で煮るとかいいますが、私はやったことがありません。
・・・これは個人的な意見ですが、わざわざ雑菌のエサを仕込むような気がしてやりたくありません(笑)。それよりも、使う前に十分に水に浸して艶を出し、使ったらなるべく早くタワシで水洗いして、よく干す。そうして器を育てるほうが大事だと思っています。
水漏れ防止剤の効果、特に食器用のもの効果は永久的なものではありません。あくまで補助的なものとして考えてください。
上記の撥水剤は全て、穴やヒビのある器の漏れを防止するものではありません。安易に薬品に頼らず、土と釉薬の相性、焼成方法や温度を煮詰めることが大事です。
撥水して素地だけの部分を残し、後でその部分に彩色等する場合
→陶画糊やマスキングテープなど
撥水して素地だけの部分を残し、焼成する場合
→蝋、釉抜材、CP−E、CP−E3など
釉薬の中に混入し撥水させて別の釉薬を掛ける場合
→CP−H,CP−L
マスキングテープ、新聞紙など ¥100〜
塗装などで使用されるマスキングテープを素焼きの素地に貼っても、意外なほど釉薬の付着を防ぐことが出来ます。
テープを貼ることで、撥水剤を筆で塗る時には出来ない直線的なラインを得ることが出来ます。
広範囲に素地を保護したい場合、新聞をマスキングテープで留めることが有効です。
霧吹きやスプレーによる施釉で、テープを繰り返し貼ったり剥がしたりして、釉薬の濃淡で模様を作る作家もいます。
また湿った生素地の場合、濡らした新聞紙を貼るだけでも化粧土などのマスキングに使用できます。
蝋 (ロウ、パラフィン) 1kg¥1000〜
蝋は昔からある撥水方法です。原料が安く、ロウの物理的な膜で撥水するので確実でもあり、今でも製陶所などではよく使用されています。
使用方法は、鍋に水を入れ、電熱器にかけ、耐熱容器にパラフィンのブロック、灯油を入れて鍋に入れて湯せんして溶かします。
今は専用の加熱器も販売されています。溶けたら素焼きの破片に塗ってみて濃さをみること。
作品が少量で長時間の使用でなければ、他の方法のほうが早いこともあります。
失敗したら素焼し直すしかありません。
陶画糊 300cc ¥500〜
ゴム液、ラテックスなどという名称で売られていることもあるが同じものです。
腐敗防止のために混入されたアンモニアの臭いがします。水性で、液体は白く乾くと透明になるので、赤インクを混ぜる人が多いようです。
基本的に、生素地(素焼していない乾燥素地)や、先に掛けた釉薬の上に塗って、掛け分け、重ね掛けなどに使用します。
また焼成後の作品にも塗れるため、チャイナペインティングや上絵付でも使用できます。
荒い土の素焼きの素地に直接塗ると、完全には取れなくなることがあります。
使用時は、洗濯洗剤や中性洗剤を濃い目に溶いた水溶液を用意して筆を先につけておきます。
塗る時は、乾燥後、ゴムを膜で剥がすのでしっかりと。塗った筆は、すぐ前述の洗剤液で水洗いします。
専用の筆を2本用意して、交互に使うと筆を傷めません。乾いたら針などで引っ掛けて剥がします。
剥がし残すとその部分の釉薬がとんで汚くなります。
釉抜剤 0.6kg ¥3000〜
CP−E ¥3300〜 CP−E3 ¥5500〜 各1kg
釉抜剤はパラフィン系で、表面に膜が出来て撥水します。
生素地にも使用可能。赤い染料が入っているため赤い液体です。値段はCP−Eより少しだけ高いぐらいです。
CP−E、E3はシリコン系で、EとE3では値段も倍近く違います。違いはシリコンの量で、そのまま撥水力の差になります。
CP−Eが一般的で、これで十分です。青い染料が入っていて青い液体です。生素地には使用不可(E3は可)です。
トルエンやアセトンが主成分のため、ご存知のように、きつい臭いがします。
使用前にはよく振ること。換気を十分にすること。塗ってから施釉までは5分以上乾燥させること。
筆は必ず塗料シンナーではなく、ラッカーシンナー以上で洗うこと。どちらも筆塗りに失敗したら、もう一度素焼し直すしかありません。アルミナなどを混ぜて使用することも可能です。
現在、CP−Cという水性の赤い撥水剤もあります。
私は使用したことはありませんが、メーカーの説明によると、素焼き素地用で、油性と比較すると、表面の粗い素地に対しては、撥水力が足らない可能性があるということ、アルコールを20%含有しているので、やはり換気には注意することが必要です。
油性のCP−Eよりは安全で少し安いようです。
CP−H,CP−L ¥3200〜・¥3400〜 各1kg
釉薬添加型の撥水剤です。
たとえばパンダの顔の黒い部分と白い部分の塗り分けなど、釉薬自体が撥水したほうが作業効率がよい時に使用します。
(パンダを何百個と釉薬掛けするぐらいでないと使用する意味はない)
濃い釉液100にCP−Hを7、CP−Lを3などの比率で混ぜる。混ぜた釉薬の撥水効果は1日なので使い切る。
またどちらも高価で、CP−Lは品質保持期限が3ヶ月しかないため一般的ではありません。
普通使用しないものを書く必要はないと思いましたが、あまりにも簡単にネット通販していて、正しい説明もないのであえて記載しました。
ちなみに瀬戸の絵具店に勤務した半年のうち、売れたのは2、3セットぐらいだった気がします。まず素人や普通の作家は使いません。
講座で配布した資料です。
陶芸を習っている人は、いろいろと買いたがるようです。
しかし、安直にいろいろ買っても、それを使いきれなかったり、ものによってはアルカリが強くて危険だったりするので資料として配布しました。こうして文章にするために調べなおしたことも多く、あらためて一体どれぐらいの販売者がここまで理解しているのか、とも思っています。